2024.02.28

アレルギー

【保存版】花粉症の対処法3選|症状を悪化させるNG習慣とは?

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植田 祐己

美容皮膚科医

春になるとやってくる花粉症。くしゃみや鼻水、目のかゆみなど、辛い症状が続くと、日常生活にも大きな影響を及ぼします。

しかし、正しい対処法を知っておけば、症状を軽減することができます。そこで今回は、花粉症予防・改善に効果的な対処法3選をご紹介し、症状を悪化させるNG習慣についても解説いたします。

この記事を参考に、症状に苦しまない快適な生活を過ごせるようになりましょう。

花粉症の基礎意識

花粉症の基礎知識についてまずは理解しておきましょう。

花粉症の正体

花粉症は、鼻や目から入ってきた植物の花粉に対する過剰な免疫応答によって引き起こされる、アレルギー疾患の一つです。アレルギー素因のある人の体内に花粉が入ってくると、花粉を体にとって異物=敵と見なします。そして敵に対抗するための抗体である「IgE抗体」を産生します。一方で、体内に花粉が入ってきてもIgE抗体をほとんど産生しない人もいます。これが俗にいう「アレルギー体質」の人と、そうでない人の違いです。

このIgE抗体は、花粉に接触するたびに作られるため、幼少時から少しずつ体内に蓄積されていきます。蓄積量があるレベルに達すると、次に花粉が鼻や目から入ってきた時に、IgE抗体は肥満細胞という免疫系の細胞に働きかけ、ヒスタミンなどの炎症物質を放出します。

この炎症物質が鼻水、くしゃみ、鼻づまり、目のかゆみ、充血などの花粉症の症状を引き起こします。重症の場合には、呼吸困難喘息発作などの症状が現れることもあります。

花粉が飛び始める時期

花粉が飛び始める時期は、地域や気候条件によって異なりますが、一般的には以下のような時期になります。

  • スギ:2月~4月頃
  • ヒノキ:3月~4月頃
  • ハンノキ:1月~4月頃
  • イネ科:5月~10月頃
  • ブタクサ:8月~9月頃
  • ヨモギ:9月~10月頃
  • カナムグラ:8月~10月頃

毎年花粉症を発症する方は、自分が反応する花粉の時期や場所を把握しておくことが重要です。これにより、花粉症の症状を軽減するための対策を取ることができるからです。

花粉症って遺伝するの?

花粉症のなりやすさは、主に「アレルギー素因」「体内に蓄積されてきたIgE抗体の量」「その人自身の許容量」の3つによって決まります。

アレルギー体質の方は、そうでない方に比べて、花粉に反応して生成されるIgE抗体の量が多くなります。そしてアレルギー体質は優性遺伝であるため、親から子に遺伝する確率は高くなります。具体的には、両親ともにアレルギー体質である場合は約5割、どちらかの親がアレルギー体質である場合は約2~3割で遺伝すると言われています。

アレルギー体質であれば、生成されるIgEの量が多いので、花粉症になりやすいと言えます。しかし、すべてのアレルギー体質の方が、花粉症になるわけではありません。

先ほども述べたように、幼少時から蓄積されてきたIgE抗体の量が、あるレベルを超えてはじめて、花粉症の症状は起こります。よってこれまでの人生で、花粉にどれだけ暴露されたかも、花粉症のなりやすさの重要な指標となるのです。

加えて、どれくらいの量のIgE抗体が生成されたときに花粉症になるかというのは、その人の体質によって異なります。人によって、症状を起こさずにいられるIgE抗体の許容量が異なるのです。そしてこの許容量には、遺伝よりも、生活習慣が大きく関わっていると言われています。

 

花粉症の種類

季節ごとに、花粉が舞う植物の種類が異なるので、自分がどの植物の花粉に反応するのかを把握しておきましょう。

スギ

直径は約60マイクロメートル(μm)で、ヒトの鼻や喉の粘膜に付着しやすいサイズです。空気中に飛散する期間は2~3週間程度で、2月下旬から4月上旬にかけてピークを迎えます。日本全国に分布しているため、花粉飛散量も非常に多く、1本の花からは1日あたり数百万~数千万個の花粉が発生するため、大量に飛散します。

アレルギー症状を引き起こす主な成分は「スギナイン」と呼ばれるタンパク質です。

ヒノキ

直径は約25~35μmで、スギ花粉より小さいため、空気中に長時間漂います。飛散期間は3週間程度で、3月下旬から4月上旬にかけてピークを迎え、主に西日本地域に分布しており、東日本ではスギ花粉に比べて花粉飛散量は少ない傾向にあります。

スギ花粉と比較すると花粉の数は少なく、アレルギー症状を引き起こす主な成分は「ヒノキナイン」と呼ばれるタンパク質です。

シラカンバ

直径は約20~30μmで、空気中に長時間漂います。飛散期間は3週間程度で、3月下旬から4月上旬にかけてピークを迎え、主に北海道、東北地方、北陸地方などの寒冷地に分布しており、その地域に住む人にとっては大きな問題となっています。

シラカンバは、一本の木から数十万個の花粉が発生するため大量に飛散し、アレルギー症状を引き起こす主な成分は「ビルベリン」と呼ばれるタンパク質です。

イネ

直径は約25~30μmで、空気中に長時間漂います。飛散期間は長く、5~6週間程度で、5月下旬から7月上旬にかけてピークを迎えます。主に日本全国に分布しており、そのため花粉症の方にとっては長い期間にわたって悩まされることになります。

イネは一本の草から多数の花粉が発生するため大量に飛散し、アレルギー症状を引き起こす主な成分は「イネ酸性タンパク質」と呼ばれるタンパク質です。

ブタクサ

直径は約20~30μmで、空気中に長時間漂います。飛散期間は3週間程度で、8月下旬から9月上旬にかけてピークを迎え、主に日本全国に分布しており、特に北海道、東北地方、北陸地方などの寒冷地で多く見られます。

花粉の数は非常に多く、1本の花からは数十万個の花粉が発生するため大量に飛散し、アレルギー症状を引き起こす主な成分は「アレルゲンE」と呼ばれるタンパク質です。

ヨモギ

直径は約30~35μmで、空気中に長時間漂います。飛散期間は3週間程度で、8月下旬から9月上旬にかけてピークを迎え、主に日本全国に分布しており、草地や道端、川岸などに自生しています。

ヨモギは多年草で、1本の草から数万個の花粉が発生するため大量に飛散し、アレルギー症状を引き起こす主な成分は「アルテミシニン」と呼ばれるタンパク質です。

カナムグラ

直径は約25~30μmで、空気中に長時間漂います。飛散期間は比較的長く、5週間程度で、8月下旬から10月上旬にかけてピークを迎え、主に日本全国に分布しており、草地や道端、畑などに自生しています。

カナムグラは多年草で、1本の草から数万個の花粉が発生するため大量に飛散し、アレルギー症状を引き起こす主な成分は「オオハルシネ」と呼ばれるタンパク質です。

スギ

直径は約25~30μmで、空気中に長時間漂います。飛散期間は2週間程度で、2月下旬から3月上旬にかけてピークを迎えます。

主に日本全国に分布しており、特に関東地方、東海地方、近畿地方などの温暖な地域で多く見られ、花粉の数は非常に多く、1本の花からは数百万個の花粉が発生するため、大量に飛散します。

アレルギー症状を引き起こす主な成分は「ジアスターゼ」と呼ばれるタンパク質です。

花粉症とアレルギー性鼻炎の違い

花粉症もアレルギー性鼻炎も、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)が異なるだけで、症状はほとんど変わりません。

花粉症は、特定の季節に特定の樹木や草花などが放出する花粉によって引き起こされます。花粉の時期にしか症状が発症しないため「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれます。

一方、アレルギー性鼻炎は、花粉以外にも、ダニやカビなどのアレルゲンによって引き起こされます。季節と関係なく起こるので「通年性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれます。

 

花粉症予防・改善に役立つ対策3選

花粉症を予防・改善するために、行うべき対策をご紹介いたします。

室内や衣服・髪を清潔に保つ

床やテーブル、棚などの表面を掃除機や拭き掃除でキレイにすることで、花粉を取り除くことができます。特に、外から帰って来てすぐ入る玄関や廊下はこまめに掃除しましょう。

外出から戻り家に入る際は、なるべく衣服や髪・顔についた花粉を除去することが望ましいです。できれば、玄関先で衣服は着替える方が良いですが、衣服用ブラシなどで服の表面をブラッシングするだけでも効果があります。

また、髪も同様にブラッシングを行い、花粉症によるアレルギー反応が肌にも出てしまう方は、化粧水を付けたコットンで肌の表面を拭き取ってあげるだけでも症状が緩和されるでしょう。

食生活に注意する

乱れた食生活は、腸内環境を悪化させ免疫力を低下させたり、栄養不足を引き起こします。そのため、まずは体が本来持っている機能を十分発揮させるために「摂らない方がいい食品」を理解し、なるべく避けるようにしましょう。

避けた方が良い食品については、記事の最後にあるのでぜひご覧ください。

それから、野菜・果物、タンパク質、脂質、食物繊維などの栄養素を摂取するよう、バランスの良い食事を心がけましょう。栄養バランスの取れた食事は、花粉症予防・改善に欠かせない要素です。

また、食事の時間や量にも気を付けることが望ましいです。不規則な食事や過剰な食事は、免疫力低下の原因になります。なるべく食事の時間を決め、食べ過ぎないように注意しましょう。

体内の老廃物排出を促すためにも、水分を十分に摂ることも大切です。目安として、1日に1.5〜2L程度の水分を摂るようにしましょう。

生活習慣を改善する

花粉症を予防したり、症状を和らげるためには、食生活だけでなく生活習慣を整えることが大切です。とくに良質な睡眠を取ることは優先すべきで、免疫機能の調節に重要な役割を果たすため、極力寝不足は避けるようにしましょう。

また、運動をして筋力や心肺機能を上げることで、免疫力はもちろんデトックス機能もアップするので、忙しくても少しでも体を動かす時間を設けた方が良いです。難しい場合は、日常の動作にながら運動を加えたり、駐車場で車は遠くに停める、一駅手前で降りて歩くなどの工夫をしましょう。

さらに、日々のストレスケアを意識することも花粉症の緩和には大きく関わります。ストレスは、免疫力を低下させる原因の一つなので、自分のストレスを軽減するために効果的なものを、いくつか持つようにしましょう。

 

花粉症対策におすすめの食品

花粉症を予防したり改善するために、積極的に摂った方が良い食品をご紹介いたします。

腸内環境を整える食品

近年、腸内環境と花粉症の関係が示唆されています。例えば、「乳酸菌」は悪玉菌の繁殖を抑え、腸内環境を整えてくれる働きがあります。乳酸菌は口から摂取した場合、その大半が腸に届かず死んでしまいますが、死菌も腸にいる善玉菌のエサとなることで腸内環境の改善に寄与すると言われており、乳酸菌の摂取により花粉症の症状が緩和したという研究報告も出ています。

日本の伝統食品には、この乳酸菌を含む食品であったり、乳酸菌以外の善玉菌が含まれる食品、善玉菌のエサとなる食品がたくさんありますので、表を参考に毎日の食卓にいずれかを取り入れるようにしましょう。

味噌 大豆、麦、米などの原材料を糀とともに発酵させたもので、ラクトバチルス菌、ビフィズス菌、酵母菌などが含まれます。
しょうゆ 大豆、麦、小麦などを原料に、麹菌や乳酸菌、酵母菌を用いて発酵させたものです。
納豆 大豆を発酵させたもので、主にネバリナッタ菌が含まれます。
酢酸菌という、乳酸菌や納豆菌と同じ、食用の発酵菌が含まれます。
梅干し 梅に塩を加えて漬けたもので、乳酸菌が含まれます。

 

キムチやヨーグルトを食べるのも良いですが、日本人の腸に合う昔から食されているものを選ぶことをおすすめします。

ビタミンDを含んでいる食品

現代人のビタミンD不足は世界的な問題となっており、特に日本人の血中濃度は極めて低いです。ビタミンDには免疫力を向上させたり、アレルギー症状を改善させたり、心や神経のバランスや腸内環境を整える作用があると言われています。

普通、太陽光を浴びることで体内に形成されるものですが、食品からも摂取することができるため、以下の食品を取り入れるよう意識してください。

魚介類 サケ、マス、マグロ、サバ、ニシンなどの脂がのった魚に多く含まれます。
とくに卵黄に豊富に含まれますが、食べ過ぎは健康に良くないので1日1〜2個までにしましょう。
キノコ類 とくに、しいたけ、マイタケなどに豊富に含まれます。

 

魚や鶏、キノコは太陽光を浴びることで、人間と同様にビタミンDを合成することができます。キノコの中でも、しいたけとマイタケは、ビタミンDを多く含むことが知られています。

ビタミンCが豊富な食品

ビタミンCには、アレルギー反応に関与するヒスタミンの放出を抑制する抗酸化作用があるとされています。また、炎症を抑える作用もあるため、花粉症の症状を緩和することができるでしょう。

ビタミンCを多く含む食材を参考に、毎日の食事に取り入れてみてください。

グアバ 約228mg
芽キャベツ 約110mg
キウイフルーツ 約92mg
ブロッコリー 約89mg
パプリカ 約80mg
いちご 約59mg
レモン 約53mg
オレンジ 約53mg
パイナップル 約47mg
カリフラワー  約46mg

(100g当たりの含有量)

ビタミンCは、私たちの免疫システムをサポートするだけでなく、健康な肌、骨、歯、赤血球を保つためにも重要です。ですが、ビタミンCは水溶性であるため、加熱や保存、長期間の調理によって失われる可能性が高いです。上記の食材も、できるだけ生食で摂取するようにしましょう。

オメガ3脂肪酸が豊富な食品

オメガ3脂肪酸は、健康に良い影響を与えるとされる必須脂肪酸の一種であり、主にEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)が含まれています。以下に、オメガ3脂肪酸が豊富な食品を挙げます。

青魚類 鮭、マグロ、サバ、イワシ、サンマなど
缶詰類 アンチョビ、さば缶、カニ缶など
種子類 チアシード、亜麻仁、ヘンプシードなど
海藻類 ワカメ、昆布、ノリなど
ナッツ類 ウォールナッツ、アーモンド、ピスタチオ、くるみなど
大豆製品 豆腐、納豆

 

オメガ3脂肪酸には炎症を抑制する作用があるため、花粉症に伴う炎症を緩和することができます。また、免疫力を高める効果や抗酸化作用を持つこともあり、アレルギー反応を引き起こす物質の生成を抑制するとされています。

ポリフェノールが豊富な食品

ポリフェノールは、抗酸化作用や抗炎症作用があるとされており、花粉症の症状の緩和に役立つ成分の一つです。以下に、ポリフェノールが豊富な食品を挙げます。

果汁飲料 赤ワインやブドウジュース、ブルーベリージュース、クランベリージュースなど
スパイス類 シナモン、ターメリック、ココアパウダー、カルダモンなど
お茶類 緑茶、黒茶、プーアル茶、オレンジペコ、ルイボスティーなど
植物油 エキストラバージンオリーブオイル、亜麻仁油、アボカドオイルなど
果物・野菜・豆類 ブロッコリー、レンズ豆、黒豆、キノコ、ベリー類、りんご、オレンジ、グレープフルーツなど

 

ただし、加熱調理や保存方法によっては、ポリフェノールの含有量が減少する場合があるため、できるだけ新鮮な食品を摂取するように心がけましょう。

天然の甘味料ハチミツ

ハチミツは、蜜蜂が花から集めた花粉や樹液を酵素で分解し、独自の成分である酵素やフラボノイド、ポリフェノールなどを加えて作られます。そのため、蜂蜜には様々な栄養素が含まれているうえに抗炎症作用もあるとされており、花粉症の炎症反応を抑える効果があるとされています。

ただし、ハチミツには糖分が含まれているため、過剰な摂取は健康に悪影響を与える場合があります。1度に食べる量は、スプーン1杯分程度にしましょう。

【病気・老化予防】抗炎症作用のある食べ物|やめるべき習慣とは?

 

これだけは避けて欲しい食習慣

花粉症が悪化する要因になる、避けるべき食習慣について解説いたします。

糖質たっぷりのお菓子や加工食品を食べ過ぎる

お菓子や加工食品は栄養素が不足しており、過剰摂取により栄養バランスが悪くなると、身体の免疫力が低下します。またこれら食品に含まれる添加物や保存料は、体内で炎症性の反応を引き起こすことがあり、花粉症の症状が悪化する可能性があります。

そのため、花粉症の人は、お菓子や加工食品の過剰な摂取を避け、栄養バランスの良い食事を心がけることが大切です。

インスタント食品、ファストフードを食べ過ぎる

インスタント食品やファストフードには、添加物保存料人工的な香料着色料が多く含まれています。これらの物質は、身体に負担をかけ免疫力を低下させる可能性があります。また、これらの食品は過剰摂取により栄養バランスが悪くなることが多く、身体の免疫力が低下してしまいます。

そのため、花粉症の人は、インスタント食品やファストフードを過剰に摂取しないように注意する必要があります。

サラダ油を料理に使う

サラダ油は、主にオメガ6脂肪酸が多く含まれています。過剰なオメガ6脂肪酸の摂取は、炎症反応を促進することがあります。

オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸は、身体でバランスよく摂取することが大切です。しかし、現代の食生活では、過剰なオメガ6脂肪酸を摂取しやすい傾向にあります。特に、加工食品や揚げ物、ファストフードなどに多く含まれているため、これらの食品を過剰に摂取すると、身体のオメガ6とオメガ3のバランスが崩れ、炎症反応を引き起こす可能性があります。

そのため、花粉症の人は、サラダ油を含む食品を適量にとどめ、オメガ3脂肪酸を多く含む食品を積極的に摂取するよう心がけましょう。

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まとめ

花粉症に悩まされている方は、体質ではなく自身の食事や生活習慣によって悪化している場合があります。

症状を予防したり緩和するためには、薬を飲むだけでなく、日々の免疫力を低下させてしまう行為を改めるようにしましょう。ご紹介した生活習慣のポイントや食品を参考に、まずは健康な体と心を整えることを意識してみてください。

この記事の監修者

植田 祐己 美容皮膚科医

 
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