2024.09.05

食事・栄養

乳製品が体に悪いといわれる理由|病気やメリット・デメリットも解説

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高橋 瑞季

心療内科医

昨今では乳製品が体に悪いといわれていますが、実のところはどうなのだろうと思っておられる方も多いと思います。乳製品は私たちの健康にとって欠かせない栄養素を含んでいる食材ですが、時と場合によっては良くも悪くも影響を及ぼすことが分かっています。

そこで、この記事では、乳製品を摂取するメリットやデメリット、病気などについて解説していきたいと思います。

乳製品とは

乳製品はチーズ・ヨーグルト・クリーム・練乳・アイスクリームなどの総称で、もともとは自然の力で生まれたものですが、私たちの食生活がより豊かになるように人工的に作られたものもあります。まずは乳製品の基本概念から順に解説していきましょう。

乳製品の種類

乳製品について詳しく解説する前に、乳製品の種類について表にまとめてご紹介します。

チーズ レンネット(酵素)やスターター(乳酸菌)を牛乳に加え、カードとホエイに分離させ、ホエイを取り除いたもの。熟成することで、美味しさと栄養機能が高まる食材。
ヨーグルト(発酵乳) 牛乳などに乳酸菌・酵母を加えて発酵させたもの。整腸作用・コレステロールの抑制・血圧を下げる作用などの生活習慣病を予防する働きがある。
クリーム 生乳の中にある脂肪球を集めたもの。工場では、生乳を遠心分離して比重の軽い脂肪球だけを集めて作る。通常生クリームと呼ばれている。
アイスクリーム 牛乳や生クリームに砂糖・乳化剤・香料などを加え、低温でホイップして固めたもの。
練乳 牛乳を濃縮したもの。砂糖を加えたものをコンデンスミルク、加えないものをエバミルクと呼ぶ。

 

乳製品摂取のメリット

乳製品を摂取することで「メタボリックシンドローム」の発症率が低下し、高血圧・糖尿病・脳卒中などの生活習慣病のリスクが低下すると考えられています。また、乳製品を摂取することで、カルシウム・ビタミンD・ビタミンAなどの栄養素を効率よく摂取できるメリットもあります。

乳製品摂取のデメリット

乳製品を過剰摂取することで、カゼインによる慢性炎症、乳糖による消化不良・前立腺がん・乳がんなどとの相関関係が報告されており、アレルギーの原因になりやすい食材でもあります。

牛乳に含まれるカゼインは、人間の母乳に含まれるカゼインとは種類が異なり、腸管の炎症を引き起こしやすいため慢性アレルギーの原因になりやすい物質の一つです。乳糖は、消化不良・下痢などの症状が出る場合もあるため、注意が必要です。

 

乳製品と病気の関係

ここからは乳製品を過剰摂取すると発病しやすい疾患・乳製品を摂取することで予防を期待できる疾患について解説していきましょう。

乳製品を摂取することで起こり得る影響

乳製品には、糖質・飽和脂肪酸を多く含む食品が多く存在します。これらの食品を摂取することで起こり得る影響にはどのようなものがあるのでしょう。

リスクが高くなる疾患

乳製品を多く摂取すると前立腺がんを患うリスクが高くなる、という研究結果があります。乳製品摂取量と比例し、摂取量が多くなればなるほど罹患のリスクが高まり、死亡リスクも乳製品摂取量と密接な関係があるとのことです。そのため、前立腺がんを患う家系の人は、乳製品の摂取量を気を付けた方が良いかもしれません。

リスクが低くなる疾患

最近の研究では、それまで乳製品を摂取することでリスクが高まるとされていた動脈硬化や心筋梗塞などの心臓血管疾患、2型糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクを減らせることが分かってきました。また、骨粗鬆症・大腸がんなどの疾患にも予防的な役割を果たすことも分かってきています。

乳糖不耐性

乳糖不耐性とは、乳糖を分解する酵素活性が低下しているために、体内で乳糖を十分に分解・吸収ができず、腹痛・下痢などの消化器系の症状を引き起こす病気のことを指します。

症状としては腹部膨満・腹痛・下痢が多く、これらの症状が繰り返し見られる場合は、乳糖不耐性の可能性が高いため、病院で診察してもらうことをおすすめします。

牛乳アレルギー

牛乳アレルギーの多くは、たんぱく質の「カゼイン」が原因です。カゼインは耐熱性があり、加熱しても発酵しても構造の変化がないため、アレルギーの起こしやすさに変化は見られません。そのため、牛乳をベースとして作られるヨーグルト・チーズなどの加工食品を摂取する場合も同じように注意が必要です。

 

摂取すべき乳製品とその理由

それでは次に、摂取しても悪影響の出にくい乳製品をご紹介していきたいと思います。

バター・ギー

ギーは、バターから不要な糖分や水分、たんぱく質などを取り除き凝縮させたオイルで、油との親和性が高い脂溶性ビタミンが豊富に含まれた食材です。つまり、バターにもギーにもビタミンAとビタミンEが含まれ抗酸化作用があるため、摂取することで肌や粘膜などの保護に役立ちます。

発酵乳製品

チーズ・ヨーグルトなどの乳酸菌で牛乳を発酵させた発酵乳製品は、製造する過程で乳糖が一部分解されており、小腸に到達してからも乳酸菌が持つ「ラクターゼ」が乳糖を分解するため、牛乳よりも消化吸収されやすくなっています。発酵乳製品は、形状により3グループに分けられます。

糊状にしたもの ハードヨーグルト 発酵させた乳等に、寒天・ゼラチンなどを用いて固めたもの。またはこれに果汁・甘味料・香料などを加えたもの。
ソフトヨーグルト 発酵させた乳等に、カードを形成させたもの。またはこれに果汁・果肉・甘味料などを加え、攪拌し糊状にしたもの。
液状にしたもの 飲むヨーグルト(ドリンクヨーグルト) 発酵させた乳等からできたカードを砕いて液状にしたもの。またはこれに果汁・果肉・甘味料・香料などを加えたもの。
凍結したもの フローズンヨーグルト 発酵させた乳等を攪拌しながらアイスクリームと同様に凍結させたもの。またはこれに果汁・果肉・甘味料・香料などを加えたもの。

 

サワーミルク

サワーミルクとは、牛乳を酸性化することによって生成されたもので、牛乳に酸味のある味があるのが特徴です。サワーミルクを摂取することで、糖尿病予防作用・胃腸管系を改善する効果など、私たちの健康に豊富なメリットをもたらしてくれる食品です。

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まとめ

乳製品が体に悪いといわれている理由や、摂取すべき乳製品の一例について解説してきました。乳製品を摂取することは様々な栄養素を体内に摂り込むために欠かせないことですが、体質や摂取量によりデメリットにもなり得ます。そのことを良く理解し、日々の食生活の中に乳製品を取り入れてみてくださいね。

この記事の監修者

高橋 瑞季 心療内科医

 
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