2025.02.20

食事・栄養

カフェインをとり過ぎたときの症状は?|効果やリスク、適切なとり方について解説

サプリ
HCU

竹内 久美

産婦人科医/ヘルスコーチ

コーヒーを始めとする食べ物や飲み物に含まれるカフェイン。1日に数杯飲むことが習慣になっている方も多いと思います。また、中にはカフェインが含まれる飲み物と知らずに1日に多くのカフェインを摂っている方もいるかも知れません。

しかし、実はカフェインの摂り過ぎは健康被害をもたらす可能性があります。この記事では。カフェインの効果や摂り過ぎた時に起こる症状や適切に摂るための注意点についてご紹介していきます。

ぜひ健康的にカフェインを楽しむためのヒントにして下さいね。

カフェインの基本

 

カフェインと聞くと、多くの方がコーヒーを思い浮かべると思います。しかし、「カフェイン=コーヒー」ではありません。まずは、カフェインについて基本的なことから解説していきます。

カフェインとは

カフェインは、アルカロイドという植物に存在する窒素を含む特殊な塩基性成分の一種です。カフェインは、コーヒー豆やカカオ豆、茶葉などに含まれる含まれています。コーヒーにおいては、苦味成分として存在しています。

カフェインのはたらき

カフェインは、口から摂った後、大部分が速やかに吸収されます。その後、中枢神経や末梢神経に働きかけ、興奮させる働きがあります。血液中のカフェイン濃度が最も高くなるのに要する時間には個人差があり、30〜120分程度だと言われています。

そのため、朝や眠たい時、仮眠の前などに目を覚ましたり、仕事に集中するためのツールとして飲んでいる方も多いでしょう。カフェインの効果には以下のようなものがあります。

・眠気覚まし
・集中力の向上
・作業記憶の向上
・運動能力の向上
・脂肪燃焼の促進
・偏頭痛の緩和
・気分の向上

カフェインの摂取量の目安

カフェインは、摂取量が1日 500mgを越えると、代謝をする酵素の活性化が止まってしまいます。そのため、500mgを上回るカフェインの摂取は健康被害を引き起こす可能性が高くなると考えられます。

カフェインの摂取量に関しては国により違いがありますが、特に妊娠中においては胎児への影響も考えられることから、摂り過ぎないことが勧められています

画像引用元:食品中のカフェイン 

 

カフェインをとり過ぎるとどうなる?

カフェインは、適切に日常生活に取り入れると効果を得ることができます。しかし、体質的に合わない場合や摂り過ぎると色々なリスクがあります。ここでは、カフェインの摂り過ぎによって起こるネガティブな面を紹介していきます。

とり過ぎることによるリスク

1日あたり400mg以上のカフェインを摂る習慣のある人は、高血圧や心血管系の疾患のリスクが高まることが分かっています。これは、カフェインの摂取が自律神経系を刺激し、より心拍数の増加や血圧の上昇を高めることが関係している可能性があります。

とり過ぎたときの症状

カフェインを摂り過ぎたときの症状には、軽症なもので以下のような症状が起こることがあります。

・気持ちが悪くなる
・胃が痛くなる
・ふらふらする
・不安になる
・興奮する
・寝付きが悪くなる

当てはまるものがある場合、摂り過ぎている可能性があるため、控えるように心がけるのが良いでしょう。また、カフェインの摂取が長期になった場合や中毒症状が起こった場合は、より重い症状が出る可能性があります。以下に、カフェインの過剰摂取による心身への影響について紹介していきます。

身体への影響

循環器:血圧を上昇させ、運動後の血圧の低下を妨げる
心機能:不整脈を誘発するリスクが上がる
    心筋梗塞のリスクが上がる

精神への影響

神経過敏、イライラ感、不安感を強くする
・100mg以上の摂取で睡眠障害のリスクとなる

カフェイン中毒の症状

カフェイン中毒とは、カフェインが含まれるものを一度に大量に摂ることにより生じる中毒症状のことをいいます。摂取量と中毒症状の出現には個人差があります。そのため、軽症の症状が出た時点で摂取を辞めるのが良いでしょう。カフェイン中毒には以下のような症状があります。

身体への影響

・手足の痙攣
・過呼吸

精神への影響

・精神錯乱、妄想
・幻聴、幻覚
・パニック発作
・落ち着きがなくなる

また、カフェインの摂取が習慣化している場合、「カフェイン離脱」というカフェインを摂取しなかったり摂取量が少ないときに禁断症状が現れることがあります。特に急にカフェインの摂取を中止したときに現れやすいことが知られています。

離脱症状は、カフェインを最後に摂取してから12〜24時間後に始まることが多く、以下のような症状があります。

・頭痛
・倦怠感
・不安
・易刺激性
・軽度の抑うつ症状
・悪心
・吐き気
・筋肉の痛み

 

カフェインのとり過ぎに注意

カフェインは、上手に取り入れることで色々なベネフィットを期待することができますが、習慣化したり大量に摂取すると心身に悪影響を及ぼしてしまいます。

カフェインと上手く付き合っていくためにも、まずは自分が1日にどれくらいのカフェインを摂っているか知るところから始めましょう。

カフェインが含まれるもの

カフェインと聞くと、多くの方がまずコーヒーを思い浮かべると思います。しかし、コーヒーより多くのカフェインを含むのがエナジードリンクなどの清涼飲料水です。商品によっては、コーヒーの2倍以上のカフェインが含まれています。

食品名  カフェイン濃度 備考
カフェインを多く添加した清涼飲料水 32~300mg/100mL 製品によって、カフェイン濃度、内容量が異なる。
インスタントコーヒー(顆粒製品) 1杯当たり80mg 2g使用した場合
コーヒー(浸出液) 60mg/100mL 浸出法:コーヒー粉末10g、熱湯150mL
紅茶(浸出液) 30mg/100mL 浸出法:茶5g、熱湯360mL、1.5~4分
せん茶(浸出液) 20mg/100mL 浸出法:茶10g、90℃430mL、1分
ほうじ茶(浸出液) 20mg/100mL 浸出法:茶15g、90℃650mL、0.5分
ウーロン茶(浸出液) 20mg/100mL 浸出法:茶15g、90℃650mL、0.5分
玄米茶(浸出液) 10mg/100mL 浸出法:茶15g、90℃650mL、0.5分
ココア 10mg/100mL ピュアココア5g/牛乳100mL
普通のチョコレート 25~36mg/100g 製品により異なる
高カカオチョコレート 68~120mg/100g 製品により異なる

 

天然と合成の違い

実は、カフェインの中にも「天然カフェイン」という植物から抽出されたものと「合成カフェイン」という化学物質から人工的に合成されたものに分けられます。

天然カフェインは、コーヒー豆、カカオ豆、茶葉などに含まれており、コーヒーやチョコレート、紅茶などとして私たちの口に入ります。

一方、合成カフェインは、尿素などから合成されて作られています。合成カフェインは食品添加物として扱われ、主に清涼飲料水やペットボトルのアイスコーヒーや紅茶などに添加され、私たちの口に入ります。合成カフェインは、少量であっても過剰摂取となる可能性があり、天然カフェインより飲み過ぎたときの症状が重篤になる可能性があるとされています。

コーヒーと緑茶のカフェインの違い

コーヒーに含まれるカフェインと緑茶に含まれるカフェインは異なります。緑茶に含まれるカフェインは体内にゆっくりと吸収される性質があります。さらに、緑茶に含まれる「テアニン」という成分には、カフェインの刺激を和らげる働きを持っています。

そのため、緑茶のカフェインはコーヒーのカフェインに比べ、緩やかで穏やかに作用します。カフェインの持つ効果を得たい人にとっては、あまり効果的でないかも知れません。

とり過ぎたときの対処法

カフェインを摂り過ぎ、気持ちが悪くなったり、心身に何かしらの症状がある場合は、以下のことを試してみましょう。

・安静にする
・カフェインを含まない飲み物で水分補給する
・カリウムやマグネシウム などのミネラルを補給する(バナナ、キウイ、人参など)
・軽い運動をする
・軽快しない場合は、病院に受診する

また、カフェインを摂り過ぎていると自覚のある人は、代用できるものを探すのも良いかも知れませんね。カフェインレスコーヒーや玄米コーヒー、タンポポコーヒーなどで代用してみたり、ハーブティーや黒豆茶など風味のあるお茶を試してみるのも良いでしょう。また、エナジードリンクのような清涼飲料水でカフェインを多く摂っている方は、炭酸水に果汁を絞って風味を足してみたりしても良いと思いますよ。

 

まとめ

カフェインは、上手に取り入れると恩恵を受けることができるものです。しかし、過剰摂取したり知らないうちに習慣化してしまうと、心身に悪影響を及ぼしてしまいます。

特に合成カフェインが多く含まれる清涼飲料水は、カフェインだけでなく合成甘味料が含まれていることも多く、習慣化しやすい傾向があります。さらに、飲み過ぎたときの反応や中毒症状に関しても、合成カフェインの方が強く出る可能性があります。

カフェインを摂るときには、摂り過ぎないだけでなく摂るカフェインの種類にも気をつけましょう。

この記事の監修者

竹内 久美 産婦人科医/ヘルスコーチ

 
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