2023.10.25

食事・栄養

食品添加物の基本|役割や体への影響についても簡単に解説!

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植田 祐己

美容皮膚科医

食品添加物に対してどのようなイメージがありますか?「毒」「体に悪そう」と思っていらっしゃる方も多いのではないかと思います。今回は、食品添加物とはどういうものなのか、そして体にはどのような影響があるのかについて解説していきます。

食品添加物の基本

まずは、日本における「食品添加物」の基本について解説していきます。

食品添加物の定義

食品添加物は、保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工や保存の目的で使用されるもの。厚生労働省では、食品添加物の安全性について食品安全委員会による評価を受け、人の健康を損なう恐れのない場合に限って使用を認めています。

また、使用に当たっては、成分の規格や使用基準が定められています。さらに、規格や基準に関しては、必要に応じて改定も繰り返し行われています。

食品添加物に関する法律

食品添加物に関することは食品衛生法という法律で定められています。そして、以下の内容が食品添加物を使用する上でのルールとなります。

使用できる添加物

天然物か否か関係なく、原則として厚生労働大臣が指定したもののみ使用することができます。しかし、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物に関しては指定を受けずに使用することができます。また、未指定の添加物を製造、輸入、使用、販売等を行うことは許可されていません。

品質や使用量

食品添加物には、純度や成分についての規格や、使用できる量などの基準が定められています。

食品への表示

食品に使用した添加物は原則として全て表示しなくてはなりませんが、食品に残存しないと考えられているものに関しては表示が免除されています。

表示は、物質名で記載され、保存料、甘味料等の用途で使用したものについては、用途名も併記が義務づけられています。また、表示基準に合致しないものの販売は禁止されています。

詳しくはこちらも参照下さい▼
食品添加物表示に関する情報 | 消費者庁

日本と外国の法律の違い

食品添加物の国際的な基準等は、国連食糧農業機関(FAO)/世界保健機関(WHO)の合同食品規格委員会(コーデックス委員会)食品添加物部会で検討されています。また、食品添加物の安全性について国際的な評価を行うため、国連食糧農業機関/世界保健機関合同食品添加物専門家会議(通称:JECFA) が設置されています。

日本での食品添加物に関する基準は、国際的な基準にできるだけ沿うように定められていますが、食生活や制度の違いなどにより、添加物の定義、対象食品の範囲、使用可能な量などが異なっているため、単純に比較することはできないとされています。

 

食品添加物の役割

ここからは、食品添加物の役割についてみていきましょう。食品添加物は、私達の「食」にどのように関わっているのでしょうか。

食品添加物の役割

現代において、食品添加物は「安全に食べられるように」「長持ちするように」「美味しく食べられるように」というような社会的な役割も担うようになっていると思われます。例えば、以下のような目的があります。

高甘味度甘味料、うまみ調味料、塩化カリウム
→健康問題があり、甘いものや塩分を控える目的として使用

強化剤(ビタミン、ミネラル、アミノ酸)
→栄養の補助として使用される

増粘剤
→嚥下や咀嚼に問題があるときや、介護食として使用

保存料、日持向上剤、酸化防止剤、殺菌料、防カビ剤
→食品の品質を保ち、廃棄の機会を減らす
 備蓄食品として利用

着色料、調味料、甘味料、酸味料、香料
→食品の嗜好性を向上させ、食べ残しを減らす

消泡剤、油脂を抽出する溶媒(ヘキサンなど)、ろ過助剤、豆腐用凝固剤、pH調整剤、乳化剤など
→食品を大量生産することにより食品製造におけるエネルギーを削減できる

食品添加物の安全性

食品添加物の安全性の評価は、食品安全委員会で行われています。動物を用いた試験により、人体への健康被害がないとされる「一日摂取許容量(ADI)」が設定されています。

その評価を受けて、厚生労働省は薬事・食品衛生審議会において、安全性の管理を行います。日常の食事を通して摂取される食品添加物がADIを十分下回るように、使用基準などが定められます。

人体への影響

厚生労働省では、実際に食品添加物の摂取量についての調査が行われています。最近の調査では、実際の摂取量は健康への悪影響がないとされるADIを大きく下回っているという結果になっており、安全性に問題ないことが確認されているようです。

しかし、一方で食品添加物粒子が腸管壁に付着し炎症を起こすことや、食品添加物粒子によっては、体の中の色々な臓器への蓄積も確認されています。

また、添加物のメリット、デメリットは一概には判断できない場合が多いです。たとえば亜硝酸塩は風味を向上させ、ボツリヌス菌の増殖を抑制するため、保存肉に用いられます。しかし亜硝酸塩は、食肉中のアミンという物質と結びつくと、ニトロソアミンという発がん性物質に変換されます。

一方で、保存肉に添加される亜硝酸塩の量は、食品中で自然に発生した硝酸塩が唾液腺によって亜硝酸塩に変換される量と比べると少量ですので、問題ないとする考え方もあります。

 

食品添加物の種類

食品添加物には、天然添加物人工添加物があります。天然添加物は、植物や動物の組織や微生物の代謝産物、鉱物などの天然物を原材料とし、抽出などにより作られたものを言います。 そして、合成添加物は、化学反応により合成されたもののことを言います。

「天然」と聞くと、安全性が高い印象を受けますが、天然だから安全というわけではありません。天然でも毒素を含むものや、注意を要することもあります。ここからは、日本で使用が認められている食品添加物について解説していきます。

指定添加物

指定添加物とは、厚生労働大臣が指定した添加物です。そのため、​​安全性について食品安全委員会の評価を受けて個別に指定されます。現在475品目あります。
▶︎​​指定添加物リスト

既存添加物

既存添加物については、平成7年に食品衛生法が改正され、指定の範囲が化学合成品のみから天然物を含む全ての添加物に拡大されました。我が国において広く使用されているものであり、​​長い食経験があるものについては、例外的に法改正以降もその使用、販売等が認められています。(クチナシ色素、タンニンなど)現在357品目あります。
▶︎既存添加物名簿

天然香料

動植物から得られる天然の物質で、食品に香りを付ける目的で使用されるものです。基本的に使用量はごく僅かであると考えられています。(バニラ香料、カニ香料など)
▶︎​​天然香料基原物質リスト

一般飲食物添加物

一般に飲食に供されているもので添加物として使用されるものです。(イチゴジュース、寒天など)
▶︎​​一般に食品として飲食に供されているものであって添加物として使用される品目リスト

 

まとめ

今回は、日本における食品添加物についての基本的な内容をお届けいたしました。食品添加物については、国によって基準が異なっており他の国と比較することは難しいかも知れません。

しかしながら、食品添加物における法律や使用できる食品添加物や使用できる量の見直し、そして食品添加物が人体に及ぼす影響について研究がなされている背景があります。そう考えると、安全性は確認されているものの、摂り過ぎは控えた方が良いでしょう。

参照:
1.Y. S. Kim, J. S. Kim, H. S. Cho, D. S. Rha, J. M. Kim, J. D. Park, B. S. Choi, R. Lim, H. K. Chang, Y. H. Chung, I. H. Kwon, J. Jeong B. S. Han, I. J. Yu, Twenty-eight-day oral toxicity, genotoxicity, and gender-related tissue distribution of silver nanoparticles in Sprague-Dawley rats, Inhal Toxicol., America, 20 (2008) 575–583.
2.J. Wang, G. Zhou, C. Chen, H. Yu, T. Wang, Y. Ma, G. Jia, Y. Gao, B. Li, J. Sun, Y. Li, F. Jiao, Y. Zhao, Z. Chai, Acute toxicity and biodistribution of different sized titanium dioxide particles in mice after oral administration, Toxicol Lett., Netherlands, 168 (2007) 176–185.
3.B. Wang, W. Y. Feng, M. Wang, T. C. Wang, Y. Q. Gu, M. T. Zhu, H. Ouyang, J. W. Shi, F. Zshang, Y. L. Zhao, Z. F. Chai, H. F. Wang, J. Wang, Acute toxicological impact of nanoand submicro-scaled zinc oxide poweder on healthy adult mice, Jornal of Nanoparticle Research, Germany, 10 (2008) 176–185.
4 .Z. Chen, H. Meng, H. Yuan, G. Xing, C. Chen, F. Zhao, Y. Wang, C. Zhang, Y. Zhao, Identification of target organs of copper nanoparticles with ICP-MS technique, J. Radioanalytical Nuclear Chem., Germany, 272 (2007) 599– 603.

この記事の監修者

植田 祐己 美容皮膚科医

 
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