2024.06.11

食事・栄養

抗酸化作用が豊富な栄養素と食べ物|老化を予防する5つの方法

            EARNS
            サプリ
            HCU

竹内 久美

産婦人科医/ヘルスコーチ

「抗酸化作用」という言葉は聞いたことがあるけれど、良く知らない・どんな食べ物に豊富に含まれるか知らないという方も多いでしょう。

そこで、抗酸化作用が豊富な栄養素を含む食べ物から、老化を予防するための方法について詳しく解説していきます。自身の健康や美容を疎かにしたくない方は、ぜひ最後まで読んでください。

抗酸化作用について

まず、抗酸化作用のはたらきについて解説していきたいと思います。

抗酸化作用とは?

抗酸化作用を一言で言うと、「体内で増えた活性酸素を除去していくこと」です。つまり、活性酸素により体内の酸化を抑える(抗酸化)ことで活性酸素から身体を守り、体の中をさび付かせない(酸化抑制)ことを指します。

この活性酸素は体内の酵素により分解されるため、食事で摂取したり良質な睡眠などバランスの取れた生活習慣を身につけないと体内に貯蓄できない仕組みになっています。

そしてこの抗酸化作用を効果的に取り入れられた場合、老化・ガン・生活習慣病などの予防にもつながるため、私たちの生活にとっては重要な役割を果たす作用といえます。

抗酸化物質の効果

抗酸化物質は、活性酸素を取り除き酸化の働きを抑制する物質のことをいいます。活性酸素は微量であれば体に有用な働きをしますが、大量に生成された場合は過酸化脂質を体内で作り出し、動脈硬化・ガン・老化・免疫機能の低下などの要因になります。

では、抗酸化物質を体内に摂り入れることで、どのような効果を得られるのでしょう。

アンチエイジング(老化防止)

抗酸化物質は体内でも生成されますが、生成能力は加齢とともに低下するため、体の酸化を抑制する抗酸化物質を食事から摂取することでアンチエイジング(老化防止)に効果があります。

そのため、緑黄色野菜などの色の濃い野菜や果物を積極的に摂取することで、体内に抗酸化物質をたくさん摂り入れることができます。

ガン抑制

本来なら、体内には活性酸素などのフリーラジカルからの害を防ぐ抗酸化酵素を持ち合わせていますが、何らかの理由で抗酸化酵素が働かず抗酸化物質が不足すると、細胞のガン化が進みやすいといわれています。

抗酸化物質を豊富に含む食材を摂取することで、ガンを抑制する様々な栄養素を体内に摂り入れることができ、その結果ガン予防につながるのです。

動脈硬化予防

動脈硬化の発生を予防するのに大切なポイントは、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が血管に染みつきを防ぐだけでなく、善玉コレステロール(LDHコレステロール)による血管からのコレステロールの引き抜きも大切です。

これらの働きがバランスよく保たれていることで、動脈硬化の進行速度が決まるといっても過言ではありません。特にアスタキチンサンを補充することで不足した抗酸化力を補い、動脈硬化の発症を抑制することができると期待されています。

老化・酸化について

私たちの体内で気づかないうちに酸化が起きると、シミ・シワの原因となり老化を招きます。老化は、肌の老化だけに限らず血管や内臓などの老化にも繋がり、私たちの健康に大きく影響します。

私たちは様々な食材を口から摂取することで体内に栄養素を取り込み、その栄養素が体内で酸素と結びつくことで燃焼が起こり、これが体に必要なエネルギーとなります。この過程で、一部の酸素が変化したものが活性酸素と呼ばれるものです。

この活性酸素は物質を酸化させる力が強いため、酸化した物質が悪玉コレステロールと結びつくことで「酸化LDL」を生成し、私たちの身体に様々な害を及ぼす要因となります。

 

抗酸化作用が豊富な栄養素と食べ物

次に、抗酸化作用が豊富な栄養素と食べ物について、表で解説していきたいと思います。

抗酸化作用が豊富な栄養素一覧

これらの栄養素を摂取することで、体内の酸化を予防したり抑制したりできるため、日々の食生活に取り入れてみてください。より多くの食材をバランスよく使うことで、一度に多くの栄養素を体内に取り込むことができるため、様々な食材を組み合わせてバリエーション豊かな料理を作ることを心掛けることが大切です。

栄養素 特徴 栄養素名 はたらき
抗酸化ビタミン 活性酸素の働きを抑制する抗酸化作用を持つビタミンのこと ビタミンA 皮膚や目の健康に欠かせない栄養素
ビタミンC 熱に弱く水溶性のため、生で食べるのがベスト
ビタミンE 油に溶けやすい性質があるため、油を使うと体内に吸収されやすくなる
ポリフェノール 野菜の色素・苦み・渋みの成分となる化合物の総称で、ほとんどの野菜の葉や茎に含まれており、その種類により効果が様々 カテキン 抗酸化作用以外に、血圧上昇抑制・殺菌作用などに効果がある
ケルセチン 血液をサラサラにする効果がある
アントシアニン 血行改善・つけれ目の予防や改善などの効果がある
ミネラル ・熱に強いけれど水に溶けやすい性質を持っているため、茹でるよりも蒸す方が効果的
・基礎代謝・新陳代謝・エネルギー代謝を促し、体の機能や組織を調節及び強化し、心身のバランスを正常に保つ
ナトリウム 体液の浸透圧の調節をし、胆汁・膵液・腸液などの材料になる
カリウム  体液の浸透圧の調節・神経・筋肉の興奮電動の調節
カルシウム 骨や歯の構成成分・血液凝固や筋収縮などに関与
マグネシウム 骨や歯の構成成分で、酵素反応へも関与
リン 骨や歯の構成成分・核酸やリン脂質の構成・エネルギー代謝や貯蔵に関与
ヘモグロビンや酵素の構成成分で、鉄が不足すると貧血になり、女性では月経による鉄の損失・妊娠や授乳により鉄分不足になりやすい
亜鉛 酵素の構成成分のほか、タンパク質合成などの生体反応へ関与し、不足すると味覚障害が起こる可能性がある
酵素の構成成分で、神経伝達物質の産生・鉄代謝などに関与
マンガン 酵素の構成成分で、一般的な食生活をしていれば不足することはない
ヨウ素 甲状腺ホルモンの構成成分で、海藻類に多く含まれており、習慣的に海藻類を食べておれば不足する心配はない
セレン 酵素の構成成分で、栄養素のバランスを考えた食生活をしておれば不足になりにくい
クロム 糖代謝・脂質代謝の維持に関与し、極端な偏食でなければ不足することはほぼない
モリブデン 構想の構成成分で、一般的な食事をとっていれば不足することはない
コエンザイムQ 心臓・膵臓・肝臓・腎臓・副腎に多く含まれ、ビタミンと同様の働きをするとともにビタミンを助ける働きもしている成分で、強い抗酸化力がある コエンザイムQ 体内のエネルギー生産に関与し、生命活動を維持するために重要な物質で、強いアンチエイジング効果もある
イオウ化合物 活性酸素の中でも毒性んが強いものは、強力な除去力を持っている システインスルホキシド類のアリシン 強い抗菌・抗カビ作用
カロテノイド スーパーオキシドやヒドロキシラジカルも除去する イソアリシンン ビタミンB1の吸収を高める働きがあるが、水溶性のため水にさらす場合は最小限にする。血液サラサラ効果
α-カロテン 天然に存在する色素で、体内に入るとビタミンAに変換され、体内で増えすぎた活性酸素を取り除く作用がある
β-カロテン 体内に取り込まれるとビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康を維持・光刺激反応に重要な役割を担う・様々な細胞の増殖や分化に寄与したりなどの作用がある
β-クリプトキサンチン 温州ミカンに特異的に多く含まれているカロテノイドの一種で、体内蓄積期間が他のカロテノイドより長く、血液に乗って体の隅々まで届けられ、健康維持機能が期待される成分

抗酸化作用が豊富な食べ物

次に、各栄養素がどの食べ物に多く含まれているかを表で解説したいと思います。下の表を参考に、どの栄養素がどの食べ物に多く含まれているかを知って、日々の食生活に積極的に取り入れてください。

これらのファイトケミカルは、植物が紫外線・昆虫など、植物にとって有害なものから植物自身の体を守るために作り出された天然の色素・香り・辛味・ネバネバなどの成分です。ファイトケミカルを積極的に摂取することで、体に良い成分を体内に取り込めるため、抗酸化力をアップできます。

栄養素 食べ物
ビタミンA(カロテン類を含む) トマト・ほうれん草・ピーマン・ブロッコリーなどの緑黄色野菜など
ビタミンC パプリカ・ブロッコリー・ジャガイモ・キウイ・柑橘類・イチゴ・柿など
ビタミンE 種実類(ゴマ・アーモンド・ピーナッツなど)・カボチャ・アボカド・うなぎなど
カテキン 緑茶・ほうじ茶・紅茶・ウーロン茶など
ケルセチン 玉ねぎ・アスパラガス・レタスなど
アントシアニン プルーン・ブルーベリー・柿など
ナトリウム 食塩・食塩を含む調味料
カルシウム バナナ・メロン・アボカド・ほうれん草・サツマイモ・大豆・小豆・魚類・肉類など
マグネシウム ナッツ類・魚介類・豆腐など
リン 玄米・そば・肉類・加工食品など
レバー・アサリの佃煮・ほうれん草など
亜鉛 肉類・魚介類など
肉類・魚・甲殻類・アボカド・豆腐など
マンガン 穀類・ナッツ類・納豆・レンコンなど
ヨウ素 魚・海藻類など
セレン 穀類・肉類・魚介類・卵黄など
コエンザイムQ いわし・サバ・牛肉・豚肉など
クロム 肉類・魚介類・大豆製品など
モリブデン レバー・納豆・豆類穀類など
システインスルホキシド類のアリシン にんにく
イソアリシン ネギ類
α-カロテン 人参の葉・黄ピーマンなどの緑黄色野菜
β-カロテン 人参・ほうれん草・小松菜などの緑黄色野菜
β-クリプトキサンチン 温州ミカン・パプリカ・柿など

抗酸化物質の摂取方法

抗酸化物質を摂取するために欠かせないポイントとして、ファイトケミカル(カラフルな食材)を積極的に摂ることが挙げられます。体内の酵素の働きは年齢とともに低下していくため、酵素の原材料である肉類・魚類・卵類・大豆製品でタンパク質や亜鉛・マグネシウムなどの栄養素を補う必要があります。

また抗酸化物質は野菜・果物に多く含まれるため、野菜や果物を使った料理を毎食1~2皿取り入れることを心掛けると、自然にバランスよくファイトケミカルを摂取できるでしょう。

 

老化を予防する5つの方法

老化を防ぐためには、酸化・糖化を防ぐ生活を送ることが大切です。

規則正しい生活を送る

抗酸化酵素を作り出す力は、40歳を過ぎると減少するといわれているため、食事で抗酸化作用のある成分を補う必要があります。また極端な食事制限をすると体が低栄養状態になり、栄養不足に陥りやすくなるとともに血管の壁がもろくなったり、免疫力が低下したりして老化を早めてしまいます。

そのため、規則正しい生活習慣を身に付け、バランスの取れた食事を万遍なく摂ることで、様々な良い効果を私たちの体にもたらしてくれます。

適度な運動をする

私たちの体内には元々体の酸化を防ぐ抗酸化酵素があり、それらが働きやすい環境を整えることで老化を予防できます。適度なウォーキングなどの運動は健康維持に効果的ですが、逆に激しい運動は抗酸化酸素を大量に発生させてしまうため、過度になると老化を早めてしまうことになりかねません。

そのため、激しい運動を短期で行うのではなく適度な運動で骨や筋肉を強化し、筋肉量と筋力を落とさないようにすることが大切です。

入浴をする

入浴することで血行が良くなり、肌の隅々まで栄養が行き渡りやすくなり、その結果肌のターンオーバーが促進されます。血行が良くなるとコラーゲンを作り出す源にも栄養が豊富に届くため、肌の弾力の維持に繋がりシワを防げます。肌を洗浄して清潔にするのみならず、体内からリフレッシュしデトックスできるという効果もあるためおすすめです。

ただし、40℃以上の湯船に浸かったり、1日に何度も入浴したり、お風呂に入る総合時間が15分以上になるとアンチエイジング効果が薄れてしまうため注意が必要です。

良質な睡眠

睡眠時にアンチエイジングに欠かせない成長ホルモンが多く分泌されるため、質の良い睡眠を心掛けることで老化予防になります。成長ホルモンは骨密度を増やしたり、皮膚のハリを保ったり、シワや脂肪を減らすなどの働きをするため、老化予防には必要不可欠なホルモンです。

また成長ホルモンやメラトニンが正常に分泌されていると、自律神経が整い血流や消化も良くなり、免疫力や抗炎症作用なども高められます。その結果、お肌の調子もよくなり、生活習慣病のリスク・老化も予防できるのです。

感情の若返り

若いころに比べると、やる気が起きない・興味が薄れてきた・落ち込む時間が長くなった・すぐイライラするなどの感情が出て来ている人は、感情の老化の始まりかもしれません。

感情の老化が始まると、意欲の低下や気持ちの切り替えがしづらい状況になるばかりではなく、中身・外見ともに老け込んでいきます。いつまでも老化知らずで若々しく過ごすためには、何事にも意欲的に前向きな気持ちを持つことが大切です。

糖化を防ぐ抗糖化習慣とは?|肌トラブル・老化を抑制する食べ物

 

まとめ

特別な食材を使い、特別な調理法をしなくても、普段口にしている天然の食材をバランスよく食べることで、体内で抗酸化作用を促進できます。日々の食生活にファイトケミカルを豊富に使い、カラフルな食卓の実現を目指してみてくださいね。

この記事の監修者

竹内 久美 産婦人科医/ヘルスコーチ

 
サプリ EARNS
HCU