2023.06.30

食事・栄養

活性酸素についてわかりやすく解説|その悪影響や予防する3つの習慣

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植田 祐己

美容皮膚科医

皆さんは、活性酸素とは何のことかわかりますか?何となく、酸素に関わることなのかなと思われる方も多いと思います。

この記事では活性酸素についての基本や増える要因などを中心に、ご紹介していきたいと思います。

活性酸素って何?

まずは、活性酸素とは一体どのようなものなのかを解説いたしましょう。

活性酸素とは?

活性酸素とは、体内に取り込まれた酸素の一部が通常より活性化された状態になることを指します。

私たち哺乳類では、体内に取り込まれた酸素のうち数%が活性酸素に変化すると考えられています。活性酸素は不安定であり、他の物質と反応しやすい性質を持っているため、体内の代謝過程でさまざまな成分と反応し、過剰になると細胞に傷害をもたらします。

活性酸素は微量であれば人体に有用な働きをしますが、大量に生成されると正常の細胞にも障害を引きおこし、動脈硬化・がん・老化・免疫機能の低下などを引き起こします。

活性酸素の役割・はたらき

活性酸素は増えすぎると老化やがん、生活習慣病などのリスクになります。しかし、例えば白血球から生産される活性酸素(スーパーオキシド・過酸化水素など)は、普段は体内で免疫機能・感染防御などの重要な役割を担っています。

この他にも、細胞間のシグナル伝達・排卵・受精・細胞の分化・アポトーシスなどの生理活性物質としても利用されるなど、生命維持に不可欠な役割を多数担っているのです。

酸化ストレスとは?

このように、活性酸素は生命維持に必要なものである一方、増えすぎると正常な細胞にも障害を引き起こします。ですので私たちの体には、活性酸素から自身を守る抗酸化防御機構が備わっています。抗酸化防御機構は、活性酸素の産生を抑制したり、活性酸素によって生じたダメージの修復や再生を促す働きをしています。

具体的には、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどの抗酸化物質が備わっています。またこれ以外にも、食物から摂取することのできる抗酸化物質も存在します。

この抗酸化防御機構のバランスが崩れ、活性酸素の産生が過剰になった状態を「酸化ストレス」と言います。現代人は乱れた生活習慣や食生活、ストレスなどによって酸化ストレスの状態にあることが多いため、活性酸素を増やさないような生活習慣や食生活を身につけることが大切です。

 

活性酸素が増える要因と身体への影響

次に、活性酸素が増える要因・活性酸素が増えることでもたらされる身体への悪影響や病気について、解説していきたいと思います。

喫煙・飲酒

タバコの煙には活性酸素や、その産生を促す有害物質が数多く含まれています。また、肝臓がアルコールを分解するときにも、活性酸素が発生します。飲酒量の多い人、アルコールに弱い人は、飲む量を減らしたり、休肝日を作るようにしましょう。

激し過ぎる運動

激しい運動をすると、呼吸量が急激に増加します。すると、体内に取り込まれる酸素も急増するため、活性酸素が過剰に生成されてしまいます。呼吸が急激に苦しくなるような運動はしないよう心がけましょう。

一方、ウォーキングや水中歩行程度の軽めの運動は、抗酸化物質の働きを高めることで、酸化ストレスを防ぎます。

過度なストレス

ストレスを受けると一時的に血液の流れが悪くなり、悪くなった血流が元に戻るときに活性酸素が発生します。この過程を繰り返すことで、酸化が促進され、酸化ストレスの状態に陥ります。

太陽の紫外線・大気汚染

紫外線に当たると皮膚細胞で活性酸素が生成され、シミ・シワなどの皮膚トラブル・老化・皮膚ガンなどの要因になります。

紫外線対策としてはSPF値の高い日焼け止めを使い、汗をかいたら適宜塗り直しをするよう心がけましょう。また日傘や帽子を使ったり、家にいるときも遮光性の高いカーテンを使うなどの工夫をしましょう。

 

活性酸素の増加を予防する3つの習慣

ここからは、活性酸素を増やさないために効果的な予防方法や習慣について解説していきたいと思います。

抗酸化作用のある食品を摂る

抗酸化作用のある食物を摂ることで、体内の活性酸素を抑制することができます。私たちの体には、もともと抗酸化物質で活性酸素を減らす機能が備わっていますが、年齢を重ねると体内で合成できる抗酸化物質の量が減っていきます。抗酸化作用のある物質を摂ることで、体内の抗酸化物質だけでは抑えきれない活性酸素を抑制することができるのです。

抗酸化物質には、体内で合成される抗酸化物質のほかに「ポリフェノール」と「カロテノイド」があります。近年注目されているポリフェノールには、ブルーベリーなどに含まれるアントシアニン、大豆に含まれるイソフラボンサポニン、ゴマの成分が変化してできるセサミノール、そばに含まれるルチン、緑茶のカテキンと発酵茶(紅茶・ウーロン茶など)のテアフラビンの総称であるタンニンなどがあります。

カロテノイドは、緑黄色野菜や果物など多くの食品に含まれるβ-カロテンリコピン、えびやかになど甲殻類や、さけ・ますなど魚類がもつアスタキサンチンなどが知られています。

また、ビタミンA・C・Eは抗酸化ビタミンと言われ、活性酸素による障害を阻止し、体内の抗酸化物質の働きをサポートします。

適度な運動を心がける

過剰な運動は活性酸素を過剰に発生させてしまいますが、適度な運動は活性酸素を抑制するため有効です。これは、運動することにより発生した活性酸素に対し、抗酸化防御機構の働きが活性化され、活性酸素への抵抗性が高まるためです。

適度な運動は個人により大幅に違うため、少しきついと感じる程度の運動から始め、少しずつ負荷を増やしていくようにしてください。ぜひ自分の生活や体力に合ったウォーキングやヨガなどを継続的に行うことを心掛け、日々の生活習慣の一つとして取り入れてくださいね。

ストレスケア・セルフケア

先ほど述べたようにストレスを受け続けると、血流が悪くなり、酸化が促進され、酸化ストレスの状態に陥ります。出来る範囲で構いませんので、普段からご自身のストレスケアを見つけ、実践していきましょう。

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まとめ

活性酸素は、私たちの身体にとって大切なものであるとともに、過剰に産生させると悪い影響を与え「酸化ストレス」を引き起こす物質です。ぜひ、日常生活において活性酸素を過剰に産出させない習慣を身に付けてるように心がけてくださいね。

この記事の監修者

植田 祐己 美容皮膚科医

 
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