2023.07.05

免疫力を高める食べ物とは?|ウイルスや病に負けない体をつくろう

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竹内 久美

産婦人科医/ヘルスコーチ

皆さんは、免疫力を高めてくれる食べ物について知っていますか?免疫力を高めるためには腸を活発化させることが重要だと言うことが、最近の研究により明らかになってきました。

とはいえ、具体的に「どのような食べ物を摂取すれば免疫力を高めてくれるのだろう」と思っている方も多いと思います。

そこでこの記事では、免疫力を高めるために摂取すべき食べ物や飲み物を中心にご紹介していきます。

免疫力について

まず、免疫力の基本概念と、免疫力を高めるにはなぜ腸を整えることが大切なのかについてご紹介していきたいと思います。

免疫力とは

免疫力とはズバリ「疫(病気)から免れる力」のことを指し、一度病気にかかれば二度とかからないか抵抗できる生体反応のことです。

例えば、インフルエンザのウイルス・病原菌などの体にとっての異物が体内に侵入すると、体の免疫システムが働き、侵入してきた異物から身体を守る防衛反応が発動されます。

言い換えれば、免疫力が低下すると、ガンやインフルエンザなどの様々な病気にかかりやすくなるということになります。そのため、免疫力を高めることは私たちの健康を維持する上で、大変重要な役割を担っているのです。

免疫力と腸の関係

近年、免疫力を高めるためには「腸活」を行うことが大切なことが、世界中の研究により明らかになるとともにさらなる解明に向けて注目を集めています。腸は口から摂取した食べ物を消化吸収する場所であるとともに、外界から体内に侵入してきたウイルスや病原菌などが棲み処となりやすい場所でもあります。

そのため、腸壁の内側には免役を司る「免役細胞」が集中しており、なんと体全体にある免疫細胞のうちの約6~7割が腸に集まっており「体内で最大の免役器官」と言われます。

つまり、この体内で最大の免役器官である腸を健康に保つことこそが、免疫力をアップするカギとなるのです。腸が健康な状態とは、腸内細菌のバランスが整った状態のことを指します。では、一体どのような食べ物や飲み物を摂取すれば、腸を健康な状態に保てるのでしょう?

https://possim.co.jp/preventive-medicine/uncategorized/786/

 

免疫力を高める食べ物・飲み物

ここからは、免疫力アップに欠かせない栄養素および食品について、項目別に解説していきたいと思います。理解を深め、日々の食生活に取り入れてくださいね。

新鮮な野菜・果物

免疫力をアップさせる方法として、細胞を傷つける活性酵素を抑制する効果のある抗酸化作用を多く含んだ栄養を摂取することが大切です。抗酸化作用のある栄養素には、ビタミンC・ビタミンE・ビタミンB群・β-カロテンなどのビタミンA群・ポリフェノールなどが挙げられます。

これらの栄養素は、主に新鮮な野菜や果物に多く含まれており、特にビタミンCは熱に弱いため加熱の必要のない果物からの摂取がおすすめです。

【ビタミンCが豊富な野菜・果物】
ブロッコリー、パプリカ、トマト、ゴボウ、大根、白菜、ほうれん草、かぼちゃ、バナナ、イチゴ、柑橘類、キウイ など

食物繊維が豊富な食品

食物繊維が豊富な食品を口にすることも、免疫力をアップさせるためには欠かせません。特に、オクラやモロヘイヤなどのヌルヌルした野菜・海藻類・こんにゃくなどの水溶性食物繊維を含む食品は、善玉菌を増やして便秘になりにくくしてくれますし、免疫力も高めてくれます。

例えば、乾物・海藻類・豆類・きのこ類・種子類などには善玉菌を増やし、悪玉菌の活性化を抑える働きがあるため、積極的に摂取することが大切です。また、さまざまな食材を口にすることで腸内細菌を活性化させられるため、ある特定の食材のみを摂取するのではなく、幅広く万遍なく食べることが重要です。

日本の伝統食品

日本の伝統食品である味噌・漬物・醤油などの発酵食品およびお米は、私たちの腸内環境を整える上で大変重要な食材です。中でも味噌は発酵食品であるのみならず、微量ミネラルの亜鉛を含んでいるため、免疫力アップにつながる効果が期待できます。

もし亜鉛が欠乏してしまうと、皮膚疾患・食欲不振・味覚障害などの症状が現れるため注意が必要です。また、発酵食品にはさまざまな良質な菌が多く含まれており、これらの菌が腸内で短鎖脂肪酸を創り出し、腸内を弱酸性に保つことで悪玉菌の増殖を抑制し、もともと腸内に存在している善玉菌をよりサポートしてくれる働きをします。

ところが、サポートとして口から摂取した善玉菌は腸に定着することなく排泄されてしまうため、発酵食品は毎日定期的に摂取することが大切です。

さらに「お米」のでんぷんは、腸内環境を整えてくれるオリゴ糖となって大活躍しますし、お米をしっかり噛むことで腸の蠕動運動のスイッチが入るため、便秘や下痢の改善にもつながります。

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免疫力を低下させる食べ物

では逆に、免疫力を低下させてしまう食べ物にはどのような種類があるのでしょう?ここからは、腸内が荒れてしまう食べ物について解説していきます。

インスタント食品

インスタント食品は簡単で手軽に食べられるため、ついつい口にしてしまうという方も多いと思います。ところがそれだけ単体で食べてしまうと、どうしても栄養が偏ってしまいます。

さらに、ウイルスや細菌が体内での活性化を抑制してくれるビタミンは、インスタント食品からは摂取することができません。ほとんどのインスタント食品には食品添加物が含まれており、腸内環境を荒らしてしまう原因になります。

そのため、インスタント食品は嗜好品としてたまに食べる程度に抑え、食べる際には野菜や海藻類をプラスするなどの工夫をすると良いでしょう。例えば、ラーメンには人参・もやし・ほうれん草・卵・ネギ・ワカメなどの食材を入れる。レンジでチンして食べるパスタなどはサラダを添えるなど、ビタミン類やタンパク質などを併せて摂取できるよう、一手間加えてみてください。

小麦を使った食べ物

小麦には「グルテン」という、腸粘膜を荒し「腸漏れ(リーキーガット)」を悪化させる恐れのある要素が含まれています。腸漏れとは、腸粘膜の細胞と細胞の間に隙間ができ、異物・毒素などが体内に漏れ出てしまう状態のことを指します。

腸漏れが起こると、毒素や細菌などが体内に侵入し、さまざまな炎症が起こる原因となり、感染症にかかりやすくなったりさまざまな不調を来したり、アレルギー症状悪化の要因となったりします。

小麦に含まれるグルテンを摂取すると、腸の中に「ゾヌリン」という物質が過剰分泌され、その結果腸の粘膜細胞の結合を緩めることに繋がります。普段からパン・パスタなどの小麦製品をたくさん食べる習慣のある人は、腸の粘膜が荒れやすく腸漏れにつながるため、なるべく控えることが大切です。

サラダ油など質の悪い油

サラダ油などの質の悪い油を日常的に摂取していると、動脈硬化を促進したりガンの発症に繋がる恐れがあるばかりではなく、免疫力が低下することで風邪・インフルエンザなどに罹患しやすくなります。

これは身体を「汚す」ものを体内に摂り入れているのと同じで、反対に身体を「綺麗にする」ものを体内に摂り入れることが免疫力を上げるためには必要です。

例えば、マーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」は、植物油に水素を添加して生じる人工的な油で自然界にはほとんど存在しないものです。さらに、トランス脂肪酸はアレルギー症状だけでなく、動脈硬化・炎症性疾患・ガンなども誘発するとされているため注意が必要です。

トランス脂肪酸って危険なの?|健康を害する理由と控えるべき食品

 

まとめ

免疫力を高める食べ物を中心に、ウイルスや細菌を寄せ付けない体づくりについてご紹介してきました。免疫力を高めるには腸内環境を整える必要があり、そのためには、腸内の細菌を活性化させる食材をふんだんに取り入れた食生活を日々実践することが大切です。

そして、その効果を発揮するために、免疫力を低下させる食品をなるべく避けるよう日々意識すると良いでしょう。

この記事の監修者

竹内 久美 産婦人科医/ヘルスコーチ

 
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