2024.04.08

食事・栄養

スーパーフード「スピルリナ」とは|気になる健康・美容効果を解説

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竹内 久美

産婦人科医/ヘルスコーチ

みなさんは、スピルリナというスーパーフードをご存知でしょうか?緑色の粉末やタブレットという形で販売されていることが多いため、「クロレラと似たようなもの」というイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。

今回は、スーパーフードである「スピルリナ」がどのようなものか、そしてどのような効果が期待できるかについて解説していきます。また、混同されやすいクロレラやモリンガとの違いなどについてもご紹介します。

スピルリナの特徴

まずは、スピルリナがどのようなものかについて解説していきます。

スピルリナとは

スピルリナは、藍藻類ラセン科に属する微生物で、深緑色をした特異な螺旋状に藻体が連なっている藻類です。約35億年前に地球上に誕生した最古の生物だと考えられており、アフリカやメキシコの熱帯地方を中心とする湖沼に自生していました。近年では、スピルリナの優れた栄養成分が注目され、人工培養池で生産されるようになっています。

スピルリナの成分の特徴としては、植物にも関わらず光合成によりグリコーゲンを生成するという性質があります。本来植物は光合成によりデンプンを生成しますが、スピルリナはこのような神秘的な性質を持っています。

その他、タンパク質を60〜70%含んでいること、アミノ酸バランスが優れていること、各種ビタミン、ミネラルを豊富に含んでいるということです。スピルリナの栄養価が高く評価されていることから、クロレラと共に有力なタンパク源であることや医療効果のある食品として期待されています。

また、スピルリナの細胞壁は薄く壊れやすいという特徴があります。そのため、細胞壁を壊す処置などをせずにそのまま摂取してもしっかりと栄養を吸収することができ、吸収の効率が良いというメリットも持ち合わせています。

引用元:Color&Comfort
(左:スピルリナ、右:クロレラ)

スピルリナの栄養成分一覧

スピルリナに多く含まれる栄養成分は以下のようになっています。製品や産地などにより多少誤差があるため、目安としてご参照下さい。

【スピルリナ、クロレラ、モリンガの成分比較表】

  スピルリナ  クロレラ モリンガ
タンパク質 55〜80g 55〜60g 15〜40g
ビタミンB1 2〜5mg 1〜2mg 0.2〜0.3mg
ビタミンB2 2〜5mg 4〜5mg 0.8〜1.7mg
ビタミンB6 0.7〜1.3mg 0.8〜1.2mg
ビタミンB12 0.2〜0.3mg 0.1〜0.2mg
ビタミンE 6〜12mg 6〜8mg 58mg
カリウム  1,100〜1,800mg 1,000〜1,400mg 1,200〜2,100mg
カルシウム 263~495mg 200~400mg 1,200〜1,300mg
マグネシウム 250〜383mg 250〜300mg 330〜350mg

(100g中)

スピルリナとクロレラは、分類や形状などは異なりますが「藻類」に属します。一方、モリンガは「植物」です。どれも優れた栄養素を含むスーパーフードとして知られていますが、中でもスピルリナは吸収の効率が優れています。また、スピルリナにはクロロフィル、カルテノイド、フィコシアニンなどの天然色素が豊富に含まれており、強い抗酸化作用が期待できます。

 

スピルリナの効果

ここからは、スピルリナを摂ることにより、どのような効果が期待できるかについて解説していきます。

デトックス

スピルリナには食物繊維が多く含まれています。そのため、便秘の解消や腸内環境を整える効果があります。食物繊維は、腸内環境の鍵となる善玉菌のエサとなるため、善玉菌である発酵食品と一緒に摂ることで、より効果を感じることができるでしょう。

貧血予防

鉄は、貧血予防に有効な栄養素です。スピルリナに含まれる鉄は、鉄欠乏性貧血に有効であり、牛肉、酵母、および小麦粉と比較して優位に高値を示したことが報告されています。

免疫・アレルギーに対する作用

スピルリナの抗ウイルス作用、抗アレルギー作用などの免疫に関する作用は、主に動物による研究において効果が認められています。

スピルリナに含まれるフィコシアニンには、抗アレルギー作用があると考えられています。スピルリナを継続的に摂ることにより、アレルゲンが体内に侵入するのを防ぐIgA抗体反応を増強させ、更にアレルギーを引き起こすアレルギー性IgE反応を抑制すると考えられています。

さらに、動物を使った研究によると、スピルリナを経口摂取することで、紫外線を受けた皮膚に対しても抗炎症、抗発ガン作用があることも認められています。

ダイエット・生活習慣病予防

スピルリナに豊富に含まれている食物繊維は、便秘予防や腸内環境を整えるデトックス作用だけでなく、肥満者の体重減少、血糖値の上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下などの効果も認められています。

また、スピルリナに含まれるγリノレン酸は、必須脂肪酸と呼ばれる必要な脂質成分のひとつです。γリノレン酸は、高血圧の改善、脂質異常の改善、高血圧の改善などの効果が期待でき、生活習慣病を予防する効果が期待できます。​​​​

アンチエイジング(抗酸化作用)

老化の原因のうちのひとつに「酸化」があると考えられています。酸化は、フリーラジカルや活性酸素によって促進され、これらの物質の産生が過剰になると、老化の促進や様々な生活習慣病を引き起こす要因になります。そして、これらの酸化を抑制するための働きを抗酸化作用といい、抗酸化作用を持つ成分のことを「抗酸化物質」といいます。

スピルリナには、抗酸化物質であるβカロテンやビタミンEを比較的多く含んでいることから抗酸化作用が期待されています。さらに、スピルリナが光合成をして生成されるグリコーゲンには、コラーゲン生成を誘導し、ミトコンドリアの機能を回復させ流という働きを持つことも分かっています。

 

スピルリナ製品の注意点

最後は、スピルリナ製品を摂るうえでの注意点についてご紹介します。

原材料

スピルリナ製品の原材料は、スピルリナ原末です。スピルリナは、高温・強アルカリ性の湖、水温30〜35度程度という他の動植物が繁殖しにくい環境で育ちます。日本だと、沖縄の一部の地域で培養されています。

スピルリナには、水から重金属を吸収し細胞内に蓄えるという性質があります。そのため、スピルリナ類には細菌や重金属(水銀、カドミウム、鉛)が含まれている可能性があるため注意が必要だとされています。また、ミクロンスチンという成分が含まれているものは、肝毒性があり摂取するのは危険であると考えられています。お子さんはさらに感受性が高いためリスクが高くなります。

重金属などの不純物がなく、また肝毒性のあるミクロシスチンが含まれていないスピルリナ種を摂取する場合、安全性が示唆されています。

引用元:Color&Comfort

副作用

適度な量であれば副作用の心配はありませんが、まれに腹痛、下痢、浮腫、便秘などの症状が起こることがあります。効果を求めるあまり、過剰に摂取しないように気をつけましょう。

また、フェニルケトン尿症の症状を悪化させる可能性が否定できないため、病歴のある方は使用を避けてください。さらに、妊娠中や授乳中の完全性については、十分な情報がないため摂取は控えましょう。

摂取方法

スピルリナを手軽に摂るには、サプリメントがおすすめです。粉末のものや粒、カプセルタイプのものなど色々なものがあります。自分の生活の中で取り入れやすいものを選ぶと良いでしょう。

スピルリナは熱に弱い性質があるため、スムージーやヨーグルトなど温かくない食品に混ぜたりして摂るのがおすすめです。また、サプリメントで摂取する際には、安心できるものを選ぶようにしましょう。

人工甘味料の悪影響と危険度ランキング|安全な甘味料も紹介

 

まとめ

数あるスーパーフードですが、今回はスピルリナについて解説しました。藻類は、健康・美容に関心の高い方が日常に取り入れており注目が集まっています。

ただし、スピルリナを含むサプリや食品を選ぶ際には、原材料をチェックし人工甘味料やフィラーが入っていない高品質のものを選ぶようにしましょう。

参照:
1.O Hayashi.Class specific influence of dietary Spirulina platensis on antibody production in mice.J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo)
. 1998.Dec;44(6):841-51
2.Chinami Nemoto-Kawamura.Phycocyanin enhances secretary IgA antibody response and suppresses allergic IgE antibody response in mice immunized with antigen-entrapped biodegradable microparticles.J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo)
. 2004 Apr;50(2):129-36.
3.Puyfoulhoux G, Rouanet JM, Besancon P, Baroux B, Baccou JC, Caporiccio B. Iron availability from iron-fortified spirulina by an in vitro digestion/Caco-2 cell culture model. J Agric Food Chem 49:1625-1629, 2001

この記事の監修者

竹内 久美 産婦人科医/ヘルスコーチ

 
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