「ファイトケミカル」と聞いて、どんな成分を指すのかすぐに分かる方は少ないと思います。ファイトケミカルは、私たちの食生活の中で大きな役割を果たし、健康的に生活を送るための手助けをしてくれます。
この記事では、そんなファイトケミカルの種類や働き、摂取方法などを中心にご紹介していきます。
ファイトケミカルについて
まずはファイトケミカルの基本概要について、項目別に解説していきたいと思います。
ファイトケミカルとは?
ファイトケミカルとは、植物を表す「フィト」と、化学成分を表す「ケミカル」を合わせた意味の言葉です。植物が、紫外線や虫などから身を守るために作り出した成分には、色素・香り・辛味・粘り気など、さまざまな特徴があります。
機能性成分は生きていくうえで必須なものではありませんが、健康を維持するための免疫向上・老化抑制・肥満予防などに作用し効果を発揮する働きをします。ファイトケミカルは色素成分が多く、色により種類・はたらきに違いが生じます。
ファイトケミカルの種類・はたらき
代表的なファイトケミカルの種類及びはたらき、その効果について表でご紹介していきたいと思います。
ファイトケミカルの種類 | 色 | 含まれる食材(例) | はたらき・効果 |
クロロフィル | 緑 | ほうれん草・ピーマン | 抗酸化作用・高コレステロール抑制・抗ガン作用 |
アントシアニン | 赤・紫 | なす・ブルーベリー | 眼精疲労回復・血圧安定 |
リコピン | 赤・紫 | トマト・すいか | 抗酸化作用・血流改善 |
カプサイシン | 赤・紫 | 唐辛子・パプリカ | 風邪予防・殺菌作用 |
β-カロテン | オレンジ・黄 | かぼちゃ・人参 | 抗酸化作用・抗ガン作用・皮膚および粘膜の保護 |
イソフラボン | 白 | 大豆・ひよこ豆 | 乳がん予防・更年期障害緩和・骨粗しょう症予防 |
硫化アリル | 白 | 玉ねぎ・にんにく | 抗ガン作用・免疫力向上・殺菌作用 |
クロロゲン酸 | 黒・茶 | ヤーコン・ジャガイモ | 抗酸化作用・糖尿病予防・コレステロール値上昇抑制 |
β-グルカン | 黒・茶 | きくらげ・なめこ・しめじなどのきのこ類 | 抗ガン作用・コレステロール値上昇抑制・糖尿病予防 |
ゼアキサンチン | オレンジ・黄 | とうもろこし | 視力低下予防・眼病予防 |
野菜や果物がカラフルなカラーで彩られているのは、目で見て食卓に彩を添えて楽しむばかりではなく、栄養学的にも大変有効な意味があります。
お弁当でも「彩を大切に」といわれるのは、様々なカラーの食材を口にすることで、私たちの健康に大切な食材のバランスを自然に上手く取り入れられるからです。
ファイトケミカルを豊富に含む食品
ここからはファイトケミカルを豊富に含む食材についてご紹介していきたいと思います。どのような食材にファイトケミカルがたくさん含まれているかを知り、日々の食卓に取り入れてみてくださいね。
ファイトケミカルを豊富に含む食品一覧
ファイトケミカルを豊富に含む、食品名および栄養素名を表でご紹介いたします。
食品名 | 栄養素名 |
キャベツ・ブロッコリー | イソチアシネート |
アスパラガス | グルタチオン |
ネギ・にら・玉ねぎ・にんにく | アリシン |
柑橘類・レモン(果皮) | リモネン |
エビ・カニ・鮭 | アスタキサンチン |
ふどう・サツマイモ | アントシアニン |
緑茶・番茶 | カテキン |
バナナ | オイゲノール |
海藻類 | フコイダン |
リンゴ | ペクチン |
例えば、玉ねぎ・キャベツ・ブロッコリーなどの食材のように、さまざまな種類のファイトケミカルが複数含まれている食品もあります。単体で摂取するのではなく、スープなどにして複数の食材を一度に摂取することで、体内により豊富なファイトケミカルを取り入れられ、私たちの健康維持の一助にすることが可能です。
ファイトケミカルのQ&A
それでは、ファイトケミカルに関する疑問点を解決していきましょう。
手軽な摂取方法はあるの?
ファイトケミカルをシンプルに効率的に摂取するには、「スープ」を作ることがベストです。スープにさまざまな野菜を入れ煮込むことで、一度にたくさんの栄養素を体内に取り込めます。
ファイトケミカルは、各食材の細胞壁に囲まれた細胞膜・細胞内部に含まれているため、咀嚼やミキサーにかけただけでは細胞壁の固いセルロース(繊維質)が壊れることはありません。せっかく摂取しても食物繊維を分解する酵素を人間は持ち合わせていないため、大切な栄養素を確実に体内に取り込めません。
ところが加熱することでこの固い細胞壁は簡単に壊れ、スープとしてお汁までしっかり摂取することで私たちの体内に完全に吸収され確実に取り込めます。
サプリメントは効果的なの?
昨今では、ファイトケミカルのサプリメントがたくさん販売されていますが、基本的には食材から摂取する方が効果的です。というのも、ファイトケミカルは複数種を一度に摂ることで相乗効果が生まれ、機能を存分に発揮できるのですが、サプリメントで複数種を摂取するのは並大抵のことではありません。
そのため、食材に含まれる数十~数百種類のファイトケミカル・食物繊維・ビタミン類などを、食材からまんべんなく取り込むことが大切です。ただし、食材から満足にファイトケミカルを摂れないという方は、品質の高いサプリメントで補うのも良いでしょう。
効率良く摂取できる調理のコツは?
ファイトケミカルを効率よく摂取する方法は、先ほどもご紹介したように「スープ」などの煮込み料理を作ることです。調理する際に気を付けてほしいポイントは、食材の「皮」も食べられる場合は一緒に調理し、まとめて食べるようにする方がより多くのファイトケミカルを摂取できるという点です。
ファイトケミカルは野菜や果物の皮にも含まれているため、食材を購入する際は皮まで使える素材のものを選ぶように心がけてください。例えば、ブドウには「ポリフェノール」というファイトケミカルが含まれていますが、これはブドウの果肉より皮に多く含まれています。そのため、皮も使った赤ワインにはポリフェノールが豊富なのです。
まとめ
ファイトケミカルは野菜・果物をはじめ、様々な食材で複数の種類が含まれています。サプリメントとしてファイトケミカルを摂取するのも良いですが、多くの種類を一度に体内に取り込むことで相乗効果が得られ、ファイトケミカルのパワーがより発揮されます。
そのため、自然由来の食材をバランス良く食べ、さまざまなファイトケミカルを摂取することが健康維持に役立つと言えるでしょう。