2024.01.25

食事・栄養

マグネシウムが多い食べ物ランキング|1日の摂取量や効果

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植田 祐己

美容皮膚科医

マグネシウムは、私達の体に必要なミネラルのひとつだということをご存知ですか?

マグネシウムは体内で合成できないため、食品から摂取する必要があります。ですが、現代人の多くはストレス加工食品の摂取により、マグネシウム不足に陥っていると言われています。また、近年の研究により、マグネシウム不足によりさまざまな疾患のリスクが上がることが分かってきています。

今回は、マグネシウムの働きやマグネシウムが多く含まれる食品についてご紹介していきます。

マグネシウムが多い食品ランキング

マグネシウムが多く含まれる食品を、分類別にランキング順でご紹介していきます。栄養価は「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」から引用しています。

穀類

食品名 マグネシウム含有量(mg)
キヌア 180
そば(乾麺) 100
きび 84
全粒粉パン 51
玄米ごはん 49

※可食部100gあたり

未精製の穀物には、マグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれていますが、食物繊維も非常に豊富なため、消化器官に負担がかかるのがデメリットです。白米などの精製された穀物よりも、よく噛んで食べるようにしましょう。

豆類

食品名 マグネシウム含有量(mg)
きなこ 260
糸引き納豆 100
がんもどき 98
木綿豆腐 57

※可食部100gあたり

日本伝統の大豆食品には、マグネシウムが豊富に含まれています。ヨーグルトやココアなどの飲み物に、きなこをプラスすると手軽にマグネシウムを摂取できるでしょう。

豆腐は、製造過程で、にがり(塩化マグネシウム)が添加されているため、マグネシウムが多く含まれています。

種子類

食品名 マグネシウム含有量(mg)
ごま 370
アーモンド 290
くるみ 150

※可食部100gあたり

ごまは料理の仕上げ、アーモンドやくるみはおやつとして食べると良いでしょう。

海藻類

食品名 マグネシウム含有量(mg)
あおさ(乾燥) 3,200
ひじき(乾燥) 640
カットわかめ(乾燥) 460
焼きのり 300
※乾物100gあたり

昔からある日本特有の乾物にも、マグネシウムは豊富に含まれます。お味噌汁や煮物に入れて、積極的に食べると良いでしょう。

野菜・果物類

食品名 マグネシウム含有量(mg)
切り干し大根 160
ほうれん草(生) 69
枝豆(生) 62
ごぼう(生) 54
アボガド 34
バナナ 32

※可食部100gあたり

野菜・果物類は、穀類や海藻に比べるとたくさんのマグネシウムは含まれていません。ですが、野菜も果物はビタミンやミネラルが豊富に含まれています。毎日の食事に野菜や果物を食べることで、体に必要な栄養素をまんべんなく摂取できるのです。

きのこ類

食品名 マグネシウム含有量(mg)
乾燥キクラゲ 210
干ししいたけ 100
しいたけ(原木栽培) 16
えのきたけ 15

※可食部100gあたり

きのこはそのままだと、そこまで多くのマグネシウムは含まれていません。しかし、乾燥させることにより、重量あたりのマグネシウム含有量が大幅に増加します。自宅で乾燥させるのが難しい方は、スーパーでも乾燥しいたけなどが販売されているので、煮物や汁物に取り入れると良いでしょう。

いも類

食品名 マグネシウム含有量(mg)
さつまいも(皮付き) 24
じゃがいも(皮付き) 19
里芋 19
長芋 17

※生の食品の可食部100gあたり

いも類に含まれているマグネシウムの量は、実はそこまで多くはありません。

 

マグネシウムの基本 

まずは、「マグネシウム」がどのようなものなのか知っていきましょう。

マグネシウムとは?

マグネシウムは、人の体に必要なミネラルの一種。300種類以上の酵素を活性化する働きを持ち、筋肉の収縮神経情報の伝達体温や血圧の調整にも関係しています。

成人では、体内に約20〜30g含まれています。そのうちの50〜60%はリン酸マグネシウムや炭酸水素マグネシウムとして骨や歯に含まれています。そして、残りは筋肉や脳・神経に含まれます。また、マグネシウム は骨に貯蔵され、欠乏すると骨から溶け出して利用されます。

マグネシウムの主なはたらき

マグネシウムには多種多様な働きがありますが、どのような働きがあるか、具体的に例をあげて解説していきます。

骨や歯を作るはたらき

マグネシウムは、リン酸マグネシウムや炭酸水素マグネシウムとして骨や歯に含まれています。また、カルシウムと共に骨や歯の発育や強化に重要な役割を担っています。

マグネシウムは体内でカルシウムと深い関わりがあり、骨や歯にカルシウムが行き届くように調整するなど、さまざまな働きをしています。そのため、カルシウム摂取量が増えると、マグネシウムの必要量も増えます。丈夫な歯や骨のためには、この2つのバランスが摂れていることが大切です。

循環器疾患を予防するはたらき

高血圧患者の体内のマグネシウム含量は、正常血圧の人に比べて低いことが分かっています。

血圧には、マグネシウム以外に、ナトリウム、カルシウム、カリウムなどの成分が関係しています。ナトリウムの過剰摂取やマグネシウム不足は血圧上昇につながり、カリウム摂取やカルシウム拮抗薬は血圧下降に作用します。

中でも、マグネシウムは、血圧の上昇に関係するナトリウムやカルシウムの量の調整をし、血圧上昇を防ぎ血液の循環を保ち、血管の攣縮を防ぐ働きをしています。

精神を安定させるはたらき

マグネシウムは、脳内の神経伝達に関わっており、マグネシウム不足がうつ病気分子障害などに関与している可能性が示唆されています。

マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛などのミネラルを多く摂取している人は、そうでない人と比べて抑うつ症状が少ないという研究報告もあります。

不足するとどうなるの?

慢性的にマグネシウムが欠乏すると、虚血性心疾患などの心臓血管の障害のリスクになります。また近年は、糖尿病、メタボリックシンドローム、高血圧などの生活習慣病や、骨粗鬆症、アトピー性皮膚炎、片頭痛、うつ病などさまざまな疾患のリスクを高める可能性が示唆されています。

さらにマグネシウムの欠乏が病的に進行すると、マグネシウムの貯蔵庫である骨の形成に影響が出るほか、神経・精神障害や循環器障害などが生じることがあります。神経症状としては、神経過敏症や振戦など。精神症状としては、抑うつ、妄想、不安感、興奮、錯乱など。循環器障害としては、不整脈などの症状が出る可能性があります。

そのため、日頃からマグネシウムが不足しないように心がけることが必要です。

摂り過ぎるとどうなるの?

健康であれば、摂り過ぎによる健康上のリスクはあまりありません。余分なマグネシウム は、腎臓で尿と一緒に排出されるからです。また、通常の食事ではマグネシウムを摂り過ぎることはほとんどありません。

しかし、サプリメントや薬でマグネシウムを摂り過ぎてしまうと、下痢を起こすことがあります。さらに、高用量のマグネシウムを含む緩下剤や制酸剤(5000mg超えを補充)はマグネシウム中毒を引き起こす可能性があります。

サプリメントや薬を使用する際は、用法容量を守りましょう。

1日の推奨摂取量

マグネシウムの食事摂取基準は、以下のようになっています。

性別 男性 女性
年齢等 推定平均
必要量(mg)
推奨量(mg) 目安量(mg) 推定平均
必要量(mg)
推奨量(mg) 目安量(mg)
0〜5(月)     20     20
6〜11(月)     60     60
1〜2(歳) 60 70   60 70  
3〜5(歳) 80 100   80 100  
6〜7(歳) 110 130   110 130  
8〜9(歳) 140 170   140 160  
10〜11(歳) 180 210   180 220  
12〜14(歳) 250 290   240 290  
15〜17(歳) 300 360   260 310  
18〜29(歳) 280 340   230 270  
30〜49(歳) 310 370   240 290  
50〜64(歳) 310 370   240 290  
65〜74(歳) 290 350   230 280  
75〜(歳) 270 320   220 260  
妊婦(付加量)       +30 +40  
授乳婦(付加量)       +0 +0  

 

 

まとめ

あまり馴染みのない「マグネシウム」ですが、私達の体の中で重要な役割を担っていることが分かりましたね。日々の食事でマグネシウムを意識したいところです。マグネシウムは藻類や穀類に多く含まれているので、海藻類を少しずつ取り入れることや、白米を時々玄米にしたり雑穀を混ぜるところから意識してみてください。

参照:
糸川嘉則.カルシウム,マグネシウムの生体中での挙動.Inorganic Materials, Vol. 1, No. 252 ,1994,p 118-124
Thomas O Carpenter.A randomized controlled study of effects of dietary magnesium oxide supplementation on bone mineral content in healthy girls.J Clin Endocrinol Metab.2006 Dec;91(12):4866-72.
吉村学.​​昇圧 ・降圧機序と高血圧食事療法.栄養学雑 誌.Vol.49 No.253~62,1991,p 1-10

この記事の監修者

植田 祐己 美容皮膚科医

 
EARNS