食品に含まれている、ケルセチンという成分をご存知でしょうか。ケルセチンはダイエットや生活習慣病予防など身体のあらゆる所で効果を発揮する物質として注目されています。
実際にケルセチンを摂取し続けることによって体脂肪率が減少したという研究結果も出てきており、非常に身体にとって有効性の高い成分といわれています。
この記事ではケルセチンとは何か、概要をご紹介すると共に研究結果に基づき身体への有効性について詳しく解説していきます。ダイエットのために何か始めたい方には、特におすすめの成分となるので是非参考にしてください。
ケルセチンとは
まずはケルセチンとはどのような成分であるのか、主な働きや推奨摂取量など概要についてご紹介します。
ケルセチンの働き
ケルセチンは野菜に多く含まれているフラボノイド系の中のポリフェノールの一種です。色は黄色を帯びており、やや苦みがあるのが特徴です。ビタミン様物質であるビタミンPという物質に分類され、主にタマネギやブロッコリーなどの食品に含まれる成分の一つとされています。
現段階では人を対象とした研究結果はまだ少ないものの、動物実験の研究結果を含めるとケルセチンの効果は非常に高く多様な影響をもたらす物質として更なる研究が進められています。
【ケルセチンの主な働き】
・抗酸化作用
・骨形成促進作用
・アレルギ—抑制作用
・デトックス作用
・消化管細胞保護 など
アンチエイジングや健康の維持増進に期待できる物質であるといわれています。
推奨摂取量
ケルセチンの1日あたりの推奨摂取量は、250〜500mgといわれています。サプリメントの場合、服用するサプリメントによって摂取量は異なりますが大体1日1〜2粒を1〜2回に分けて摂取することが望ましいと言われています。
豊富な食材
ケルセチンを豊富に含む食材や特徴について各食材別にご紹介します。
・タマネギ
ケルセチンの含有量はあらゆる食材の中でも最も高く代表的な食材で、100gあたり28〜50mg程含まれています。タマネギの皮には特にケルセチンが多く含まれているので出汁などで使用することによって摂取することも可能です。
・緑茶
緑茶の種類にもよりますが緑茶にもケルセチンは多く含まれています。茶葉2.5mgを100mlの水で淹れた場合、12〜13mg程摂取することができます。おおよそ1日に3杯以上飲むと、タマネギの半分のケルセチンを摂取することができます。
・りんご
100gあたり実には約50mg、皮には約200mgのケルセチンが含まれています。タマネギと同様に実だけではなく皮にも成分を多く含んでいます。
・柑橘類
ビタミンCを豊富に含む柑橘系は成分の一部にケルセチンも含まれています。レモンは1個あたり20mg、オレンジは80mg、グレープフルーツは100mg。ビタミンPであるケルセチンは、ビタミンCと一緒に摂取することによって相乗効果を得ることができます。
これらの食品以外にもケルセチンはブロッコリーやトマト、アスパラガスなどあらゆる食材に含まれています。
ケルセチンの効果
ケルセチンによる効果とはどのようなものがあるのでしょうか。この項目ではケルセチンの代表的な効果と立証されている科学的研究結果について代表的なものを3つご紹介します。
ダイエット
ケルセチンは脂肪を分解する酵素に直接関与して中性脂肪の分解を促進させる作用があることからダイエットに適した成分であると言われています。
実際に人を対象とした研究で、BMIが25〜30の100名にケルセチンを含んだ飲料を、同条件で別のグループの100名には何も含まれていない普通の飲料を摂取してもらい中性脂肪の減少に差が出るのかという実験が行われています。
12週間毎日続けて飲用した後に、CTスキャンで飲用前と飲用後の腹部断面の中性脂肪面積を測ったところ、ケルセチンを含んだ飲料を摂取したグループの方は腹部の脂肪面積が縮小していたという結果が出ています。
この研究結果からケルセチンは脂肪の減少に効果を発揮することができるということが科学的にも証明されています。1つ注意しておきたいこととして、この結果は毎日継続して飲み続けたからこそ効果を得ることができています。脂肪減少の効果を得るためには最低でも8週間は継続して摂取することが望ましいといわれています。
生活習慣病予防
ケルセチンが持つ強い抗酸化作用は、身体にとって悪影響を及ぼすヒドロキシラジカル(悪玉活性酸素)から細胞を守る働きがあります。悪玉活性酸素による細胞へのダメージを防ぐと共に赤血球の働きを活性化させる効果もあるため全身を巡る血流を改善する作用も持っています。
ある研究では日本人女性を対象にケルセチンの摂取量とコレステロール値の関係性について調査をした結果、ケルセチンの摂取量が多い人ほど、血中のコレステロール値が低下したということが立証されています。つまり、ケルセチンは血管内の詰まりの原因にもなる悪玉コレステロールを低下させることによって、生活習慣病の一つである動脈硬化を予防することができるのです。
その他にも現段階では動物実験での結果であり人に対する有効性に確証は得られていないものの、ケルセチンは血圧や血糖値の安定化が期待できるといわれており、高血圧の人や糖尿病の人にもおすすめの成分といわれています。
抗炎症作用
ケルセチンは抗酸化作用による細胞の活性化により、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンという物質の抑制にも効果を発揮します。主に花粉症やじんましんなどのアレルギー反応による掻痒感や鼻水などの抑制、慢性的な炎症による身体の痛みなどに有効であるといわれています。
ケルセチンを用いたアレルギーに関する研究として、実際に慢性の前立腺炎、間質性膀胱炎を患っている人を対象にケルセチンの摂取を約500mgを1ヶ月間摂取したところ症状が大きく改善されたというデータも発表されています。
摂取時のポイント
ケルセチンの性質上、摂取する際に注意しておきたい2つのポイントがあります。この項目では、ケルセチンを効果的に摂取するための方法や過剰摂取に伴う影響についてご紹介します。
効果的な摂取方法
ケルセチンは脂溶性物質という水に溶けにくく、油分を含んだものに溶ける性質を持っています。そのためケルセチンの含有量が高い食品を積極的に摂取していても、摂取方法によっては吸収率は低いままとなってしまうので注意が必要です。
ケルセチンを、より効果的に取り入れるためには乳製品や肉類、マヨネーズなどの油脂食品と一緒に調理をすると油分と結合することができるので通常の摂取と比べ吸収率を高めることができます。その他にも調理の際は水にさらしたり、茹でたりするのではなく揚げ物や炒め物として加熱調理で摂取するのも効果的です。
また、ビタミンCと一緒にとることで吸収率が上がると報告されています。
ケルセチンのみで摂取をすると体内で吸収を阻害されやすい特徴があることから、ケルセチンの特徴を利用した販売商品の中にはケルセチンをケルセチン配合糖という物質に変換させて体内の吸収率を高める方法を利用しているケースもあります。ケルセチン配合糖とは、ケルセチンを糖分と結合させた栄養成分のことです。
このように、ケルセチンは摂取する際に工夫をすることで体内での吸収率が異なるということを理解しておきましょう。
過剰摂取に注意
ケルセチンは食品成分の一種であるため、基本的には過剰摂取に伴う副作用は非常に少ない物質です。しかし稀に必要量以上にケルセチンを摂取し続けると、個人の体質によっては目のかすみやめまい、頭痛といった身体的な不調が起こる可能性があるといわれています。必要量以上のケルセチンを摂取しないように注意しましょう。
まとめ
ケルセチンは継続して摂取することにより、身体にとって高い効果を得ることができます。脂肪の減少だけではなく生活習慣病予防にも有効性があり、多様な効果を発揮することができる栄養物質であるということをご理解して頂けたでしょうか。成分の性質上、摂取方法によっては吸収されにくくなるので効率よく摂取するためには工夫が必要です。
ご紹介した効果はあくまでも食品成分が持つ効果であり症状の改善や治療を目的としたものではありません。様々な研究によって有効性が立証されているケルセチン。日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。