2025.02.26

睡眠

ダイエットと睡眠の関係性とは?|効果・成功のポイントも解説

サプリ
HCU

竹内 久美

産婦人科医/ヘルスコーチ

ダイエットと睡眠はとても重要な関係性を持っており、良質な睡眠をとることで、ホルモンの分泌・脂肪燃焼などの代謝を促進させ、その結果ダイエット効果にもつながります。

この記事では、睡眠でダイエットを成功させる秘訣について、解説していきます。

睡眠とダイエットの関係性とは?

まず、なぜダイエットには睡眠が大切なのかについて解説していきましょう。

ダイエットには睡眠が大切

睡眠をしっかり取ることで、睡眠中に食欲抑制・食欲増進に繋がるホルモンが分泌され、その結果ホルモンのバランスが正常に整えられることで、肥満のリスクを低下させられます。

この肥満のリスクを低下させられることこそ、ダイエットを成功させる秘訣です。とはいえ、ただ睡眠時間を多く取れば良いというわけでもありません。まずは、睡眠とダイエットに関するホルモンの種類から理解を深めていきましょう。

睡眠とダイエットに関係するホルモンの種類

睡眠中には様々なホルモンが分泌されており、そのホルモンこそがダイエットを成功させる重要なポイントです。では、睡眠時にどのようなホルモンが分泌されているのか、特徴・働きも併せて表にまとめて解説します。

ホルモン名 特徴 はたらき
成長ホルモン 眠りはじめの90分で分泌されるホルモンのため、この時間の睡眠の質が悪いと、分泌量が低下し太りやすくなる 脂肪を分解し、筋肉を発達させる
コルチゾール  「ストレスホルモン」と呼ばれ、約24時間周期のリズムで分泌されるホルモンで、眠る時間帯がずれても分泌パターンは変わらないため、睡眠をとる時間帯が良くずれる場合は不調を来す可能性がある 肝臓で糖を作り出す・筋肉でタンパク質の代謝を促進させる・脂肪組織で脂肪の分解を促進させるなどの働きがあるため、このホルモンが増えると基礎代謝が低下する
レプチン 食事を摂取することで脂肪細胞から分泌され、4時間の睡眠を2日続けるという寝不足の状態で分泌量が低下し、その結果、食欲抑制に繋がらず太りやすくなる 脳の満腹中枢を刺激して食欲を抑制し、満腹感を得られる効果がある
グレリン 睡眠不足により分泌量が増えると、必要以上に食欲増し、高脂肪食・高カロリー食を好むようになる 体内のエネルギー不足で胃から分泌され、脳の視床下部にある食欲中枢を刺激することで分泌されるホルモン
セロトニン・メラニン 朝の光を浴びることで脳を覚醒させるセロトニン・夜に持続的に分泌されて睡眠を誘うメラトニンにより、体内時計のリズムが整えられており、このリズムが崩れると、寝付けない・起きられないなどのトラブルが生じる 朝起きて日光を浴びることで分泌され、その後約14~16時間後にメラトニンが分泌されるため、毎日体内時計をリセットすることで健康的な体内リズムが整えられる

 

睡眠不足になると肥満になる理由

上記のことから解るように、睡眠時に分泌されるホルモンが正常な分泌量を保てなければ、睡眠不足から肥満になるというリスクが生じます。睡眠不足から肥満になる理由には以下のものが挙げられます。

理由 メカニズム
グレリンの増加 基本的には空腹時に分泌され、必要な栄養を摂取するように身体に働きかけるホルモンが睡眠不足により増加し、代わりに満腹中枢を刺激するレプチンの分泌量が減少することで、普段以上に食欲が増加するのに満腹感を得にくい状態になる
血糖値上昇 睡眠不足になると上昇した血糖値を元に戻そうと、インスリンの分泌量が増え、その結果エネルギーとして使いきれなかった糖を、グリコーゲン・中性脂肪として体内に蓄えるため肥満に繋がる
慢性的疲労感による運動不足 睡眠不足になると日中に眠くなり、倦怠感・疲労感の蓄積で運動不足の原因になり、その結果、筋肉量・基礎代謝が低下し、エネルギーの消費量が減少し悪循環に陥ることから肥満に繋がる

 

良質な睡眠がもたらす効果

ここからは「良質な睡眠」により得られる効果について解説していきます。

肌のターンオーバーの正常化

睡眠時に分泌される「成長ホルモン」には、肌のターンオーバーを促進させ、活性化させてくれる働きがあります。この成長ホルモンにより、肌の古い角質・汚れを落として新しい肌へと導く新陳代謝が正常に行われます。

肌のターンオーバーには、約6週間かけて細胞が入れ替わる周期がありますが、睡眠不足になると、このターンオーバーのサイクルが乱れ肌荒れの原因になります。

心身の疲労回復

睡眠不足になると、身体の疲れが取れないばかりか、精神的な疲労も蓄積していきます。良質な睡眠の効果を得るためには、「ノンレム睡眠」と呼ばれる睡眠リズムを把握し、成長ホルモンがしっかり分泌される状況を心がける必要があります。

この成長ホルモンが正常に分泌されることで自律神経が整い、体内および精神面の修復力・回復力が高まり、その結果、心身共にリセットできる効果があります。

記憶の整理と定着

良質な睡眠を取ることで、寝る前の記憶の整理や定着が行われやすくなります。つまり、その日に起こった嫌なことも眠っている間の記憶の整理により、感情の整理が必要に応じて行われ、取り除かれるという効果があります。

ストレス解消

良質な睡眠を得ることで一日の疲れや心身の修復を正常に行えますが、睡眠の質が悪かったり睡眠時間が短かったりすると、これらの効果を十分確保できなくなります。規則正しいリズムで毎日過ごすことで成長ホルモンが日々分泌され、ストレスがリセットされ溜まりにくい効果が得られます。

 

ダイエットを成功させる睡眠の秘訣

最後に、ダイエットを成功させる「良質な睡眠」を取る秘訣について解説します。

眠りはじめの3時間・7~8時間の睡眠

成長ホルモンは、眠りはじめの3時間に一番多く分泌され、この3時間を中断せずまとめて寝ることが大切です。また睡眠時間を7~8時間確保することで肥満のリスクを下げられるため、起きる時間から逆算して入眠時間を決めることが大切です。

寝る前にブルーライトを浴びない

いざ眠りにつこうと思っても、就寝前にスマートフォン・タブレットなどの画面からブルーライトを浴びていると、なかなか寝付けないという状況に陥ることがあります。これは、ブルーライトで自然な眠りを誘う「メラトニン」の分泌が阻害されているためです。

ブルーライトは睡眠の質を低下させるため、規則正しい生活リズムを保つためにも、寝る前のブルーライトは控えることを心がけましょう。

寝る前にカフェイン・アルコールを摂取しない

カフェイン・アルコールには覚醒作用があり、体質によっては上手く寝入れない場合があります。カフェインといえばコーヒーと思われがちですが、実は紅茶・緑茶・コーラにもカフェインが含まれているため注意が必要です。

またアルコールを寝る前に飲むと入眠しやすくなりますが、深い睡眠には繋がらず中途覚醒が多くなるため、良質な睡眠に繋がりません。

就寝2~3時間前に入浴し身体を温める

入眠予定時間の2~3時間前に入浴し身体を温めることで、寝つきを自然に良くすることができます。お風呂のお湯に浸かって身体の深部の体温を一時的に上昇させておくことで、お風呂上りに手・足先から熱が程よく放出され、就寝時には脳の温度が程よくなり、身体が休息状態になり寝つきが良くなると共に深い睡眠を得られる効果があります。

自分に合った寝具で毎日同じ時間に寝る

良質な睡眠を取るためには、自分に合った寝具で毎日同じ時間に寝ることが大切です。寝心地の悪い寝具で寝ても良質な睡眠を得られないばかりか、身体が痛くなったり、疲れが取れないばかりか、毎日睡眠時間をしっかり確保しているのにも関わらず悪循環に陥ってしまいます。

特に枕やマットレスを選ぶ際は、首を支えられる枕か・腰を支えられているマットレスかを確認し、身体に負担がかからないものを選ぶことが大切です。質の悪い睡眠は、心身の不調を来し肥満のリスクを高めるだけでなく精神的な影響も出るので、必ず自分に合った寝具で規則正しい睡眠を心がけることが大切です。

夕方~夜に有酸素運動をする習慣を身に付ける

夕方~夜(就寝の3時間程前)に有酸素運動を行うことで、一時的に体内の深部温度が上昇し、その後少しずつ下降していきます。人間は深部温度が低くなると良質な睡眠を得やすくなるため、夕方~夜にかけて運動習慣のある人は、不眠症になりにくいといわれています。ただし激しい運動は逆効果になるため、気軽にできる有酸素運動を行うようにしてください。

暖色の蛍光灯を寝室につける

良質な睡眠を司っている自律神経には交感神経・副交感神経があり、副交感神経が優位になることで自然に眠くなります。ところが、寝室に昼白色の明るい蛍光灯をつけていると、覚醒作用が発揮され快適な睡眠が抑制されてしまうため寝室には暖色の蛍光灯をつけ、自然な眠気を誘えるように心がけることが大切です。

朝起きたら太陽の光を浴び朝食を食べる

人間の体内時計は、24時間周期よりも少し長いリズムであるため、朝起きて太陽の光を浴びることでズレた体内時計を正常に戻すことができます。また、朝食をしっかり食べることでメラトニンの分泌量を増やせるため、栄養バランスの取れた朝食を食べる習慣を身に付けることが重要です。その結果、夜にメラトニンが作られやすくなり、自然な入眠が叶います。

良質な睡眠と併せて腸活を行うと効果アップ

良質な睡眠を取りつつ、腸内細菌が好む食材を毎日摂取する「腸活」を行うことで、よりダイエットを効果的に行えます。腸内環境を整え善玉菌を優勢な状態に整えることで、睡眠ホルモンであるメラトニンの生成を活発化させられ、その結果質の良い睡眠に繋げられます。

メラトニンの効果と影響は?|効率的に分泌を促進させる方法

 

まとめ

ただ睡眠時間を多く確保するだけで、効率的にダイエットができるわけではありません。良質な睡眠を行ってこそ、ダイエット効果を最大限発揮することが期待できます。

質の良い睡眠を取るためには、日中の習慣や寝る前の行動を意識することが大切です。ダイエットだけでなく、健康や美容、メンタルの安定にも関係するため、ぜひ質の高い睡眠を取るための秘訣を実践してください。

 

この記事の監修者

竹内 久美 産婦人科医/ヘルスコーチ

 
サプリ
HCU