重金属や有害金属は身体に無関係のように思えますが、実は日常のあらゆる所に存在し、私たちはその影響を常に受けて生活をしていることをご存知でしょうか。
そして、日本人ならではの和食文化によって、他国と比べ重金属の影響を受けやすいと言われています。
この記事では重金属とは何か、身体にどのように関係し影響をもたらすのかについて詳しく解説します。効果的なデトックス法についてもご紹介しているので健康に関心のある方はぜひ参考にしてください。
身近に潜む重金属について
まずは、重金属とはどのようなもので身体への影響として何が起こるのか、概要についてご紹介します。
体内に有害な「重金属」とは?
重金属とは、人間の身体にとって有害となるミネラルのことを言います。ミネラルというと、栄養成分である必須ミネラル(カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄分)などのイメージがあるかもしれませんが、この成分とは反対に身体にとって有害となるミネラル(重金属)として水銀、鉛、ヒ素、アルミニウム、カドミウム、ニッケルなどが存在します。
【体内に有害な重金属が入っているもの】
水銀:ワクチン、海水魚、アマルガム
鉛:塗料、汚染された空気、水、土壌、食品
ヒ素:火山灰、地下水、殺虫剤
アルミニウム:調理器具、ホイル、薬の錠剤、制酸剤
カドミウム:タバコ、排水、色素
ニッケル:鍋、フライパン、キッチンシンク
多少の体内蓄積であれば特に症状が出ることはないですが、重金属の蓄積量が増大することによって身体のさまざまな部位に不調が起こることがあります。このように重金属は、日常のあらゆる所に存在し、私たちは常にその影響を受けながら生活をしています。特に日本人は、魚を摂取する機会が多いため、他国と比べると重金属の影響を受けやすい環境下にあると言われています。
重金属が溜まった時の症状
重金属が蓄積されることで、生命を脅かすような危険な状態になることはありません。しかし、頭痛やめまい、不安感などの心身の不調が起こることがあります。主に代表的な重金属による症状を種類毎にご紹介します。
水銀:頭痛、手足のしびれ、情緒不安定
鉛:貧血、高血圧、胎児や小児の脳発達遅延
カドミウム:高血圧、脱毛、骨粗鬆症
ヒ素:腎不全、皮膚障害
重金属の蓄積による症状の出現は、個人の身体状態によっても異なります。低量の蓄積であっても体質や生活習慣によって重金属の影響を強く受けやすい人もいればそうでない人もいます。とくに妊娠中の女性は、母体を介して胎児にも影響が出ることがあるので注意しましょう。
重金属を溜め込んでしまう原因
重金属は、さまざまな経緯で私達の体内に入り込みます。上の図のように、工場からの排水などで海に毒素が流れ、魚への影響や沈殿物となり、巡り巡って私達の食事や生活に悪影響を及ぼすのです。
食事
水銀の体内蓄積は、約9割が魚を摂取することで起こると言われています。魚の食べ過ぎは水銀による健康被害のリスクがあることは周知されている方もいると思いますが、なぜ水銀が魚に存在しているのかご存知でしょうか。要因として生命の基本的欲求でもある食事(食物連鎖)と環境汚染が大きく関係しています。
日本人が摂取する機会の多い魚類は、実は大きい魚であるほどメチル水銀の含有率が高くなっています。これは魚そのものの性質としてメチル水銀が含まれているわけではなく、海洋汚染による影響を強く受けています。
海に広がる汚染物質をプランクトンが食べ、プランクトンを小魚が食べることにより魚がメチル水銀を保有します。そして小魚を大きな魚が食べるという食物連鎖によって、メチル水銀は巡り廻って私達の体内に運ばれてくるのです。
つまり、人間が生活を維持するために行っている日常行為が環境汚染へと繋がり、結果的に汚染の影響を大いに受けているのも人間なのです。魚は栄養素が豊富な食材であるため、極端に摂取を控える必要はないですが、適度な頻度で食べること、毎日同じ種類の魚を食べないことを意識するようにしましょう。
銀歯
1870年代以降、歯科治療で頻用されていた銀歯にはアマルガムという重金属物質が含まれていました。この物質は、主に虫治療の際に詰め物として使用されていたものです。
アマルガムの銀歯は約50%が水銀で作成されており、長期的に体内に残存することで口の中で少しずつ腐食し慢性の水銀中毒を発症することが指摘されるようになりました。このような健康被害があることから、近年では銀歯の使用に関する条件が見直され、2016年以降は保険適用外の治療法として取り扱われるようになっています。
最近では治療で銀歯を使用することは少なくなりましたが、幼少期に治療を受けて口腔内に銀歯がある人は多くいます。詰め替えも可能なので、気になる方は歯科に相談してみてはいかがでしょうか。
重金属をデトックスする方法
体内に蓄積された重金属をデトックスするために効果的な、栄養素や食品についてご紹介します。
ビタミンCを摂る
ビタミンCに含まれるクエン酸は、有害な重金属を吸着し排出を促すキレートという作用を持っています。つまりビタミンCを積極的に摂取することで、高いデトックス効果を得ることができます。
主にフルーツに多く、キウイや苺は高い濃度のビタミンCを含有しているためおすすめです。サプリメントとしても人気が高く、ビタミンCの品質もそれぞれ異なります。できるだけ純度が高いものを選ぶようにしましょう。
クロレラ・コリアンダーを摂る
重金属のデトックスを促す効果的な食材として、クロレラやコリアンダー(パクチー)を摂取することがおすすめです。この2つの食品の共通する特徴は、豊富な栄養素だけではなく重金属(水銀やスズ、鉛、ウラン)などの有害物質を吸着し体外へ排出させる作用を持っています。
クロレラは、主にサプリメントとして扱われていることが多く品質の差も大きいです。できるだけ国産品であること、生産者や製品管理ルートが明確になっているものを選択するようにしましょう。
コリアンダーはエスニック料理に使用されることが多く、スパイスとしても人気の高い食品です。カレーやお肉料理など調理する際に取り入れてみてはいかがでしょうか。
デトックスに必要な習慣
重金属をデトックスするためには、食品からアプローチするだけではなく日々の習慣も大切です。デトックスに必要な3つのおすすめの習慣についてご紹介します。
水をこまめに飲む
デトックス経路として大きな役割を持つ排尿。尿は体内の水分量が少ない状態になると、腎臓で老廃物の処理(ろ過)が十分に行われず排泄回数が少なくなります。つまり、老廃物や有害物質の除去が十分に行われない状態となります。
大人の体内水分量は約60%を占めているため、それよりも下回らないように注意しなければなりません。水分が重要だからといって、一度に大量の水分を摂取すると水中毒という症状を起こすことがあるので、適度な量を適切なタイミングでこまめに水分補給を行うことを意識して取り組みましょう。
適度に運動する
運動を習慣化することも、デトックスにおいて重要な役割を発揮します。運動といっても負荷の強い運動ではなく、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動がおすすめです。運動を続けることによって、基礎代謝が上がり汗もかきやすくなり、デトックス効果を得やすくなります。
また、循環血液量が上昇することによって血液の巡りもよくなるため、解毒作用の役割を担う腎臓や肝臓の働きの活性化にも繋がります。
食事の質を上げる
デトックスの要でもある排便を促進するためには、腸内環境の改善が欠かせません。インスタント食品や加工食品などを多く摂取していると腸内環境が悪化しやすくなり便秘の原因となることがあります。食事内容を見直し、できるだけ偏食にならないようバランスを考えて摂取するようにしましょう。
プロバイオティクスなどの乳酸菌や発酵食品を上手に取り入れながら、腸内環境の向上を目指し規則的な排便習慣を身につけていくことが大切です。
まとめ
重金属は環境汚染と密接な関係にあり、その多くの影響を私たちは受けています。体内に蓄積され続けることによって心身の不調をきたすことがあるので積極的にデトックスを行い排出させていくことが重要です。
そして環境保全は健康的な未来に繋がります。環境汚染の原因を作り出しているのも私たち人間であるということを理解し社会的な問題にもこれを機会に目を向けてみてはいかがでしょうか。