2024.10.15

食事・栄養

ミルクシスルはどんなハーブ?|健康効果やおすすめの摂取方法

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竹内 久美

産婦人科医/ヘルスコーチ

ミルクシスルは、日本ではあまり聞き慣れない名前かも知れませんが、アメリカでは親しまれているハーブのひとつです。そして、ミルクシスルに含まれている成分により、様々な効果があるとされています。

今回は、ミルクシスルというハーブが持つ健康効果や、摂取方法について解説します。

ミルクシスルの基本

まずは、このミルクシスルというハーブがどのようなものなのかについて解説していきます。

ミルクシスルとは

ミルクシスルは、健康維持に活用されるメディカルハーブのうちのひとつです。原産地は地中海沿岸で、日本には江戸時代に観賞用として渡ってきたとされています。紫色の花が咲き、葉は白いまだら模様があります。葉の模様がミルクがこぼれたように見えるということから「聖母マリアの乳」とも呼ばれています。和名では「マリアアザミ」「オオアザミ」と呼ばれています。

特徴や成分

ミルクシスルの液汁と種子には、有効成分であるシリマリンが含まれているのが、最も大きな特徴です。そのため、シリマリンとミルクシスルは、同義で使われていることも多々あります。

シリマリン

シリマリンは、ミルクシスルの種子に多く含まれるフラボノイド混合物です。フラボノイド混合物とは、フラボノイドという天然の植物色素を含む有機化合物の総称であり、抗酸化作用を始めとした様々な効果があるものです。シリマリンも同様に、色々な効果があるとされており、肝炎、肝硬変、黄疸、糖尿病、消化不良などの症状に対する栄養補助食品として宣伝されています。また、様々な医療の分野においても注目され、研究がなされています。

 

ミルクシスルの効果や副作用

ここからは、ミルクシスルの効果や副作用などについて紹介していきます。

抗酸化作用

ミルクシスルには、フラボノイド混合物であるシリマリンが含まれています。シリマリンを始めとするフラボノイドには強い抗酸化作用があるとされています。抗酸化作用は、老化や様々な疾患の原因のうちのひとつである酸化を抑制する働きです。酸化は、活性酸素フリーラジカルが体内で増加することにより起こります。そして、抗酸化物質はこれらの物質を抑える役割を担っています。

肝機能を保つ

ミルクシスルに含まれるシリマリンとその構造成分であるシリビニンは、肝臓を保護する特性が証明されている物質です。作用機序については、まだはっきりと分かってはいませんが、これらの物質が持つ強い抗酸化作用が関係していると考えられています。この働きにより、酸化物質であるフリーラジカルが除去され、肝臓の保護に影響を与えていることが示唆されています。

また、動物実験においても薬剤の肝毒性を中和させることができることが分かっています。さらに、臨床試験においても、1日あたり280〜800mgの用量で急性ウイルス肝炎、向精神薬による中毒性肝炎、肝硬変を含むアルコール関連肝疾患において肝保護効果を発揮することが示されています。しかし、一方でインターフェロンベースの治療による効果が見られなかった患者に対する高容量のシリマリンの投与に関しては、効果が認められなかったという報告もあります。

抗がん作用

ミルクシスルに含まれるシリマリンは、種々の毒性物質に対して正常細胞を保護し、さらに化学療法剤の有害な作用から正常細胞を保護する役割を果たす可能性があると考えられています。また、シリマリンは、多くの分子を標的にすることによって細胞周期、転移、血管新生、アポトーシス及びオートファジーを含むがんの様々な特徴を調節することにより抗がん機能を示すことが分かっています。

副作用と禁忌

臨床試験では、ミルクシスルは推奨容量の使用であれば忍容性は高く、重篤な副作用は報告されていません。しかし、様々な消化器関連の副作用の出現の可能性もあるとされています。また、人によっては植物アレルギーの症状が生じる可能性もあります。ブタクサやキク、マリーゴールドなどの同じ科の植物のアレルギーがある方は、使用する際に注意が必要です。

注意する点としては、ミルクシスルは、2型糖尿病の人の血糖値を下げる可能性があるため、糖尿病の人は使用する際は注意が必要です。また、妊娠中や授乳中の方への使用に関しては安全性が保証されていません。使用の希望がある場合は、かかりつけ医に相談しましょう。乳がん、子宮体がん、卵巣がん、子宮内膜症、子宮筋腫などのホルモン感受性疾患がある女性は、ミルクシスルの地上部分を避けることを勧められています。

 

ミルクシスルの摂り方

ミルクシスルの摂取方法についてご紹介します。使用を検討する際には、参考にしてみて下さい。

ハーブティー

ハーブティーとして取り入れるという方法は、昔から慣れ親しまれている使用方法です。ミルクシスルをハーブティーで取り入れる際には、ティースプーン1杯分を熱湯200mlに浸して3〜5分程度蒸らしましょう。薄味のため、他のハーブとブレンドして飲んだり、独特の苦味が苦手な方は、砂糖や蜂蜜を加えてみても良いでしょう。

有効成分のシリマリンが多く含まれているのは種子のため、ハーブを購入する際にはどの部分のハーブかを確認することが大切です。また、より安心して取り入れるには、オーガニックのものなどを選ぶのがおすすめです。

サプリメント

サプリメントという方法で手軽に摂ることも可能です。ミルクシスルは日本国内よりアメリカなど海外で慣れ親しんでいるハーブです。そのため、海外の製品を取り扱う販売サイトで取り扱われている事が多いです。ミルクシスルのみのサプリメントや、他の成分と混ざっているものもあるため、自分の体調や悩みなどに合わせて選択するのが良いでしょう。サプリメントを選ぶ際は、余分な添加物(増量剤、着色料、甘味料、香料、保存料)が含まれていないもの、もしくは少ないものを選ぶようにしましょう。

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まとめ

ミルクシスルは、日本ではあまり馴染みのないハーブです。まだ、研究段階で分かっていないことも多いですが、抗酸化作用や肝機能サポートを始めとした働きにより美容や健康にも嬉しい効果が認められています。いつまでも若々しい人生を送りたい、体内の余分な老廃物をデトックスしたいという方は、一度取り入れてみてくださいね。

参照:
1.F. Fraschini.Pharmacology of Silymarin.Review ArticlePublished: 24 August 2012.Volume 22, pages 51–65, (2002)
2.Nancy Vargas-Mendoza.Hepatoprotective effect of silymarin.Journal List World J Hepatol v.6(3); 2014 Mar 27 PMC3959115
3.Delmas Dominique.シリマリンと癌:化学予防と化学感受性の両方における二重戦略【JST・京大機械翻訳】.Molecules (Web) (Molecules (Web)).25 号.9ページ.2009
4.Wang Yin.癌治療におけるシリマリン:作用の機序,化学療法誘発毒性およびナノ製剤における保護的役割【JST・京大機械翻訳】.Journal of Functional Foods (Journal of Functional Foods).100 ページ.2023 

 

この記事の監修者

竹内 久美 産婦人科医/ヘルスコーチ

 
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