2024.09.18

食事・栄養

α‐リポ酸の摂取方法は?|効果・副作用も解説 

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山口 ますみ

内科医/ヘルスコーチ

皆さんは、α‐リポ酸の摂取方法について知っていますか?α‐リポ酸はもともと、2型糖尿病の治療薬として使用され、1960年代から医薬品として販売され、現在では様々な疾患に適応されています。

今回は、α‐リポ酸の摂取方法・効果・副作用などについて、詳しく解説していきます。

α‐リポ酸とは

まずは、α‐リポ酸の基本概要から順にご紹介していきましょう。

α‐リポ酸とは?

α‐リポ酸は別名をチオクト酸といい、細胞のミトコンドリア内で働く脂肪酸の一種です。α‐リポ酸は60兆個存在するすべての細胞に存在する成分で、ミトコンドリア内で新陳代謝を促進しエネルギーの産生を高める働きをしています。また、α‐リポ酸は水にも油にも溶ける性質を持つため、体の隅々で活躍する抗酸化物質です。

そのため抗酸化物質として働くのみならず、抗酸化力を失ったビタミンA・ビタミンC・ビタミンEグルタチオンなどの他の抗酸化物質を再生し、再び抗酸化力のある物質へと再生する働きを持っています。

α‐リポ酸は安全なの?

昨今ではα‐リポ酸・Rリポ酸という健康食品が多く販売されています。食品として販売されているサプリメントは、安全性も高く医薬品・医薬部外品と同じように効果も高いと思われがちですが、実際のところα‐リポ酸を含むサプリメントの摂取で、稀に重大な副作用が報告されています。

適量を守って摂取する場合は安全性が高いとされていますが、摂取することで悪心・嘔吐を起こしたり、アレルギー反応を起こしたりしたという被害の報告もあります。α‐リポ酸を摂取して現れる一般的な副作用は、以下の2項目に分けられます。

低血糖症 

αリポ酸は糖の代謝を改善し、インスリン感受性を高める効果があるため、特に糖尿病治療中に使用すると低血糖症のリスクが高まる可能性があります。血糖降下薬を使っている人がαリポ酸を摂取すると、血糖値が下がり過ぎることがあり、悪寒、手が痛い、めまい、頭痛などの症状が現われます

また、非常にまれなケースとして、特定の遺伝的要素を持った方がα‐リポ酸を摂取してしまった場合に「インスリン自己免疫症候群」を引き起こし、悪寒・手の震え・頭痛・めまいなどの症状を引き起こすことがあります。このような症状が現れた場合には服用を直ちに辞め、医療機関を受診するようにしてください。

悪心・嘔吐・下痢

高用量のαリポ酸を摂取すると、消化器系の副作用が報告されています。1日に1,000~1,200mgの高用量を摂取すると心、嘔吐、下痢などの症状が考えられるため、適切な使用量を守ることが重要です。この他にもアレルギー反応が起こり、発疹・かゆみ・尿の臭いが強くなったりなどの諸症状が現れることがあります。

 

α‐リポ酸の効果

ここからは、α‐リポ酸の効果について項目別に解説していきたいと思います。

抗酸化作用

αリポ酸は、強力な抗酸化作用を持つことで知られています。酸化ストレスを抑制し、フリーラジカルから細胞を保護するため、老化や慢性疾患のリスクを軽減する可能性があります。

その結果、様々な生活習慣病の予防ができるだけでなく、アンチエイジング・ダイエット効果にも期待できるといわれています。α‐リポ酸は体内のすべての細胞で作り出すことができるので、細胞が健康であれば、十分な量のα‐リポ酸を体内で産出することは可能です。

デトックス(解毒)作用

α‐リポ酸には重金属を包み込んで体外に排出し、解毒するキレート作用があります。気づかないうちに水銀などの有機物質は体内に蓄積され、その結果脂肪を分解しにくい体質に変化していきますが、α‐リポ酸を摂取することで水銀を体外に排出させる効果があり、脂肪の付きにくい体質へと戻すことも可能です。

またα‐リポ酸には肝臓の代謝を改善し、食中毒・重金属中毒の解毒効果があります。α‐リポ酸を摂取することで簡単に素早く体内に吸収されることから、フリーラジカルを瞬時に中和し、酸化ストレスによって受けたダメージを軽減することで、老化を遅らせ、エイジングケアにも効果があります。

基礎代謝アップ

αリポ酸は、細胞内のミトコンドリアでエネルギーを生成するプロセスに関わっています。α‐リポ酸を体内に取り込むことで、グルコースを効率よくエネルギーに変換するため、糖の代謝を促進し、エネルギーレベルを向上させることができます。その結果、血糖値の改善や脂肪燃焼の促進が期待できます。

またα‐リポ酸は分子量が大変小さいため血液脳関門を簡単に通過し、脳のエネルギー代謝も向上させてくれます。

 

α‐リポ酸の摂取方法

それでは、α‐リポ酸の摂取方法について項目別に解説していきましょう。

食品から摂取する

α‐リポ酸は、レバー・心臓等の内臓系の他、牛や豚などの肉、、ほうれん草・人参・トマト・ブロッコリーなどの食品の仲にも含まれますが、いずれも極微量です。1日100mgを目安に摂取しようと思うと、ほうれん草なら約400g分を一度に摂取しないといけない計算になります。

サプリメントから摂取する

上記のように、食品からα‐リポ酸を摂取しようと思うと、現実的に不可能な分量の食品を食べる必要があるため、効率的に摂取する方法として、サプリメントから摂取する方法が知られています。

α‐リポ酸のサプリメントには「ラセミ体:R型とS型の混合」と「R型:天然型で活性型」の2種類がありますが、サプリメントを選ぶ際には、**R型(天然型)**が含まれている製品を選ぶことが推奨されます。 R型は、エネルギー生成を促進し、細胞への抗酸化作用が強く、糖尿病の神経障害に対する保護作用や、炎症の軽減、血糖値の管理などにも有用とされています。

ただし、ラセミ体も一定の効果を持つため、経済的な理由や手に入りやすさから利用されることも多いです。 最終的には、目的や個人の体質に応じて、正しいサプリメントを選ぶことが重要です。

α‐リポ酸の摂取タイミング

α‐リポ酸の効果的な摂取タイミングは、空腹時や食事の約30分前が最も効率よく吸収されるといわれています。ところが、α‐リポ酸はいわゆる「酸」のため、余りにも空腹な時に摂取すると胸やけを起こす可能性も否めないため、心配な場合は食後や1日2~3回に分けて摂取することをおすすめします。

 

α‐リポ酸が合わない体質

最後に、α‐リポ酸が合わない体質について解説していきたいと思います。以下の項目に当てはまっている方は、α‐リポ酸の摂取には特に慎重になる必要があります。

低血糖症

α‐リポ酸はインスリンの働きをサポートし、血糖値を低下させる作用があるため、糖尿病の治療を受けている人や血糖値の管理が必要な人は注意が必要です。

α‐リポ酸は医薬品として利用されていますが、2004年の基準の改正で健康食品としても販売されるようになりました。そのため一般の消費者が病院に行くことなく手軽に入手できるようになったため、購入する場合は慎重になる必要があります。

インスリン自己免疫症候群

非常に稀ですが、特定の遺伝的要因を持つ人がα-リポ酸を摂取すると、インスリン自己免疫症候群を発症します。膵臓で産生され血糖を低下させるホルモンのインスリンに対する自己抗体が産生されてしまう病気です。

産生された自己抗体はインスリンと結合しやすく遊離しやすいという特徴があり、体内で産生されているインスリンに対し自己抗体が結合してしまうと、身体はインスリンが少ないという判断をします。その結果、膵臓は慌ててインスリンを追加産生し、そのうえ結合していた自己抗体も遊離するため、体内に大量のインスリンが存在し作用することになります。そして血糖が極端に低下することになり、その結果低血糖症が引き起こされます。

消化器症状

α‐リポ酸摂取により、悪心、嘔吐、下痢、腹痛などが出現する場合があります。

アレルギー反応

一部の人は、α‐リポ酸に対してアレルギー反応を場合があります。

糖尿病・甲状腺疾患・アルコール依存症

α‐リポ酸は特定の薬剤(特に血糖値を下げる薬や甲状腺機能に影響を与える薬)との作用が報告されています。これらの薬を使用している人は、α‐リポ酸を摂取する前に必ず医師に相談することが推奨されます。

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まとめ

α‐リポ酸は食品中に含まれる含有量が大変少ないため、サプリメントで効率よく摂取する必要がありますが、容量を守らなかったり摂取すべきではない人が口にしてしまうと、有害な物質へと変化してしまいます。α‐リポ酸を摂取する場合は、自分の体質と相談し少しでも不安な場合は医師に相談するように心がけてください。

この記事の監修者

山口 ますみ 内科医/ヘルスコーチ

 
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