2023.06.12

腸活

腸内フローラを正しく理解しよう|健康を維持するための理想バランス

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植田 祐己

美容皮膚科医

皆さんは、腸内フローラという言葉からどのようなことを思い浮かべますか?

腸内フローラを改善すると、整腸作用だけでなく全身の免疫や脳の機能を改善するなど、さまざまな効果があることが近年分かって来ました。

この記事では、そんな腸内フローラの基本・はたらきなどを中心に「なぜ腸内フローラを整えた方が私たちの健康に良いのか?」についてご紹介していきたいと思います。

腸内フローラって何?

まずは、腸内フローラの基本と理想のバランスなどについて解説していきたいと思います。

腸内フローラとは

腸内フローラとは、ヒトの大腸や腸管に生息している腸内細菌の集まりのことで、約1000種類100兆個も存在しています。私たちの身体の健康を維持するうえで大切な役割を担っており、腸内にビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を増やすことで、腸内フローラも活性化します。

ヒトの腸内には体に良い影響を及ぼす善玉菌、悪い影響を及ぼす悪玉菌、そのどちらでもない日和見菌の3つのグループが存在します。善玉菌を増やすためには善玉菌を直接接種したり、オリゴ糖や食物繊維を摂取し、善玉菌のエサを増やすことで善玉菌の割合を増やせます。

腸内フローラのバランス

善玉菌・悪玉菌・日和見菌を合わせて腸内フローラ(腸内細菌叢)と呼び、腸内フローラのバランスは「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」が理想的とされています。

このバランスが崩れて悪玉菌が優勢になると免疫機能の低下を来たし、さまざまな病気のリスクとなってしまいます。日和見菌は善玉菌、悪玉菌の優勢な方に味方するので、常に善玉菌を悪玉菌よりも優位な状態に保つことが重要です。

主な腸内細菌の種類とはたらき

では、主な腸内細菌の種類と各はたらきについて表にまとめてご紹介しましょう。

名称 働き
善玉菌 腸内で乳酸・酢酸を作り腸内環境を酸性にすることで、悪玉菌の増殖を抑制し腸の働きを活発化させ、食中毒菌・病原菌による感染の予防・発がん性物質をもつ腐敗産物の産出を抑制する働きがあります。
また腸内でビタミン(B1・B2・B6・B12/K・ニコチン酸・葉酸を作り出す働きもあります。「乳酸菌」「ビフィズス菌」などが代表的な菌で、善玉菌を直接摂取したり、善玉菌のエサとなる食物繊維添オリゴ糖を摂取することで増やすことができます。
悪玉菌 悪玉菌には「大腸菌」、「ブドウ球菌」、「大腸菌の有毒株」などがあります。増えすぎないうちは問題ありませんが、腸内フローラが崩れて増えすぎると、腸内腐敗、細菌毒素の産生、発がん物質の産生、ガス発生などを引き起こし、様々な病気や老化の引き金になると言われています。
日和見菌 腸内に最も多く存在している菌で、善玉菌・悪玉菌のどちらにも属さず、常にどちらに加勢しようか見極めている菌です。
「バクテロイデス」「ユウバクテリウム」「クロストリジウム」などの菌が代表的なもので、腸内に悪玉菌が増えると悪玉菌に加勢し、善玉菌が増えると善玉菌に加勢します。

腸内フローラを整えた方が良い理由

腸内環境が悪くなると、便秘、肌荒れ、花粉症やアトピーなどのアレルギー、生活習慣病、リウマチなどの自己免疫疾患、心が不安定になる、などの悪影響が現れることがあります

なぜ、腸内環境が悪くなるとこれらのリスクが上がるかというと、腸内には多くの免役細胞が集中しているからです。全身の免疫細胞の7割もが、腸に集中していると言われています。

腸内フローラを整えることで、これらの免疫細胞が活性化され、免疫力向上・アレルギー症状の緩和に繋がるとされています。

 

腸内フローラを整えるには? 

腸内フローラを改善する方法としては、善玉菌のエサとなる食物繊維・オリゴ糖などを多く摂取する方法と、生きた善玉菌を直接摂取する方法があります。

善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖は、野菜、果物、豆類などに多く含まれています。これらは消化・吸収されることなくそのまま腸内へ到達するため、そこに住み着く善玉菌の栄養になることができるのです。

オリゴ糖は、大豆・たまねぎ・ごぼう・にんにく・アスパラ・バナナ・ハチミツなどにも多く含まれているので、これらの食品を積極的に取り入れましょう。

善玉菌そのものは、味噌、納豆、漬物、ヨーグルト、乳酸菌飲料などに含まれています。多くの善玉菌は腸に届くまでに死んでしまいますが、死んでしまっても元々いる善玉菌に有利な作用をもたらすとされています。また腸内に到達した善玉菌も、ある程度は存在しても、住み着くことはないとされていますので、毎日継続的に摂取して腸内へ補充することが大切です。

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まとめ

腸内フローラには「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」という3種類のタイプがあり、このバランスが崩れると腸内環境が悪化し、様々な悪影響が私たちの体内で生じます。

健康な身体を維持するためには、腸内フローラを整えられる生活習慣を常に心がけた日々の食生活が大変重要なポイントです。ぜひこれらのポイントを押さえ、腸内フローラを整える環境づくりを心掛けてくださいね。

 

この記事の監修者

植田 祐己 美容皮膚科医

 
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