フランキンセンスって何？｜心や体への作用や注意点を解説

高橋瑞季

心療内科医

みなさんは、フランキンセンスという言葉を聞いたことがありますか？アロマが好きな方は知っていたり、聞いたことがあるかもしれません。フランキンセンスは、アロマテラピーなどでも使用される精油のうちのひとつ。メジャーな精油ではないため、香りのイメージもしにくいかもしれません。

今回は、このフランキンセンスという精油を深掘りしていきます。フランキンセンスが持つ体や心への作用を知ると、きっと手に取ってみたくなるでしょう。

フランキンセンスって何？

まずは、フランキンセンスの基本的なところから解説していきます。フランキンセンスとは一体何なのでしょう。

フランキンセンスの基本情報

フランキンセンスは和名では「乳香」と呼ばれています。これは、熱帯の地域に育つ常緑低木であるカンラン科ボスウェリア属の樹脂です。樹皮に切り込みを入れると、樹液が染み出し、それが透明からミルクのような乳白色に変化するため乳香と言われています。

フランキンセンスは、中世フランス語が由来であり「franc（上質な・本物の）」「incense（香）」という語源を持っています。その他、アラビア語の「乳」が語源の「オリバナム」とも呼ばれています。

フランキンセンスは、神仏への捧げものとして古くから薫香として焚かれていました。新約聖書にも、イエスキリストが生まれた時の誕生を祝う品として、黄金、ミルラ（没薬）と共に捧げられたという逸話が記されています。また、クレオパトラがスキンケアに使用していたというのは有名な話です。

フランキンセンスの特徴

フランキンセンスが獲れる木は、3〜7mの低木で白か薄い紅色の花を咲かせます。有名な産地は、アラビア半島に位置する砂漠とオアシスが存在するオマーンという国です。フランキンセンスは、スパイシーで奥深いウッディー調の香りと表現されることが多く、この香りにより呼吸が深くなり、精神的な落ち着きや呼吸器系の不調の緩和をもたらします。また、「若返りのオイル」とも言われ、アンチエイジングなどの美容面においても様々な作用を持っています。

フランキンセンスが持つ働き

フランキンセンスには様々な働きがあり、心身共にポジティブに作用すると考えられています。ここからは、フランキンセンスがもたらす作用について具体的に解説していきます。

体への作用

呼吸器ケア

フランキンセンスに含まれる成分であるピネンやリモネンは、抗ストレス作用や抗炎症、抗アレルギー作用を持っています。中でも呼吸器系のトラブルに対し優れた役割を果たしてくれます。咳や気管支の炎症を和らげ症状の緩和が期待できます。

美肌

フランキンセンスには、酸化ストレスを抑制する作用があることが分かっています。この作用により、肌表面の細胞を保護し酸化ストレスに関連した皮膚トラブルを防ぐことができることが考えられます。一方で、濃度の高い精油を皮膚に塗った状態で日光を浴びると、光毒性というトラブルを起こす可能性も考えられるため使用する時には注意が必要です。

心への作用

抗ストレス

フランキンセンスには、ストレスを緩和する作用があると考えられています。ラットを用いた実験においてもフランキンセンスを使用することにより、ストレス状態を示す血液データにも変化が現れたとされています。また、フランキンセンスの香りにより、呼吸が深くなるだけでもストレス緩和に繋がります。交感神経が優位になっている時や寝付けないときなどは、呼吸が浅くなる傾向があります。そのため、心を落ち着けて行う儀式や瞑想のときなどにも使用されています。

睡眠改善

フランキンセンスに含まれる成分の「αピネン」という成分には睡眠を改善する作用があるとされています。特に寝つきをよくしてくれる働きがあります。

使用方法

では、フランキンセンスを生活の中で取り入れたいと思った時、どのような方法があるのかについてご紹介していきます。

お香

お香にも色々な種類がありますが、最も手軽に取り入れることができるのは「線香」です。エッセンシャルオイルなどに比べて安価で手に入れることができるため、手始めに使ってみるにはよいかも知れません。

特徴としては、火を使用するというところと、煙が出るというところです。煙が苦手だと感じる方や、ペットや小さなお子さんのいるご家庭など火の扱いや始末に対して不安がある方にはあまり向かないかも知れません。

お香を使用する際には、火の取り扱いに注意し、保管に関しては高温多湿の場所を避けるようにしましょう。

アロマテラピー

エッセンシャルオイルを使用して、様々な方法でアロマテラピーを楽しむことができます。使用方法により、作用の仕方にも変化があります。アロマを取り入れたことがない方は、芳香浴というアロマポットやディフューザーなどを使用して香りを楽しむところから始めるとよいでしょう。

その他、お風呂に数滴垂らす沐浴法、コップなどの容器に数滴垂らして口や鼻から吸入する吸入法なども良いでしょう。その他、フェイシャルスチーム、湿布法、トリートメント法、手作り化粧品などの取り入れ方もあります。

注意したいのは、エッセンシャルオイル選びです。アロマテラピーで使用するエッセンシャルオイルは、100%植物から抽出されたものです。購入する際は、成分を確認したり専門店などで選ぶようにしましょう。

サプリメント

実は、サプリメントでフランキンセンスの成分を取り入れるという方法もあります。商品名としては、「フランキンセンス」という名前がついていたり、「ボスウェリア」という名前がついていたりします。お香やアロマを焚いたりするのが手間に感じたり、効率良く成分を取り入れたい方におすすめです。

しかし、サプリメントとして販売されているものには成分や価格帯など色々なものがあります。そのため、商品を選ぶ際には安心できるところで購入するのがおすすめです。

禁忌や使用上の注意点は？

最後は、選ぶ際や使用の際に気を付けたいポイントをご紹介します。

選ぶときのポイント

色々な商品が出回っているフランキンセンスですが、以下のポイントをチェックするのがおすすめです。

・天然成分100％を選ぶ
・体に入れるものはオーガニックのものがベター
・FDA認証を受けているものを選ぶ
・添加物の使用がないものや少ないものを選ぶ

※FDA認証とは：FDAとは、食品医療品局のことです。米国FDAは、米国議会によって許可された国際的な医療審査機関で、医師、弁護士、微生物学者、薬理学者、科学者、統計学者などの専門家などによって率いられる機関です。国民の健康の保持増進に専念しているため、FDA認証を受けている商品であるということは、安全性があり適性な商品であるということを意味します。

使えない人は？

フランキンセンスは、間違った用法や容量や使用方法をしなければ、特に禁忌や注意事項はありません。しかし、妊娠初期などの敏感な時期や、植物アレルギーなどがある方は注意が必要なため、まずかかりつけ医に相談にしましょう。また、使用してみて何かしらの症状が現れた場合は、速やかに使用を止めて病院を受診することをおすすめします。エッセンシャルオイルを体に塗って使用する際は、腕などでパッチテストを行って異常がないことを確認した後に使用するようにしましょう。