2023.06.05

食事・栄養

アンチエイジングに効果的な食べ物|若々しくなる生活習慣とは?

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植田 祐己

美容皮膚科医

年齢を重ねるごとに気になる「アンチエイジング」という言葉。アンチエイジングという言葉を聞いてイメージすることは人それぞれだと思います。美容医療やサプリメントや食べ物など、さまざまなアンチエイジングに関する情報が溢れていますよね。

今回は、アンチエイジングについての基礎知識をはじめ、生活の中で取り入れることができる美容と健康を意識した「食」に関する内容をお届けします。

アンチエイジングの基礎知識

そもそも「アンチエイジング」って何なのでしょう。当たり前のように使われている言葉ですが、皆さんはご存知ですか?

まずは、「アンチエイジング」について知っていきましょう。

アンチエイジングとは

アンチエイジングという言葉の、アンチ(anti)は「抵抗」、エイジング(aging)は「加齢・老化」を意味します。つまり、アンチエイジング(anti−aging)とは、「抗加齢」「抗老化」など、老化を食い止めて若々しさを維持するという意味合いが含まれています。

そして、エイジングに応じたケア全般のことを「エイジングケア」といいます。エイジングサインは、肌など外見に現れます。そのため、エイジングケアと聞くと、特に女性はスキンケアをイメージする方が多いと思います。

しかし、エイジングケアは、高い基礎化粧品などを使用するだけでは充分ではありません。トラブルや悩みに対して高い化粧品を使ってガッカリした経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。

リバースエイジングとは?

リバースエイジング は、逆転・反転を意味するリバース(reverse)と、エイジング(aging)から生まれた言葉。言葉の通り、若返りを意味する言葉です。

若さを維持するアンチエイジングに対して、リバースエイジングは、実際の年齢より若い肌や体を目指すもの。

老化の原因は?

では、エイジングはどのように進んでいくのでしょう。老化の要因は未だ解明されていませんが、近年注目されているものには以下の3つがあります。そして、私たちが若々しく健康に過ごすためには、これらの要因をできるだけ減らすことが大切です。

糖化(細胞のコゲ)

食事などから摂った余分な糖質が、タンパク質や脂質などと結びつき細胞などを劣化させる現象。糖化によってAGE(糖化最終生成物)が作られ、色々な病気の原因となる可能性があります。

酸化(細胞のサビ)

取り込んだ酸素のうち余分なものが体内に残り、フリーラジカル・活性酸素に変化します。これらは普段、免疫機構や感染防御に重要な役割を担っていますが、過剰になると細胞に傷害を引き起こし、心血管障害、ガン、生活習慣病などのリスクになります。

これらの物質が生じた状態を酸化といい、この酸化を抑制するための働きを抗酸化作用といいます。フリーラジカル・活性酸素の産生が過剰になり、抗酸化作用のバランスが崩れた状態を「酸化ストレス」といいます。酸化ストレスは、老化を促進させ、様々な生活習慣病を引き起こす要因となります。

炎症(細胞の火事)

炎症とは、異物が体内に入って来たときに現れる「免疫反応」のこと。そして、この炎症には急性炎症と慢性炎症があります。老化に関係する炎症は、後者の「慢性炎症」です。慢性炎症とは、自覚が無いような小さな炎症が体の中で発生している状態。

【病気・老化予防】抗炎症作用のある食べ物|やめるべき習慣とは?

 

アンチエイジングに効果的な食べ物・飲み物

ここからは、老化の要因となる「糖化・酸化・炎症」を起こさないための食べ物や飲み物をご紹介していきます。これらを上手に生活に取り入れていきたいですね。

良質なタンパク質を含む食べ物

私達の体は、タンパク質でできていると言っても過言ではありません。筋肉臓器皮膚髪の毛などは主にタンパク質でできています。また、体の機能を調整するホルモンや酵素などもタンパク質を原料とするものもあります。つまり、タンパク質は私達にとって欠かせない栄養素。

美容や健康のためには、良質なタンパク質を摂ることが欠かせません。​​良質なタンパク質食品は、魚介類肉類豆類などが挙げられます。手軽にタンパク質を摂ることができるものとして、プロテインなども。プロテインを選ぶときには、食品添加物が含まれていないものや少ないものを選ぶのがおすすめです。

抗酸化作用のある食べ物

野菜などに含まれるポリフェノール抗酸化性ビタミンは、抗酸化作用があると言われています。野菜から有効にポリフェノールを摂る場合は、意外にも加熱調理がおすすめです。茹で加熱、煮込み加熱など加熱処理するときは、スープや味噌汁など茹で汁も合わせて摂取できるものが良いでしょう。

また、白米に比べて有色米は抗酸化作用が強いと言われています。主食のお米に赤米や紫黒米を混ぜて炊くのも良さそうですね。

【ポリフェノールを含む食品】
ブルーベリー(アントシアン)、大豆(イソフラボン・サポニン)、ゴマ(セサミール)、そば(ルチン)、緑茶(カテキン)、発酵茶(タンニン)、緑黄色野菜(カルテノイド)、甲殻類、鮭、鱒など(アスタキサンチン)

日本伝統の発酵食品

発酵食品が、なんとなく美容や健康に良いと思っている方も多いと思います。なぜ発酵食品がアンチエイジング に良いかというと「腸の働きを整える」作用を持っているからです。腸は、食べ物を消化・吸収するところです。そして、その働きのためには腸内環境が整っていることが大切です。

日頃から腸内環境の鍵となる腸内細菌のバランスを整える食事を意識しましょう。体にとって良い働きをしてくれる善玉菌は、長く定着できないため、毎日コツコツ摂ることが必要です。

【発酵食品】
味噌、醤油、納豆、漬物、キムチ、ヨーグルトなど

 

アンチエイジングに効果的な生活習慣

アンチエイジングのためには、食事以外の生活習慣も大きく関係します。いくら食事に気を使っていても、老化を促進する生活を送っていては充分な効果を得ることはできません。

ここからは、アンチエイジングのための生活習慣をご紹介していきます。

良質な睡眠をとる

私達が心身共に健康であるために「睡眠」は欠かせません。そして、私達の体は寝ている間もホルモンを分泌させています。中でも、成長ホルモンは睡眠時に分泌が増加するホルモン。成長ホルモンは、特にノンレム睡眠(深い睡眠)の時に分泌が増加し、成長を促す他、疲労の回復や身体修復の働きを担っています。質の悪い睡眠や寝不足が続くと肌の状態が悪化するのもこのためです。

良質な睡眠をとるためには、ポイントがあります。

【良質な睡眠のためのポイント】
・朝起きたら陽の光を浴びる
・日中は明るい環境で適度に活動する
・夜は暖色系の優しい電気にする
・寝る前にブルーライトを浴びないようにする

適度な運動をする

美容や健康に「適度な運動」が良いと知っている方も多いはず。適度な運動は心身共に嬉しい効果がたくさんあります。運動には、抗炎症作用抗酸化作用オートファジー増強機能があり、細胞レベルでのアンチエイジング効果があるとされています。

運動には、無酸素運動(筋力増強)と、有酸素運動(脂肪燃焼)があります。無酸素運動は、筋力をつけることにより、代謝アップ、姿勢改善などが期待できます。有酸素運動は、脂肪燃焼効果があり、生活習慣病の予防になります。また、運動をして汗をかくことでデトックス効果も。また人の骨は運動負荷によってその強度を増すため、適度な運動は骨粗しょう症の予防にもなります。

しかし、運動のし過ぎや激しい運動は過剰な活性酸素を発生させ酸化ストレスとなってしまうこともあります。心地良くできる範囲で取り入れるのが良いでしょう。

ストレスケア

実は、過度なストレスも酸化ストレスとなる活性酸素を産生させる要因です。そのため、日頃からストレスと上手く付き合っていくことや、ストレス解消を上手にすることが大切。適度な運動もストレス解消に有効です。また、入浴、音楽、香りなどでリラックスできる時間を持つことも大切です。自分なりのストレス解消方法があると良いですね。

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まとめ

色々なアンチエイジングに関する情報が溢れていますが、心身共に健康で若々しくいるためには、外からのケアだけでなく、中からケアしていくことがとても大切。そして、中からのケアは、日常生活の中でちょっとしたことを意識することから始めることができます。

また、ストレスは思っている以上に大敵です。美容のためにも、健康のためにも自分自身が機嫌よく過ごすことができるようにしたいですね。

参照:
的場輝佳.抗酸化作用を中心とした食の機能性.日本食生活学会誌.Vol 18.No 3.2007,p 205-210
​​猪谷 富雄.建本 秀樹.岡本 実剛.藤井 一範.武藤 徳男.有色米の抗酸化活性とポリフェノール成分の品種間差異.日本食品化学会誌.49巻.8g号.2002,p 540-543
朴鐘薫.秋元崇之.麻見直美.運動負荷による骨代謝の変化に性ホルモンが及ぼす影響.日本運動生理学雑誌 / 日本運動生理学会事務局 [編] 19 (2), p 59-63, 2012

 

 

この記事の監修者

植田 祐己 美容皮膚科医

 
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