2023.09.11

食事・栄養

大腸がんの原因は口内にある?|予防するための生活習慣

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植田 祐己

美容皮膚科医

日本人の三大死因のうちのひとつである「がん」。中でも大腸がんは、死亡数でみると、男性は2番目、女性では最も多く、男女を合わせた罹患率は最も多いがんです。

今回は、この大腸がんの原因や予防するための生活習慣についても詳しく解説していきます。

大腸がんとは?

大腸がんとはどのような病気なのか知っていきましょう。まずは、気になる原因や症状について解説していきます。

大腸がんについて

大腸は、消化管の最後尾にある全長1.5〜2mの長さの臓器です。大腸は、結腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下降結腸、S状結腸)と直腸(直腸S状部、上部直腸、下部直腸)に分けられます。大腸は、食道、胃、小腸を経て消化吸収されてきた食べ物の最後の通り道であり、主に水分を吸収して便を固形にする働きを持っています。

大腸がんは、大腸表面の粘膜から発生する悪性腫瘍の総称のことを言います。初期は無症状のことが多いですが、がんが進行すると、粘膜表面から大腸壁の奥深くまで進展し、腫瘍のサイズも大きくなるため症状が起こりやすくなります。

大腸がんの原因

大部分の大腸がんは非遺伝性であり、全大腸癌の5%程度は、遺伝性であると考えられています。多くの場合、後述する腺腫性ポリープが時間をかけてがん化していくことで発生します。また、慢性の潰瘍性大腸炎やクローン病なども素因となり、これらの疾患の罹患期間が長くなるほどリスクが高くなります。

また、生活習慣として、肥満、飲酒、運動不足などがリスクファクターであると考えられています。さらに食習慣として、動物性たんぱく質、高脂肪、低食物繊維のような欧米化が、日本人の大腸がんの罹患率の上昇に寄与したと考えられています。

口腔内環境と大腸がんの関係

鹿児島大学の研究チームは、大腸がんの患者と健常人から唾液と便のサンプルを抽出し、解析を行ったところ、大腸がん患者の唾液と便に共通して存在する特異的な口腔常在菌が4種類あることを発見しました。

これらが、どのように大腸がんの発生に関わっているかは不明です。今後の研究により、唾液検査による大腸がんのリスク予知や、口腔ケアにより大腸がんの予防になる可能性が示唆されています。

大腸がんの症状

大腸がんは増殖が遅く、初期では無症状なことが多いです。自覚症状がなく、人間ドックなど健康診断ではじめて発見される場合も多いので、定期的に検診を受けることをおすすめします。

代表的な症状としては、血便、排便習慣の変化(便秘、下痢)、便が細くなる(狭小化)、残便感、貧血、腹痛、嘔吐などがあります。

ポリープと大腸がんの違い

大腸ポリープとは、大腸の粘膜層の一部がイボのように隆起したもののことを言います。ポリープは、大きく腫瘍性非腫瘍性に分かれます。腫瘍性のうち悪性のものがいわゆるがんで、良性のものは腺腫と言われます。腺腫は何らかの刺激を受けてがん化する可能性がありますが、腺腫のうちに切除することで大腸がんの発生を予防することができます。

一方、非腫瘍性のポリープは、がん化することはほとんどないとされています。大腸ポリープは少量の出血があることを除いては、無症状であることが多いです。

 

大腸がんの予後は?

大腸がんの経過や予後はどのようになっているかみていきましょう。

早期発見が鍵

大腸がんの予後は、病期によって異なります。癌の深達度が浅いうちは、ステージⅠ期・Ⅱ期、リンパ節転移がある場合はステージⅢ期、遠隔転移がある場合はステージⅣ期と診断されます。5年生存率は、ステージⅠ期で約90%、ステージⅡ~Ⅲで約70~85%、ステージⅣで約20%とされています。このように、病期の早い段階で発見することが予後に影響します。

がん検診

日本では、健康増進法に基づき40歳以上の方に対し年に1回の大腸がんの検診が勧められています。早期の大腸がんでは、9割以上が完治しますが、進行と共に治癒率が下がってしまいます。また、大腸がんは早期では症状がないことが多いため、症状が出てからでは進行している可能性が高くなってしまいます。そのため、定期検診を受け早期発見することがとても重要です。

大腸がん検診は、問診と便潜血検査を行い、その結果必要と判断されれば、内視鏡などの精密検査を行います。便潜血検査は自宅で行うことができる簡単な検査で、通常2日間に分けて便を採取します。

 

大腸がんを予防するための生活習慣

大腸がんを予防するためには、一次予防と二次予防が大切です。上記の定期検診に合わせて、生活習慣を見直すことも重要です。

赤身肉や加工肉を控える

赤身肉や加工肉は、大腸がんを高めるリスクとされています。昔から欧米の大腸がんの罹患率は高かったですが、日本も食事の欧米化により急激に大腸がんが増加したのではないかと言われています。赤身は脂肪が少なく、中には意識して赤身を摂るようにしている方もいらっしゃるかと思います。お肉を食べるときには、偏らずにバランス良く魚介類を選ぶようにしましょう。

カルシウムを摂る

複数の研究で、カルシウム摂取が大腸がんの予防となる可能性が示唆されています。カルシウムは魚介類に多く含まれています。中でも、干しえびやいりこなど乾物に多く含まれているので、おやつやおつまみで意識して摂取しましょう。

禁酒・禁煙をする

過度の飲酒は大腸がんのリスクを高めるとされています。また、飲酒に比べるとエビデンスは低いですが、喫煙も大腸がんの発生を高める可能性があるとされています。

適度に運動する

運動は、大腸がんの発生に対して抑制効果があり、逆に運動不足は大腸がんのリスク因子となるとされています。運動は、特に有酸素運動が良いとされています。また、肥満も大腸癌のリスクとなるとされています。

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まとめ

男女ともに増加傾向にある大腸がん。一次予防である生活習慣の改善と、二次予防である早期発見・早期治療がとても大切であるということが分かりましたね。毎日の生活が、健康にも病気にも繋がります。毎日健やかに過ごすためにも、生活習慣に気を付けて過ごすようにしましょう。

参照:
1.高山哲治.宮本弘志.六車直樹.大腸がんの予防.日消誌.113,p 1168―1175,2016
2.Yoshinori Uchino, Yuichi Goto, Yusuke Konishi, Kan Tanabe, Hiroko Toda,Masumi Wada, Yoshiaki Kita, Mahiro Beppu, Shinichiro Mori, Hiroshi Hijioka, Takao Otsuka, Shoji Natsugoe, Eiji Hara and Tsuyoshi Sugiura.Colorectal Cancer Patients Have Four Specific Bacterial Species in Oral and Gut Microbiota in Common—A Metagenomic Comparison with Healthy Subjects.Cancers 2021, 13(13), 3332

この記事の監修者

植田 祐己 美容皮膚科医

 
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