2024.05.09

食事・栄養

ダイエットに効果的なタンパク質|豊富に含む食べ物について解説

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三浦 昂

消化器病専門医

食品に多く含まれているタンパク質は、健康を維持するための重要な栄養素ですが、ダイエットにも効果的であることをご存知でしょうか?

タンパク質ダイエットは健康的な身体作りだけではなく、実践することによって美容効果も同時に得ることができます。この記事ではタンパク質ダイエットのメリットや、より効果を得るための方法についても解説します。

健康を維持するための身体作りを始めたい人、ダイエットが上手くいかない、リバウンドしやすい傾向にある人はぜひ参考にしてみてください。

タンパク質とは

タンパク質は、約20種類のアミノ酸から構成されている栄養素の一つです。主に臓器や筋肉などを構成する働きや、ホルモンや酵素など身体の機能を調節する重要な役割を担っています。まずは、タンパク質の概要について解説します。

タンパク質を多く含む食品

タンパク質は、主に動物性タンパク質と植物性タンパク質の2種類に分類されます。

1.動物性タンパク質

・豚ヒレ肉
・サケ
・低脂肪牛乳

2.植物性タンパク質

・豆腐
・納豆
・きなこ
・豆乳
・枝豆
・オートミール

このような食品に多く含まれています。動物性と植物性は同じタンパク質であるものの、含まれるアミノ酸のバランスや吸収率が異なります。どちらか一方だけを摂取するのではなく、できるだけ両方から摂取することが望ましいといわれています。

タンパク質を選ぶ時の注意点

タンパク質は多くの食品に含まれているため、取り入れやすい栄養素ですが、タンパク質を含んでいる食品であればどれも同じというわけではありません。タンパク質を取り入れる時は、良質なタンパク質を含む食品にしましょう。

良質なタンパク質とはどのようなものを示しているのかというと、必須アミノ酸がバランス良く含まれたタンパク質のことをいいます。必須アミノ酸は、食事からでしか取り入れることができない重要な栄養素です。

良質なタンパク質は必須アミノ酸のバランスが良いだけではなく、体内での吸収率も高いという特徴があります。そのため効率的にタンパク質を取り込みたい場合に適しています。例えば、代表的な食品は鶏胸肉のササミ。マグロやカツオも栄養成分が豊富なのでおすすめです。

もう一つ注意しておきたいことは、脂肪分の少ない食品を選ぶことです。タンパク質を多く含む肉類は種類によって脂肪分が多いものもあります。脂肪が多いタンパク質を摂取し過ぎると、中性脂肪になりやすく太る原因となることがあります。できるだけ脂肪分が少なく赤身の多いものを選ぶようにしましょう。

 

タンパク質ダイエットについて

タンパク質は健康を維持するための重要な栄養素ですが、タンパク質を食生活に上手く取り入れることで健康的な身体作りを目指すことができます。この項目では、タンパク質ダイエットの具体的な概要についてご紹介します。

タンパク質ダイエットとは何か

タンパク質ダイエットとは、脂質や糖質を含む食品の摂取を減らし、タンパク質を多く摂取するダイエット方法のことです。具体的な方法は以下になります。

1.1日のタンパク質必要量を知る

タンパク質の必要量は、個人の体重によって異なります。適切な量を知りたい場合は、体重(kg)×体重1kgあたりのタンパク質必要量(g)で求めることが可能です。体重1kgあたりのタンパク質必要量(g)は、運動量によっても少し異なります。

運動の習慣がない場合:0.8〜1.1g
運動量が多い場合:1.2〜1.4g

これら2つの状況に応じて計算することで、厳密な適正量を知ることができます。おおよその目安として、体重=必要タンパク質量(例:体重60kg=60g)と捉えることも可能です。

2.複数回に分けて摂取する

必要なタンパク質の量を、3〜5回に分割して摂取しましょう。一度にまとめて摂取しても体内での吸収には限りがあります。分割して摂取することで、効果を得やすくなります。

3.運動をする

タンパク質を積極的に取り入れていても、運動も一緒に実践しなければダイエット効果を得ることができません。適度な運動や筋トレなど、身体を動かすことでタンパク質が筋肉量を上げる補助的役割を発揮します。筋肉量が上がると脂肪の燃焼にも繋がり、ダイエット効果を発揮することができます。

タンパク質ダイエットの効果とは

タンパク質ダイエットは実践することで、体重や脂肪を減らし、健康的な身体作りに適した方法です。ダイエットを実践することで、他にも身体にとって以下のようなメリットがあります。

・基礎代謝が上がる(痩せやすい身体になる)
タンパク質は筋肉量を増加させる重要な栄養素の一つです。筋肉量が増えることによって新陳代謝が上がり、脂肪が燃焼しやすく痩せやすい身体へと繋げることができます。

・美容的効果
きれいな髪や肌を維持するためにはタンパク質は欠かせません。良質なタンパク質を摂取することにより、乾燥を予防し外観のコンディションを保つ効果も発揮します。

・パフォーマンス能力の向上
タンパク質に含まれるアミノ酸は、神経伝達物質であるセロトニンやドーパミンといった物質を作る重要な栄養素です。1日の必要なタンパク質摂取を維持することで集中力を維持する力の材料にもなります。

 

タンパク質摂取のポイント

タンパク質を含む食品は多く存在しているため取り入れやすい栄養素ですが、摂取のタイミングやタンパク質の選び方によっては望んでいる効果が得られにくい状況になることもあります。この項目では、摂取するにあたってどのようなことに注意すると良いか摂取時のポイントや注意することについて解説します。

効率的に摂取する方法

タンパク質は摂取すると良い適切なタイミングはあるものの、一度に多くのタンパク質を摂取しても十分に効果を得ることができない場合があります。効率的にタンパク質を取り入れるためには、数回に分けて摂取することを心がけましょう。

その他にも、ビタミンB6はタンパク質の分解と合成を補助する働きを持っています。タンパク質と一緒に摂取するとより高い吸収効果が期待できます。例えば、バナナや鶏肉、カツオなどに多く含まれているので積極的に取り入れてみましょう。

摂取のタイミング

タンパク質の効果をより高く得るためには夕食、摂取することがおすすめです。なぜ夕食と朝が効果的なのかというと、寝る前の成長ホルモンが大きく関係しています。成長ホルモンには、タンパク質の吸収を促進させる働きも持っています。

活性化される就寝前にタンパク質を補うことで、吸収率を高め筋肉量を増加させることに繋げることができます。ただ、寝る直前にタンパク質を摂取することはおすすめしません。睡眠の質を下げることにつながります。寝る前の最低2-3時間までには食事を済ませるようにしましょう。

そして、就寝中は発汗による水分の喪失やエネルギーの消費も活発であることから覚醒時はエネルギー量が低い状態にあります。朝ご飯は活動を始めるための重要なエネルギー補給となります。朝ご飯を食べる方は、メニューの中にタンパク質を多く含む食品を加えてみましょう。

過剰摂取に注意

タンパク質は身体にとって重要な栄養素ですが、取りすぎてしまうと以下のような悪影響を引き起こすことがあります。

・腸内環境の乱れ
タンパク質の中でも動物性のタンパク質(肉や魚類)を長期間、必要以上に摂取し続けてしまうと腸内に存在する悪玉菌のエサとなります。悪玉菌とは、タンパク質をエサにして腐敗を促進させる菌のことで主に消化や吸収の働きを補助したり免疫力を高める役割を持っています。

身体にとって必要な存在ですが悪玉菌が増殖し多くなりすぎると、腸内環境を悪化させて便秘や下痢などお腹の不調を起こします。免疫力の低下や肌荒れの原因となることもあります。悪玉菌のバランスを保つためにもタンパク質は適度な摂取が大切です。

・太る原因になる
ダイエット目的で始めたものの、タンパク質の摂取方法や量によって太る原因になることがあります。タンパク質は人間にとって必要なエネルギー源ですが量が多すぎるとカロリーの取り過ぎとなり、体脂肪へと変化します。動物性タンパク質は脂質を含むものも多いので脂質バランスにも注意が必要です。

このように、タンパク質は身体にとって良い効果をもたらしてくれる一方で、過度な取り過ぎは、反対に悪影響となること、摂取する際には摂取量に注意することが重要なポイントとなることを覚えておきましょう。

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まとめ

タンパク質を積極的に取り入れることは、健康的な身体作りを補助するだけでなく、高いダイエット効果や美容的効果も同時に得ることができます。他のダイエット方法とは違い、制限も少なく取り入れやすい栄養素であることからストレスの少ない、実践しやすい健康的な方法であるといえます。

しかし、タンパク質を摂取するだけでは期待する効果は得られません。適度な運動も一緒に続けて行うことで効果を実感することができるようになります。健康的な身体作りや美容効果など、メリットの多いタンパク質をぜひ日常でも取り入れてみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

三浦 昂 消化器病専門医

 
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