便秘は、健康や美容の大敵です。特に女性は月経周期によるホルモンの影響のため、便秘に悩んだことがある方も少なくないはず。自己流で色々な便秘対策をとっている方もいるのではないでしょうか。
今回は、便秘の方必見!意外と知らない便秘の原因や、便秘を解消するための方法をご紹介します。これできっと便秘で悩んでいるあなたも、便秘知らずの仲間入りです。
便秘の基本
まずは、便秘の基本的なことから解説していきます。一体便秘とはどのような状態のことをいうのでしょう。
便秘とは
便秘とは、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」を言い、便秘を診断する際には、排便が困難、排便回数が少ない、便が硬い、残便感がある、などの状態をみて総合的に判断されます。しかし、排便習慣は個人差が大きく、色々な影響を受けやすいというのも事実です。
便秘の症状
便秘の症状には以下のようなものがあります。ひとつの症状がある場合もあれば、複数の症状がある場合もあります。また、症状に長く悩まされている場合、「慢性便秘症」という診断がつく可能性もあります。
【症状】
・強くいきむ必要がある
・コロコロ便、便が硬い
・残便感がある
・直腸肛門が詰まっている感じや排便しにくい感じがある
・摘便などの排便介助が必要な状態
・自然なお通じが週に3回未満
便秘の原因
便秘の原因には色々なことが関係しています。特に、以下にあげる便秘のタイプの「機能性便秘」には、日常生活のあらゆることが影響している可能性があります。私たちの健康の基本と言える食事、睡眠、運動、そしてストレスなども便秘を起こす要因となり得ます。
便秘のタイプ
便秘の中でも、慢性便秘の原因は大きく分けて「器質性」のものと「機能性」のものに分類されます。「器質性」とは、臓器そのものの構造や形状が障害されていることが原因となっているもののことを言います。一方「機能性」とは、臓器や構造には問題がなく、何らかの原因により働きが弱まっていることによって起こるもののことを言います。
分類 | 症状 | 原因 | |
器質性 | 狭窄性 | 大腸がん クローン病 虚血性大腸炎 |
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非狭窄性 | 排便回数減少 | 巨大結腸など | |
排便困難 | 直腸瘤、直腸重積 巨大直腸、小腸瘤 S状結腸瘤など |
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機能性 | 排便回数減少 | 突発性 症候性:代謝・内分泌疾患、神経・筋疾患、膠原病、便秘型過敏性腸症候群など 薬剤性:向精神薬、抗コリン薬、オピオイド薬など |
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経口摂取不足(食物繊維摂取含む) | |||
排便困難 | 硬便による排便困難・残便感(便秘型過敏性腸症候群など) | ||
骨盤底筋協調運動障害 腹圧(怒責力)低下 直腸感覚低下 直腸収縮力低下など |
即効性のある便秘の解消法
ここからは、便秘の解消法についてご紹介します。日々の生活の中に取り入れることによって予防にもなるため、毎日コツコツとするのがおすすめです。
食事を整える
便秘解消の1番の近道は食生活を整えることです。私達の便は腸内で作られるため、腸内環境を整えることを意識した食事を摂ることが大切です。
腸活を意識した食材を選ぶ
腸内環境を整えるためには以下の3つが基本です。
【腸活の基本】
・善玉菌を取り入れる
・善玉菌のエサを取り入れる
・善玉菌のジャマをしない
善玉菌は、発酵食品によって取り入れることができ、善玉菌のエサとなる食材は、食物繊維とオリゴ糖などです。善玉菌は、腸内に取り込んでも長い間定着することができないため、毎日少しずつ取り入れることが大切です。また、食品添加物、小麦食品、白砂糖、赤身肉を摂り過ぎると腸内環境を悪化させてしまいます。できる範囲で摂らない工夫をしたいですね。
適度な水分と良質な油を摂る
一日あたりの水分量が500mlを下回ると、排便量が減少してしまうことが分かっています。しかし、一方で水分をたくさん摂ることが便秘の予防や改善にはならないということが分かっています。極端に水分摂取量が少ない人は、適度に水分を摂るようにしましょう。
また、オリーブオイルと亜麻仁油のような良質な油は、腸のぜん動運動を促したり、便を柔らかくする働きがあり、便秘改善効果が期待できます。調理の際には活用してみるのがおすすめです。
しっかりと咀嚼する
とてもシンプルですが、しっかりと咀嚼することは便秘予防に繋がります。咀嚼することで唾液や消化酵素の分泌が盛んになり、腸のぜん動運動が促進されます。ながら食べをしていたり、食事中に会話が弾むとついつい噛むことが疎かになってしまいます。意識して噛むよう心がけましょう。
マッサージで腸を刺激
腹部のマッサージは排便を促す効果があります。腹部を圧迫することで腸のぜん動運動が促進されます。方法は、腹部が1〜2㎝程度沈む強さで、結腸に向かって「の」の字を描くようにマッサージします。速さは、1秒間に5㎝進むくらいで、1日2回程度行うと良いでしょう。
回転の方向が反対だと効果が得られないこともあるので、結腸に向かってマッサージするのがポイントです。また、腹部を温めることも、便秘の症状の改善が期待できます。ホットパックやカイロなどを使用して長時間温めたりするという方法も合わせて行うと、より効果が期待できそうです。
ツボを刺激する
ツボの刺激も便秘の改善に有効です。鍼灸院などでプロに刺激してもらうのも良いですし、自身で刺激してみても良いでしょう。自宅で手軽に使うことのできる置き針やお灸もあるので、試してみるのもおすすめです。火を使うタイプのものは、くれぐれも火の始末に注意するようにしましょう。
【便秘に効果的なツボ】
便秘点:左右の肋骨の指幅2半分下、背骨から指4本分外側にあるツボ。腰に手を置き、呼吸に合わせて親指でゆっくりと圧迫する。
大腸兪:腰骨のライン上、背骨から指幅2本分外側にあるツボ。仰向けになり足の膝を立て、両手でこぶしを作り背中の大腸兪に当て、足を左右にゆっくりと動かす。
合谷:手の甲側にある親指と人差し指の付け根のちょうど中間あたりのツボ。反対側の手の親指と人差し指で挟むように刺激する。
まとめ
今回は便秘の予防法や解消法についてご紹介致しました。一刻も早く解消したい便秘ですが、1番の近道は便秘にならない体づくりです。毎日の食事、運動、睡眠を大切にしながら過ごすように心がけたいところですね。また、色々なことを試しても、全く改善されない場合は、器質性便秘で疾患が影響している可能性もあります。もし、ひどい便秘で困っている場合は一度専門医に相談するということも検討してみてもいいかも知れませんね。
参照:
1.吉良いずみ.便秘ケアとしての水分摂取のエビデンスに関する統合的文献レビュー.日本看護技術学会誌.12 巻 .2013-2014).2 号 p. 33-42
2.Christiane Ishikawa Ramos, MS.The Short-Term Effects of Olive Oil and Flaxseed Oil for the Treatment of Constipation in Hemodialysis Patients.ORIGINAL RESEARCH.Volume 25, Issue 1P50-56January 2015
3.市原英里奈.便秘の介護老人保健施設臥床入所者に対する腹部マッサージでの有効性に関する検討.厚生連医誌 第25.巻1号.p 6~11.2016
4.菱沼典子.腰部温罨法の便秘の症状緩和への効果.Japanese Journal of Nursing Art and Science Vol. 9, No. 3, p 4–10,2010