ナッツは、嗜好品としてだけでなく健康・美容目的で摂取している人が増えています。ナッツといってもアーモンドやくるみ、カシューナッツなど種類が非常に豊富でありそれぞれが持つ栄養効果も異なります。
どの種類のナッツを取り入れると健康に良いのか、迷われている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ナッツが身体にもたらす栄養効果を種類別にまとめ、摂取する際の注意点についても詳しくご紹介しています。ナッツの効果について気になっている方、健康的な食生活に関心の高い方もぜひ参考にしてください。
ナッツについて
私達の生活の中で身近な食品として多くの方に親しまれているナッツ。まずはナッツの定義や基本的な情報からご紹介します。
ナッツとは?
ナッツとは、「種実類」に分類される食用の木の実や種子のことを言います。ナッツの種類によって栄養成分や特徴が大きく異なることから、多様性に富んだ食品として多くの加工食品に応用されています。
ナッツをそのまま食べるだけではなく、製菓の材料やミルクとして、脂肪分の多いナッツは植物性オイルとしても利用されています。このように、私達の食生活においてナッツは身近な存在の食品であると言えます。
ナッツの歴史
ナッツは高い栄養価だけではなく保存性にも優れ、採取や調理も容易であるというメリットがあることから、狩猟生活を中心としていた時代では食の根源として重宝されていました。時代の変化と共に、人間の食文化も狩猟生活から穀物栽培へと変化を遂げます。それに伴い食の根源であったナッツも、穀物中心の生活へと変わっていったのです。
その後は、ナッツの種類や地域によっては、王侯貴族や上流階級の人だけが味わえる嗜好品という形で古くから現代まで長きに渡り親しまれてきました。
ナッツの種類
豊富な種類のナッツは、それぞれの特徴によって大きく3つに大別されます。
・堅果
外側が非常に硬く、果実に属するナッツ。
代表的なナッツ:栗、ヘーゼルナッツ
・核果
果実の中に大きなひとつの核があるもの。核の中の種子を食用とするナッツ。
代表的なナッツ:アーモンド、くるみ
・種子
種子そのものを食用とするナッツ。
代表的なナッツ:カシューナッツ、ブラジルナッツ
多くのナッツはそれぞれ3つに分類することができますが、例外もあります。例えば、ピーナッツはナッツ類として扱われていますが、実は豆類です。厳密に言うと、ナッツ(木の実)ではありません。
なぜナッツの仲間として取り扱われるようになったかというと、ピーナッツの性質上、殻が硬く形や味、栄養成分がナッツ類と非常に似ていることから、同じカテゴリーの食品として扱われるようになったと言われています。
1日の適切な摂取量
ナッツは嗜好品のため、1日にどれくらいの量が適切であるのか具体的な明記はされていません。それぞれ成分も異なることから適切な摂取量が種類によって異なります。
数あるナッツの中から、代表的なナッツの1日の適切な摂取量をご紹介します。
・アーモンド:20〜25粒
・くるみ:4〜6粒
・ピスタチオ:25〜35粒
・マカダミアナッツ:7〜10粒
・ピーナッツ:20〜25粒
・カシューナッツ:12〜18粒
脂質やカロリーが高い食品でもあるので、体に負担のない摂取をするためには、できるだけ適切な摂取量の範囲内に抑えておくことが大切です。
ナッツの栄養・効能
ナッツは種類によってそれぞれが持つ栄養や効能も異なります。代表的なナッツの種類とその効能について一覧にまとめてご紹介します。
ナッツごとの栄養・効能
種類 | 栄養 | 効能 |
アーモンド | 食物繊維 タンパク質 ビタミンE |
抗酸化・抗糖化作用 整腸作用 生活習慣病予防 |
くるみ | トリプトファン オメガ3脂肪酸(必須脂肪酸) |
高血圧予防 生活習慣病予防 |
ヘーゼルナッツ | カリウム 鉄 |
貧血予防 |
ピーナッツ | ビタミンE ナイアシン カリウム |
抗酸化作用 血流の改善 脳神経細胞に関与 |
ピスタチオ | カリウム ビタミンB6 |
高血圧予防 美肌効果 骨や筋肉の成長に関与 |
カシューナッツ | 鉄 銅 亜鉛 リン マグネシウム |
高血圧予防 貧血予防 生活習慣病予防 |
マカダミアナッツ | ビタミンB1 パルミトレイン酸 |
美肌効果 |
アーモンドミルクについて
市場でもよく目にするようになったアーモンドミルク。名前にミルクとついていますが、原材料はアーモンドと水のみで作られています(その他添加物が使われている場合もあります)。牛乳と比べて低糖質、低カロリー、コレステロールゼロという非常にヘルシーで栄養価の高い植物性飲料です。
グルテンや乳糖、乳製品を含まないという特徴があり、ダイエット目的や菜食主義の人、乳糖不耐症や乳製品アレルギーの人にも安全に使用できる飲料となっています。
アーモンドそのものを摂取するだけでも栄養を取り入れることができますが、粒を食べるよりも液体で取り入れた方が体内の吸収率が高くなります。手軽に継続して取り入れやすいというメリットもあるので、健康目的でナッツを日常に取り入れたいという方は一度試してみてはいかがでしょうか。
ナッツの注意点
ナッツは魅力的な効果が多いですが過剰摂取や保存の仕方によっては悪影響を及ぼす可能性もあります。特に注意するべき3つのポイントについてご紹介します。
アレルギーに気を付ける
ナッツ類は、食物アレルギーの中でも年々発症率が高くなっています。平成30年度のアレルギー調査において、くるみによる食物アレルギーの発症が著しく増加していることが問題視されています。ナッツ類によるアレルギーが増加している原因の一つに、世間的な健康志向の高まりによって摂取する機会が増大したことが影響している可能性があると言われています。
食物アレルギーは乳幼児に多いイメージがあるかもしれませんが、最近では大人になってから発症するケースが増加しており、今まで食べても問題なかった食物が、ある日突然アレルゲンとなり症状を発症するという症例も増えています。
症状の程度も小児期のアレルギーと比べ大人が発症した場合は重篤化しやすく、場合によってはアナフィラキシーショックを起こす可能性もあります。ナッツ類を食べて皮膚症状(かゆみ、腫れ、発赤)やなんらかの身体の不調を感じた際は摂取することを控え、必要であれば医療機関を受診しましょう。そしてアレルギー検査を受け原因の特定に努めることをおすすめします。
食べ過ぎない
ナッツ類は身体に有益な効果をもたらす一方で、食べ過ぎると悪影響をもたらすことがあります。特に起こりやすい2つの影響についてご紹介します。
1.太りやすくなる
ナッツは非常に栄養価が高い食品ですが、実は1粒あたりのカロリーも非常に高くなっています。適度な量であれば問題ないですが、摂り過ぎるとカロリーオーバーになりやすく肥満の原因にもなるため注意しましょう。
2.便秘または下痢などのお腹の不調が起こる
ナッツ類には不溶性食物繊維が多く含まれています。食物繊維というと便秘改善にも効果的ですが、摂り過ぎにも注意が必要です。
食物繊維は水に溶けやすい性質の水溶性食物繊維と水に溶けにくい性質を持つ不溶性食物繊維の2種類に分類されます。この2種はそれぞれ性質上、便通を促進させるメカニズムが異なります。
不溶性食物繊維は水分を取り込み増大し便の量を増やします。摂取量が多いと不溶性食物繊維が体内で蓄積され、腸内の水分も一緒に吸収されます。その結果、便が硬くなり便秘へ移行する可能性があります。
密封保存する
ナッツは水分量が低く乾燥されたものが多いので、食品そのものが「腐る」ということはありませんが「劣化」するのが非常に早い食品です。なぜなら、ナッツには脂質が多く含まれているため酸素と結びつきやすく酸化しやすい性質を持っているからです。
酸化したナッツは、風味が落ち油臭くなることがあります。保存性が高い食品であっても、保存方法によっては傷みやすいということを覚えておきましょう。そして、酸化を防ぐためには密封性の高い容器に入れ替えて保存することが重要です。
まとめ
古代から私達にとって身近な存在であったナッツ。栄養価が非常に高く、健康や美容への効果も期待できるおすすめの食品です。嗜好品としての摂取はもちろんのこと、健康目的で摂取する場合はナッツの各特徴を理解しご自身の目的に合ったものを選ぶと良いでしょう。
そして、過剰に摂取し過ぎてしまうと悪影響をもたらすことがあるので、食べ過ぎには充分に注意し適切な量の範囲内で摂取することを意識してくださいね。