2023.07.10

ストレスケア

副腎疲労症候群について正しく理解しよう|よくある症状や原因を解説

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植田 祐己

美容皮膚科医

「副腎疲労」という言葉を聞いたことがありますか?この記事にたどり着いたということは、副腎疲労に興味や関心があるのかもしれません。また、よく分からないけど何となく目にしたという方もいらっしゃるでしょう。

前提として、現代医学では副腎疲労を疾患として認定しておらず、その診断・治療は非常に曖昧です。とはいえ、ストレスの多い現代社会では、潜在的に副腎が疲労し、その機能が低下した人が多く存在すると主張する意見も多くあります。この記事では、その内容を分かりやすくご紹介できたらと思います。

副腎疲労症候群について

まずは、副腎疲労がどのような状態なのかというところを知っていきましょう。

副腎とは?

副腎疲労の前に知っておきたいのが、「副腎」という臓器のこと。

副腎とは、主に尿を作る臓器として知られている左右2つの腎臓の上に位置する2〜3センチの臓器です。副腎は二重の構造になっており、内側を副腎髄質、外側を副腎皮質と言います。それぞれの場所で生命維持に関係するホルモンが作られており、体内環境を一定に保つための働きをしています。

副腎皮質で作られるホルモン:ステロイドホルモン(コルチゾール、アルドステロン、DHEAなど)
副腎髄質で作られるホルモン:​​カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリンなど)

副腎疲労症候群とは

不規則な生活習慣や精神的なストレス、背景にある病気の存在などにより、これら副腎が分泌しているホルモン(特にコルチゾール)の分泌量が慢性的に、通常よりも低下した状態を「副腎疲労症候群」と言います。

ちなみに、副腎皮質のホルモンの分泌量が著しく低下した状態を副腎皮質機能低下症と言い、1つの疾患として認識されているものになります。それに対して副腎疲労症候群はその診断基準には届かず、東洋医学でいういわゆる「未病」の状態であり、現代の医学においては疾患として認識されていません。とはいえ、今後エビデンスの蓄積によって解明されていくであろう病態です。また近年、副腎の機能低下は、慢性疲労症候群との関連性も議論の的とされることが多いです。

副腎疲労症候群の原因

副腎疲労になる原因は様々ありますが、最も大きな原因は「ストレス」であると考えられます。人がストレスに曝されると、ストレスホルモンが分泌されます。ストレスホルモンには、アドレナリン、コルチゾール、βエンドルフィンなどがあり、特に大きく関係するのが、副腎皮質で作られるコルチゾールです。

慢性的なストレスによりコルチゾールの分泌量が多い状態が続くと、副腎が疲弊し、結果的にコルチゾールの分泌量が逆に低下してしまうと考えられています。コルチゾールには以下のような働きがあり、副腎疲労になると、これらの働きが弱くなってしまいます。

【コルチゾールの働き】
・抗ストレス作用
・血糖値の上昇
・脂肪の分解
・抗炎症作用
・免疫抑制作用

また、前述したように副腎はその他にも多くのホルモンを分泌しており、副腎疲労によってそれらの分泌が低下することでも多岐に渡る症状が出ると考えられます。

副腎疲労症候群の方に多い症状

副腎疲労症候群では、以下のような症状が起こりやすいです。これらに当てはまる数が多い方は、副腎疲労症候群である可能性がありますが、あくまでも1つの目安であり、副腎疲労が原因でない場合も多くありますので、疑った場合はまずは専門の医療機関に相談しましょう。

  • 朝がつらくて、なかなか起きられない。
  • 慢性的に眠い。寝ても疲れが解消されない。
  • カフェイン が含まれている飲み物がないと目が覚めない。やる気が出ない。
  • 塩辛いものや、甘いものが無性にほしくなる。
  • 14〜16時くらいの時間帯に特に疲れを感じる。
  • アレルギー症状が悪化した。
  • 体重が増えた。特にお腹まわりやお尻に脂肪がついてきた。
  • 抜け毛が多くなり、頭髪が薄くなってきた。
  • 風邪をひくとなかなか治らない。咳が数週間も続くことがある。
  • 満性的に便秘している。
  • 冷え症だと思う。
  • くるぶしが浮腫みやすい。特に夕方になると、浮腫みがひどくなる。
  • 腕や顔にシミが出てきた。
  • 関節が痛む。
  • PMSや更年期障害がひどくなった。
  • 椅子や布団から急に立ち上がると、立ちくらみやめまいがする。
  • 夕食後、23時過ぎに元気になる。
  • 毎日、アルコールを飲まずにはいられない。
  • 性欲が著しく減退した。
  • 些細なことでもイライラし、キレやすい。
  • プレッシャーがかかると、思考が混乱する。
  • 集中力がなく、記憶力が低下した。
  • 疲れていても、寝つきが悪い。
  • 眠っても3時間程度で目覚めてしまい、その後なかなか眠れない。
  • 何もかも嫌になることがある。
  • 気持ちが落ち込みやすい。鬱かもしれないと思う。

出典:「しつこい疲れは副腎疲労が原因だった」(本間良子・著、本間龍介・監修)より改変

 

副腎疲労を引き起こす習慣

副腎疲労を引き起こしてしまう、主な習慣について解説いたします。

過度なストレスを溜め込む

私達の生活と切っても切り離せない、たくさんのストレス。適度なストレスは、生きていくために必要な要素でもあります。しかし、前述したように、慢性的なストレスが続いたり、過度なストレスがかかったりすると、副腎疲労の原因となってしまうかもしれません。

そのためには、自分なりのストレスと上手に付き合っていくコツや、ストレス発散法を持っておくことが大切です。香りや運動、趣味などでも良いでしょう。また、泣くこともストレス解消になると言われています。感動する映画や本なども良さそうですね。

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まとめ

体の臓器の中でも、あまりフォーカスされない副腎ですが、私達が生きていくためにとても重要な役割をしてくれています。副腎の健康のために、今一度、生活の中のストレスを見直してみましょう。

この記事の監修者

植田 祐己 美容皮膚科医

 
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