便秘を解消したいと思っていても、「何をしても上手くいかない」「一向に解消されない」と悩んでいる方は多いでしょう。
また、便秘は体質なのか、遺伝なのかも気になるところだと思います。
そこで、便秘の基準や抑えておくべき種類について、便秘にならないための食べ物や生活習慣について徹底解説していきます。もう便秘に悩みたくない方は、最後までご覧ください。
便秘の基礎知識
便秘にも、いくつか種類があることをご存知ですか?はじめに、基本的な知識を抑えておきましょう。
便秘とは?
「便秘」とは、長期にわたって排便のない状態を言いますが、大きく「機能性便秘」と「器質性便秘」に分類することができます。
機能性便秘と器質性便秘
「機能性便秘」とは、排便の機能が低下することで起こる便秘のこと。機能性便秘はさらに、「一過性便秘」と「習慣性(慢性)便秘」の2つに分けられます。
一過性便秘は、旅行や初出勤などの環境の変化で感じる緊張やストレスで起こります。また、水分不足や食物繊維の不足なども原因です。季節によって飲む水分量が少なかったり、仕事柄水分をこまめに摂取できない方がなりやすいので気をつけましょう。
また、体が冷えている方は、自律神経が乱れやすいので便秘を起こしがちになります。
習慣性便秘は、一時的ではなく慢性的な便秘を指します。長年の生活習慣の乱れや偏った食生活によって引き起こされるもので、水分や食物繊維の不足だけでなく、運動不足や筋力の低下、間違ったダイエットなども原因になります。
習慣性便秘の中でも、最も多いのが「弛緩性便秘」です。弛緩性便秘は、大腸の中に溜まった便が水分を吸収し過ぎて、便が硬くなってしまい起こる便秘のことです。
腸管のぜんどう運動が滞ることが原因で、長時間腸管内に便があるがために、水分を吸収し過ぎて起こります。
それに対して、大腸がんや腸閉塞などなんらかの病気により引き起こされる便秘を「器質性便秘」と呼びます。
正常な排便の回数は?
「どのくらい排便がないと便秘と呼ぶのか?」という基準についてですが、日本内科学会では「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」とされています。
正常な排便の回数は、「週3回以上1日3回以下」とされているため、3日間以上排便がなければ、確実に便秘と言えるでしょう。
便秘は遺伝なの?
自身が便秘がちと感じている方は、「体質によるものなのか?」「はたまた遺伝なのか?」と気になると思います。
実際には、便秘は遺伝ではありません。便秘になりやすい原因の多くは、その人の生活習慣によるものです。生活習慣は、親や周囲の影響によるものが大きいので、親や友人に便秘の人が多いなら、食べ方や運動や睡眠の習慣が似ているからと言えるでしょう。
赤ちゃんや小さい子どもの便秘は、食事や生活の変化が原因なことが多いのですが、時間とともに解消する場合がほとんどです。
便秘解消に効果的な食べ物
便秘に悩んでいない人が、よく日常に取り入れている食べ物をご紹介いたします。
納豆や漬物などの発酵食品
大豆を納豆菌で発酵させた「納豆」に含まれる納豆菌は、生きたまま腸まで届くので、善玉菌を増やし消化を助ける働きがあるとされています。
味噌や醤油などの日本古来の発酵調味料や漬物は、乳酸菌を多く含有しており、酸や温度変化に強いといわれる菌のため、胃酸で死滅せず生きて腸に到達しやすいです。
毎日の食卓に、味噌汁や漬物などの発酵食品を必ずひとつはプラスすると良いでしょう。
- 味噌
- 醤油
- 漬物
- 納豆
- 塩こうじ
- 酒粕
- かつお節
梅干しは、漬け物ですが発酵食品ではありません。しかし、梅干しに含まれるクエン酸には胃腸を活発にする働きがあるので日常的に食べることをおすすめします。
食物繊維を豊富に含む野菜・果物
食物繊維が便秘に効果的な理由は、便量を増やし排便リズムを回復してくれるからだと言われています。
食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。水溶性食物繊維は「水に溶けやすい食物繊維」で、不溶性食物繊維は「水に溶けにくい食物繊維」と理解しておきましょう。
水溶性食物繊維
水に溶けやすい食物繊維で、水に溶けるとゼリー状に変化して水分を保持します。便秘は大腸に便が停滞して水分が失われて起こることがほとんどのため、便に水分を与えてやわらかくし、排便を促すのが効果的です。
- 果物
- わかめ、めかぶなど海藻類
- こんにゃく、山いもなどいも類
- オクラ、モロヘイヤなどのネバネバ野菜など
海藻やネバネバ野菜は味噌汁に入れたり、納豆をアレンジする際にプラスして工夫して食べると良いでしょう。
不溶性食物繊維
水に溶けにくい食物繊維で、便の体積を大きくして大腸を刺激し、排便を促します。ただし、豆類やさつまいもなどは食べ過ぎると逆に便が硬くなってしまうことがあるので、お腹の様子を見ながら食べるようにしましょう。
- さつまいもなどのいも類
- 大豆、枝豆など豆類
- ごぼうや大根など根菜類
- きのこ類
- おから、玄米など皮付きの穀類や雑穀など
煮物やシチューなどの煮込みと相性が良く、煮込んで柔らかくすることで食べやすくなります。
オリゴ糖を含む食材
オリゴ糖は大腸まで到達し、ビフィズス菌など腸内細菌の栄養源(エサ)となって善玉菌を増やし腸内環境を整えてくれる働きをします。上記に挙げた食品にプラスして食べることで、さらに便秘改善の効果を発揮しやすくなります。
- 玉ねぎ
- キャベツ
- ごぼう
- アスパラガス
- じゃがいも
- ニンニク
- 大豆
- はちみつ
- バナナ
- 黒糖
玉ねぎやニンニクは常備しておいて、炒め物やスープに積極的に入れるように意識しましょう。大豆は、豆乳ヨーグルトやきなこなどで摂取すると日常的に食べることができます。
腸をキレイに保つ抗菌食品
抗菌食品は、腸内の過剰に増えすぎた悪玉菌を減らし、腸内環境を整える働きをします。腸内の善玉菌は酢に含まれる「グルコン酸」を好むので、酢を食事に加えて食べることで善玉菌が増えて活発に活動してくれます。
- 酢
- 生姜
- シナモン
- グローブ
- ココナッツオイル
- MCTオイル
生姜は大腸菌やブドウ球菌、サルモネラ菌などの細菌の成長を抑制する効果があるため、腸内環境を整えてくれます。シナモンやグローブなどのスパイスも整腸効果が期待できます。
ココナッツオイルは、腸内にたまった老廃物を排泄してくれる働きがあり、MCTオイルは腸を弱酸性に保ち、腸内の悪玉菌の活動も抑えてくれます。
意外!良質な油を摂るのがおすすめ
オリーブオイルに含まれる「オレイン酸」は、腸を刺激して排便を促す働きをすると言われています。また、脂質を摂取することで腸内の滑りが良くなるため、より老廃物が排出されやすくなるでしょう。
悪玉菌の増殖を防ぎ、粘膜の免疫力を強化すると言われるギー、グラスフェッドバターも調理をする際に使うようにするとさらに効果的です。
食品添加物は腸の大敵
便秘を解消しようと思ったとき、何を食べようと思う方が多いと思いますが、まず「何を食べないか」を考える方が重要です。
腸内環境を悪化させる原因の一つに、「食品添加物」があります。保存料、人工甘味料、酸化防止剤などは、特定の腸内細菌を死滅させてしまうため、腸内細菌のバランスが崩れて腸が荒れる原因になります。
人工的な添加物は、本来体が欲する栄養素ではなく、流通生産上の都合から使用されているものなので、極力避けるようにしましょう。
食べ過ぎも厳禁
また、1日3回食べるのが当たり前になっていたり、寝る直前まで食べている方は要注意です。常に胃に食べ物がある状態でいると、休みなく働き続けている胃腸は疲弊し動きが鈍くなっていきます。
しかも、寝ている間は胃の働きは止まってしまうので、夕食から時間を空けずに寝てしまうと、消化が終わらないまま食べ物が胃腸の中に留まることになります。
この間、胃腸の中でタンパク質やアミノ酸の腐敗が進み、有害物質が発生し腸内環境が荒れて便秘の原因になってしまうのです。お腹が空いたら食事をする、寝る3時間前までには夕食を済ませる、などの習慣を心がけましょう。
便秘解消に効果的な飲み物
水分が足りないと便が硬くなり、排便が困難になって便秘になる原因を作ってしまいます。便を柔らかくしてスムーズな排便を促すためにも、これからご紹介する水分をこまめに摂るようにしましょう。
水・白湯
デトックス効果のある飲み物には、色々なものがありますが、1番忘れてはならないのが水と白湯です。腎臓がしっかりと働いていても、体内に水分が少ないと尿を排出することができないため、排尿によるデトックス効果が減ってしまいます。
白湯は、ほんのりと暖かいことにより内臓が温められて腸の動きが活発になり、血の巡りが良くなって老廃物を排出しやすくなる効果があるため便秘改善が期待できます。
内臓温度が1度上がると基礎代謝も10〜12%ほど上昇すると言われているため、脂肪が燃えやすく痩せやすい体質になれます。肌のターンオーバーが整うなど、肌トラブルの解消にもつながるでしょう。
レモン水
レモンに豊富に含まれる「クエン酸」や「食物繊維」は、腸を刺激して動きを活発にしてくれるため、起床後にコップ1杯のレモン水を摂ることで排便を促してくれます。
また、余分なナトリウム(主に食塩の形で摂取される人の体に必要なミネラルの1種)を排出し塩分の摂り過ぎを調節してくれる作用があるため、むくみ対策をしたい方にもおすすめです。
スムージー
生の野菜や果物を、水と一緒にミキサーにかけたドリンクを「スムージー」と呼びます。生の野菜には、「ビタミン」「ミネラル」「食物繊維」などの人間の体に必要な栄養素が豊富に含まれています。
食物繊維は、便秘改善や腸内の善玉菌を活性化させ消化を助ける作用があるので、デトックス効果がアップします。便などの老廃物が排出されることで基礎代謝が上がり、脂肪燃焼が促されて痩せやすい体作りも目指せるでしょう。
さらに、ビタミンやミネラルには肌トラブルを解消する作用があるため、美肌作りにも適しています。ミキサーで攪拌することにより野菜内部の細胞壁が破壊されるので、胃腸に吸収されやすくなり、普通に食べるだけでは補えない量の野菜を手軽に摂取できるのもメリットです。
便秘にならないために心がけるべきこと
便秘にならないためには、食事だけでなく日頃の生活習慣も見直す必要があります。
できるだけ体を動かす
運動不足は、肥満や体力低下の他にも「腸菅」の動きがスムーズに行われなくなる問題も引き起こします。運動を継続的に行うことで、少しずつ体の中の筋肉が付き、腸の動きが活発になり便秘も解消されていくでしょう。
運動が腸内細菌を鍛え、腸内細菌が運動能力を向上させる、そのような相互関係があることがアスリートたちの腸内細菌研究などからもわかってきています。
適度な運動は血流を促し、酸素が全身に巡るため「気持ち良い」と思える強度の運動は自律神経にも良い影響を与え、腸の活性化につながるので、毎日10分でも体を動かす習慣を付けましょう。
しっかり睡眠をとる
一見関係のないように思える便秘と睡眠ですが、排便に重要な働きである「ぜん動運動」と大きく関わっています。
腸の働きは、交感神経と副交感神経という2種類の神経でコントロールされており、老廃物や毒素を排泄する腸のぜんどう運動は、副交感神経が優位になると活発に進みます。
日中の活動時に交感神経が優位になった状態を、睡眠によって副交感神経が優位な状態に戻すことができるので、しっかりと睡眠を確保することでお通じを良くすることができます。
睡眠時にストレスを感じていたり、眠りが浅かったり、十分な睡眠時間が取れていない方は、睡眠時であっても交感神経の方が優位になって、腸の動きが鈍ってしまう傾向にあります。
それによりぜん動運動も低下するので、便がうまく押し出されず便秘が引き起こされてしまうのです。腸を整えるためには、質の良い睡眠を十分に取ることが大切です。
自分を労るストレスケア
腸内環境には、「ストレス」も大きな影響を及ぼします。「腸脳相関」という言葉があるくらい、腸と脳はお互い密接に関わり合っているのです。
一方の不調は一方にも影響するため、ストレスが溜まっている人はその分、腸の調子も悪くなりやすいということになります。なので、日頃から自分なりにストレスを発散する方法を見つけることが大切です。
ストレッチをしたり自然の緑を見て心を癒したり、エッセンシャルオイルの香りを嗅いでリラックスするなど、自分に合ったストレスケアを見つけましょう。
まとめ
便秘の基本的な知識や、便秘解消に役立つ食べ物や飲み物について理解できたかと思います。
自分の生活スタイルや食の好みに合わせて、便秘にならないための食事や生活習慣を実践し、スッキリとしたきれいな腸で日々を過ごしていきましょう。