2023.06.23

食事・栄養

オリゴ糖食品の種類や使い方を紹介|危険性やデメリットはあるの?

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玉井 基弘

歯科医師/ヘルスコーチ

皆さんは「オリゴ糖」と聞いて、どんな印象を受けますか?「胃に優しい」というイメージを持っておられる方も多いと思いますが、そのメリットや使い方については知らないことも多いでしょう。

この記事では、オリゴ糖食品の正しい使い方や健康促進に役立つと言われる理由についてご紹介していきます。

オリゴ糖について

まずは、オリゴ糖の基本から解説していきたいと思います。オリゴ糖には、一体どのようなタイプが存在するのかという点から、理解を深めていってくださいね。

オリゴ糖とは?

オリゴ糖は、消化酵素により分解されて身体のエネルギー源になる「消化性」のオリゴ糖と、消化されずに大腸まで届く「難消化性」のオリゴ糖の二種類があります。

砂糖を原料として酵素を作用させて作る「フラクトオリゴ糖」、大豆から天然成分を抽出・分離し作られた「大豆オリゴ糖」、乳糖にβ-ガラクトシダーゼを作用させた「ガラクトオリゴ糖」などが良く知られており、シロップや粉末タイプで流通しています。

また、ビフィズス菌などの「善玉菌」と呼ばれる腸内細菌の栄養源となり、それらを増やす効果があるため特定保健食品として認められています。

オリゴ糖の種類

では、オリゴ糖にはどのような種類があるのでしょう?現在、オリゴ糖の種類は約20種類ほどあり、それぞれ特徴・性質共に異なります。

それでは、オリゴ糖の種類と機能性・特徴について以下の表にまとめますので、ぜひ参考にして自分に合うオリゴ糖選びの一助にしてみてください。

名称 機能性・特徴
フラクトオリゴ糖 オリゴ糖の中でも一番「砂糖」に近いタイプのオリゴ糖で、くせのないまろやかな甘さが特徴的な甘味料です。整腸作用・ミネラルの吸収促進・虫歯になりにくい・腸内免疫力アップ・難消化性で低カロリー・血糖値上昇を防ぐ・便臭の改善・脂質代謝の改善の機能性があります。消化酵素では分解しにくいため、低カロリーの甘味料であるほか、腸内環境を正常に整え、虫歯になりづらい特徴があります。特に、ゴボウ・アスパラガス・にんにくに多く含まれています。
大豆オリゴ糖 大豆に含まれるオリゴ糖で、腸内で善玉菌のエサとなり、より善玉菌を増やす働きがあります。整腸作用・中性脂肪・血糖値上昇を防ぎ、虫歯の原因にもなりにくいという特徴もあります。砂糖の70%ほどの甘みを持ち、カロリーは50%ほどで熱・酸に強く、他のオリゴ糖に比べると少量でも腸内の善玉菌の増殖を促進させる効果があります。
ラフィノース ビート(てん菜)から作られるオリゴ糖で、オリゴ糖の仲間の内でもより早くビフィズス菌のエサになると言われています。ラフィノースは胃・小腸で消化吸収されることがないため、そのまま大腸に到達できるためビフィズス菌の増殖を促進するとともに、ウェルシュ菌などの悪玉菌の増殖を抑制し、アンモニアなどの悪臭有害成分の腸内での発生を低下させる働きをします。またほのかな甘みがあり、難消化性のため低カロリーです。トウモロコシ・キャベツ・じゃがいも・葡萄・麦類・大豆などのマメ科の種子にも含まれるオリゴ糖です。
ガラクトオリゴ糖 ガラクトースを主な成分としているオリゴ糖の総称で、腸内環境を正常に整える効果を持ち、タンパク質・ミネラル分の消化・吸収を補い促進させる効果があります母乳中に含まれる「4’-ガラクトシルラクトース」が主成分である乳糖を原料として生成されるガラクトース・グルコースからなるオリゴ糖で、小腸で消化されにくいため大腸までそのまま届きます。ガラクトオリゴ糖は特定保健用食品(トクホ)の関与成分として消費者庁に認められており、機能性表示食品にも活用されています。
イソマルトオリゴ糖 ブドウ糖を主成分として構成するオリゴ糖の一種で、腸内環境を正常に整える効果を持ち、免役力向上にも有効に作用します。酸・熱に強く、防腐作用もあるため保存食にも適しています。また、腸内有用菌のビフィズス菌を増殖させる効果があり、毎日摂取することでお腹の健康を常に保てます。イソマルトオリゴ糖は、清酒・みりん・味噌・醤油などの発酵食品やハチミツなどに含まれています。
キシロオリゴ糖 トウモロコシの芯の部分(コーンコブ)に含まれる食物繊維の一種の「キシラン」を酵素で分解して作られたオリゴ糖で、ビフィズス菌の増殖活性効果のある「キシロビオース」「キシロトリオース」が主成分で、腸内環境を整えてくれます。また、熱・酸に強く製造過程や製品中での安定性に優れており、少量で整腸作用を発揮できる健康食品原料です。
乳糖果糖オリゴ糖 砂糖の成分の「ショ糖」・牛乳に含まれる「乳糖」を原料にしたオリゴ糖で、一般的に乳果オリゴ糖と呼ばれ、別名を「ラクトスクロース」と言います。砂糖よりカロリーが低いですが、砂糖に近い味質のため、砂糖の代替として良く使われます。難消化性のため胃・小腸で吸収されにくく、大腸まで届きビフィズス菌のエサになり、大腸の活性化を行い便秘・下痢の改善に貢献します。
キチンオリゴ糖 エビ・カニの殻から精製した「キチン」を原料とし、加水分解法により製造されたオリゴ糖です。ショ糖の1/3程度の甘味を持ち、ビフィズス菌・乳酸菌などの善玉菌の増殖促進の効果とともに、悪玉菌の抑制効果もあります。またリンパ球を活性化させ、免疫細胞を活性化させ、免疫関連因子の調整を行う作用もあります。
ラクチュロース 牛乳に含まれる乳糖を原料として作られるオリゴ糖の一種で、またの名を「ミルクオリゴ糖」と呼ばれています。ラクチュロースは白い粉末で水によく溶け、爽やかな甘味を持っているのが特徴です。また、ラクチュロースは便秘解消を促す食品として利用されたり、肝臓病の治療薬としても用いられてきました。さらにラクチュロースは、オリゴ糖の中でも特に人の胃酸に強く、消化酵素で分解されない糖類のため、胃・小腸で吸収されず大腸までしっかり届き、ビフィズス菌のエサとなり増殖率をアップさせる効果があります。これらの働きからラクチュロースの多くはヨーグルト・飲料に入れられ、整腸作用のある健康食品として親しまれています。

オリゴ糖を含む食品一覧

それでは、オリゴ糖を含む自然界の食品とオリゴ糖含有量を一覧で見ていきましょう。

食品名 オリゴ糖含有量
ハチミツ ナノハナ:6.2g / 100g ビーチウッド:4.8g / 100g サクラ:3.2g / 100g レンゲ:1.5g / 100g
大豆 蒸大豆:1.42g / 100g 納豆:2.0g / 100g
玉ねぎ 1個あたり7g
ネギ 1本あたり0.2g
ゴボウ 1本あたり7.2g
ニンニク 1欠片あたり0.1g
アスパラガス 1本あたり0.3g
ブロッコリー 0.8g / 100g(1株3.1g)
カリフラワー 1個あたり9.2g
アボカド 0.9g / 100g(1個あたり1.4g)
バナナ 1本あたり0.3g
きなこ 7.0g / 100g

 

ハチミツに含まれるオリゴ糖は、「ツラノース」「イソマルトース」「ニゲロース」「パノース」「ラフィノース」「マルトオリゴ糖」など25種類以上存在することが知られており、それぞれの蜜源によりオリゴ糖含有量が異なります。

 

オリゴ糖を使うメリット

ここからは、オリゴ糖を食品として使うメリットについて、項目別に解説していきたいと思います。

血糖値が上がりにくい

オリゴ糖は低消化性のため、唾液・膵液などの消化酵素で分解されにくく糖質として利用されないため血糖値も上がりにくいことが知られています。

そのため、インスリンの分泌への影響もないため、糖尿病にも影響を及ぼしません。最近の研究では、オリゴ糖を摂取することで腸内環境が整うとインスリンの分泌を促進させたり、食欲を抑制したりするホルモンが分泌されることが分かってきました。反対に、腸内環境が悪化するとインスリンの効果が薄れるという研究結果も発表されました。

つまり、オリゴ糖を摂取し腸内環境を整えることで、インスリンの分泌や効果を促すとともに食欲を抑制する効果が期待できるということです。

お腹にやさしい

オリゴ糖は自然界に存在する糖質の一種で、さまざまな野菜・果物に含まれている成分です。難消化性のため胃・小腸で吸収されにくく、そのまま大腸まで届いて善玉菌であるビフィズス菌などのエサになるため、善玉菌の増殖を活性化させるとともに、悪玉菌の働きを抑制する効果が認められています。

このことにより、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスを改善でき、結果として私たちの健康に好影響を与えてくれます。

手軽に使える

オリゴ糖はシロップや粉末として、スーパーや薬局でも手軽に使えるようにして販売されています。また料理だけではなく、飲み物やデザートに簡単にプラスして使えるため、砂糖の代替品としてとても便利に使えます。

さらに、オリゴ糖含有率の高い粉末タイプ特定保健用食品(トクホ)マークがついたものを選ぶと安心です。トクホマークがついているものは、有効性・安全性について国の審査を受け、消費者庁長官の許可を得ることでマークがつけられています。そのため、絶対的に効果が出るというわけではありませんが、品質が保証されているという点において安心して摂取できます。

 

オリゴ糖のQ&A

では、オリゴ糖に対するさまざまな疑問をご紹介し、解決していきましょう。ぜひ、オリゴ糖を取り入れる際の参考にしてくださいね。

オリゴ糖って危険なの?

「オリゴ糖を摂取するのは危険、健康に良くない」ということを耳にしたことのある方もおられると思いますが、摂取量を守れば決して危険なものではありません。

ですが、オリゴ糖を大量に摂取してしまった場合、お腹の調子が悪化し下痢・腹痛を引き起こしてしまうことがあります。これは、腸内の善玉菌が急激に増加するためで、摂取量を守ればこのようなことにはなりません。

初めてオリゴ糖を使う方は、必ず少量から身体を慣らしていくように心掛けてくださいね。ちなみに、オリゴ糖の1日の摂取量目安は、8~20g(ティースプーン2~5杯)です。

どう選べばいいの?

オリゴ糖は、自然由来成分を基に抽出された甘味料で「天然甘味料」と呼ばれています。ですが、中には、アスパルテーム、スクラロース、アセチルファムカリウムなどの「人工甘味料」入りのオリゴ糖も存在しているので注意が必要です。

特にアスパルテームは脳の炎症を引き起こし、糖尿病のリスクを上げるなどの害があると言われています。他にも、人工甘味料は中毒性が高い・肥満になりやすいなどの悪影響があるとされているので、オリゴ糖を選ぶ際は、必ず原材料表記をチェックするようにしましょう。

加熱できるの?

オリゴ糖は熱に強いため、加熱しても特に問題はありません。そのため、料理・暖かい飲み物に直接オリゴ糖を入れても効果がなくなることはありません。

ただし、長時間オリゴ糖を加熱した場合、オリゴ糖が分解されてしまうことがあるため、長時間の加熱は禁物です。煮込み料理などの場合は、なるべく出来上がりの直前にオリゴ糖を入れると良いでしょう。

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まとめ

オリゴ糖は自然由来の糖を基に作られた「天然成分」で、消化しにくい成分のため胃・小腸で吸収されず、大腸まで直接届いてくれます。そして、大腸を棲み処にしているビフィズス菌などのエサとなり、腸内環境を整える手助けをしてくれます。

ぜひ、オリゴ糖を食生活で上手に活用し、健康生活を送ってくださいね。

 

この記事の監修者

玉井 基弘 歯科医師/ヘルスコーチ

 
モアシー EARNS