2024.05.23

食事・栄養

インド原産のハーブ「アシュワガンダ」|気になる効果や摂取方法

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竹内 久美

産婦人科医/ヘルスコーチ

アシュワガンダというハーブをご存知ですか?アシュワガンダとは、インドが原産のハーブです。アシュワガンダは、インドの医学である「アーユルヴェーダ」で古くから用いられてきたハーブであり、色々な効果が期待されています。

今回は、アシュワガンダ というハーブについてご紹介していきます。

アシュワガンダの基本

まずは、アシュワガンダがどのようなハーブなのかについてご紹介していきます。

アシュワガンダとは

アシュワガンダとは、インド、中東、アフリカの一部に育つ小さな常緑灌木です。植物学名は、withania somniferaと呼ばれ、インドニンジンやウインターチェリーとしても知られています。また、地中海沿岸地方で古くから栽培され、その根は睡眠薬として利用されてきました。植物学名の「somnifera」には、「催眠性の」という意味があります。

アシュワガンダの成分

アシュワガンダの有効成分は、ウィザノリド(ウィタノリド)類として知られています。ウィザノリドとは、天然に存在するステロイドであり、抗炎症作用を始めとして、ストレスに対する抵抗性を高める効果や疲労回復、免疫力の向上にも役立つとされています。

さらに、アルカロイド、ステロイドラクトン、サポニン、鉄といった多くの成分が含まれています。

 

アシュワガンダの効果効能

アシュワガンダ に含まれる上記の成分は、炎症を軽減し、中枢神経系をリラックスさせることが示されています。しかし、一方でまだ人を対象にした試験による確認はできていない状態です。ここからは、具体的な効果の可能性について解説していきます。

ストレスや不安の軽減

ストレスに大きく関係するホルモンは、コルチゾールです。コルチゾールは、全身の筋肉に血液を回し、心拍数や血圧を上昇させる作用があります。

アシュワガンダは、アダプトゲンのうちのひとつに分類されています。アダプトゲンとは、身体のストレスの対処を助けると言われている特定の食物やサプリメントを表す用語です。そして、アシュワガンダには、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制し、リラクゼーションを促進する作用があると言われています。

アダプトゲンには、アシュワガンダ以外にゴツコラ、ホーリーバジル、マカなどがあり、多岐にわたります。しかし、数多くあるアダプトゲンの効果を裏付ける研究は困難であり、ストレスという言葉の定義もあいまいであることから、確実な科学的根拠が見出されていない状態です。

睡眠の質の向上

不眠症の原因や不眠症状は、色々なものがあります。アシュワガンダには、中枢神経系をリラックスさせる作用があります。中枢神経系がリラックスしている状態は、副交感神経が優位になっている状態です。この状態は睡眠の導入に適した状態です。

考え事で頭がいっぱいで眠れない、色々なことが気になって落ち着かない、などの理由でなかなか寝付けないタイプの人には効果的でしょう。もちろん、睡眠を妨げる要因は多岐にわたるため、全ての方に当てはまるとは限りません。

血糖値を下げる

アシュワガンダは、インスリンの分泌を増加させることで血糖値を下げる働きを持っているとされています。また、アシュワガンダに含まれるサポニンという成分もまた、炭水化物の分解と吸収を阻害し、血糖値の上昇を抑える作用を持っています。そのため、血糖値を下げる薬と併用すると血糖値が下がりすぎるリスクがあります。

免疫機能の向上

アシュワガンダは、免疫系を活発にする作用があると考えられています。そのため、感染症への抵抗力を高めたり、アレルギーを緩和したり、低下した免疫システムを活性化したりすることができるとされています。動物を用いた研究においても、免疫調節の活性が認められています。しかし、人においては研究がなされておらず確認はできていません。

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副作用や注意点

実際にアシュワガンダを摂ろうと思ったとき、気になるのが取り入れ方や副作用、禁忌などですよね。アシュワガンダには、控えた方がいい人もいます。最後は注意点などについてご紹介していきます。

摂取方法

アシュワガンダは、主に根の部分のハーブです。国内では「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)」に区分され、食品にすることは認められていません。そのため、摂る際にはカプセルや錠剤、粉末のサプリメント、ハーブティーという状態になります。粉末の場合、軟らかい食品に混ぜて一緒に摂ることも可能です。

副作用

安全性としては、最長で3ヶ月間の継続摂取が可能だと考えられています。推奨摂取量などについては明らかにされていませんが、多くのアシュワガンダを含む製品は、約200〜300mg1日1〜2回摂取することを推奨しています。しかし、アシュワガンダを含むサプリメントはFDAによる規制がありません。そのため、製品により推奨量が異なる可能性があります。

副作用としては、大量に摂取することにより消化器系を刺激することがあり、胃の不調、下痢、嘔吐などの症状や頭痛、まれに肝臓の問題を引き起こすことがあるとされています。

摂らない方が良い人

アシュワガンダは、人を対象とした質の高い研究が確認されていません。そのため、副作用を上回る有益性が確認されていない状態です。特に、以下に当てはまる方は摂取しないことや、医師への相談がおすすめです。

・血糖値を下げる薬を使用している人
・血圧を下げる薬を使用している人
・免疫抑制剤を使用している人(ゾルピデム、​​エスゾピクロン、クロナゼパム、クエチアピン、ロラゼパムなど)
・甲状腺ホルモンを服用している人
・妊娠している人
・胃潰瘍の人
・肝疾患の人
・授乳をしている人

原産地

アシュワガンダは、ナス科のインド原産の低木です。成長して高さが1.5mほどになります。インド以外にも、カナリア諸島から南ヨーロッパ、アフリカ、中国にかけて分布し、約20種類の原種があります。多くのアシュワガンダは、大気や土壌汚染が懸念されているインドで栽培されています。そのため、安全性を考え汚染検査が行われているものを選ぶのが良いでしょう。

日本国内でも、数カ所で栽培がされているようです。国内でアシュワガンダを栽培している農園は、無農薬栽培を取り入れているところが多い傾向があります。

 

まとめ

色々な効果が期待されているアシュワガンダですが、現時点では、まだ人における効果が確認できていないことが多いようです。これから色々なことが確認されるのを楽しみに待ちたいところですね。また、健康や美容を目的として色々なものを試したくなるとは思いますが、選択する際は効果や安全性などを自身の責任で選ぶということを大切にしましょう。

参照:
1.M Ziauddin 1, N Phansalkar, P Patki, S Diwanay, B Patwardhan.Studies on the immunomodulatory effects of Ashwagandha.J Ethnopharmacol.1996 Feb;50(2):69-76. doi: 10.1016/0378-8741(95)01318-0.
2.R Agarwal 1, S Diwanay, P Patki, B Patwardhan.Studies on immunomodulatory activity of Withania somnifera (Ashwagandha) extracts in experimental immune inflammation.J Ethnopharmacol.1999 Oct;67(1):27-35. doi: 10.1016/s0378-8741(99)00065-3.

この記事の監修者

竹内 久美 産婦人科医/ヘルスコーチ

 
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