2024.03.24

食事・栄養

人工甘味料の悪影響と危険度ランキング|安全な甘味料も紹介

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玉井 基弘

歯科医師/ヘルスコーチ

ついつい手がのびる甘いもの。スイーツが好きな方も多いはず。しかし、「甘いものって、体に悪そう」というイメージをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

実は「甘味料」にも色々な種類があります。体への影響を考えたときに、良いものもそうでないものもあるというのが現実です。

今回は甘さの鍵となる「甘味料」についての内容をお届けします。

人工甘味料について

「甘味料」とは、食べ物に甘みをつけるために使われる調味料のこと。日本の食品衛生法では、これらの甘味料は、食品添加物に分類されます。

私たちに身近な甘味料といえば砂糖をイメージする方も多いと思いますが、実は「甘味料」にも色々な種類があるのです。では、どのような種類があるのか見ていきましょう。

甘味料の種類

甘味料は、大きく分けて「糖質系甘味料」と「非糖質系甘味料」の2つに分けられます。そして、そのほとんどが糖質です。

糖質系甘味料には、砂糖、澱粉由来の糖、その他乳糖等の糖、糖アルコールがあります。一方、非糖質系甘味料は、「天然甘味料」と「合成甘味料」に分類されます。

天然甘味料は、植物の葉や果実などに含まれる甘味成分を抽出して作られたものであり、合成甘味料は、化学合成によって人工的に作られたもののことを言います。

人工甘味料とは?

「人工甘味料」は、主にダイエット飲料や減糖コーヒー、ガムや​​​​錠菓などの菓子類に使用されている自然に存在しない人工的に合成された甘味料のことをいいます。人工甘味料は、砂糖と同様の1g当たり4キロカロリー。しかし、甘味度はなんと砂糖の数百〜数千倍!少量でも強い甘みを感じるという性質があります。

そのため、摂取カロリーを抑えたり、血糖値の上昇を抑制する効果が期待されており、肥満や糖尿病の予防や治療に有用な可能性があると言われています。

しかし、一方では、味覚刺激や腸内環境の変化を介して糖代謝に影響することが考えられており、メリットだけではなさそうです。

人工甘味料の種類と摂取許容量

現在日本で使用許可が出ている人工甘味料は、以下の6種類。そして、それぞれに特徴や摂取許容量があります。

種類 甘さ
(砂糖との比較)
特徴 1日摂取許容量
(mg/体重/日)
サッカリン 300〜500倍 食品添加物に指定され、使用料が制限されている 3.8
アスパルテーム 約150倍 特有の後味がある
酸に弱く、炭酸飲料の中などでは次第に味がなくなる
40.0
アセスルファム
カリウム
約200倍 少し苦味がある
熱や酸に強く、炭酸飲料から焼き菓子まで使われる
15
スクラロース 約600倍 味が砂糖に似ている
熱や酸に強く、炭酸飲料から焼き菓子まで使われる
15.0
ネオテーム 7,000〜13,000倍 無臭
あるコール類に溶けやすく、水にやや溶けにくい
1.0
アドバンテーム 14,000~48,000 倍 甘味質は苦みや雑味を伴わずクリア
甘味の発現が遅く長時間持続
5.0

 

人工甘味料が使われている食品は?

それぞれの人工甘味料の種類ごとに、食品の例をご紹介いたします。お買い物の際、ぜひ参考にしてください。

アセスルファムカリウム

食品例:砂糖代替食品、菓子、アイスクリーム、清涼飲料水、アルコール飲料、漬物、つくだ煮 など

商品情報出典:Amazon

サッカリン・サッカリン ナトリウム

食品例:漬物、粉末清涼飲料、魚介加工品、醤油、つくだ煮、煮豆、ビン詰、缶詰 など

商品情報出典:Amazon

スクラロース

食品例:飲料、菓子、ガム、アイスクリーム、ジュース、ベーカリー、アルコール飲料、砂糖代替品(お茶などに使用) など

商品情報出典:Amazon

ネオテーム

食品例:ダイエット飲料、ヨーグルト、ケーキ・キャンディ・ガムなどの多種多様な菓子類 など

商品情報出典:Amazon

 

人工甘味料に発ガン性はあるの?

人工甘味料の中でも、発ガン性があると言われるものについて解説していきます。

アスパルテーム

2022年に発表された研究結果によると、人工甘味料の摂取量が多い人は人工甘味料を摂取しない人に比べてがんと診断されるリスクが高いことが分かっています。また、人工甘味料の種類別にみたときに最も発がん性が高いという結果が出たのがアスパルテームです。中でも特に乳がんのリスクが上昇することが分かっています。

そして、アステルパームは2023年7月に「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」IARCグループ2Bに分類されました。これは、国際がん研究機関(IARC)、WHO、国際食糧農業機関(FAO)の食品添加物合同専門家委員会(JECFA)により発表されたものです。

発がん性分類は4つに分かれており、以下のように分類されています。

グループ1:ヒトに対して発がん性がある
グループ2A:ヒトに対しておそらく発がん性がある
グループ2B:ヒトに対して発がん性がある可能性がある
グループ3:ヒトに対する発がん性について分類できない

アスパルテームはグループ2Bに分類されましたが、今後の更なる研究が必要とされ1日の摂取許容量の見直しなどは行われていません。

アセスルファムK

上記のアステルパームに次いで発がん性があると考えられているのが、アセスルファムKです。アセスルファムKは、発がん性が13%上昇していることが分かっており、これはアスパルテームの15%上昇の次に高い数字となっています。

食品を購入する際は成分表をチェックして、できる限りこれらの人工甘味料を摂らない選択をすることが大切ですね。

他にも身体に悪影響はあるの?

人工甘味料が私達の身体にどのような弊害をもたらす可能性があるかについて解説していきます。

甘さに対する依存性が高い

人工甘味料の味覚に及ぼす生理的な反応が摂食行動に影響を及ぼす可能性があり、さらに血糖値が上昇しないため、脳の反応を介して摂食行動が促進され、太りやすくなる可能性もあるとされています。

人工甘味料の強い甘味に慣れてしまうと、甘味に対する感覚が鈍くなってしまいます。そのため、もっと甘いものを欲したり、より甘いものを欲するようになるのです。さらに、コカイン以上の中毒性があると言われています。

人工甘味料への「依存性」「中毒性」は、1番の悪影響と言っても過言ではありません。

腸内環境が悪化する

近年「腸活」が流行ってる裏側には、腸内環境を整える事により、心身共に良い効果が期待できるという背景があります。その腸内環境に大きく関係するのが腸内細菌叢なのですが、人工甘味料がその腸内細菌叢に影響するということが分かっています。

人工甘味料のひとつであるサッカリンでは、耐糖能(血糖値をコントロールする能力)の悪化がみられ、アスパルテームでも、腸内細菌叢に変化が現れ耐糖能異常に影響を与えている可能性が示唆されました。

心身の健康のためには、腸内細菌叢の多要性も大切な要素のひとつです。そう考えると、腸内環境の悪化に伴う健康被害をもたらす可能性が十分にあることが考えられます。

肥満や糖尿病に関係している

人工甘味料自体には血糖値を上げる性質はありません。しかし、肥満糖尿病の原因になると考えられています。

実は、血糖値が上昇しないという性質があることにより、エネルギーの恒常性が崩れてしまうため。脳の反応を介して摂食行動が促進され、むしろ太りやすくなってしまうのです。

また、上に記した人工甘味料への「依存性・中毒性」が、甘味に関連した糖質の摂取を促す可能性も。さらに、腸管での甘味の感知が、糖の代謝に影響を与える可能性も示唆されています。

ある研究結果でも、人工甘味料が含まれている飲料水を定期的に飲んでいる人は、そうでない人に比べて糖尿病の発症率が1.7倍高かったというデータも。

ダイエット飲料や、カロリーゼロ、低カロリー、糖質0などの文言に魅力を感じても、実はその言葉の裏には恐ろしい健康被害が待っているかもしれません。知らないということは、自分の健康を脅かすことにも繋がるのです。

【コレだけは避けて!】危険な糖質|生活習慣病や肥満との関係を解説

 

人工甘味料危険度ランキング

少量で強い甘味を得られる人工甘味料。低カロリーや、糖質ゼロなど、一見嬉しい調味料のように感じられますが、実は体に悪影響を及ぼすことが分かりましたね。

ここからは、特に避けたい人工甘味料をランキングでご紹介いたします。

第1位 アスパルテーム

アスパルテームは現在でも安全性・危険性に関して最も論争がある人工甘味料の一つです。過去のラットでの実験結果では、リンパ腫と白血病が増加したという報告も。アスパルテームは天然には存在しない化合物で、体内で代謝されたときにフェニルアラニンやアスパラギン酸、メタノールに分解されます。

過剰なフェニルアラニンやアスパラギン酸は、別名幸せホルモンと言われるセロトニンやドーパミンなどを作るためのホルモンが脳に送られるのを阻害します。そのため、鬱症状を起こす原因になる可能性も。

第2位 アセスルファムK

アステルファムKは分子量が小さく消化されず吸収され、体内ではほとんど代謝されず尿中に排泄されます。そのため、カロリーはゼロ。しかし、消化管で消化されないため、肝臓や腎臓への負担が大きくなってしまいます。また、体にとっては異物として捕らえられ、頭痛アレルギーの原因になったり、早く排出しようとして下痢腹痛をきたす可能性も。

その他、米国の研究チームが妊娠・授乳中のマウスにアステルファムKを与えたところ、胎盤・母乳を介して子マウスに移行するということが明らかに。また、人工甘味料を摂取許容量の倍量摂取した母マウスは代謝変化が非常に大きく、子マウスへの影響も示唆されたそう。

このような結果から、特に妊娠・授乳中の摂取は量を気にしたいところですね。

第3位 スクラロース

スクラロースの代謝産物は脂肪組織に蓄積されます。また、糖尿病に関係するインスリンの分泌を亢進させ、さらに腸管から糖の吸収を速進する働きも。結果として、肥満糖尿病に関係する人工甘味料だと言えます。

さらに、実はスクラロースには1分子当たり有毒な塩素が3つ含まれています。そして、138度を超えて加熱すると有毒な塩素ガスを発生するとされています。スクラロースは「有機塩素化合物」であり、食品添加物として許可されているのはスクラロースただひとつだけです。

第4位 サッカリン

サッカリンは、世界で最初の人工甘味料です。1960年代にラットを用いた動物実験により、膀胱がんのリスクが高まるとされ多くの国で禁止になったという背景があります。その後、サッカリンの発がん性は否定され再び使用されるようになりました。しかし、未だにサッカリンに対するネガティブなイメージが残る日本では、比較的使用されている食品や製品は少なめです。

発がん性が否定されたサッカリンですが、腸内のバランスを崩すことや、血糖値のコントロールができないという耐糖能異常が起こることが分かっています。

 

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安全な甘味料をご紹介!

人工甘味料が、いかに私達の体に悪影響を及ぼすか分りましたね。しかし、これらの人工甘味料は当たり前のように私達の生活の中に溢れています。

せめて自分が手に取るものには気をつけて過ごしていきたいですね。ここからは、安心して使っていただける甘味料をご紹介していきます。

ラカンカ(羅漢果)

羅漢果とは、中国の広西省桂林周辺にしか存在しない植物で、「不老長寿の秘薬」「神の果物」と呼ばれている果実。砂糖の400倍以上の甘味成分があるにも関わらず、小腸で吸収されないためほぼノンカロリー。

甘味成分は、「テルペングリコシド配糖体」というもの。抗酸化物質でもあるため、健康や美容にも良いとされています。

また、血糖値の上昇も砂糖に比べて緩やかであり、糖尿病の方も安心して使うことができる甘味料ではないかと考えられます。

ステビア

ステビアは、南アメリカ原産のキ科ステビア属の多年草の葉の部分に含まれる甘味成分を抽出精製してできた天然甘味料。ステビアに含まれる甘味成分は、ステビオシド、レバウディオシドAなどのステビオール配糖体。

甘味に加え、ステビオシドと関連する化合物は、抗高血糖、抗高血圧、抗炎症、抗腫瘍、抗下痢、利尿、および免疫調節効果があるため、治療上の利点も提供する可能性があると考えられています。

また、上記の甘味料と同様に、急激な血糖値の上昇もないため、糖尿病の方でも安心して使うことができる甘味料です。

カンゾウ(甘草)

甘草は漢方薬としても使用されている生薬のうちのひとつです。甘草は、マメ科カンゾウ属の植物で根や根茎を乾燥させたもの。​​甘草の甘味成分は、グリチルリチン、ブドウ糖、ショ糖などで、抗炎症抗アレルギー胃粘膜障害抑制などの様々な薬理作用が報告されています。

さらに、虫歯菌に対して抗菌活性を持つイソフラボン類が単離されたそう。そのため、虫歯にもなりにくい可能性が。

はちみつ

はちみつとは、ミツバチが花から集めた蜜を巣の中で加工・貯蔵したものを言います。ミツバチが採取した植物により味や色が異なります。はちみつは、約80%の糖質、約20%の水分、その他ビタミン、ミネラル、たんぱく質などの栄養素が豊富で、すぐにエネルギーとして使うことができます。

注意点としては、1歳未満の赤ちゃんがはちみつを食べることにより乳児ボツリヌス症にかかることがあるため、はちみつは1歳未満の赤ちゃんには与えないようにしましょう。

また、販売されているはちみつには、天然のはちみつとそうでないものがあります。天然のものは、冷蔵庫や温度が低いところに置いておくと固まりますが、他のものが混入しているものは固まりません。購入するときには成分表をチェックしましょう。

オリゴ糖

オリゴ糖は、腸内環境を整える役割をする善玉菌のエサになる成分です。また、虫歯の原因になりにくいというメリットや、小腸で吸収されにくいことから急な血糖値の上昇が起こりにくいという特徴があります。

摂り過ぎることにより、下痢を起こしたりお腹が張ったりすることがあるため、自分自身のお腹やお通じの状況をみて少量から摂るようにしましょう。

キシリトールは安全なの?

キシリトールは通常、副作用が少ないとされていますが、大量摂取すると下痢お腹の張りのような症状が引き起こされる可能性があります。これは、糖アルコールが腸に水分を引き寄せたり、腸内細菌によって発酵が起こるためです。

歯科業界では有名な話で、特に子供のキシリトール摂取には注意が必要とされています。ガムの食べ過ぎなどは控えるようにしましょう。

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出典:POSSIM

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まとめ

私達の生活に溢れている様々な甘味料。健康被害をもたらす可能性のあるものから、嬉しい効果が期待できるものまでさまざまです。

私達の体は、「食」と切っても切り離すことができません。何を選び、何を摂るかがとても大切です。聞き慣れない言葉も多いと思いますが、甘味料を選ぶ際の手引きになれば嬉しいです。

参照:
櫻井勝.人工甘味料と糖代謝.砂糖類でんぷん情報.2017,P 48-51
澤田崇子.瀬戸美江.道免亜登夢.羅漢果の呈味特性と有効性.日本調理科学会研究発表要旨集..2008

この記事の監修者

玉井 基弘 歯科医師/ヘルスコーチ

 
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