特に女性に人気のハーブティー。最近では、飲食店で提供していることも多く、ドラッグストアやスーパーを始めとして色々なところで販売もされています。さまざまな効果・効能から、医療の現場でも使われることも増えてきていまいが、カフェインの含有量について気になる方も多いと思います。
今回は、ハーブティーに含まれるカフェインの量や人体に与える影響などについて解説していきます。
ハーブティーにカフェインは含まれるの?
ハーブティーと聞くと、安心して飲むことができるイメージや、何となく健康に良いというイメージを持つ方も多いと思います。ハーブティーとお茶の違いはどのようなところにあるのでしょう。
ハーブティーのカフェイン含有量は?
「ハーブティー=カフェインレス」と思っている方が多いと思います。しかし、実は全てのハーブティーがカフェインレスというわけではありません。ほとんどのハーブティーはカフェインが含まれておらず、含まれていても極微量です。そのため、カフェインを避けたいと思っている方は、比較的安心して摂ることができる飲み物だと言えるでしょう。しかし、中にはカフェインが含まれているものもあるということを知っておきたいところ。
カフェインが含まれているハーブティーには、マテ茶やジャスミンティーなどがあります。代表的なノンカフェインのハーブティーには、以下のものがあります。
【カフェインレスのハーブティー】
・カモミール
・レモングラス
・ハイビスカス
・ペパーミント
ハーブティーとお茶の違い
ハーブティーとお茶の違いは、ずばり原料となる茶葉の違いです。ハーブティーは、原料となるさまざまなハーブが使用されます。また、使われる部位も花、茎、葉などさまざまです。そして、それぞれのハーブの働きにより効果・効能も多岐に渡ります。
それに対し、緑茶、烏龍茶、紅茶の原料となるのは茶の木の葉の一種類です。同じ原料にも関わらず味や風味が異なるのは、発酵の度合いによる違いのため。緑茶は不発酵、烏龍茶は半発酵、そして紅茶は完全発酵で作られます。そのため、紅茶は発酵食品のひとつです。そして、同じ茶葉にも関わらず発酵の違いにより多く含まれる成分にも変化が。緑茶にはカテキン、烏龍茶には烏龍茶ポリフェノール、紅茶にはタンニンというポリフェノールが多く含まれています。
カフェインについて
ハーブティーに関しては、比較的少ないと言われているカフェイン。嗜好品としてハーブティーなどを選択している方の中には、カフェインを気にしている方も少なくないと思います。
そもそもカフェインとはどのようなものなのでしょう。ここからは、少しカフェインについて知っていきましょう。
カフェインとは?
カフェインは、コーヒー豆やカカオ豆、茶葉などに含まれている成分。主にコーヒーやお茶などから摂ることができます。また、カフェインは食品添加物として登録されており、清涼飲料水などに人工的に添加されていることも。
カフェインが与える人体への影響
カフェインには、中枢神経系を刺激する作用があり、眠気防止のために飲食物に添加されていたり、医療の現場でも一部の頭痛薬、鎮咳去痰配合剤、感冒配合剤などに含まれていることもあります。また、薬剤としてのカフェインも存在しています。
実際、過剰摂取をせず、決められた量の範囲内で摂取する場合は、カフェインが健康被害につながることはほとんどありません。
しかし、カフェインを過剰に摂取すると、中枢神経系が過剰に刺激されて、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠などが起こります。また、消化器管の刺激により下痢や吐き気、嘔吐することもあります。さらに、長期的な作用としては、人によって高血圧のリスクが高くなる可能性や、妊婦が高濃度のカフェインを摂取した場合に、胎児の発育を阻害する可能性が報告されています。
カフェインの1日の摂取量は?
カフェインそのものには、良い効果があるのも事実です。しかし、過剰摂取をすると、様々な健康被害につながります。そのため、カフェインの摂取は、適度にすることが重要です。
国際的には、カフェインの摂取基準が明確にされているところもあります。しかし、日本では明確な基準や具体的な摂取量の目安は示されておらず、注意喚起にとどまっています。以下は、国際的な摂取基準となっています。
また、カフェインと聞くと、コーヒーをイメージする方も多いと思いますが、カフェインが含まれるのはコーヒーだけではありません。飴やガム、清涼飲料水、エナジードリンクなどにも含まれています。
国際的なカフェイン摂取基準
・世界保健機関(WHO)
妊婦:コーヒーを3〜4杯/日まで
・英国食品基準腸庁(FSA)
妊婦:200g/日(コーヒーをマグカップで2杯程度)
・カナダ保健省(HC)
健康な成人:400mg/日(コーヒーをマグカップで3杯程度)
妊婦・授乳中・許児希望女性:300g/日(コーヒーをマグカップで2杯程度)
4〜6歳:45g/日まで
7〜9歳:62.5mg/日まで
10〜12歳:85mg/日まで(355ml入り缶コーラ1~2本に相当)
13歳〜:2.5mg/kg/日まで
ハーブティーやお茶のQ&A
最後は、ハーブティーやカフェインの基本を知ったうえで、良くある質問の解説をしていきます。
妊婦さんは安心してハーブティを飲めるの?
妊娠すると、色々な食べ物や嗜好品についても気になるところだと思います。妊娠すると、非妊時に比べてカフェインの分解や排泄に時間を要します。そのため、濃度が高い状態で体内に止まる時間が長くなります。さらに、カフェインは胎盤を容易に通過するにも関わらず、胎児はカフェインをうまく分解できないため、胎児はカフェインの影響を最も受けやすいと言えます。
上記の理由から、妊娠中、許容量以上のカフェインを摂ってしまう恐れがあるなら、ノンカフェインのハーブティーをおすすめします。また、ハーブティーは植物が原料であるため、植物のアレルギーをお持ちの方には適さない可能性もあります。妊娠すると、非妊時には特に症状が出ないものに対して敏感になることも。飲んだときに違和感がある場合は速やかに止め、かかりつけ医に相談するのが良いでしょう。
さらに、レモングラス・ローズマリー・シナモン・リコリス・マテ・ジャスミン・ハトムギなどには「子宮収縮作用」があり、妊婦さんにはあまりおすすめできないものもあるため注意が必要です。
デカフェに関する豆知識
コーヒー好きだった方にとって、コーヒーを飲むことができないのはストレスですよね。そんなときに代替としておすすめなのがデカフェ。カフェインを含まない or 極微量のカフェインのコーヒーです。しかし、ここで知っておきたいのがカフェインを除去する過程で薬剤を使用しているものがあるということです。
日本では禁止されていますが、海外ではジクロロメタンなどの薬品を使用してカフェインを除去している場合があるため、旅行先やお土産などには十分注意しましょう。その他、元からカフェインを含まない玄米コーヒーやタンポポコーヒーなどもありますので、どうしてもコーヒーが飲みたくなった際には試してみてください。
ハーブティー以外のノンカフェインのお茶は?
カフェインの原料になるのは、コーヒー豆や茶葉です。そのため、茶葉が原料でないお茶には、カフェインが含まれていません。
【ノンカフェインのお茶】
・黒豆茶
・麦茶
・コーン茶
・ルイボスティー
カフェインを含むお茶は?
反対に茶葉が原料となるカフェインを含むお茶には以下のようなものがあります。カフェインの量は茶葉の量や浸出法によっても異なるため、目安としてご利用ください。
食品名 | カフェイン含有量の目安 (/100g) |
浸出法 |
玉露 浸出液 | 160mg | 茶10g、60℃60ml 2.5分 |
煎茶 浸出液 | 20mg | 茶10g、90℃430ml 1分 |
かまいり茶 浸出液 | 10mg | 茶10g、90℃430ml 1分 |
番茶 浸出液 | 10mg | 茶15g、90℃650ml 0.5分 |
ほうじ茶 浸出液 | 20mg | 茶15g、90℃650ml 0.5分 |
玄米茶 浸出液 | 10mg | 茶15g、90℃650ml 0.5分 |
烏龍茶 浸出液 | 20mg | 茶15g、90℃650ml 0.5分 |
紅茶 浸出液 | 30mg | 茶5g、熱湯360ml 1.5〜4分 |
「日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)」より
まとめ
今回は、ハーブティーとカフェインという内容でお届けしました。ハーブティーの種類によってさまざまな効果がありますが、妊婦さんなどにとっては控えた方が良い場合もあります。
また、悪とされがちなカフェインですが、上手く付き合うと良い効果を得ることができます。自分の生活の中で、自分に合った方法で適度に取り入れていくことができると良いですね。
参照:
栗原久.日常生活の中におけるカフェイン摂取.東京福祉大学・大学院紀要 第6巻 第2号.2016.p109-125