2024.03.25

デトックス

デトックス効果の高い食べ物|便秘改善や腸活との関係性

            EARNS
           

野尻 綾乃

整形外科専門医

「デトックス」と聞くと、どんなことをイメージしますか?「体内の老廃物を外に出すこと」とイメージする方が多いのではないでしょうか。効果的にデトックスを促すことができると、体だけではなく心にも嬉しい作用が期待できます。

今回は、デトックスの中でも食べ物を中心に詳しい内容をお届けします。腸活との関係性についても触れますので、ぜひ最後までチェックしてください。

デトックスについて

まずはデトックスの基本知識や、その必要性などについて解説していきます。

デトックスとは

「デトックス(Detox)」とは、英語のdetoxificationの略語で「de(否定)」+「toxicus(毒の)」に由来し生まれた言葉です。主に「解毒」を意味し、体の中に蓄積した不要な老廃物を排出することを言います。

近年では、デトックスがひとつの健康法として認識されており、取り扱う場所により、「デトックス」や「クレンジング」などと呼ばれています。しかし、このデトックスは医学的には意味がないと考えられています。

デトックスの必要性

私達の体は、吸収・代謝・排泄などの機能を持ち合わせています。体に入った飲食物は消化器を通して分解・吸収され、多くの薬や有毒物質は肝臓で代謝され分解・解毒されます。

そして、体にとって不必要なものは、便・尿、汗、毛髪など色々な排泄経路を通して体外に排出されます。その割合は、便:75%、尿:20%、汗:3%、毛髪・爪:2%と言われています。この、不必要なものを排出するということが、私達の健康を維持するためにはとても大切です。

もちろん、色々な排泄経路が元気に活動し、スムーズに排出することができていれば問題ありません。しかし、排出する能力は体質や年齢、生活習慣などで変化します。そのため、普段の生活や食事などにより働きをサポートすることが大切です。

「デトックス」が医学的に意味がないと言われてはいますが、健康の保持増進を行い体の機能を助ける生活をすることは大切なことです。

体に毒素が溜まるとどうなる?

デトックスにおける「毒素」と言われているものには、以下のようなものがあります。

【老廃物】
飲食物の栄養素が体内で吸収されたあとに残るもの。
例:尿素、尿酸、アンモニア、クレアチニン など

【有害ミネラル】
有害金属とも呼ばれる有害なミネラルの総称。
例:アルミニウム、ヒ素、カドミウム、水銀、鉛 など

【有害化学物質】
環境を経由して人または動植物に有害な作用を及ぼす化学物質。
例:大気汚染防止法、水質汚濁防止法、化学物質審査規制法、ダイオキシン類対策特別措置法などで指定されたもの

これらの毒素が体内に停滞すると、便秘、下痢、むくみ、冷え性、肌トラブル、肩凝り、倦怠感、疲労感、頭痛、食欲不振、不眠などさまざまな症状が出てくる可能性があります。

 

デトックスと食べ物の関係

普段の生活の中で、デトックスを促すためには食べ物や飲み物など体内に入れるものを意識することが大切です。デトックスのためには、排泄経路のうち多くを占める便が作られる腸が活発に動くことをサポートするものを選ぶことが効果的です。

デトックスを促す食べ物

デトックスを促すためには、腸内環境を整えることを意識すると良いでしょう。腸内環境を整えるためには腸内細菌のバランスが鍵となります。腸内細菌には以下の3種類のものがあり、善玉菌:2、悪玉菌:1、日和見菌:7というバランスが理想的です。

善玉菌:体にとって良い働きをしてくれる菌
悪玉菌:腸内を腐敗させたり、有毒物質を作る菌
日和見菌:優勢な菌の味方になる菌

このバランスを整えるためには、腸内環境が乱れる食品を控え、善玉菌を体に取り入れつつ菌のエサになるものを摂ることが大切です。

【菌を取り入れる】
菌を取り入れるためには発酵食品がおすすめ。一度取り入れても、長く定着することはないため、毎日少しずつ取り入れることが大切です。

発酵食品:味噌、醤油、納豆、漬物、キムチ、ヨーグルト、チーズ など

【菌のエサとなる】
菌のエサとなるのは、水溶性食物繊維とオリゴ糖です。

水溶性食物繊維:キノコ類、海藻類、大豆製品、穀類、オクラ、キャベツ、大根、キウイフルーツ など
オリゴ糖:玉ねぎ、さとうきび、キャベツ、ごぼう、アスパラガス、バナナ、りんご、はちみつ など

食べ方のコツ・注意点

・まずは、インスタント食品・加工食品・精製食品を控えることから始める
・菌は長く定着することはないため、発酵食品と、菌のエサとなるオリゴ糖と水溶性食物繊維を毎日少しずつ取り入れる
・しっかり咀嚼することで腸の蠕動運動が促されるため、意識して咀嚼する
・人によっては発酵食品が合わない方もいるため、持病や不調を抱えている場合はかかりつけ医に相談する

 

デトックスと腸活

近年、腸内環境を整える「腸活」が、心身共に良い効果があることが注目されています。上記にもありますが、体にとって不必要になったものの多くは「便」として体外に排出されます。そのため、デトックスのためには腸が元気であることが大切です。

デトックスと便秘の関係

排泄物のうちの75%が便として排出されるとなると、お通じが良い状態の重要性を感じていただけると思います。便秘にははっきりとした定義がありませんが、便秘の症状がある方は腸内環境の見直しをしてみましょう。自分が便秘かどうかは、以下のチェックリストを参考にしてみて下さい。

□強くいきむ必要がある
□便の形状が兎糞状または硬便
□残便感を感じる
□直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある
□用手的な排便介助が必要
□自然な排便回数が週3回未満

これら2項目以上にチェックがつけば、「便秘症」という診断になる可能性があります。さらに、6ヶ月前から症状があり、最近3ヶ月便秘症の症状がある場合は「慢性便秘症」になります。

 

自分でできるデトックスの方法

最後は、自分でできる食事以外のデトックスの方法をご紹介します。

こまめな水分摂取

排泄物の多くは便と尿です。そして、排便にも排尿にも大きく関わるのが水分の摂取です。

私達は、普通に生活しているだけで不感蒸泄というかたちで皮膚や呼気から約900mlもの水分を喪失しています。意識して水分を摂らなければ、あっという間に脱水状態になってしまいます。そして、脱水になると便や尿の量や回数も減ってしまいます。

寝る前、起床時、スポーツ中及びその前後、入浴の前後、そしてのどが渇く前に水分補給を心がけるようにしましょう。

運動やサウナで発汗

汗からの排出は3%と少ないですが、セルフケアとしての排泄を促す行為のひとつです。また、運動やサウナで体が温まり体の循環がよくなることにより、内臓の機能にも良い影響があることが考えられます。

しかし、運動やサウナ後の体温の低下や脱水には注意が必要です。前後にしっかりと水分補給し、体温の低下を防ぐために水分の温度や環境には注意をしましょう。

デトックス効果の高い飲み物とは?|デトックス効果を高める飲み方

 

まとめ

世の中には、「デトックス」や「クレンジング」を謳ったたくさんの商品があるのも事実です。しかし、実際には医学的根拠はなく、商業的なものもあり、間違った方法で取り入れることで逆に健康に弊害をきたすことも考えられます。まずは、体にとって不要なものを自分で排泄できる体づくりを目指したいですね。

 

この記事の監修者

野尻 綾乃 整形外科専門医

 
EARNS