2024.10.15

デトックス

デトックスのやり方は?|腸内環境を整える生活習慣や食材も紹介

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高橋 瑞季

心療内科医

デトックスと聞くとどんなことをイメージしますか?なんとなく「デトックスは体の溜まった悪いものを流すこと」だという認識を持っている方も多くいらっしゃると思います。デトックスは、解毒を意味する「detoxification」を短縮した呼び方です。そして、このデトックスは、腸内環境と切っても切り離せない関係があります。

今回は、デトックスのやり方や、デトックスを成功させるための秘訣についてご紹介していきます。

デトックスの基本

まずは、デトックスという言葉を理解するために、デトックスとはどのようなことを意味するのかについて説明していきます。

デトックスとは

デトックスとは「Detox」と書き、英語のdetoxificationの略語で「de(否定)」+「toxicus(毒の)」に由来し生まれた言葉です。主に「解毒」を意味し、体の中に蓄積した不要な老廃物や毒素を排出することをいいます。

一般的には、健康法のひとつとして認識されており、食事内容に気を付けたり、たくさんの水分を摂ること、サプリメントやクレンズジュースなどを使うなどの様々な方法が謳われています。一方で、不適切な食事制限や過度の水分摂取は他の健康問題を誘発する恐れも懸念されています。また、これらのデトックスの方法は医学的な意味がないと考えられているというのも事実です。

デトックスが必要な毒素

デトックスにおける「毒素」といわれているものには以下のようなものがあります。毒素が体内に停滞すると、様々な症状を誘発すると考えられています。

【老廃物】
飲食物の栄養素が体内で代謝され不要になったものなど。
乳酸、尿酸、アンモニア、クレアチニン など

【有害ミネラル】
有害金属とも呼ばれる有害なミネラルの総称。
アルミニウム、ヒ素、カドミウム、水銀、鉛 など

【有害化学物質】
環境を経由して人または動植物に有害な作用を及ぼす化学物質。
大気汚染防止法、水質汚濁防止法、化学物質審査規制法、ダイオキシン類対策特別措置法などで指定されたもの。

毒素による不調

毒素が体内に停滞すると、以下のような症状が現れる可能性があると考えられています。

【体の不調】
便秘、下痢、むくみ、冷え性、肌トラブル、肩こり、倦怠感、疲労感、頭痛、食欲不振、風邪を引きやすくなる など

【心の不調】
不眠、気持ちの落ち込み、情緒不安定、イライラする など

 

デトックスは腸内環境が鍵

医学的には意味がないと考えられているデトックスですが、「排泄」に大きく関わる腸内環境という点で考えると、腸内環境を整えることでたくさんのメリットがあるというのも事実です。ここからは、切っても切り離せない腸内環境とデトックスの関係について解説していきます。

デトックスと腸内環境の関係

デトックスと聞くと、多くの人が排泄をイメージすると思います。私たちの体にはいくつかの排泄経路があります。便、尿、汗、毛髪などの形として体外に排出され、その割合は、便が最も多く75%を占めています。次いで、尿が20%、汗が3%、毛髪・爪が1%と言われています。

つまり、私達の体の中で排泄に最も関わる臓器は「腸」であり、「排便」という行為は、私達が健康に生きていくためにとても重要な役割を担っていると言えます。そして、スムーズな排便のためには、腸内環境がとても大切になってくるのです。

デトックスによる効果

では、排泄の機能が良くデトックスがスムーズにできている状態だと、どのようなメリットがあるのでしょう。

肌荒れ予防・改善

多くの方が便秘は美肌の大敵だと知っている通り、腸内環境と肌質には大きな関わりがあります。便秘が続くと、腸内で悪玉菌が増殖します。そして、その悪玉菌は体内に有害なガス等の毒素を発生させます。それらは血液を介して全身に運ばれ、結果として様々な肌トラブルの原因になってしまいます。

反対に、腸内環境が改善されると肌質が改善され、肌の透明感や化粧のりの改善、さらに肌の水分量、弾力の改善が期待できます。中でも、腸内環境の鍵を握る腸内細菌のエサとなる水溶性食物繊維であるイヌリンという成分が有効です。

むくみ予防・改善

便秘の(毒素が溜まっている)時は、自律神経の乱れが起きていることが多く、血流が悪くなりがちです。交感神経が優位になると、血液やリンパの流れが滞り、腸の動きが悪くなってしまいます。そのため、余分な水分が体に停滞し、むくみになってしまうことも。反対に、副交感神経が優位になると、血流の状態が良くなるため冷えの予防になったり、腸のぜん動運動も活発になります。結果として、水分や老廃物の排泄がスムーズに行われるようになります。

交感神経と副交感神経の切り替えを上手にするためには、自分なりのストレスケアの方法を持っておくのがおすすめです。深呼吸や入浴、ストレッチなどで心身の緊張を解いてあげることも良いでしょう。

すっきり気持ちが前向きになる

「脳腸相関」という言葉があり、自律神経やホルモンを介して、脳と腸がお互いに密接に影響をし合っているということが分かっています。腸内環境は、ストレス応答やメンタルヘルスの病因に関しても重要な役割を担っています。うつ病と腸内細菌の関係も明らかになりつつあり、特にうつ病患者には腸内の善玉菌が少ない人が多い傾向があることや、習慣的に日本食を食べている人ほど抑うつ症状を有する人が少ないという関連も認められています。

これらのことから、腸内環境が悪化することでメンタルヘルスに悪影響を及ぼし、反対に腸内環境が改善することでメンタルヘルスに良い影響があると考えられます。

 

デトックスの方法

最後は、日常生活に取り入れることができるデトックスの方法をご紹介していきます。

水分補給を意識する

体にとって不要なものを外に出すためには、水分を摂ることが大切です。水分は汗や尿となり、毒素や老廃物と共に体の外に排出されます。

気を付けたいのは、どのような水分を摂るかということです。ジュースやスポーツドリンクなどの飲料には人工甘味料保存料が含まれています。また、カフェインが多く含まれるお茶などの飲料は利尿作用があるため、体の水分を補うという点では適切ではありません。体の水分補給やデトックスを目的とした水分は、冷た過ぎない水が良いでしょう。また、水分を摂るときは一度にたくさんの量を摂るのではなく、こまめに摂るのがおすすめです。

食べ物に気をつける

排泄の75%は排便からです。つまり、腸内環境が良くなければデトックスはうまくいきません。良い腸内環境とは、腸内細菌のバランスが「善玉菌:2、悪玉菌:1、日和見菌:7」の割合です。そしてそのためには、善玉菌を体に取り入れること、菌のエサとなるものを摂ることが大切です。

菌を取り入れる

菌を取り入れるためには発酵食品がおすすめ。一度取り入れても、長く定着することはないため、毎日少しずつ取り入れることが大切です。

発酵食品:
味噌、醤油、納豆、漬物、キムチ、ヨーグルト、チーズなど

菌のエサとなるもの

菌のエサとなるのは、水溶性食物繊維とオリゴ糖です。

水溶性食物繊維:
キノコ類、海藻類、大豆製品、穀類、オクラ、キャベツ、大根、キウイフルーツなど

オリゴ糖:
玉ねぎ、さとうきび、キャベツ、ごぼう、アスパラガス、バナナ、りんご、はちみつなど

運動を習慣にする

汗からの排泄は、3%と決して多くありません。しかし運動は、筋肉を刺激して全身の血行を良くし、腸と密接な関係にある自律神経を整えるため、便通をよくする効果を期待できます。また、心地よく続けることのできる強度の有酸素運動は、副交感神経が優位になりリラックス効果を得ることができます。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、ヨガ、ストレッチなどの有酸素運動を30分程度するようにすると良いでしょう。

運動習慣のない方は、出かける時の交通手段を変えたりウィンドーショッピングに出かけたりなど、歩く頻度を増やすといった工夫から始めてみてもよいかもしれませんね。

質の良い睡眠を心がける

実は、腸内環境と睡眠にも大きな関わりがあります。睡眠の質の低下や睡眠不足になると、交感神経が優位になります。その結果として、腸の動きが悪くなり腸内環境が悪化してしまいます。反対に、腸内環境を整えることが睡眠の改善に役立つ可能性も考えられています。睡眠不足はメンタルヘルスにも不調を来すため、睡眠の面から見ても腸内環境を整えることは有効ですね。

睡眠のサイクルを整えるためには、朝起きて朝日を浴びることや、寝る前にブルーライトを浴び過ぎないようにすることが大切です。

デトックス効果のある食材を選ぶ

腸内環境を整える食材を摂るのと同時に知っておきたいのが、デトックス効果があるとされている食材を意識して摂ることです。

セロリ

セロリに含まれるカリウムは、利尿作用があり、過剰な塩分や水分を排出する働きがあります。また、その他に血液をサラサラにしてくれるビタミンK、抗酸化作用を持つビタミンC、そして善玉菌のエサになる食物繊維も多く含まれています。クセのある食材のため、苦手な方はトマトスープにしてしっかり煮込むと、比較的食べやすいでしょう。

キャベツ

キャベツには、抗酸化作用のあるビタミンCや胃の粘膜を保護するビタミンUという成分が豊富です。なかでも紫キャベツは、ビタミンCアントシアニンという抗酸化物質が多く含まれているため、アンチエイジングや美容という点でも効果的です。紫キャベツは非加熱で摂るのがおすすめです。お味噌汁やスープ、ちょっとした付け合わせや、ストックおかずとしてラペなどにしておくのも良いでしょう。

玉ねぎ

玉ねぎには、善玉菌のエサになる水溶性食物繊維オリゴ糖が多く含まれています。また、玉ねぎには強い抗酸化作用があり、アンチエイジングや生活習慣病の予防にも効果的です。抗酸化物質であるケルセチンは、特に赤玉ねぎに豊富です。

その他、玉ねぎには血液をサラサラにする働きや、肝臓の働きを良くする働きも持ち合わせています。肝臓は解毒の臓器として知られています。玉ねぎも、キャベツ同様に色々な料理に使いやすい野菜です。汁物、煮物、炒め物、サラダなど幅広いおかずで摂れそうですね。

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まとめ

私達が心身共に健康に過ごすためには、体にとって良いものを取り入れるだけでなく、不要になったものを排泄する力も重要です。体に良いと言われているものを色々と取り入れる前に、まずは「排泄」を意識してみることも大切ですね。健康は毎日の選択と小さな積み重ねによって作られます。今一度、自分自身の排泄について見直してみてはいかがでしょうか。

参照:
1.高橋美貴保ほか.イヌリン含有サプリメント摂取による腸内環境および排便症状や肌質に及ぼす改善効果.薬理と治療.Volume 50, Issue 5, 927 – 935 (2022)
2.功刀浩.気分障害と腸内環境.臨床精神薬理. Volume 22, Issue 11, 1045 – 1052 (2019)
3.功刀浩.食事・栄養学的側面からの女性のメンタルヘルス.女性心身医学.J Jp Soc Psychosom Obstet Gynecol.Vol. 25, No. 2, pp. 79-82,(2020 年 11 月)
4.大久保亮ほか.食・栄養と子どものメンタルヘルス.児童青年精神医学とその近接領域 59( 3 );253─259(2018)
5.入江潤一郎.睡眠と腸内細菌叢.腸内細菌学雑誌.31 : 143-150,2017

この記事の監修者

高橋 瑞季 心療内科医

 
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