2022.12.06

食事・栄養

オートファジーで細胞から活性化|効果を最大化するスケジュール公開

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田中 康規

麻酔科医/ヘルスコーチ

オートファジー」を聞いたことはあるけど、具体的にどんなものか理解している方は少ないでしょう。

オートファジーは、細胞レベルで若返ることが期待できるもので、さらに病気の予防にも役立つとされ注目を集めています。

  • 肌や髪がツヤツヤになる
  • 体の老廃物がデトックスされる
  • 将来病気になるリスクが軽減される

このように、オートファジーはあなたにさまざまな恩恵をもたらしてくれます。自分が本来持って生まれた美しさと健康を引き出したい方は、ぜひチェックしてください。

「オートファジー」って何?

オートファジーの意味や、その仕組みまで解説いたしますので、しっかり理解しておきましょう。

オートファジーとは

オートファジーとは、細胞内で機能不全に陥った細胞小器官や、細胞内に侵入した病原体などを除去するクリアランス機構のことです。

「自分自身」を表す接頭語の「auto(オート)」と、「食べる」の意味を持つ「phagy(ファジー)」が組み合わされた言葉で、1963年に定義されました。

オートファジーの仕組み

空腹の時間が長い間続くと、体は生存するために何とか体内にあるものでタンパク質を作り出そうとします。このとき、細胞内の古くなったタンパク質は除去され、新しいものに作り変えられます。

細胞が内側から生まれ変わり、それが繰り返されると、ガンや糖尿病をはじめとする生活習慣病、認知症などの予防が見込め、さらに肌や筋肉などの老化防止の効果も期待できると考えられています。

本来は、体や細胞が強いストレスを受けた際にも生き残れるよう体内に組み込まれたシステムなので、細胞が飢餓状態になったときや低酸素状態になったときにこそ働きが活性化します。

そのため、オートファジーの働きを活性化させるためには、ある程度まとまった空腹時間を設ける必要があるのです。

オートファジーと老化との関わり

多くの動物で、オートファジーの働きは加齢とともに低下することが知られていますが、その要因はわかっていないのが現状です。

この要因を特定し取り除くことができれば、健康寿命の延長が期待できるかもしれません。実際、オートファジーがアンチエイジング作用を有することが、種々のモデル生物で示されています。

現代人はオートファジーを意識すべき

現代は「飽食の時代」と言われ、昔に比べて食べたいときにすぐに食べ物が手に入りやすくなりました。

それにより、1日に3食食べることが当たり前になっていたり、お腹が減るという感覚が来る前に食べるという方が増えています。とくに、空腹感を感じるとすぐに間食をして、朝から夜眠る前まで常に食べ物が胃にある生活を送っている方は要注意です。

このような方の内臓は、休むことなく働き続けており常に疲弊しています。疲れた胃や腸、肝臓などは働きが鈍くなってしまい、次第に食べ物の栄養をしっかり吸収できなくなり、老廃物もきちんと排出されなくなるのです。

すると、腸内環境も悪化するため免疫力が低下し、体調不良になったり病気にかかりやすくなることもあり、悪循環に陥ることになります。

このように、常に食べることは体にかなりの負担をかけていることになります。そのため、週に1回でもまとまった空腹時間を作ってあげて、内臓を十分に休ませることが重要です。

オートファジーのデメリットはあるの?

オートファジーを目指すことにデメリットはありませんが、空腹時間を設ける際の注意点や人によっては向かない方がいたりします。

間違ったやり方をすると、体調が悪くなったり肌が荒れたり、逆効果になりかねません。また、無理して空腹時間を設けると、病気を促進したり成長期に影響が出ることも考えられます。

詳しくは後半で解説しているので、ぜひ最後までチェックしてください。

 

オートファジーのメリット

体がオートファジーの働きを活性化させることで、得られる嬉しい効果をご紹介いたします。ダイエットやデトックスを行っている方、病気を予防したい方は必見です。

ダイエット効果がある

まとまった空腹の時間を設けると、体内の余分な脂肪は分解され減っていきやすくなります。

私達が食べたものは、腸管で消化吸収され、血液に乗って肝臓から全身へ運ばれます。そして、脳や筋肉、内臓などが働く際のエネルギー源として使われます。そこで、余った糖質の一部は筋肉や肝臓に蓄えられ、そこでも収まりきらなかった分は脂肪となって蓄えるのです。常に食べてエネルギーを補給し続けることは、着実に肥満につながっていくでしょう。

空腹の時間が10時間ほど続くと、肝臓に蓄えられた糖質が尽きるため、体は脂肪を分解してエネルギー源に変えようとします。脂肪が分解されることで、体重が減っていき見た目にも変化が現れてくるでしょう。

老けにくくなる

オートファジーによって細胞の生まれ変わりを促進することで、同年代の人達より若々しい脳と体を保つことができます。

老化の原因として考えられているのは、活性酸素、慢性炎症、遺伝子レベルによるものなど、さまざまな説がありますが、細胞分裂が深く関わっているとされています。

体を作っている細胞1つ1つは、常に細胞分裂を繰り返し新しい細胞を作り出すことで若さを保っています。ですが、人の一生において細胞は無限に分裂できるわけではありません。一定回数分裂した細胞は、それ以上分裂できなくなってしまうのです。

新しい細胞が作れなくなると、筋力が弱くなってきたり、炎症やキズの回復が遅くなったりします。また、新しい髪の毛や皮膚が作れなくなり、抜け毛、薄毛、シミ、シワ、たるみなどが起こってきます。

これらが、いわゆる「老化」と呼ばれる現象の正体です。これを防ぐために、オートファジーが効果的なのです。

病気になりにくい体になる

オートファジーによって細胞が新しく生まれ変わることで、体にとって不要なものや老廃物が一掃され、細胞や組織器官が活性化し、病気になりにくく若々しい体になることができます。

まとまった空腹の時間を作ると、内臓は休憩を取れるため、日頃の働きによって溜まった疲れがリセットされ、しっかり動いてくれるようになります。そのため、下痢や便秘などのお腹の不調、アレルギーや体調不良などの改善も期待できます。

 

オートファジーのやり方

体がオートファジーの働きを活性化させるために、継続しやすく効率の良い方法をお伝えいたします。

「16時間断食」がおすすめ

仕事をしている方や学生さんでもやりやすいのは、16時間は何も食べず空腹の時間を設ける「16時間断食」です。

1日(24時間)に摂る食事を「8時間」の範囲に収め、それ以外の16時間は水分以外は何も摂取しないようにします。夕食から朝食までの間を16時間空けるといえばイメージしやすいでしょう。

ただ、必ずしも夕食から朝食の間である必要はなく、1日のうち16時間は胃に食べ物を入れないようにすれば大丈夫です。断食といっても、1日に必要なエネルギーはしっかりと確保して良いので、耐えられないほどの空腹感に苛まれることもなくオートファジーの働きを活性化させることができます。

仕事や学校などの日常生活は普段通りにできますので、ライフスタイルを大きく変化させる必要もありません。筋力など体力の低下を伴うこともなく、十分に内臓を休ませることができます。

16時間断食のスケジュール

16時間断食をする場合は、自分のライフスタイルに合ったスケジュールを組みましょう。

朝は家にいる主婦の方などは、朝食を抜いて11〜13時の間にランチを食べ、午後の15〜16時にナッツなどの間食を摂り、18〜19時に夕食というパターンがやりやすいかもしれません。それ以外の時間帯は、水やお茶などの水分以外は摂取しないようにしましょう。

体力を使う仕事をしている方、スポーツをする方は、朝食を抜いてしまうとエネルギーが持たないこともあると思います。その場合は朝食を食べ、遅めのお昼を食べて、夜は水かお茶だけを口にするスケジュールが良いでしょう。

夜にディナーの約束があったり、遅くまで飲み会があった日などは、翌日たっぷりと胃を休めるなどして自分なりに帳尻を合わせれば大丈夫です。

実践するうえで意識すべきこと

8時間の間であれば好きなものを食べて良いのですが、暴飲暴食はしないようにしてください。とくに、以下のものはなるべく控えてあげると、オートファジーの効果を最大限引き出せます。

  • 甘いお菓子、ジュース
  • 古い油を使った揚げ物
  • インスタント食品
  • ファストフード
  • アルコール

食事は、新鮮な野菜や果物、良質なお肉や魚、きのこや海藻類、豆類などをバランス良く食べるのが望ましいです。同時に、良質なアブラを摂ることを意識してください。

サラダにはオリーブオイルやえごま油をかけて食べ、料理の際にはココナッツオイルやギーを使うようにしましょう。健康を損なう原因になりうる、植物油や古い油は使わないでください。

https://healthexpert.jp/preventive-medicine/uncategorized/807/

 

オートファジーの注意点

オートファジーを目指して空腹時間を設ける際に、注意すべきことがいくつかあります。間違ったやり方をすると、体調が悪くなったり効果が出ない場合もあるのでチェックしてください。

水をたっぷり飲む

空腹時間を意識して確保しているときは、1日に2〜2.5ℓのお水や白湯は飲むようにしましょう。コーヒーは利尿作用があるため、摂った水分は尿として体外へ排出されてしまので水分量としてカウントしないように注意してください。

甘いペットボトル飲料や野菜ジュースを飲むのもNGです。このような砂糖を多量に含んだ飲み物は、急激な血糖値の上昇を招き、インスリンが過剰に分泌されます。インスリンは脂肪燃焼を抑制させるため、オートファジーによる効果を得られなくなってしまいます。

水分補給は、なるべく水か白湯を選び、たまにお茶やハーブティを飲むようにしましょう。

睡眠は十分にとる

睡眠と食欲には密接な関係があります。胃腸から分泌されるホルモンの「グレリン」は食欲を増進し、脂肪細胞から分泌されるホルモンの「レプチン」は食欲を抑制する作用があります。

睡眠が不足するとグレリンが増え、レプチンが減少するため、食欲が増進し空腹中の食に対する飢餓感を強めてしまいます。そのため、1日7、8時間の睡眠時間を確保して、しっかり休むことが望ましいです。

そして、なるべく就寝時間に近い食事は控えましょう。睡眠中に、内臓が食物の消化に専念しなくてはならなくなります。これは睡眠の質の低下と睡眠不足を招きます。そのせいで、睡眠中の脂肪燃焼効果や、細胞の修復といった様々な健康効果が犠牲になってしまいます。

空腹状態のキープに向かない人の特徴

空腹状態を一定時間保つことに向かない方もいます。以下に当てはまる方は、オートファジーを目指すよりも、自分に適した栄養の摂り方を優先しましょう。

  • 妊娠中や授乳中の方
  • 新生児や乳幼児
  • 成長期の子供
  • 1型糖尿病の方
  • 摂食障害のある方
  • 重度の低体重の方
  • 過激な種目の運動選手
  • 持病があり複数の処方薬を服用している方

また、女性が月経中に行う場合は、常に以下のような症状に留意することを忘れないようにしてください。

  • エネルギーが低下している感覚はないか
  • 頭がボーッとしていないか
  • 気分のムラはないか
  • 不眠になっていないか
  • 寒気はしないか
  • 脱毛の症状などは出ていないか
  • 心臓不整脈になっていないか
  • 生理不順はないか

もし体の変化を感じたら、すぐに中止してご自身の体調を優先してください。

 

まとめ

オートファジーは、細胞レベルから生まれ変わって健康になりたい人、美しくなりたい人にとってさまざまな恩恵をもたらしてくれるものです。

ただし、効果を得たいからと無理をし過ぎたり、間違った方法で行うと逆に健康と美を損なうことになってしまいます。必ず注意点を守り、ご自身の体調を見ながら正しく継続して、細胞から健康な体を目指してください。

この記事の監修者

田中 康規 麻酔科医/ヘルスコーチ

 
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