メラトニンがどのような働きを司っているのか気になる方も多いと思います。メラトニンは、あらゆる動物の生体リズムに重要な役割を担っているホルモンです。
この記事では、そんなメラトニンの効果と影響、効率的に分泌を促進させるための方法などについてご紹介していきます。
メラトニンとは?
まずは、メラトニンの基本的な概要から順にみていきたいと思います。メラトニンの基礎についての理解を深めていってくださいね。
メラトニンの特徴
メラトニンは、松果体と呼ばれる脳器官で生成される睡眠ホルモンの一種で、主に季節リズム・日々の体温・睡眠や覚醒リズムなどの生体リズムに重要な役割を果たしています。メラトニンの分泌が順調に行われていることこそが、私たちが規則正しい生活を送るためのキーです。
メラトニンの分泌量による影響
メラトニンには睡眠・覚醒リズムを調整する働きがあるため、分泌量が減少すると眠りが浅くなったり、夜中に何度も目覚めるなどの睡眠障害が起こるようになります。
また、メラトニンは加齢とともに分泌量が減少するとされており、若い頃に比べてぐっすり眠れなくなった・睡眠時間が短くなったという方は、メラトニンの分泌量の減少による睡眠覚醒リズムの調節機能の衰えという可能性もあります。
メラトニンとセロトニンの関係
メラトニンとセロトニンは切っても切れない関係を持つホルモンです。つまり、セロトニンはメラトニンの原料であり、日中に適切な量が分泌されることで夜間にメラトニンを作りやすくなります。
日中に光を浴びてセロトニンを分泌させられる環境に身を置き、夜間、眠りにつく3時間前までに部屋を暗くしてメラトニンの分泌を促すことで睡眠の質を向上させられます。
メラトニンの効果
それでは、メラトニンの効果について順にみていきたいと思います。メラトニンは過剰にあり過ぎても不足しても生活リズムが崩れることに繋がるため、適量を体内で合成する必要があります。
生体リズムの調整
メラトニンは昼夜の分泌量の差により睡眠のリズムが作られるため、質の良い睡眠を確保するためには、メラトニンの分泌リズムを崩さないようにすることが大切です。
体内のメラトニンの量を減らさないようにするために、就寝前の生活習慣に注意する工夫をし、規則正しく質の良い睡眠を摂れるように心がけてください。
睡眠促進
メラトニンは、暗い時間帯に刺激されることで生成され、明るいと生成が抑制されます。つまり、メラトニンの制御は眼が光に対する反応と分泌が関係します。
このことからメラトニンは睡眠のみならず、体内時計を正常に整える効果もあり、崩れた体内時計をリセットし、質の良い睡眠を手に入れるためにも有効だとされています。
老化抑制
メラトニンには強力な抗酸化作用があるためアンチエイジングの効果が高く、加齢を遅らせることができるとされています。メラトニンを増やすためにも体内時計を整え、規則正しい生活を送ることが大切です。
メラトニンの分泌を促進させる方法
次に、メラトニンの分泌を促進させる方法についてご紹介していきたいと思います。
部屋の照明の調整
メラトニンは昼夜の部屋の明るさで分泌リズムが作られており、このリズムが崩れてしまうとメラトニンの分泌量に影響が及びます。そのため、夜間にせっかくメラトニンの分泌量が増えても、コンビニなどの強い光を浴びることでせっかく増量していたメラトニンの分泌量が一気に低下してしまいます。
メラトニンは睡眠をサポートしてくれているため、就寝前に明るい光を浴びないことがメラトニンの順調な分泌には大切なポイントです。またコンビニなどの照明だけでなく、パソコン・スマートフォンなどのブルーライトにも注意が必要です。ブルーライトを長時間浴びることで、メラトニンの分泌低下を招くため、少なくとも就寝時間の1時間前からはスマートフォンなどの利用を控えることが大切です。
日光浴
メラトニンの分泌を促進させるには、朝、太陽の光を浴びることが大切です。特に眼で太陽光を見て感じ取ることがとても良いとされており、このことで幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの生成が促されます。
セロトニン神経は、網膜に太陽光が当たることで活性化し、その結果セロトニンを多く分泌させられます。セロトニンを日中に多く分泌させられると、夜間のメラトニンの分泌を促進させられることに繋がります。
栄養素の摂取
メラトニンの分泌を促進させるためには、セロトニンを体内で生成してくれる栄養素を多く摂取することが必要です。セロトニンを生成する栄養素として、必須アミノ酸のトリプトファン・ビタミンB6・炭水化物が挙げられます。
セロトニンの材料となる栄養素を摂取する
それでは、セロトニンの材料となる栄養素についてご紹介していきたいと思います。これらの栄養素を摂取することで、メラトニンの生合成の促進につながります。
トリプトファンを含む食材
トリプトファンは、人間の健康維持に欠かせない必須アミノ酸の一つで、ストレスを緩和し「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンを作り出す唯一のアミノ酸としても知られています。
もちろん、心身を安定させるセロトニンのみならず眠りを司るメラトニンのもとにもなる物質です。トリプトファンは体に大変重要な役割を果たしていますが、体内で作り出すことができないため、食べ物から適量を摂取することが大切です。
炭水化物を含む食材
ブドウ糖や果糖などの単糖から構成される食材を、総称して炭水化物と呼びます。炭水化物は、体内に吸収されてエネルギー源になる「糖質」と、消化吸収されずエネルギーにならない「食物繊維」に分けられます。
炭水化物が不足すると、エネルギー不足から疲労しやすくなったり、脳や神経へ栄養が行き届かなくなると判断力が鈍り、注意力が散漫になるなどの症状が現れます。
ビタミンB6を含む食材
ビタミンB6は、エネルギー代謝の補酵素として重要なビタミンで、特にタンパク質の分解を助ける働きをします。免疫機能の正常な働きの維持・皮膚の抵抗力の増進にも必要で、赤血球のヘモグロビン合成にも欠かせない栄養素です。
さらに肝臓に脂肪が蓄積するのを防ぎ、肝脂肪の予防にも効果を発揮するほか、神経伝達物質の合成を促進する作用や心を落ち着かせる働きもあります。
トリプトファンを多く含む食材 | 豆腐・納豆・味噌・醤油などの大豆製品、米などの穀類、牛・豚・鶏などのレバー、かぼちゃの種、アマニ、ゴマ、カシューナッツなどのナッツ類 |
炭水化物を多く含む食材 | ご飯、麺類、はるさめ、さつまいも・ジャガイモ・長いも・サトイモなどの芋類、ぶどう・柿・バナナ・りんごなどの果物 |
ビタミンB6を多く含む食材 | 赤身肉・鶏肉・牛レバー、マグロ・カツオ、にんにく、バナナ、ピスタチオ、ドライトマト、焼きのり など |
まとめ
メラトニンの生成には、日中の太陽光を浴びることで生成されるセロトニンの分泌が大変重要な割合を占めていることが分かりましたね。ぜひ、朝の日光を網膜から浴びてセロトニンの分泌を促進し、夜にはメラトニンの分泌を高めるという分泌リズムを整え、良質な睡眠を取りましょう。