2023.04.10

睡眠

睡眠の重要性と効果を徹底解説|スムーズに眠れるコツも大公開!

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植田 祐己

美容皮膚科医

皆さんは快適な睡眠時間をキープできていますか?睡眠は私たちの健康にとって欠かせない生活習慣の一つです。とはいえ、なかなか寝入りが上手く行かないときもありますよね。

そこでこの記事では、睡眠の重要性・効果・スムーズに寝入るコツについて順にご紹介していきたいと思います。

睡眠の重要性について知ろう

睡眠は私たちの生活リズムを整える上で重要な働きをします。では、睡眠にはどのような効果があるのかについて、順に見ていきましょう。

壊れた細胞を修復する

私たちが眠りについて1~3時間頃に訪れるノンレム睡眠のときに、体内に「成長ホルモン」が分泌されます。この成長ホルモンは私たちの身体にとって欠かせないホルモンで、壊れた細胞を修復したり、身体全体の疲労を回復させたりする働きをしています。

他にも病気を発症しにくくする免役力とも密接な関係があるといわれており、健康な身体を維持する上で欠かせないホルモンです。後でご紹介する方法を習慣づけることで睡眠の質が上がると、ノンレム睡眠の質も良くなり、より多くの成長ホルモンが分泌されますので、是非ご参考にしてみてください。

記憶・感情を整理する

睡眠中の重要な働きの1つに、記憶の固定があります。記憶の固定とは、日中に体験したことを忘れないよう脳に固定する作業のことを言います。またレム睡眠時には、新たに経験した記憶をもともとあった記憶と関連付けたり、次に思い出すときにスムーズに思い出しやすくする作業をすると言われています。

加えて、レム睡眠には「嫌な記憶」を消去する働きもあります。質の高いレム睡眠とノンレム睡眠を相互に繰り返す睡眠が、記憶や感情の整理に重要であると言えるでしょう。

 

睡眠の効果

ここからは、睡眠を取ることで得られる効果について、項目別にご紹介していきたいと思います。

免疫力がアップする

睡眠中に分泌される成長ホルモンには、体内の傷んだ細胞を修復・回復を促す作用があります。それにより細菌やウイルスに対する抵抗力、すなわち免疫力が維持・強化されます。また免疫には自律神経の働きも大きく関係しています。

睡眠中は脳も休まるため、自律神経が整いストレスから回復し、ストレスへの耐性が向上します。

太りにくくなる

睡眠時間が不足すると食欲を増進させるグレリンというホルモンの分泌量が上がり、逆に食欲を抑えるレプチンというホルモンの分泌量が下がります。夜ふかしが続くと、ついつい食べてしまうのはこのためです。

また成長ホルモンには脂肪の分解、筋肉の発達などの代謝を促進する働きもあります。

ストレスの緩和

充分睡眠をとることで、脳の疲労回復により自律神経が整えられ、ストレスの解消につながります。自律神経失調症という名前を聞いたことのある方も多いと思いますが、これは自律神経(交感神経・副交感神経)の乱れから起こり、夜になっても交感神経が刺激されて優位になり、脳が休息できずにいつまでも活動モードが続くことにより起こります。

良質な睡眠をしっかり確保することで、この自律神経失調症にもなりにくい、ストレスにも耐えうる身体作りができるでしょう。

肌や髪がキレイになる

良質な睡眠がとれると、良質な成長ホルモンが分泌され、肌のターンオーバーを促進したり、髪の主成分であるタンパク合成を促進して、美しい肌や髪を整える一助となります。睡眠不足が続くと肌のターンオーバーのサイクルが乱れ、古くなった角質が肌の表面に残り、肌荒れやキメが乱れることにつながります。

日中の作業効率が上がる

先ほど述べたように睡眠には、体験から得た感情や事柄を整理し、記憶として脳に定着させる働きがあります。まとまった睡眠のリズムを作ることで不要な感情や体験をスリム化させ、それは記憶能力を十分にいかすことにもつながります。それにより日中の作業効率が自ずと上がり、仕事の効率化にもつながります。

 

質の良い睡眠を取るための習慣

では、質の良い睡眠を取るためにはどのような習慣に気をつけつつ、日常生活を送れば良いのでしょう?順にご紹介していきたいと思います。

適度な運動をする

習慣的に適度な運動を心掛けることで、不眠を防ぎ良質な睡眠を維持する効果があります。一過性の激しい運動はかえって睡眠を妨げるため、負担が軽く継続的に行える運動がおすすめです。

運動するのに効果的な時間は、夕方から就寝する時間の3時間前くらいまでに行うのがベストといわれています。これは就寝の数時間前に軽く運動することで脳の温度が少し上昇し、ちょうど寝入るころに脳の温度が低下してくるため、良質な入眠が叶い、結果として快眠につながるというわけです。

太陽の光を浴びる

人間の体内時計は、実際は24時間より少し長めにあるとされていますが、朝日に含まれる青色の成分は体内時計を調節し、24時間にリセットする働きがあります。逆に、本来休むべきである夕方から深夜にかけて、スマートフォンやパソコンから発せられるブルーライトを浴びてしまうと、体内時計が日中と誤解し、体内時計の針を昼間に戻すことが分かっています。

よって、毎朝太陽光をしっかり浴び、夕方以降はできるだけブルーライトへの暴露を減らすことが、体内時計の維持に重要であると言えます。

また、松果体から出る「メラトニン」というホルモンは、体内時計に働きかけ、睡眠リズムを調節する働きがあります。このホルモンは、朝起きて光が目に入ってから約14~16時間後に分泌が始まり、その2~3時間後にピークを迎えると言われています。起床後に太陽の光を浴びれるよう、自然光が部屋の中に入る環境を整えましょう。

加えてメラトニンは、ビタミンCやビタミンEをも上回る抗酸化作用もあると言われています。成長ホルモンの分泌を促す働きもあるので、メラトニンが分泌されるタイミングに深いノンレム睡眠が訪れるよう就寝時間を調整しましょう。

寝る90分前に入浴をする

入眠の90分前に入浴を行い、就寝前に体温を上昇させることでちょうど就寝時に体温の低下とともに眠気が生じ、寝つきが良くなります。深いノンレム睡眠を取るには、就寝直前の入浴が良いという報告もありますが、寝つきを悪くしてしまう恐れがあるため、あまりおすすめではありません。

また、半身浴でも寝つきの効果は認められているため、体調や好みに応じた入浴方法でお風呂タイムを楽しむことが大切です。

 

睡眠不足による悪影響

ここからは、睡眠不足になるとどのような悪影響が見られるかについて、順にご紹介していきたいと思います。

代謝機能が低下する

睡眠不足になると十分に成長ホルモンが分泌されず、基礎代謝量を減らしてしまいます。また体内の代謝機能が低下し、様々な不調の原因となります。

成長ホルモンは、寝ている間に中性脂肪を分解し筋肉の修復を行う働きもあるため、筋肉量を増やし代謝を上げやすい身体づくりの第一歩と言えるでしょう。

うつ病・精神不安定になりやすい

睡眠不足が続くと、脳機能がうつ病・統合性失調症の状態に似た変化がみられ、不安・混乱・抑うつの傾向が強まるとされています。

加えて、日中に慢性的な眠気・疲労感・集中力低下・注意力散漫・イライラ感などが生じ、日常生活に支障をきたすようになります。

生活習慣病のリスクが高まる

睡眠不足は自律神経やホルモンのバランスを乱し、様々な生活習慣病のリスクになると言われています。

また、睡眠時無呼吸症候群・不眠症などの睡眠障害が、生活習慣病の罹患リスク(ある年齢までにある病気に罹患する・その病気と診断される確率)を高めるばかりでなく、症状を悪化させることも明らかになりつつあります。

 

スムーズに眠れるコツ

スムーズに眠りにつくために、ぜひ取り入れていただきたい習慣をご紹介いたします。

深呼吸をしてリラックスする

寝つきを良くするためには、まず自律神経を整えて副交感神経を優位にすることが大切です。とくに忙しい現代人は、呼吸が浅い人が多いため交感神経が優位になりがちです。寝る前だけでなく、日常的に深く呼吸をすることは意識しましょう。

やり方は、まず鼻で大きく息を吸い、口から吸った時間の倍かけてゆっくり息を吐いていきます。これを10回ほど繰り返し、体の力が抜けてリラックスしていくのを感じてください。体の緊張が抜けていく感覚を味わいながら行うようにしましょう。

寝る1時間前にハーブティを飲む

ハーブティには、リラックス効果や自律神経を整えてくれる作用があるものが数種類あります。とくに、カモミールやラベンダーなどが効果的なので、こちらをベースにしたハーブティを選んで穏やかな入眠に役立ててください。

ただし、ハーブティには利尿作用もありますので、寝る1時間前に飲むようにしましょう。寝る直前に飲むと、眠りの途中で尿意を感じ、眠りが浅くなってしまいますので気をつけてください。

エッセンシャルオイルを活用する

エッセンシャルオイルは、自律神経を整えてくれる作用が高いものがあります。

とくに、ラベンダー、カモミール、ネロリ、ローズ、ジャスミンなどお花から抽出されるものや、オレンジ、グレープフルーツ、マンダリンなどの柑橘系がおすすめです。枕元にエッセンシャルオイル用の置き石をセッティングしたり、リネンに1適たらしたりして楽しみましょう。

 

まとめ

この記事では、睡眠の重要性・効果・スムーズに眠るためのコツについて、様々な方面からご紹介してきましたがいかがでしたか?

良質な睡眠は私たちの健康に直結している重要な生活習慣で、より良い睡眠は脳内の整理を行い、さまざまなストレスや病気から私たちの身体を守ってくれます。これからもより良い睡眠を確保できるよう、日々努力し健康をキープしてくださいね。

参照:
宮田聖子.野田明子.岩本邦弘.尾崎紀夫.睡眠と脂質代謝との関連.オレオサイエンス.10巻7号.2019p 9-14

 

この記事の監修者

植田 祐己 美容皮膚科医

 
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