2023.07.20

アレルギー

乳製品アレルギーの危険な症状とは?|除去食・代替食の一覧まとめ

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竹内 久美

産婦人科医/ヘルスコーチ

皆さんは乳製品アレルギーについて知っていますか?アレルギーは一つ間違うと大変危険な症状を起こす要因となるため、食材として使用する場合は注意を払う必要があります。

この記事では「乳製品アレルギー」に特化して、重点的に解説していきたいと思います。

乳製品アレルギーについて

まずは乳製品アレルギーの基本概念についてご紹介していきます。分かりやすく、各項目別に解説していくので理解を深めてくださいね。

乳製品アレルギーとは

乳製品アレルギーとは、食物アレルギーの中でも牛乳・牛乳由来のミルクがアレルギーの原因となるものを指します。牛乳に含まれる「タンパク質」が原因で起こるため、基本的に加熱の有無は関係ありません。

牛乳には20種類以上のタンパク質が含まれており、その中でもアレルギー反応を誘発しやすい成分は「カゼイン」「ラクトグロプリン」です。特にカゼインは水に溶けやすいため「カゼインNa」として広く多くの料理に利用されています。

カゼインNaがなぜ活用されるかというと、水と混ざりにくい油・タンパク質などを混ぜやすくするために、乳化剤・安定剤として大変効果的だからです。そして、これらの乳タンパク質が腸内で「抗原抗体反応」を起こし、その結果アレルギー反応という症状として現れると考えられています。

乳製品アレルギーの症状

では、乳製品アレルギーの症状にはどのようなものがあるのでしょう?特に多く現れるのが「じんましん」「アトピー性皮膚炎」「下痢」「便秘」「腹痛」「」などの消化器症状と言われています。いわゆる胃腸炎(お腹の風邪)と症状が似ているため混同されやすく、乳製品アレルギーと診断されるのが遅れがちなアレルギーでもあります。

さらに乳製品アレルギーは、食後すぐに症状が出るわけではなく、食後数時間~数日後に症状が出ることが多いため、症状が出た頃にはどの食品が要因となっているのか判断に困る場合もあります。

また酷い場合は「アナフィラキシーショック」を引き起こす場合もあるため、注意が必要です。乳製品アレルギーは、通常乳幼児期に発症することが多いと言われているアレルギーの一つです。

乳製品アレルギーの人が注意すべきこと

それでは、乳製品アレルギーの人はどのような点に注意を払えば良いのでしょう?乳製品アレルギーの人は、牛乳や乳製品を使用して作っている食品をごく微量口にするだけでもアナフィラキシーショックを誘発することがあります。

乳製品アレルギーの人は、まず牛乳アレルギーの原因となり得る物質を含んでいるかを「乳」という表示の有無に関わらず見分ける必要があります。

例えば「カゼイン」「ヨーグルト」「チーズ」「ホエイパウダー」「カゼインナトリウム」「〇〇(乳由来)」などと表示されている成分は、注意することが大切です。さらに「全粉乳」「脱脂粉乳」「練乳」「乳酸菌飲料」「発酵乳」などの加工食品には牛乳が含まれるため、乳製品アレルギーの人は避ける方が無難です。

一方、食品中に含んでいても特に問題とならない成分に「乳糖」「乳化剤」「乳酸菌」「乳酸カリウム」は名前に「乳」とあるため、いっけん乳製品との関連があるように見られがちですが、牛乳と全く関係ないため摂取しても大丈夫です。

 

乳製品アレルギーの人が食べられないもの・食べられるもの

それでは、具体的に乳製品アレルギーの人が食べると危険なものや見分けるのに困る食材や食品についてみていきたいと思います。

食べられないもの(除去食)

乳製品アレルギーの人が食べられないものは以下の通りです。

牛乳
乳製品:ヨーグルト、チーズ、バター、生クリーム、発酵乳、練乳、粉ミルク、アイスクリーム
乳製品を含む加工食品:パン、パン粉、洋菓子、チョコレート、カレーやシチューなどのルウ、全粉乳、脱脂粉乳、調製粉乳、乳酸菌飲料、ハムやウインナーなどの肉類加工品など

食べられるもの(除去する必要のないもの)

では一方で、乳製品アレルギーの人も安心して食べられるものにはどんな食材や食品があるのでしょう?順にご紹介していきます。

乳化剤(卵黄・大豆・牛脂などから作られているもの)
乳酸菌
豆乳
乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム
カカオバター、ココアバター(乳製品ではないもの)
特定原材料7品目不使用のシチュールウ

など、アレルギーに対応した加工品なら食材として利用が可能です。

表記を見分けるポイントは?

牛乳は特定原材料として、加工食品においてアレルギー表示を義務付けられていますが、その他の乳製品アレルギーを引き起こし得る食材については表示されておらず、「乳」という文字の有無だけでは食べられるものかどうかの判断は難しいです。

では見分けるにはどのようなポイントが大切なのかというと、アレルギー表示をしっかり見て食べられる食品・食べられない食品を正しく見分ける力をつける必要があります。

加工食品のアレルゲン表示の方法には、「個別表示」「一括表示」の2種類あり、原則は「個別表記」ですが表示面積に限りがある場合は、例外として原材料名の最後に「一部に~を含む」などと表記する方法が認められています。表記方法の詳細は以下の通りです。

個別表記 ・乳を含んでいる場合は「乳成分を含む」と表記
・複数の特定原材料がある場合は「〇〇・△△」と繋いで表記
・繰り返しになる特定原材料は省略可能
・添加物は「~由来」と表記
一般表記(一括表示) ・原材料や代行表記も含まれる特定原材料について、原材料名の欄の最後に「(一部に〇〇・△△・□□を含む)」と表示

 

アレルギーの方が、乳製品から摂れない栄養を摂取できる食品

アレルギーの方が、乳製品から摂れない栄養を摂取できる食品についてご紹介していきましょう。

乳製品で摂れない栄養を摂取できる食品

乳製品には私たちの健康維持に役立つ栄養がたくさん含まれていますが、他の食品からでも十分に栄養を摂取することができます。以下の食材を積極的に摂取することで、乳製品アレルギーの人も乳製品を摂取したと同等の栄養分を体内に取り込めるでしょう。

カルシウムが豊富な野菜(小松菜・モロヘイヤなど)、魚介類・小魚
タンパク質が豊富な肉類、卵類、大豆製品
良質な脂質を含むナッツ類、種子類(ゴマなど)
炭水化物を含む穀類、芋およびでんぷん類
ビタミン豊富なレバー、卵、ウナギ、野菜類、肉類、魚類、果物類

栄養豊富な食材をバランス良く摂取すれば、健康を損なうリスクは低くなります。

 

乳製品の代替食品

乳製品が好きだけど摂取できないという方でも、満足感の得られる代替食品をご紹介いたします。

植物性ミルク

牛乳の代わりになるミルクにも、色々な種類があります。

豆乳

大豆と水が原料のミルク。タンパク質が豊富で、低脂質。調整豆乳と無調整調乳があります。調整豆乳は、甘く飲みやすいものが多いですが、砂糖や油脂、添加物などが多いこともあるため、無調整のものがおすすめです。

アーモンドミルク

アーモンドと水が原料のミルク。大豆アレルギーの方も安心して摂ることができます。アーモンドはビタミンEが多く、抗酸化作用が強いのが特徴。美容や健康に嬉しいミルクです。

オーツミルク

オーツ麦という穀物と水が原料のミルク。オートミールの原料と同じものです。カロリーと糖質が高めですが、食物繊維が多いため腸内環境が整うことが期待できるでしょう。

ライスミルク

玄米や白米と水が原料のミルク。アレルギーを持つ人が少ない米が原料のため、安心して摂ることができます。糖質が高いため、糖尿病の方などは控えるのがおすすめです。

ご紹介したミルクの他にも、ココナッツミルク、ヘンプミルク、カシューナッツミルクなどもあります。

ヴィーガンヨーグルト

牛乳を使用していないヨーグルトも、色々な種類があります。

豆乳ヨーグルト

豆乳から作られたヨーグルト。豆乳独特の風味が特徴です。

アーモンドミルクヨーグルト

アーモンドミルクから作られたヨーグルト。低カロリーで低糖質ですがタンパク質は低め。

お米ヨーグルト

お米と乳酸菌から作られたヨーグルト。比較的日本人の体に合うヨーグルトだと思われます。

ヴィーガンチーズ

大豆、ナッツ、ココナッツなどの植物由来の原料のみで作られたチーズ。乳製品のアレルギーがある方やヴィーガンの人でも安心して摂ることができます。

スーパーに行ったときに、乳製品ではない製品についてもぜひ探してみてください。従来の乳製品とは風味や食感が異なるものあるため、最初は食べ慣れないかもしれませんが、色々試してみると好みのものが見つかるかもしれませんね。

乳糖不耐症だと食べられないものは?|症状や原因について

 

まとめ

この記事では、乳製品アレルギーの危険な症状や代替食などを中心にご紹介してきました。乳製品アレルギーの表示は、大変複雑で「乳」と表記されていないものでも危険な場合がありますが、一方で大丈夫な製品もあります。

栄養豊富な食材や代替食品を取り入れ、きちんと栄養を摂取し満足度も高い食生活を送ってくださいね。

この記事の監修者

竹内 久美 産婦人科医/ヘルスコーチ

 
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