シナモンは、お菓子や料理のスパイスとして広く知られていますが、実は体にも良い影響をもたらすことをご存知でしょうか?
食品として活用するだけではなく、最近ではシナモンが体にもたらす有益な効果が注目されています。
この記事では、シナモンの基礎知識や知られざる効果、日常で簡単に実践できるおすすめのレシピをご紹介していきます。
シナモンについて知ろう
シナモンとは、一体どんなスパイスなのでしょうか。シナモンの持つ歴史や概要について、詳しく解説していきます。
シナモンって何?
シナモンとは、クスノキ科の樹皮を乾燥させて作られたスパイスのことです。主にお菓子や料理、飲み物などさまざまな場面で使用される万能スパイスと言われています。
シナモンは別名、世界最古のスパイスとよばれており、その歴史も古くからあります。
エジプトではシナモンが持つ防虫作用に着目し、ミイラ作りの防腐剤として使用されていたり、甘美な香りから香水として使用していたという記録が実際に残っています。
日本では飛鳥時代に遣唐使によって伝来し、奈良時代には桂心という名の生薬として貴族の間で親しまれてきました。古くから、さまざまな国で親しまれてきたスパイスなのです。
シナモンの種類
シナモンとして流通している物の中にも、主に3種の品種があります。それぞれ似た性質の木ですが、原材料が異なります。特徴や効能も少し異なるため、成分には注意が必要です。
セイロンニッケイ(スリランカ産)
別名:セイロンシナモン
特徴:独特な風味と甘くてマイルドな味、辛みはない
シナニッケイ(中国産)
別名:カシア
特徴:色味が赤く肉厚な樹皮
低価格で手に入りやすいため使用されている大部分がシナニッケイであることが多い
クマリンを多く含む
ニッキ(日本)
別名:ニッケイ
特徴:甘くて爽やかな香り 強い辛みがある
希少価値が高い
ニッキとの違い
シナモンとニッキは非常に類似していることから混同されがちなスパイスです。どちらもクスノキ科から作られるスパイスですが、シナモンは樹皮であるのに対しニッキは樹の根の皮を使用しています。
ニッキは希少価値が高いシナモンとして取り扱われています。根の部分を採取するには長い年月を要し、収穫量も少なく作業の手間もかかることが高価な理由です。
シナモンはアップルパイなどの洋菓子に使用することが多く、ニッキは主に和菓子に使用されています。日本の伝統菓子である八つ橋には、ニッキが使用されています。
シナモンの使い方
シナモンには、スティックタイプとパウダータイプが販売されています。原材料は同じであり形状が異なることから、使用場面も変わってきます。
スティックは、主に煮込み料理や煮だしの際に使用することが多く、パウダーはお菓子や飲み物の香り付けとして使用されていることが多いです。
スティック状のものは削ればパウダーにもなるため、さまざまな用途に活用したい方はスティックタイプを保持しておくと便利です。
シナモンの体が喜ぶ効能
シナモンには多様な効果があることから生薬としての歴史も古く、現在でも効能に関する研究結果が数多く発表されています。その中でも期待できる、主な効能についてご紹介していきます。
体を温めてくれる
シナモンはシンナムアルデヒドという成分を含んでおり、この物質は毛細血管を修復する働きを持っています。
毛細血管を経由して全身の細胞を活性化させることで血流が良くなり、冷え症の改善や月経痛、肩こりなどのさまざまな部位の痛みにも効果を発揮します。
抗菌作用
シナモンは、抗菌作用、抗真菌作用、抗ウイルス作用を持つ物質を含んでいるという研究報告があります。古代エジプトではこれらの特性を利用してミイラの防腐剤に使用されていたとされています。
また、漢方では古くからこれらの特性や体を温める作用を利用して葛根湯や桂枝湯という名の風邪薬の中にも含まれており、生薬としての効果を発揮しています。
抗酸化作用
シナモンは、強い抗酸化作用をもつ成分を多く含むとされています。酸化ストレスが蓄積すると老化、動脈硬化などの生活習慣病の原因になりますので、普段の食事に抗酸化作用のある食品を取り入れることは大切と言えます。
以上、シナモンの効能を挙げましたが、まだ十分な研究がなされていないものの、これら以外にも様々な作用があると考えられています。例えば、コレステロールの調整作用、血糖値の一時的な調整作用などがあることを示唆する研究報告も見られます。
シナモンの注意点
シナモンは多様な効果を発揮する反面、過剰摂取にも注意が必要とされています。摂取する際のポイントについてご紹介します。
1日の摂取量はどのくらい?
シナモンは健康に有益な効果をもたらす反面、過剰摂取による健康被害も報告されています。ドイツのリスクアセスメント研究所(BfR)では、1日の耐容摂取量(人が一生涯にわたり摂取しても健康への影響上問題ないとされる1日当たりの摂取量)を体重1kgあた0.1mgと定め、注意喚起しています。
例えば、体重が50kgの場合は1日5mgが限度ということになります。ご自身の体重に置き換え、どれくらいの量が安全範囲内かを理解しておきましょう。
副作用はあるの?
シナモンは、過剰摂取してしまうと肝障害を引き起こすことがあります。これは、シナモンに含まれているクマリンという天然香料によって引き起こされると言われています。
適量の摂取であれば健康に大きな影響はありませんが、最近ではシナモンの効果に着目した健康サプリメントなどが多く取り扱われるようになり需要が高まっています。
サプリメントは、通常に比べ濃度が非常に濃いため、摂取する際には規定の用量に沿って使用するなど十分な注意が必要です。特に妊娠中の方や、肝臓疾患などの基礎疾患をお持ちの方は副作用が出やすいとされているため、過剰な摂取は控えましょう。
選び方のポイント
より安全にシナモンを継続的に摂取するためにはどのようなことに注意をしたらいいのでしょうか。おすすめの選び方についてご紹介します。
シナモンの種類
主に流通しているシナモンは、前述した3種類ありますが、どれを選んでも特に問題ありません。
ただし、シナモンの中でもカシアシナモンはクマリンの含有量が非常に多いです。耐用摂取量内であれば問題ないとされているものの、妊娠されている方や肝障害など基礎疾患のある方は、カシアシナモンの摂り過ぎには注意しましょう。
有機JAS認定マークがあるものを選ぶ
有機JAS認定マークがあるものは安全性が保証されているため、不純物の混入がなく、安心して取り入れることができます。
シナモンを使ったレシピをご紹介
シナモンを手軽に取り入れることのできる、おすすめのレシピをご紹介します。
さつまいもとりんごのサラダ
さつまいもによる食物繊維やビタミンB1、りんごに含まれるポリフェノールも摂取することができ、便秘予防や美肌に効果的なサラダです。
【材料】
・さつまいも 150g
・りんご 1/6個
・みりん 小さじ1
・はちみつ 小さじ1
・塩・こしょう 少々
・シナモン(パウダー) 少々
・くるみ 5g
- さつまいもは、2cmの輪切りにしてから水から茹でておく。
- りんごは5mm程度のいちょう切りにして、みりんとはちみつも一緒に耐熱容器に入れて電子レンジ(500W・1分半)にかける。
- 潰れるくらいに柔らかくなったさつまいもをマッシュして、レンジで加熱したりんごと混ぜ合わせる。
- 塩・こしょう・シナモンで味を整えて器に盛り、くるみをちらす。
小松菜とナッツのパウンドケーキ
小松菜にはカルシウムが豊富に含まれており、疲労回復にも効果的です。ナッツの持つ不飽和脂肪酸によりコレステロールの低下も期待できます。低カロリーで栄養も豊富なおやつとして、ダイエット中の方にもおすすめです。
【材料】
(小さめのパウンド型1本分)
・小松菜 50g
・豆乳 50g
・オーツ粉 80g
・ベーキングパウダー 小さじ1
・甘味料 15g
・塩 少々
・シナモン(パウダー) 少々
- ミキサーに、小松菜と豆乳を入れてペースト状にしボウルに入れる。
- その他の食材も全てボウルに投入し、よく混ぜる。
- 型に流し込み180度に予熱したオーブンで20分焼く。
ジンジャーシロップ
自家製ジンジャーシロップのレシピです。材料を入れ煮込むだけで、簡単に生姜の効果も一緒に摂取できる美味しいシロップが完成します。
【材料】
・水 200ml
・砂糖 100g
・はちみつ 大さじ1
・生姜 100g
(好みのスパイス)
・鷹の爪 1本
・シナモン 1本
・コショウ 8粒
・アニス 1個(なくても可)
・グローブ 5粒(なくても可)
- 生姜を皮ごと、2mm幅にスライスする。
- すべての食材を鍋に入れ火にかける。沸騰する直前で弱火にし、10〜15分煮る。
- あら熱がとれたら保存瓶へ入れる。
まとめ
シナモンが万能スパイスと言われる理由は用途だけではなく、その効果にも期待できることをご理解いただけたでしょうか?料理や飲み物などさまざまなシーンで使用することができるため、誰でも簡単にシナモンを取り入れた生活を始められます。
上手に活用しながら、健康増進に繋げていきましょう。