2024.02.22

エイジング

糖化を防ぐ抗糖化習慣とは?|肌トラブル・老化を抑制する食べ物

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三浦 昂

消化器病専門医

皆さんは、最近シワやシミ・たるみといった肌トラブルや身体の衰えに悩んでいませんか?

これらの症状の原因の一つに過剰な「糖化」があり、この糖化が体内で起こることでさまざまなトラブルが起きます。

この記事では、そんな「糖化」を防ぐ方法についてわかりやすく解説します。

糖化について

まず糖化についての基本概要について理解を深めていきましょう。

糖化とは?

糖化とは、一般的には糖がタンパク質や脂質などの分子と結合する化学反応のことをいい、正常な体の中でも起こっている現象です。

しかし、食事などから糖質を余分にとった場合、体内のタンパク質などと結びつき、細胞の機能障害を引き起こす可能性があります。これは、過剰な糖化によって作られるAGEs(最終糖化産物)という物質が多量に作られるためです。

そしてこのAGEsは、肌のシワ・くすみ・たるみ・シミなどとなって現れ、内臓をはじめとする体内内組織にも作用し、多くの病気の原因になることがわかっています。糖尿病・動脈硬化・白内障・アルツハイマーなどの病気との関連も指摘されています。

AGEs(最終糖化産物)とは?

AGEs」とは、糖(還元糖)とタンパク質(アミノ酸)が非酵素的な条件で作られる安定した物質です。このAGEsは加齢でも生成され誰の身体の中にも存在しますが、不適切な食生活や生活習慣・運動不足などにより、AGEsは急激に体内に増加していくため、さまざまな不調の原因と考えられています。

抗糖化とは?

体内のタンパク質と余分な糖が結びついて作られるAGEsという老化物質(悪玉物質)は分解されにくく、AGEsが蓄積することで肌・髪・骨などの全身の老化を進行させ、さらに体調不良・さまざまな疾患の温床となります。

これらの現象を予防するための方法として注目されている、アンチエイジング医療の中で最も注目されているワードがこの「抗糖化」です。

 

糖化で起こる肌・健康トラブル

ここからは糖化で起こる肌・健康トラブルについて、項目別に解説していきたいと思います。

肌トラブル

身体に存在する細胞はタンパク質と脂肪から作られており、糖は生命維持のために欠かせないエネルギー源でもあります。そのため、老化が進む原因だからといって、糖化をゼロにしてしまうのは危険です。

肌細胞の糖化が進みAGEsが蓄積されていくと、肌にさまざまなトラブルが現れます。ぜひ以下の糖化度チェックを利用して、自分の肌の糖化度を確かめてみてくださいね。

【糖化度チェック表】
・目尻のシワやほうれい線が深くなっている
・頬やあごがたるみ口角が下がっている
・目の下のたるみが出ている
・肌全体にハリや弾力がない
・皮脂が減り肌がかさついている
・肌荒れや唇の荒れが気になる
・肌のシミが増えている
・肌がくすんで透明感がなくなっている
・肌表面の角質が厚くなっている
・肌のきめが粗くなっている

上記の表で「Yes」が多いほど、肌の糖化が進んでいる可能性が高くなります。

シワ・たるみ

肌の「シワやたるみ」は、肌の弾力を支える組織の「コラーゲン線維(膠原線維)」と「エラスチン線維(弾性線維)」が糖化で劣化することで起こります。

これらの組織は真皮にあり、本来は網目のように張り巡らされ肌の弾力を支えていますが、AGEsによってがこれらの線維同士が結びつけられたり、タンパク質が破壊されたり、繊維が変形することでシワやたるみとして現れます。

年齢が高齢になるにつれ、新陳代謝は低下し、糖化が起こることでさらに新陳代謝が滞ると、古いコラーゲンが排出されず肌の柔軟性は一層失われ、肌全体の垂れ下がりの原因となるのです。

乾燥肌

肌は、セラミドやコレステロールといった物質により皮膚のバリア機能や肌の潤いの維持ができています。しかし、AGEsによってこのセラミドやコレステロールは減少してしまうことが研究で明らかになっています。

その結果、肌のバリア機能に障害が生じてしまい、保水力が奪われることで、かさついた肌になってしまうのです。

シミ・くすみ

シミの原因としてよく知られているのは「メラニン色素」で、このメラニン色素は悪者のように扱われてしまいがちですが、有害な紫外線から体を守る働きをしています。

ところが、肌細胞が糖化しAGEsが蓄積されると、メラノサイト(メラニンを作る細胞)からメラニン色素の産生を促進させてしまい、より強い色素沈着(シミ)の原因になってしまいます。また、AGEsは皮膚のコラーゲンを攻撃しやすく、コラーゲンを茶色く変性させてしまうことで、さらなるシミやくすみの増加原因となります。

健康トラブル

私たちの体内で糖化が起こると、肌トラブルのみならず健康トラブルも同時に起こります。主な健康トラブルとして、「心血管疾患」「生活習慣病」「糖尿病」「がん」「脳血管性痴呆症・アルツハイマー型痴呆症」「非アルコール性脂肪肝炎」が挙げられます。

また糖化が起こることで炎症の症状がなかなか終息せず、慢性炎症になってしまう可能性も高くなります。

 

肌の糖化を防ぐ「抗糖化習慣」

最後に、肌の糖化を防ぐ抗糖化習慣を項目別に解説しましょう。

精製加工食品、酒、タバコを避ける

糖化の原因となる糖には「ブドウ糖」「果糖」などが存在し、生成加工食品・お菓子・ごはん・パンなどの砂糖およびタンパク質が胃腸で吸収されるときに、消化酵素によりブドウ糖に変化します。この時に注意したいのが、ブドウ糖の10倍以上のスピードでタンパク質と脂肪を糖化させてしまう「果糖」です。

特に果糖だけを抽出して作られている甘味料は、清涼飲料水・スポーツドリンク・缶コーヒー・かき氷シロップ・焼き肉のたれ・ドレッシングなどに配合されているため、商品を購入する際には成分表示をよく見て確認することが大切です。

また、酒やタバコにはAGEs増加を促進する要因があります。アルコールの代謝物質はAGEsの増加を補助する作用があり、タバコの中には糖化を促す物質が含まれていることが分かっています。ですから、精製加工食品・酒・タバコを避けた食生活を行うように心がけましょう。

血糖値を上げない食生活をする

抗糖化習慣を行うには、血糖値を上げない食生活を実践することも大切です。朝食を完全に抜いたり夜遅い時間にドカ食いなどをすると血糖値を急激に上げ、その結果糖化を進める要因になります。

ぜひ、最初に野菜・キノコ類を食べてから肉・魚類を食べる「ベジファースト」→「糖化を抑制する栄養素の摂取」→「ブドウ糖の消費」の順番での食事を心がけ、ゆっくり時間をかけ、良くかんで食べる習慣を身につける工夫をしてください。

糖化をさせにくい食べ物一覧

では、どんな食べ物が具体的に糖化を予防するのに良いか、一覧で見ていきましょう。

GI(グリセミックインデックス)」とは、ある食品を食べた後に、どれくらいの速度で血糖値を上げるのかを数値化したもので、ブドウ糖を基準値100として表示されています。このGI値を参考に食べ合わせを工夫することで、抗糖化を実現させられます。

GI値 分類 食材名 栄養素名
15 野菜・きのこ類 いんげん・たまねぎ・トマト・長ネギ・キャベツ・ピーマン・大根・ブロッコリー・なす・小松菜・きゅうり・レタス・もやし・ほうれん草 など ビタミンA・ビタミンE など
15 豆類 豆腐・納豆 など たんぱく質・脂質・ビタミンB1・ビタミンE など
15 海藻類 わかめ など ミネラル 
20~30 果物類 レモン・みかん・ネーブル・バナナ など ビタミンC・ビタミンE・ビタミンA など
25~30 乳製品 ヨーグルト・牛乳など ビタミンA・ビタミンB2 など
30~50 肉・魚・卵類 鶏卵・魚・肉 など 動物性たんぱく質・ミネラル など

糖化を抑制する食べ物

糖化を抑制するには、ポリフェノールや抗酸化作用のあるビタミンC、ビタミンEなどを摂取することで、AGEsが作られることを予防したり、減少させたりすることが可能と言われています。

ポリフェノールは大豆・緑茶・ブドウなど、ビタミンCはアセロラ・キウイ・ブロッコリーなど、ビタミンEはナッツやモロヘイヤ・アボガドなどに多く含まれています。

運動不足・睡眠不足・ストレスを解消する

「糖化」には酸化ストレスが関わっており、体の酸化を防ぐことも重要なポイントです。酸化ストレスの増加は、ライフスタイルの乱れの結果として起こってくる主要な生体反応であり、ほとんどの全身疾患の背景にある根本的な原因であるとも言われています。

偏った食生活はもちろん、座りがちな生活スタイルでも体の中のAGEsが増加し、腫瘍の発症と成長に関わるとの可能性も指摘されています。今一度、生活習慣を見直してみましょう。

立って作業する時間を増やしたり、睡眠時間を30分でも多く確保したり、イライラしたり気分が落ち込んむときは、深呼吸をゆっくりするなどできるところから少しずつ日常に取り入れることをお勧めします。

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まとめ

この記事では、糖化を防ぐ抗糖化習慣について解説してきました。体内で糖化が起こると、肌トラブルのみならず健康トラブルも生じてしまい、その結果さまざまな病気を発病してしまう可能性もあるため、AGEsを作らない生活習慣を身に着けることが大変重要です。ぜひこの記事を読んで糖化に関して理解を深め、日々の生活をより良いものにしてくださいね。

参照:
1.Wiramon Rungratanawanich.Advanced glycation end products (AGEs) and other adducts in aging-related diseases and alcohol-mediated tissue injury.Experimental & Molecular Medicine volume 53, pages168–188 (2021)
2.Chun-yu Chen.Advanced Glycation End Products in the Skin: Molecular Mechanisms, Methods of Measurement, and Inhibitory Pathways.Front. Med., 11 May 2022.Sec. DermatologyVolume 9 – 2022 
3.David P. Turner.Advanced Glycation End-Products: A Biological Consequence of Lifestyle Contributing to Cancer Disparity.Cancer Res (2015) 75 (10): 1925–1929.
4.Biomed Pharmacother. 2021 Aug:140:111750. doi: 10.1016/j.biopha.2021.111750.
5.Int J Biol Macromol. 2023 Sep 30:249:125814. doi: 10.1016/j.ijbiomac.2023.125814.
6.World J Diabetes. 2023 Jul 15;14(7):995-1012. doi: 10.4239/wjd.v14.i7.995.
7.Ageing Res Rev. 2018 Nov:47:55-66. doi: 10.1016/j.arr.2018.06.005.

 

 

この記事の監修者

三浦 昂 消化器病専門医

 
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