2023.04.19

腸活

便秘になる原因は意外な生活習慣?|即効性のある治し方をご紹介

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植田 祐己

美容皮膚科医

1日も早く解消したい便秘。自分なりに色々な対策や解消法をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、自己流では全く解消されないという方も多いはず。

今回は、便秘になる原因とその解消法についてご紹介していきます。

便秘の症状とは?

まずは、便秘とはどんな状態のことなのか見ていきましょう。

便秘の定義

慢性便秘症診療ガイドライン2017では、便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。​​そして、便秘症とは「便秘による症状が現れ、検査や治療を必要とする状態」のことをいいます。

では、具体的に便秘による症状とはどのようなものなのでしょう。

便秘による症状一覧

便秘には以下のような症状があります。

  • 強くいきむ必要がある
  • 便の形状が兎糞状または硬便
  • 残便感を感じる
  • 直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある
  • 用手的な排便介助が必要
  • 自然な排便回数が週3回未満

これら2項目以上にチェックがつけば「便秘症」という診断になる可能性があります。さらに、6ヶ月前から症状があり、最近3ヶ月便秘症の症状がある場合は「慢性便秘症」ということになります。

 

便秘を引き起こす原因

便秘の原因は、大きく分けて「機能性便秘」と「器質性便秘」に分かれます。

機能性便秘は、様々な原因によって腸の動きや反射が悪くなり、便をうまく運ぶことが出来ず、便が腸内に停滞してしまう状態を言います。一方、器質性便秘は、腫瘍等が原因で、腸内が物理的に狭窄し、食べ物が通過しづらい状態をいいます。疾患が関係していることが多く、原因に応じて治療が必要になることも。

ここからは、便秘を引き起こす原因を探っていきましょう。

生活習慣・食生活の乱れ

生活リズムや、食事が不規則だと便秘になりがちです。朝食をスキップしすぎると胃腸の動きが悪くなり、便秘になりやすくなると言われています。さらに、食事時間や生活リズムが不規則で、運動習慣がない人も胃腸の動きが悪くなり、便秘になりやすいという傾向が。

ここからは、生活習慣と食習慣について具体的に見ていきます。

睡眠不足

睡眠と腸内環境には大きな関係があり、睡眠の変化が腸内環境に影響を与えることが明らかになっています。つまり、不規則な睡眠や寝不足が続くと便秘を引き起こす可能性が。

食習慣

便の元となる「食事」は、排泄と切っても切り離せないもののひとつです。栄養が不足したり腸に負担をかける食品を過剰に摂取することで便秘を引き起こしているかもしれません。

食物繊維・水分不足

食物繊維は、便通を整えてくれる整腸作用があります。さらに、腸内環境を整えてくれる役割もあり、腸内環境が整うと腸の動きは良くなります。また、水分摂取量が極めて少ないと便が硬くなってしまうため、適度に水分を摂ることも大切です。

普段の食事で野菜が少なかったり、水分をあまり摂ってないと感じる方は、これらが便秘の原因になっているかもしれません。

食品添加物

食品添加物は腸内環境に悪影響を及ぼすことが分かっています。出来合いのものや、冷凍食品、レトルト食品を食べる頻度が多い方は、知らず知らずのうちに腸内環境が悪化しているかもしれません。

小麦製品

小麦製品のパンや麺類に多く含まれる「グルテン」というタンパク質は、腸壁を傷つけてしまう恐れがあり、腸内環境を悪くしてしまう可能性が。主食がパンや麺に偏っている方は、見直してみてもいいかもしれませんね。

白砂糖

甘いお菓子に使われている白砂糖は、腸内の悪玉菌を増やす働きがあります。そして、結果として腸内環境を悪くしてしまう可能性が。腸内環境が悪くなると、腸の動きも悪くなりますので、便秘を引き起こしかねません。

甘いお菓子を食べることが習慣化している方は、間食の内容を変えてみることも大切です。

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運動量・筋力の低下

あまり動く習慣がなく、筋肉が落ちたり、循環が悪くなって腸の活動が低下してしまうと、便秘にもなりかねません。また、腸の中で便を運ぶための「蠕動運動」が有効に行われるためには、身体の冷えがなく循環が良いことが大切です。

筋力や血流の状態を良くするためにも、適度な運動は欠かせませんね。

環境の変化・ストレス

環境の変化やストレス状態になると、交感神経が優位になります。交感神経とは、簡単にいうと〝戦闘態勢〟モードのときの状態です。呼吸や脈拍が速くなり、消化活動や排泄機能のような消化器の活動が緩やかになります。

実は、排泄のためには心がリラックスしていることも大切な要素なのです。

消化器系の疾患

イレウス、大腸がん、腸管癒着などの器質的な原因があって、便秘が起こることも。 血便、激しい腹痛、嘔吐などを伴う場合は、病院に行って診断を受けることが必要です。もしかしたら、病気が隠れているかもしれません。

 

便秘の治し方

ここからは、普段の生活に取り入れる事ができる簡単な便秘の解消法について紹介していきます。

腸内環境を整える

便秘対策のため腸内環境を整えることは非常に重要です。しかし、腸内環境は短期間ですぐに整うものではありません。

腸内環境を左右する腸内細菌は、大きく分けて以下の3つに分けられます。

  • 善玉菌:体にとって良い働きをする菌
  • 悪玉菌:増えると体に悪さをしてしまう菌
  • 日和見菌:優勢な菌の味方になる菌

この3つの菌が「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」のバランスであることが理想です。そのためには、毎日の食事の中で善玉菌を取り入れ、増やす事が大切です。ポイントは、発酵食品と食物繊維やオリゴ糖を含む野菜を積極的に摂る事です。

また、良質な油は腸の蠕動運動を促したり便そのものを柔らかくするため、便秘改善効果が期待できます。調理の際には、オリーブオイルやゴマ油のような良質な油を使うようにすると良いですね。

生活習慣を見直す

起きる時間や寝る時間など、生活リズムを整えることも大切です。生活時間を規則的にすることが、規則的な排便に繋がります。便意を催しても、トイレにゆっくり座る時間を確保できなかったり、我慢したりすることが続くと、便意自体を感じにくくなってしまうこともあります。

適度な運動をする

適度に体を動かすことは便秘解消に繋がります。運動と聞くと、ハードルが高く感じる方もいるかもしれませんが、便秘の解消のためには、激しい運動より軽めの有酸素運動が有効です。

気持ちよくできる程度のウォーキングやランニングを取り入れてみても良いかもしれません。特にねじりのある運動は、腸管運動を整えてくれるとされています。ストレッチやヨガなども良さそうですね。

良質な睡眠をとる

実は、便秘と睡眠にも大きな関りが。睡眠の質が落ちたり睡眠不足になると、日中の体は交感神経優位になり、腸の動きも悪くなります。逆に、規則正しい睡眠をとって腸の動きを良くすれば、便通も良くなると言えるでしょう。

睡眠のサイクルを整えるためには、朝起きて朝日を浴びることや、寝る前にブルーライトを浴びすぎないようにすることが大切です。

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便秘の健康リスク

実は便秘になると、体の色々なところに不調が現れる可能性があります。どんな事が起こり得るか見ていきましょう。

食欲の低下

腸の動きが悪くなると、食べ物の消化が阻害されてしまいます。腸内に食べ物や便が停滞すると、食欲が低下したり、吐き気が出たりしてしまいます。

肌荒れ

便秘により腸内に長く便が停滞してしまうと、腸内で悪玉菌が増殖します。腸内の悪玉菌は、硫黄酸化物や窒素酸化物などのメルカプタン、アンモニア系の体に有害な成分を含むガスを発生させます。

これらの有害な物質は腸の壁から吸収され血液を介して全身を巡り、体の外に出るときにトラブルを引き起こすことに。結果として、おならや便が臭い、口臭や体臭が強い、肌のトラブルを引き起こすといったことに繋がるのです。

気分のムラ

脳腸相関」という言葉があるように、自律神経系やホルモンを介して、脳と腸が影響を与え合っていることが分かっています。そして、ストレス応答やメンタルヘルスの病因に関しても、腸内環境が重要な役割を果たしていると言われています。

つまり、便秘で腸内環境の悪化が進むと、メンタルヘルスにまで悪影響を及ぼす可能性があるのです。

 

まとめ

たかが便秘、されど便秘。体に現れる便秘という症状が、実は健康のバロメーターであるといっても過言でないことがお分かりいただけたと思います。便秘の症状が出たときこそ、普段の生活を見直すチャンスです。小さなことから取り入れて、便秘知らずのヘルシーライフを始めたいですね。

参照:
後藤千穗.徳留裕子.女子短大生の 排便状況と生活習慣.名古屋文理短期大学紀要.第24−ll,1999,P 81-86
徳本勇人.食品添加物粒子が腸内細菌叢に与える影響.J. Soc. Powder Technol., Japan, 54, 172–177 (2017) doi: 10.4164/sptj.54.172
​​細田誠弥.生活習慣と排便異常.生活習慣病と消化器疾患.2004,P 330-337
小野茂之.東京圏の成人女性を対象とした便通状態と睡眠健康に関する疫学的調査.女性心身医学 10 (2), 2005,P 67-75
​​​​​高野正太.慢性便秘症に対する食事療法.日本大腸肛門病会誌.72,2019,P 621-627
功刀浩.気分障害と腸内環境.臨床精神薬理 Vol 22, Issue 11, 2019,P 1045 – 1052

この記事の監修者

植田 祐己 美容皮膚科医

 
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