2023.05.22

食事・栄養

血糖値を下げる食べ物・飲み物とは?|病気を予防する食べ方のコツ

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竹内 久美

産婦人科医/ヘルスコーチ

皆さんは、血糖値について気になったことはありますか?

定期健康診断などで血糖値が高いとわかったら、戸惑ってしまう方も多いと思います。

そこでこの記事では、血糖値を下げる食べ物・飲み物、そして病気を予防する食べ方のコツについてご紹介していきたいと思います。

血糖値について理解しよう

まずは、血糖値の基本的な知識からご紹介しましょう。

そもそも血糖値とは、一体どのような数値を指すのかを知っていないと対処の仕方にも困るため、血糖値についての概要から順に見ていきましょう。

血糖値とは?

血糖値は食前・食後で変動する血液内の「ブドウ糖(グルコース)」の濃度のことで、低すぎると「低血糖」高すぎると「高血糖」を引き起こします。食事を摂取し炭水化物などを体内に取り入れると、消化吸収されブドウ糖に変化し血液に入ります。

ヒトの血糖値は、血糖値を下げるインスリンや血糖値を上げるグルカゴン・アドレナリン・コルチゾール、成長ホルモンなどのホルモンにより正常値に保たれています。

空腹時血糖値は通常であれば、約80~100mg/dlの範囲で収まりますが、血糖値が何らかの理由で高くなった場合、それを調節するホルモンはインスリンだけです。そのため、インスリンの調節メカニズムが体内で破綻した場合、おのずと糖尿病を発症してしまいます。

血糖値が上がる仕組み

私たちが食べ物を口にし、消化されて作られるのがブドウ糖です。ブドウ糖は、主に腸管から吸収されて血液中に取り込まれることで、血液中のブドウ糖量が増え血糖値が上がる仕組みになっています。

一方、血糖値が上昇すると「インスリン」というホルモンが膵臓から分泌され、このインスリンの作用で肝臓・筋肉などにブドウ糖が取り込まれ、血糖値が下がります。

ところが、糖尿病を患っていた場合、インスリンを作る力が弱まり十分なインスリンの効果が発揮されず、血糖値がしっかり下がらないため食後2時間ほど経過しても高い状態が続きます。この血糖値が高い状態が続く症状を「高血糖」とよびます。

血糖値が高い状態が続くと、「糖尿病」と診断されます。

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血糖値を下げる食べ物・飲み物

ここからは、血糖値を下げる食べ物・飲み物・作用について順にご紹介していきます。

ミネラル豊富な野菜

血糖値の状態を安定させる為に大切なのは、ミネラルが豊富な野菜を意識して食べることです。

タマネギは、ミネラルや食物繊維が多く、インスリンの分泌をコントロールするインクレチンを増やし、インスリンの分泌を促進してくれます。オクラは、インスリンの働きをよくするマグネシウム亜鉛などのミネラルも豊富です。

また、緑黄色野菜には食物繊維がたくさん含まれていると共に、葉酸も含まれているため糖がスムーズに代謝され、分解されずに残る糖が減るため血糖値の安定が促進されます。

ビタミン豊富な果物

果物を食べるとビタミンA(βカロテン)・ビタミンC・カリウムなどのミネラル、ブラボノイドが多く摂取できます。これらの成分には抗酸化作用があり、動脈硬化などの病気を予防する効果があると言われています。

特に、ブルーベリー・葡萄・リンゴ・バナナ・グレープフルーツなどを食べると、糖尿病などの発症リスクが低下するという研究結果もあります。

ただし、果物には果糖が多く含まれているため、必要以上に摂取してしまうと血中の中性脂肪の増加・体重増加を招く恐れもあるため、食べ過ぎには十分注意する必要があります。

食物繊維が豊富な海藻や豆類

食後血糖値の上昇を抑えるには、GI(グリセミック・インデックス)値の低い食品を食事に取り入れることが有効と言われています。野菜の中で代表的なのはトマトで、糖質が低めなうえ、リコピンにはインスリンの働きを促進して血糖値を下げる効果が期待できます。

また、海藻や豆類などの食物繊維が豊富な食材の摂取量を増やすことで、糖質の吸収を遅らせる働きがあるためおすすめです。特に豆類を食べると、冠動脈性心疾患(CHD)の危険を減らすことも可能ですし、血糖コントロールをする上で欠かせない食材であることが研究の結果わかっています。

血糖値に影響しない飲み物

血糖値に影響しない飲み物とはつまり、糖分が入っていない飲み物のことです。水、カテキンを含むお茶、コーヒー、無糖の紅茶、ハーブティーなどが該当します。お茶に含まれるカテキンには、殺菌作用・消臭作用など様々な作用があり、さらに血糖上昇を抑える作用もあると言われています。

また、紅茶に含まれるポリフェノールもカテキンと同じように、糖類の消化に関する消化酵素の働きを阻害するため、糖の吸収スピードを緩やかにする効果があります。

ハーブティーの中には、下痢などの薬として民間療法で用いられているものもたくさんあり、糖質分解酵素の働きを阻害し食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果があるものも多く存在します。

コーヒーも、食事と一緒に飲むと食後の急激な血糖の上昇が抑えられます。コーヒーに含まれるクロロゲン酸類のポリフェノールが糖質分解酵素の働きを阻害して糖質の吸収を穏やかにし、食後の血糖値を上昇しにくくするとされています。

 

血糖値を下げる食べ方のコツ

次に、血糖値を下げるためにすべき食べ方のコツについてご紹介していきましょう。

食べる順番に気をつける

血糖値を下げるには、食べる順番がとても大切なポイントとして挙げられます。特にご飯・パン・麺類などの糖質を多く含む食品を摂取する場合、まず野菜から食べるようにすることが重要です。

野菜以外でも、キノコ・海藻類・大豆類など食物繊維を多く含む食材から食べることで血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できます。

次に、肉・魚などのタンパク質の多い料理を食べ、最後にご飯・パン・麺類などの糖質の多い料理を食べることで血糖値の上昇を最低限に抑えられます。

よく噛んでゆっくり食べる

食物繊維を多く含む食材は歯ごたえの良いものが多く、おのずとよく噛んでゆっくり食べる習慣が身に付きます。この、よく噛んでゆっくり食べることこそ、血糖値上昇を防ぐためには必要不可欠な手段です。

また、空腹になってから次の食事を摂り、ドカ食いをしないということも大切です。お腹が空いているからといって早食いすると、腸から一気に糖が運ばれると短時間で血糖値が上昇してしまい、脳が満腹感を感じる前に食べ過ぎてしまうという結果になります。

ドカ食いをすると膵臓のβ(ベータ)細胞に達する糖の量が増え、その分インスリンの分泌量も急激に増加します。するとインスリンの量以上の糖が体内に流入し、インスリンで対応できずに糖化してしまい、結果として高血糖が継続されるという悪循環に陥りかねません。

そうならないように、ドカ食い・早食い・ダラダラ食いは避けることが大切です。

おやつに食べるものを選ぶ

血糖値を下げるには、おやつ選びも大切です。甘い飲み物・ガム・市販のケーキ・甘いお菓子・アイスなどは血糖値の上昇を促進させてしまうため、豆乳ヨーグルト・ナッツ類・芋類などのおやつを食べるように心がけることで血糖値の上昇を防げます。

特にナッツ類は、低糖質でミネラル・オレイン酸・食物繊維など、身体に大切な栄養素がたっぷり含まれています。さらに噛み応えがあるため、少量で満腹感も得やすい素材です。中でもアーモンドは、悪玉コレステロールを抑制する効果のあるオレイン酸を多く含み、ミネラル・食物繊維もたっぷり含まれています。

また、クルミは血管の健康に欠かせない「オメガ3脂肪酸」を多く含み、抗酸化作用の高いポリフェノールも豊富に含んでいます。おやつ選びに気を付けることで、血糖値の上昇を抑えながら不足しがちな栄養を補うことができます。

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まとめ

血糖値を下げるためには食材選びが重要であるとともに、食べ方にもコツがあります。いずれも簡単に実践できるものばかりですので、ぜひ日々の食生活に取り入れてみてくださいね。

 

この記事の監修者

竹内 久美 産婦人科医/ヘルスコーチ

 
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