皆さんは菌活という言葉を聞いて何を思い浮かべますか?菌活は私たちの腸内の健康のみならず、健康に生きていくうえで欠かせない腸内細菌を整える方法です。
そこでこの記事では、菌活におすすめの食べ物・菌活を行うメリットなどを中心に解説していきたいと思います。
菌活とは
菌活を食生活に取り入れることで腸内環境のバランスが整い、私たちを健康へと導いてくれます。では、そんな菌活について解説していきましょう。
3種類の腸内細菌のバランスについて
私たちの腸内には「悪玉菌」「善玉菌」「日和菌」と呼ばれる3つの腸内細菌が存在しています。腸内環境のバランスを整えるためには、3つの菌のバランスを「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」の割合を保つ必要があります。
また悪玉菌の割合が増えると、おのずと日和見菌も悪玉菌に加勢するため、普段から善玉菌を増やす努力を行う必要があるのです。そこで有効になるのが「菌活」で、この3つの菌それぞれのバランスが整っていることが大切になります。
便の状態から腸内細菌のバランスを知るには?
腸内細菌のバランスは、便の状態から知ることが可能です。便が黒っぽく臭いも強い場合は、腸内環境のバランスが悪くなっていると考えられますし、腸内環境が良い状態の便はバナナ状で黄色から黄色味がかった褐色をしており、臭いもそれほど強くありません。
また腸内環境のバランスが整っている場合は、それほど力むことなくストンと排便されます。これらの状態を参考にすることで、便の状態から腸内細菌のバランスをチェックでき、日々の健康状態の把握にも繋がります。
腸内細菌のバランスを整えるポイント4つ
では腸内細菌のバランスを整えるには、どのようなポイントが考えられるのでしょう。腸内には多くの種類の菌が存在するため、ある特定の食品ばかりを摂取するのではなく、様々な食材を組み合わせて食べることが大切です。
①腸内環境が乱れる食品を控える
日々の食生活において、動物性タンパク質・脂質が多く含まれる食品ばかりを摂取していると、悪玉菌を増やす原因になります。腸内環境が乱れると大腸の働きを正常に保てなくなるため、便秘・下痢などの様々な不調につながるのです。
②腸に良いはたらきをする食品を摂る
腸内環境を整えるには、腸内の善玉菌を増やすことが大切です。そのためには食生活を工夫し、腸に良い働きをする発酵食品・食物繊維が豊富な食品などを積極的に摂取する必要があります。
これらの善玉菌のエサとなる食品をたっぷり摂ることで腸内の善玉菌が増え、腸内フローラの活性化にも繋がります。
③生活に運動を取り入れる
腸を整えるには、生活に運動を取り入れることも大切です。1日1,000歩を目標にウォーキングしたり有酸素運動を取り入れたりすることで腸内環境の改善が叶うとともに、腸周りの筋肉をしっかりつけることができます。
この腸周りの筋肉こそが菌活を行う上で欠かせないポイントで、腸周りの筋肉が衰えていると腸が正常に働けなくなってしまうため、ウォーキングやストレッチは菌活にとって欠かせない要素の一つです。
④腸を優しくマッサージする
腸を優しくマッサージすることでも腸内細菌のバランスを整えられます。いわゆる「腸もみ」と呼ばれる方法で、腸が硬くなると活動が鈍り、その結果腸内細菌のバランスの悪化にもつながるため、腸マッサージを行うことで腸の凝りをほぐし、動きを活発化させ血行の促進を促すことを目的としています。
善玉菌を摂取すべきタイミング
では善玉菌を効率的に摂取するベストなタイミングはいつなのでしょう。善玉菌は生活習慣や加齢でどんどん減少していくため、日々の食生活で積極的に摂取する必要があります。
基本的に善玉菌は胃酸に弱いため、食前・空腹時などの状態の時に摂取すると、せっかく摂取した善玉菌が胃酸により死滅させられてしまいます。そのため、胃酸が薄まっている食後に善玉菌を摂取することで、腸まで届けられる可能性が高まります。
菌活におすすめの食べ物
それでは、菌活におすすめの食べ物を項目別に表でご紹介していきましょう。
発酵食品
発酵食品は、現代人の疲れた体を癒してくれる救世主といわれており、食材を微生物などの作用により発酵させることで加工したものを指します。日本食に多いイメージですが、世界中にも数多くの発酵食品があり、保存食として親しまれてきました。
納豆 | 大豆を納豆菌で発酵させたもので、タンパク質・食物繊維・ビタミン・カルシウムなどの豊富な栄養素が含まれている食材 |
発酵漬物 | 乳酸菌・酵母で発酵させた漬物で、ぬか漬け・たくあん・しば漬け・白菜漬けなどが有名 |
味噌 | 大豆に麹・塩を加えて発酵させた日本伝統の調味料で、全国に様々なご当地味噌も存在する |
キムチ | 植物性乳酸菌が含まれた食材で、過酷な環境でも育ち腸に届きやすいとされている |
醤油 | 大豆・小麦などを材料に、麹菌・酵母などで発酵させたもの |
野菜
野菜には腸内細菌のバランスを整える働きをする食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維を積極的に摂取することで、腸内に存在する善玉菌のエサとなり菌活をスムーズに行えます。
食物繊維は野菜類から摂取することが多いですが、多くの日本人にとって目標量から不足気味な栄養素の一つでもあります。
食材名 | 食物繊維含有量(100gあたり) |
グリンピース(ゆで) | 8.6g |
ゴボウ(ゆで) | 6.1g |
オクラ(ゆで) | 5.2g |
芽キャベツ(ゆで) | 5.2g |
枝豆(ゆで) | 4.6g |
きのこ
きのこは菌100%でできた、菌そのものだけを食べられる唯一の食材で、「菌食材の王様」とも呼ばれています。菌類であるきのこには食物繊維が豊富に含まれ、腸内の老廃物を排出したり腸内細菌のエサとなり腸の調子を整えるのに役立ちます。
食材名 | 食物繊維含有量(100gあたり) |
エリンギ(焼き) | 5.4g |
えのきだけ(ゆで) | 4.5g |
ブナシメジ(ゆで) | 4.2g |
マッシュルーム(ゆで) | 3.3g |
マイタケ(ゆで) | 2.7g |
海藻
海藻には腸内環境を整える善玉菌がエサとする水溶性食物繊維が豊富に含まれています。
そのため海藻を日々の食生活で定期的に摂取することで、老化などにより体内の抗酸化力が低下しても悪玉菌を増やすことなく菌の交代をスムーズに起こし、善玉菌が優勢な腸を保てるのです。
食材名 | 食物繊維含有量(100gあたり) |
わかめ(生) | 3.4g |
わかめ(乾燥) | 31.7g |
昆布(乾燥) | 32.1g |
焼きのり | 36.0g |
ひじき(乾燥) | 51.8g |
果物
果物は水分補給・食物繊維摂取の両方が一石二鳥で叶う食材で、腸内環境を整えるためには欠かせません。果物を積極的に摂取することで腸内環境が整い、おのずと免疫力もアップします。
いちご | ビタミンCが豊富で、食物繊維のペクチンが善玉菌のエサとなり腸内環境を整える |
キウイ | 食物繊維とビタミンCが豊富に含まれ、色素であるクロロフィルが老廃物を便として排出させる働きもある |
バナナ | 腸内の善玉菌を増やすオリゴ糖が豊富に含まれ、抗ストレス効果のあるビタミンC・精神の安定を促すセロトニンの合成に関わるトリプトファンも含まれている |
パイナップル | 食物繊維が豊富に含まれ、消化吸収を助ける働きがあるとともに、ビタミンCのコラーゲン生成を助けるパントテン酸の効果で皮膚を健康に保ち、ウィルスなどの外敵の侵入を防ぐ働きもある |
りんご | オリゴ糖・ビタミンCを多く含み、善玉菌を増やす効果があるとともに、リンゴ酸が腸の蠕動運動を促す。皮にはポリフェノールが豊富にふくまれているため抗酸化作用・免疫力アップの効果もある |
サプリ
昨今では様々なサプリが販売され、これらのサプリを飲むことで菌活を進める方法もあります。手軽に菌活を始めたい場合はサプリを摂取する方法もありますが、自然の食材をベースにした菌活を行うことを心がけることをおすすめします。
中でも、酪酸菌は食べ物の中に生息することが難しい菌で、酸素も苦手なため酸素がほとんど存在しない大腸でしか活動できません。そのため、酪酸菌を体内に摂取するためにサプリを活用する場合もありますが、酪酸菌を摂取しすぎると腸のバリア機能が破壊され大腸がんを増殖させてしまう可能性もあるため、摂取量には注意が必要です。
菌活のメリット
ここからは菌活を行うと得られるメリットについて、項目別に解説していきたいと思います。
便秘解消・美肌効果
お通じに関するトラブルが起こる原因として、腸内細菌のバランスの乱れが挙げられます。そのため菌活を行うことで腸内細菌のバランスを整えられ、腸が本来の力を取り戻すことで便を排出する力も回復し、お通じのトラブル改善や美肌効果にも良い影響をもたらせます。
肌は腸の状態を映す鏡ともいわれ、菌活を行うことで肌荒れやニキビなどのトラブルが解消されますし、乾燥肌などの腸内部の水分量に関わるトラブルも解消できます。
免疫力アップ
菌活を行うことで身体の免疫力を高め、病気になりにくい身体づくりを叶えられます。消化器官は口から肛門までひと繋ぎで、腸は身体に害を及ぼす細菌・ウイルスなどの異物が最も集まりやすい場所でもあります。また身体全体の免役細胞のうち約70%が腸に備わっていることから、腸の健康状態が身体全体の健康状態に直結しているといえます。
つまり、腸内細菌のバランスが悪くなると免疫力もおのずと低下し病気にかかりやすくなりますが、菌活を行うことで腸を健康な状態に保てると、腸に備わっている免役細胞も活性化させられるため、免疫力がアップし病気知らずの健康的な身体へと導けます。
ダイエット効果
善玉菌には脂肪細胞が体内に脂肪を蓄える作用を防ぐ働きがあり、善玉菌を増やすことでダイエット効果が得られます。また腸内細菌のバランスが健康に保たれていると、脳に正常な指令が送られるため食べすぎの抑制につながります。
一方で腸内細菌のバランスが乱れると本来の腸機能の働きが得られないため、正常な指令を送れず食べすぎに繋がります。つまり、善玉菌を増やし悪玉菌の増殖を抑制することで正常な食欲が戻り、おのずとダイエット効果に導けるというわけです。
ストレスケア効果
菌活を行い腸内細菌のバランスを整えることで、精神が安定しストレスケアの効果が高まります。腸はホルモン・自律神経を介して脳とつながっているため、腸内細菌のバランスの変化が精神状態にも直結して現れます。このことから菌活を行い善玉菌を増やすことで、軽度認知症予防にもつながるとされています。
まとめ
腸内環境は私たちの健康や精神状態とも直結するため、菌活を行い善玉菌を増やして腸内細菌のバランスを保つことが重要です。ご紹介した菌活におすすめの食べ物を上手く活用し、日々の食生活の中に菌活を積極的に取り入れていってはいかがでしょう。