2024.07.24

食事・栄養

ビタミンAの効果とは?|摂取時の注意点や豊富な食品について解説

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竹内 久美

産婦人科医/ヘルスコーチ

ビタミンAといえば目の栄養成分として知られていることが多い物質ですが、実は美容効果も非常に高いことをご存知でしょうか。最近ではビタミンAの物質名である「レチノール」という言葉が、美容に関心の高い人をはじめ、世間的にも注目されています。

この記事ではビタミンAに関する基本情報や身体にとってどのような効果を発揮するのか、ご紹介します。レチノールは美容効果が高いことも知っているけれど、肌にどのような効果を発揮するのか気になっている人、健康だけではなく、美容効果も同時に高める栄養素について知りたいという人はぜひ参考としてください。

ビタミンAについて

まずはビタミンAとはどのような物質なのか、ビタミンAの基本情報や推奨摂取量についてご紹介します。

ビタミンAとは

ビタミンAは主に体内でレチノール、レチノイド、レチノイン酸という名称で存在している脂溶性ビタミンの一種です。脂溶性ビタミンとは水に溶けにくく油に溶けやすいという性質を持つビタミンのことであり、水溶性ビタミンと比べるとビタミンが体内に残存しやすいという特徴を持っています。

ビタミンAの働きとして、主に目の健康維持や皮膚粘膜の強化、免疫力を活性化する働きを担っており、人間が健康を維持するために必要不可欠な必須栄養素となっています。

推奨摂取量

ビタミンAの推奨摂取量は性別や各年代によって異なります。男女別で18〜70歳以上の人の平均推奨摂取量をご紹介します。

・男性(18歳から70歳以上)
800〜900μgRAE

・女性(18歳から70歳以上)
650〜700μgRAE

・妊娠28週以降
平均推奨摂取量+80μgRAE

・授乳期
平均摂取量+450μgRAE

妊娠中や授乳中は多くの栄養を胎盤や母乳を介して赤ちゃんへ送り届けるために、母親は栄養バランスが偏りやすくなっています。できるだけ、どの栄養成分においても、通常の推奨摂取量よりやや多めの量を摂取することを心がけましょう。

 

ビタミンAの効果

ビタミンAは身体のあらゆるところで多様な効果を発揮しています。この項目ではビタミンAの代表的な3つの効果についてご紹介します。

眼病予防

ビタミンAが身体にもたらす最も大きな効果の一つが眼病予防です。人間は対象物を見るとき、水晶体というレンズを通して物体を捉え、目の奥にある網膜という部分で光や色を調節し、脳に伝達しています。

物を視る視覚機能において重要な働きをする網膜には、ピントを調節する機能を持つ視細胞(ロドプシン)という物質を豊富に保持しています。ロドプシンの主成分はビタミンAです。体内にビタミンAが豊富に存在することにより、ロドプシンの生成が促進され、目の健康を維持することができます。

その他にも角膜の代謝を助け、目の粘膜を潤す効果も持っており、ドライアイの予防にも効果を発揮します。

アンチエイジング

2つ目の効果はアンチエイジングです。ビタミンAには美肌を維持、増進する効果が非常に高いことから最近では美肌の栄養成分として注目されています。

その有効性の高さからビタミンA(レチノール)を含有した化粧品が数多く販売されています。実際にレチノールを含む化粧品を毎日9週間使用したところ、使用前の状態と比べて肌質が良くなったという結果が明らかになっています。

どのような美肌効果を発揮するのかというと、具体的な効果は主に3つあります。

1. DNAの損傷を修復する役割
紫外線や外的環境から傷ついた肌細胞の修復を行います。

2.肌表面のターンオーバーの促進
肌の代謝を高めることで、ニキビやニキビ跡、しみの改善に効果を発揮します。

3.コラーゲン生成の促進
コラーゲンを作り出し、たるみを予防し、ハリのある毛穴の少ない肌へと導きます。

このようにビタミンAの持つ美容効果は非常に高く個人差はあるものの利用することによる期待値は非常に高いことが示されています。効果が高い一方でビタミンAは刺激の強い物質でもあります。

人によっては、刺激が強いことで一時的に乾燥やニキビの発生といったビタミンA(レチノイド)反応という副作用が起こりやすくなっているので使用する際には使用頻度に注意しましょう。

免疫力の向上

3つ目は免疫力の向上です。免疫力とは、健康を維持するために、体内に侵入するウイルスと戦う力のことをいいます。人間が持つ免疫システムには体内に侵入したウイルスを排除しようとする「全身免疫」と、外部環境から皮膚粘膜を介して入り込もうとするウイルスを排除するための「粘膜免疫」という2つの免疫力があります。

粘膜免疫は皮膚のコンディションが良い状態の場合は、バリア機能が高い状態でもあるので外部からのウイルスの侵入を防ぐことができます。反対にコンディションの悪い状態が続くと皮膚脆弱化している皮膚粘膜からウイルスが容易に侵入しやすい経路を作り出してしまうのです。

つまり粘膜免疫力を高めるためには健康的な皮膚の状態を保つことが重要であり、その役割を発揮するのがビタミンAです。肌全体のコンディションが高いほど、バリア機能も強くなるのでウイルスに負けない身体を作ることができます。

 

ビタミンAが豊富な食品

この項目では、ビタミンAが豊富な食品を1位〜10位までをランキング形式でご紹介します。

順位 食品名 含有量(100g当たり)
1位 鶏レバー 14,000μg
2位 豚レバー 13,000μg
3位 アンコウの肝 8,300μg
4位 うなぎの肝 4,400μg
5位 牛レバー 1,500μg
6位 うなぎの蒲焼 1,500μg
7位 ほたるいか(生) 1,500μg
8位 ぎんだら(生) 1,100μg
9位 すじこ 670μg
10位 バター(有塩・無発酵) 520μg

 

ビタミンAは植物性食品よりも、動物性食品の方が含有量が高いのが特徴です。なぜなら動物の体内でビタミンAは肝臓に貯蔵されているからです。そのため主に肝臓の部位である、レバーや魚の肝には通常よりも高濃度のビタミンAが多く含まれています。少量の摂取で十分に補うことのできる量を保有しているので、食べ過ぎには注意しましょう。

卵や乳製品もビタミンAを多く含んでいるので、比較的取り入れやすい栄養物質であると言えます。

 

摂取時の注意点

ビタミンAを摂取する際は推奨摂取量を基準とし、摂り過ぎず少な過ぎず、程よい量を取り入れることが大切です。ビタミンAが必要以上に過剰になったり、不足してしまうと身体にとってどのような影響を引き起こすのでしょうか。この項目では、ビタミンAの過不足による影響について解説します。

ビタミンAの過不足による影響

ビタミンAは慢性的に過剰摂取をした状態が続くと、中毒症状が起こることがあります。初期の段階では、頭痛やめまい、目のかすみなどの視力機能の低下が起こります。この状態が長期化すると骨の脆弱化、皮膚の乾燥、肝臓の異常などのリスクが高まります。

基本的には通常の食事だけでは起こることのない症状ですが、サプリメントを使用している人は過剰摂取のリスクが高いので注意しましょう。ビタミンAは、過剰摂取だけではなく欠乏することによってもさまざまな症状が起こります。代表的な症状は夜盲症です。

人間の目は本来、明るいところから暗いところに移動すると、最初は真っ暗で何も見えなくなります。しかし次第に目が慣れてきて、少しずつ暗いところでも見えるようになっていきます。この現象を、暗順応といいます。

そして暗順応の働きを司るのが、網膜に存在する視細胞の一種です。つまりビタミンAが不足すると暗順応を調整する働きを持つ細胞が減少してしまい、ピントの調節機能が低下します。そうすることにより、視力低下が起こり夜盲症という病気を引き起こします。

夜盲症の他にも皮膚や粘膜が硬くなる硬化症や免疫力の低下など、慢性化することによって重篤な症状を引き起こすことがあります。ビタミンAの欠乏は栄養状態が慢性的に不良の状態に起こりやすく、過度な偏食状態でなければ発症はしません。

過不足による影響に対して不安になる必要はありませんが、このようなリスクが有るということを理解し、適切な摂取バランスを心がけましょう。

 

まとめ

ビタミンAは目の健康維持だけではなく美容効果も非常に高い栄養物質であることを解説しました。使用するにあたって注意するべき点はあるものの、有効性が非常に高いので健康と美容を維持したい方にとっておすすめのビタミンです。

期待する効果によってもサプリメントによる服用や化粧品での使用など摂取方法が異なるので、ご自身のライフスタイルに応じて取り入れていきましょう。

この記事の監修者

竹内 久美 産婦人科医/ヘルスコーチ

 
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