2024.01.22

食事・栄養

「リポソーム」とは?|構造や効果、メリットまでわかりやすく解説

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野尻 綾乃

整形外科専門医

リポソーム」という言葉を聞いたことがありますか?美容に興味関心が強い方なら、リポソームと名のつく美容液を目にしたことがあるかもしれません。最近では、サプリメントにもリポソームが採用されています。

今回は、この「リポソーム」について解説していきます。

リポソームについて

リポソームの構造や効果について解説いたします。

リポソームの構造

リポソームとは、細胞膜の主成分である「リン脂質」によってできている直径0.1~0.2μm(マイクロメートル)の超微細な球状のカプセルのことです。リン脂質には、水に馴染む部分と油に馴染む部分を併せ持つ「両親媒性」という性質があり、水中で水になじまない部位を向かいあわせて二重膜を形成します。

人工的にリポソームを作り、そのカプセルの中に有効成分を閉じ込める技術を「リポソーム化」と呼びます。このような構造のため、人の細胞に馴染みやすく外からの刺激などにより影響を受けることなく必要なところに有効成分を届けることができるのです。

リポソームによる効果

リポソームはヒトの細胞膜と性質・構造が似ているため、内部の有効成分を必要とする場所に安定的かつ効率的に届けることができます。この働きを「ドラッグデリバリーシステム」と言います。

細胞への浸透が難しい薬剤を確実に届けたり、浸透速度を緩めたり必要な場所だけに届くようにして薬剤の副作用を軽減したり、薬剤の効果を長時間持続させたりすることも出来ます。この技術は美容業界だけでなく医療の分野でも応用されており、さまざまな研究開発が行われています。

 

リポソーム化によるメリット

リポソームが、どのようなメリットをもたらすのか解説していきます。

新鮮な状態で届ける

ビタミンCなどの水溶性の成分は、水や空気に触れると酸化したり劣化してしまいますが、リポソーム化することで新鮮な状態で必要な場所にまで届けることができます。

親和性が高い

皮膚の一番外側、表皮の表面にある角質層は外界からのバリア機能を担っているため、スキンケア成分を皮膚へ浸透させるには、角層のバリア機能を突破する必要があります。リポソームは油溶性のリン脂質で構成され、角層との親和性が高いため、皮膚への親和性が高いという特徴を持っています。

また、両親媒性であるため、リポソームの中に油溶性の成分と水溶性の成分どちらも閉じ込めることができます。水に溶けにくい美容成分を有効に閉じ込めることが可能であり、さらに皮膚への浸透が困難な水溶性成分もリポソーム化することにより効果的に浸透させることができます。

効果の持続性

リポソームのドラッグデリバリーシステムを活用し表皮、及び真皮に到達した有効成分は、その多層構造が少しずつ壊れ、中に閉じ込められていた有効成分が徐々に放出されていきます。そのため、長時間効果を持続することができます。

また、リポソームの構造が肌のバリア機能にとって重要な構造と似ているため、肌のバリア機能自体を高める効果があると考えられています。バリア機能が高まると、外部からの刺激を受けにくくなり、肌トラブルが起こりにくくなる可能性があります。

 

リポソーム製品

出典:POSSIM

スキンケア製品以外に、サプリメントにもリポソーム処方は応用されています。

サプリメント

ビタミンCやビタミンD、そのほかにもさまざまな栄養素がリポソーム化された商品が販売されています。例えばビタミンCは、熱に弱いという性質があるため食品で摂取する場合加熱処理によって壊れてしまいます。また、胃酸で壊されてしまい吸収されるべき小腸まで到達できないことも多いのです。

しかし、リポソーム化されることにより消化液や酸化から守られるため、ほぼ100%吸収することができるようになります。

 

まとめ

リポソームは、必要なところまで有効成分を届ける技術だとご理解いただけましたでしょうか。リポソームについて知れば知るほど、商品を使ってみたいと感じた方も多いのではないかと思います。より効果のあるスキンケア商品もサプリメントを探している方は、ぜひ手に取ってみてください。

 

この記事の監修者

野尻 綾乃 整形外科専門医

 
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