皆さんは奇跡のオイルと呼ばれている「ギー」について知っていますか?ギーは、インドを中心とした南アジアで古くから作られ、食用として用いられて来ました。
この記事では、そんな「ギー」の健康への効果・栄養価を中心にご紹介していきたいと思います。
ギーとは?
ギーと聞いてすぐにピンと来る人は少ないと思いますが、皆さんはいかがですか?ここからは、ギーの基本情報・バターとギーの違い・家庭で簡単に作る方法についてご紹介していきます。
ギーって何?
ギーはバターを加熱した「バターオイル」のことを指し、無塩バターからタンパク質・水分・不純物を取り除き、純粋な脂肪分だけを集めた「溶かしバター」のことです。
ギーの原材料は、牛・水牛・ヤギの乳で、煮詰めることで水分やタンパク質を取り除いて作られます。
バターとの違い
「ギーとバターの違いはどこにあるの?」と、不思議に思っている方もおられると思います。具体的にギーとバターの違いはどんなところにあるのでしょう?
そもそもバターは、生乳の乳脂肪分を練り上げたもので、一方のギーの原料は無塩発酵バターです。つまり、ギーもバターも原材料は同じ「生乳」ですが、なぜ違いが生じるかといえば加工方法に違いがあります。
バターは、生乳を遠心分離機にかけて取り出した、脂肪分が18%以上含まれたクリームから作られたものです。
そしてさらに加工を加え、生乳をこれ以上の加工は不可能というところまで加工し、純度を高めた最終形態がギーと呼ばれる製品です。
グラスフェッド・ギーがおすすめ
「グラスフェッド・ギー」とは、原料の無塩バター・発酵バターにこだわりを持って作られたギーで、牧草のみで育てられた牛の生乳を使って作られたバターのみ使用して作られたものです。
なぜ、こだわりの生乳を原材料として作られているかというと、牧草だけを食べて育った牛はストレスのない環境でのびのび育てられており、そのような環境で育った牛のミルクは栄養が豊富で栄養価が高いギーを作れるため、グラスフェッド・ギーがおすすめと言われています。
家庭で手作りできるの?
では、グラスフェッド・ギーは自宅で作れるのでしょうか?その答えは、「作れる」です。
それでは、簡単に作る方法をご紹介していきましょう。
【材料】
グラスフェッドバター 450g
- グラスフェッドバターを鍋にいれ、中火で5分ほどバターを焦がさないように溶かしていく。
- バターが完全に溶けたら、ごく弱火で30分ほど煮詰めていく。(家庭用コンロは火が強過ぎるため、コンロに餅焼き用の網を2~3枚重ね、その上に鍋を乗せるようにすると良い)
- バターから出る泡が細かくなり、鍋の底が見えるくらい透明感が増したら火を止める。
- 目の粗いキッチンペーパーで濾したら完成。
常温で、1年間は保存可能です。ポイントは、焦がさないように極々弱火で透明感が出るまで煮込むことです。上の方に浮いてくる泡はバターの中にある不純物なので、これを取り除き、油分だけを抽出するとグラスフェッド・ギーが完成します。
ギーの健康効果と栄養
ここからは、ギーの健康への効果・栄養価について順に解説していきます。ぜひ理解を深め、日々の生活に取り入れてみてくださいね。
腸内環境が整う
ギーに含まれている栄養素に、短鎖脂肪酸・酪酸があり、これらの栄養素が腸内を弱酸性化し、悪玉菌の増殖を防ぐ働きを行うことで腸内環境を改善させる効果があります。大腸のぜん動運動を促進させ、便通を促す効果もあると期待されているため、お腹の調子を改善したい方にもピッタリです。
腸内環境が整うことで、アレルギーの改善・免役機能の向上などが見込め、さらにはガン予防にもつながるとされています。
ダイエット効果
ギーに含まれる長鎖脂肪酸は、バターに含まれる量より少ないため、体内に脂肪が蓄積しにくいという効果があります。また、酵素の働きを活性化するため、脂肪が燃焼しやすい身体づくりに役立ちます。
さらに、コレステロール・中性脂肪を体に付きにくくする作用、エネルギーの代謝を活発化させる作用など、ダイエットに大変有効な効果があるため期待されている食材です。
ただし、摂り過ぎはカロリーオーバーを招くため、適量を摂る事が大事です。朝のバターコーヒー1杯と、時折料理に使用する程度が適当です。
アンチエイジング
ギーにはビタミンが豊富に含まれており、ビタミンA・ビタミンEが合わさることで、シミ・しわ・そばかす・たるみといった嬉しくない現象を抑制する抗酸化作用といった効果が高まります。
ギーを直接肌に塗ると皮膚の奥まで成分が浸透し、肌の調子を改善・向上させるリバースエイジング(若返り)の効果もあります。
ギーの長所をご紹介
それでは、なぜギーが健康志向の高い人に愛されているのでしょう?ここからはその理由について順に解説していきたいと思います。
常温で長期保存ができる
ギーは通常のバターを更に煮詰め水分を飛ばし、油分だけを残して作ったものであるため、水分が少なく油分が多い食材で基本的に腐ることはありません。
ギーに含まれる水分は約0.2%で、酸化反応が起こり得る水分含有量は約0.3%付近で最低になると言われているため、ギーは極めて純度の高い酸化反応の低いオイルといえます。
このことから、常温で長期保存ができるため、インドでは100年もののギーも存在するようですよ。
脂質のバランスが良い
ギーには10種類以上もの脂質がバランスよく含まれているため、特定の種類だけの脂質を摂取し過ぎてしまうというリスクが低い食材です。
ギーに多く含まれている「中鎖脂肪酸」は、一般的な脂肪酸より消化吸収率が4倍も高く、10倍ものスピードで分解・燃焼すると言われており、その中鎖脂肪酸が約10%もギーに含まれています。
そのためスポーツ選手のエネルギー源としても大変有効で、活用され始めているスーパーフードです。
高温調理に向いている
バターの発煙点は約180℃ですが、ギーの発煙点は約250℃と高いため、高温で調理をする揚げ物・炒め物などの調理に向いています。発煙点を超えると、引火する可能性が高くなり人体に望ましくない変化を起こしてしまうため注意が必要です。
この発煙点は、油脂が酸化しやすい素材ほど低くなり、エキストラバージンオリーブオイルは約160℃、オリーブオイルは約180℃です。
つまり、より精製され純度が増している精製油の方が酸化しにくく、発煙点も高くなる特徴があります。
乳糖不耐症の方でも安心
通常の乳製品には乳糖と言われる成分が含まれていますが、ギーは加熱処理によりラクトースと呼ばれる乳糖が除去されるため、基本的に乳糖不耐症の方でも摂取できると言われています。
そもそも乳糖不耐症とは、小腸から分泌されるラクターゼという乳糖を分解するための酵素が少量しか作られず、乳糖をグルコース・ガラクトースに分解できない症状です。
万が一乳糖を含む食材を摂取した場合、乳糖を正常に分解できずにお腹が痛くなったり、水下痢を起こしてしまったりします。そのため、乳糖不耐症の人は乳糖を含む牛乳などの食材を避ける必要があります。
ギーの使い方
スーパーフードのギーは、一体どのようにして摂取すれば良いのでしょう?ギーは日々行う料理の食材として使うだけでなく、飲み物に混ぜたりマッサージオイルとしても活用できます。
料理やお菓子作りに
まず思い浮かぶギーの使用方法は、調理油として料理に使う方法だと思います。ギーはインド生まれのオイルのため、カレーとの相性が抜群のため、野菜を炒めるときにギーを使うとコクが出て美味しく仕上げられます。
また、炊きたてご飯にギーを混ぜて、ギーライスをつくってカレーをかけることも可能です。この他にも、洋食・イタリアン・アジアン料理などの香りが特徴の料理によく合うのでおすすめです。
お菓子作りにももちろん活用でき、なんといってもバターの代わりに使用することで、面倒なバターを溶かすという工程を行う必要がなくなります。
飲み物にプラスする
ギーを飲み物にプラスする場合、一番おすすめの飲み方は「バターコーヒー」にして飲む方法です。日本でギーが最初に注目されるきっかけになったのも、この「完全無欠コーヒー(バターコーヒー)」がテレビや書籍で紹介されてからです。
朝食代わりにこのバターコーヒーを飲むのが主流ですが、初めて飲む人は少量のギーから開始し、身体を徐々に慣れさせていくことが大切だと言われています。
マッサージオイルに
インドの家庭では、食事の他にマッサージオイルや塗り薬として一般的に使われており、古くから最上級のオイルで万能油として重宝されてきました。
肌の美容パックとしても活用でき、清潔にした肌にギーを塗り、20~30分放置しホットタオルでなじませながら拭き取ると、プルプルの潤い肌になると言われています。
ギーには酸化しにくい成分がたくさん含まれているため、免疫力向上・アンチエイジング・疲労回復・傷の治癒効果などがあるため、肌に塗ってマッサージすることでそのまま肌に浸透し、肌にとっても良い効果がたくさん認められています。
まとめ
この記事では、奇跡のオイル・ギーの健康効果・栄養価・バターとの違いなどを中心にご紹介してきましたがいかがでしたか?
ギーはバターを更に煮詰め、不純物を取り除いた純度の高いオイルのため、食材としてのみならず飲み物やお菓子に入れられますし、アンチエイジング効果も抜群です。
肌に塗ることで保湿効果を高め、更に傷の治癒を導いてくれるため、肌の再生力も向上します。私たちの健康にとても効果的なギーを是非普段の生活に取り入れ、ぜひ効果を実感してくださいね。