皆さんは、「オキシトシン」という言葉を聞いたことはありますか?
オキシトシンは別名「幸せホルモン」と呼ばれ、家族やパートナーとのスキンシップや信頼関係に深く関わるホルモンで「嬉しい」「楽しい」「気持ちいい」と感じた時に脳で作られるホルモンです。
今回はそんな「オキシトシン」の基本概要・分泌を促進させる、6つのポイントについて順にご紹介していきたいと思います。
オキシトシンとは?
まずは、「オキシトシン」というホルモンの基本的な概要から解説していきたいと思います。
オキシトシンって何?
オキシトシンは、脳の視床下部から分泌されるホルモンで「愛情ホルモン」「幸せホルモン」「絆ホルモン」と呼ばれる神経伝達物質の一つです。また、オキシトシンの血中レベルを測定することで、視床下部の活動が正常かどうかの指標となります。
最近の研究で、オキシトシンは下垂体後葉だけでなく脳の中でも分泌されていることが知られ、分泌されたオキシトシンは偏桃体・大脳皮質など、脳の中において作用しているのではないかと考えられています。
オキシトシン の効果
オキシトシンが分泌すると副交感神経が優位に働き、不安・心配などの感情を緩和させ心身共にリラックスできる効果があります。主な効果には、以下のようなものがあります。
- ストレス軽減
- 安らぎを感じる
- 信頼感や共感が高まる
- 痛みを感じにくくなる
- 食欲を抑える
- 自律神経のバランスが整う
- 胃腸や内蔵の調子が良くなる
- 免疫力が上がる
- 便秘の改善
- 肩こりの改善
心臓にはオキシトシンの受容体が存在し、オキシトシンが心臓の働きに影響を与えることがわかっています。血管を広げ血圧を下げる作用があるため、心拍数が低下することでストレスから心臓を守る働きがあります。
さらに、オキシトシンは分娩時に子宮の収縮を促すことで陣痛を誘発したり、産後に子宮の回復を促す効果があります。また、乳腺の筋繊維を収縮させることで母乳の分泌を促進させたりする働きもあり、赤ちゃんがお母さんのおっぱいに吸いつくと自然に母乳が出る現象はオキシトシンの影響だとされています。
そんな幸せホルモンの種類には、「オキシトシン」以外にも「セロトニン」「ドーパミン」があります。セロトニン、ドーパミンは、オキシトシンの分泌を促進させることで働きも高められます。
オキシトシンの分泌を促す6つのポイント
オキシトシンの分泌に不可欠な、6つの要素をご紹介いたします。
愛情
親子・夫婦間のスキンシップ、家族への愛、人に対する寛大さなどでオキシトシンの分泌は促進されます。他人に対し「お疲れさま」「ありがとう」など優しい言葉をかけ、穏やかな気持ちで過ごすことでオキシトシンの分泌を促す習慣が整うでしょう。
また、体内のオキシトシン濃度が上昇すると、相手への信頼感が増すと言われています。これは、脳の側坐核という領域がオキシトシンにより刺激され、相手への執着心・愛情が高まるからとい言われていますが、明確なメカニズムはまだ解明されていません。
交流
人との交流や絆を深め感謝の気持ちを抱き、相手に関心を持つことでオキシトシンの分泌は促進されます。家族との団らん・心を許せる友との食事や会話などでも、オキシトシンを効果的に分泌できます。
相手を思いやる心を持つことで、このストレス社会に打ち勝つためのホルモンを多く分泌できるので、社会人として意識したいところですね。また、最近の研究では、オキシトシンの分泌が自閉症の治療につながるという可能性も発表されました。
ストレスケア
オキシトシンの血中濃度を減らしてしまう最大の要因はストレスで、オキシトシンの分泌量が多ければ多いほど、ストレス状態に耐えられる力が湧いてきます。脳や心が癒され、ストレスが緩和され、心臓の機能を向上させるためです。
また、オキシトシンを分泌させるのに最も手軽で着実な方法は入浴で、ゆったりした気持ちで湯船に浸かることで身体が温まると、良質な睡眠につながります。自分を愛でることは、オキシトシンの分泌に大切なことなので、少しでもストレスを感じたらすぐにケアする習慣や方法を身につけておきましょう。
五感からの刺激
オキシトシンは、五感からの刺激を行うことで分泌が促進されます。五感からの刺激とは、美しいものを見る(視覚)・好きな音楽を聴く(聴覚)・美味しいものを食べる(味覚)・良い香りを嗅ぐ(嗅覚)・触れ合う(触覚)などのことで、これらの刺激によりオキシトシンはたくさん分泌されます。
オキシトシンは、セルフマッサージなどの肌への刺激でも分泌されるため、自分の五感を喜ばせられる方法や趣味を見つけるのも、オキシトシンの分泌を促進させるためには大切なポイントです。
スキンシップ
パートナーやペットとの触れ合いで、オキシトシンは多く分泌されます。犬や猫などのペット・ぬいぐるみを抱きしめることでも放出され、特にフワフワした心地よい感覚がオキシトシンの分泌量に関わります。
また、手を繋いだりハグしたりなどの愛情のこもったスキンシップを取ることで、肌への心地良い刺激がオキシトシンの活性化につながります。
栄養バランス
ミネラル・ビタミンが豊富なバランスの良い食事を摂取し、加工食品・インスタント食品を控えることで栄養バランスが整い、オキシトシンの分泌に良い影響を与えることが知られています。
特にマグネシウム・亜鉛などのミネラルやビタミンDなどのビタミン類が欠乏すると、オキシトシンの分泌や効能に悪影響を与えてしまいます。これらの栄養素を摂取することで、直接的にオキシトシンの血中濃度が上がるのをサポートしてくれる働きをします。
そのため、栄養が不足すると心や体の不調(ストレス)が増え、その結果オキシトシンの分泌が抑制されてしまうため、バランスの取れた食事は日々意識するようにしましょう。
オキシトシン分泌を促す食べ物
オキシトシンは、基本的には人や動物との関わりにより分泌されると言われています。ある特定の食べ物を摂ることにより分泌されるわけではありませんが、栄養のバランスを整えることで分泌アップに繋がります。
オキシトシン分泌を促す食べ物一覧
上記で紹介したオキシトシンの血中濃度を上げるサポートをしてくれる栄養素とそれが含まれる食品をご紹介します。
【マグネシウム】
マグネシウムは藻類や海藻類に多く含まれる傾向があります。普段の食事の中でトッピングや汁物に加えると摂りやすそうですね。
食品 | 成分量 100gあたりμg |
|
1 | あおさ素干し | 3200 |
2 | あおのり素干し | 1400 |
3 | てんぐさ素干し | 1100 |
4 | 乾燥わかめ | 1000 |
5 | ひとえぐさ素干し | 880 |
【亜鉛】
亜鉛は牡蠣に多く含まれていることで知られています。
食品 | 成分量 100gあたりμg |
|
1 | 牡蠣の薫製 | 25.0 |
2 | 牡蠣の水煮 | 18.0 |
3 | 小麦胚芽 | 16.0 |
4 | 生牡蠣 | 14.0 |
5 | かつお塩辛 | 12.0 |
【ビタミンD】
ビタミンDは魚類に多く含まれている傾向があります。その他、日光浴をすることで体内でビタミンDが生成されることが知られています。日に15〜30分程度太陽の光を浴びるように意識すると良さそうですね。
食品 | 成分量 100gあたりμg |
|
1 | 乾燥きくらげ | 130.0 |
2 | かつお塩辛 | 120.0 |
3 | あんこうの肝 | 110.0 |
4 | 乾燥きくらげ | 85.0 |
5 | うまずらはぎ開き干し | 69.0 |
まとめ
幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンの基本概要、キシトシンの分泌を促す6つのポイントについてご紹介いたしました。オキシトシンは、ストレスを緩和し心臓の働きを高めてくれ、自律神経のバランスをも整えてくれる「天然の治療薬」として知られています。
ぜひ、オキシトシンの分泌を促進する効果的な方法を、日常生活に取り入れてくださいね。