皆さんは、なぜ冷え性になるのか知っていますか?体の冷えは時に日常生活に支障をきたす場合もありますし、冷えを放置しておくと症状が悪化する可能性もあります。
そのため冷えの原因を把握したうえで、正しい対策を講じることが冷え性を予防する最大のポイントです。
冷え性とは
冷え性は、人が寒さを感じない温度なのに手足が冷たくなり、とてもつらく感じる症状のことを指します。まずは冷え性の諸症状から順に解説していきたいと思います。
冷え性の症状と種類
冷え性の症状には様々なタイプがあり、それぞれの症状によって特徴が違います。
名称 | タイプ | 特徴・原因 | 対処法 |
四肢末端型 | 手足が冷えるタイプ | 10代から20代の女性に多い冷え性で、過度なダイエット・栄養不足が原因で起こる。肩こり・頭痛が起こる場合もある。 | 内臓を温めることを意識し、お腹・腰などの保温を心がけ、身体全体を温める。 |
下半身型 | 下半身全体が冷えるタイプ | 姿勢の悪さ・長時間のデスクワークなどが原因で起きる。骨盤のゆがみが原因で下半身の血行不良が起きて冷え性になる。 | 入浴・下半身浴・こまめなストレッチなどを行い、代謝をよくする。 |
全身型 | 全体が冷えるタイプ | 基礎代謝の低下が原因で、身体全体が冷えてしまい、主に倦怠感・風を引きやすい・すぐお腹を下すなどの症状がみられる。他のタイプと比べ、手足の冷えはそれほど目立たない。 | 冷え性である自覚があまりないが、免疫力が低下していることもあるので、見逃さず対処することが大切。 |
内蔵型 | 内臓が冷えるタイプ |
自律神経の異常が原因で末梢の血管が収縮できなくなり、内臓に血液が行き届かなくなることで内臓が冷えてしまう。主にストレスが原因で起きやすい冷え性。下痢・倦怠感・風邪などの症状が出る場合もある。 |
身体を温める食べ物を摂取し、内臓の冷えを予防することが大切。ストレスを溜め込まず、寝る前にリラックスする時間を作る。 |
冷え性が悪化したときに現れる影響
冷え性を放置しその結果悪化すると、免疫力が低下し病気にかかりやすくなったり、様々な不調が顕著に現れたりします。冷えているのに体質だからと我慢していると、美容にも良くありません。
では、冷え性を放っておくとどのような悪影響が出てくるのでしょう。
・内臓の働きが悪化することで免疫力が低下し、風邪・感染症などにかかりやすくなる
・身体が冷えることで、だるさ・下痢・月経不順・不眠・肩こり・頭痛などの不調が起こりやすくなる
・全身の新陳代謝が悪化することで、抜け毛・白髪・肌の乾燥やくすみ・肥満などを招く
つまり、「冷え」は私たちにとってあらゆる不調や病気のベースを作るといわれており、冷えをきっかけに起こる病気がたくさんあります。そのため、冷えを甘く見ないこと・冷えを放置しないことがとても大切です。
冷え性が女性に多い理由
「冷え性=女性」というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、なぜ冷え性は女性に多いのでしょう。それは、女性は男性に比べて筋肉量が少なく、脂肪が多いという特徴を持っており、筋肉は体温の上昇に大変重要な役割を果たしているため、筋肉量が少ないと冷えやすくなります。
さらに女性は一度冷えてしまうと温まりにくい性質を持つ脂肪が多いため、冷えが起こりやすいという特徴があります。また女性の腹部には卵巣・子宮があるため腹部の血流が悪くなりやすく、その結果内臓の冷えにつながり冷え性を起こしやすくなります。
毎月訪れる月経による血液不足で手足などの抹消まで血液が行き渡らなくなり、熱が届きにくくなるので冷え性の症状が出る場合もありますし、ホルモンバランスが崩れることで自律神経が乱れ冷えやすくなる場合もあります。これらの原因が女性に冷え性が多い理由です。
冷え性の改善方法
次に、冷え性を悪化させないための方法について解説していきます。
体を温める食事に気を配る
冷え性対策には、身体の内部からしっかり温めてくれる食べ物や飲み物を摂取することが一番の対策です。東洋医学では、身体を温めてくれる食べ物を「陽の食べ物」、一方で身体を冷やす食べ物を「陰の食べ物」と区別しています。
身体を温める食べ物と、冷やす食べ物の見分け方は下の表をご参考にされてみてください。
見分ける方法 | 特徴 |
食べ物が育つ環境 | 寒い地方で取れる食べ物は身体を温める傾向が強く、反対に南国などの温かい地方が原産の食べ物は、身体を冷やしやすいものが多い。 |
旬の時期 | 冬に旬を迎える食べ物は身体を温め、夏に旬を迎える食べ物は身体を冷やす物が多い。 |
発酵しているかどうか | 発酵食品に入っている酵素は、身体の新陳代謝を促進させ身体を温める働きがある。 |
色・成分・味 | 色:オレンジ・黄色系の野菜・果物は身体を温め、白・緑・紫の食べ物は身体を冷やす。暖色系の色をしていても柿・トマトのように身体を冷やす食べ物もある。 成分:水分の少ないもの・ナトリウム(塩)を多く含むものは身体を温め、水分の多いもの・カリウムを含むものは身体を冷やす。 味:醤油・塩を使った塩辛さを感じるものは身体を温め、酢などの酸っぱさを感じるものを使った食べ物は身体を冷やす。 |
加工や精製方法による違い | 同じ食材でも加工・精製方法によって、身体を冷やす食べ物から身体を温める食べ物に変化する物がある。また北海道原産の甜菜糖は身体を温めるが、沖縄原産の白砂糖は身体を冷やす。黒砂糖は、未精製でビタミン・ミネラルが残っているため、それほど身体を冷やさない。 |
では次に、身近な食べ物で身体を温める食材と冷やす食材を一覧表でみていきましょう。
身体を温める食材 | 炭水化物 | 玄米・黒米・そば・全粒粉のパンなど |
肉 | 牛肉・豚肉・鶏肉 | |
魚介類 | 赤身魚・青魚(まぐろ・アジ・イワシ・エビ・カニなど) | |
野菜 | 玉ねぎ・カブ・カボチャ・ショウガ・自然薯・ニンニク・長ネギ・ニラなど | |
発酵食品 | 納豆・キムチ・チーズなど | |
調味料 | 味噌・醤油・黒酢・塩・唐辛子など | |
甘味 | 甜菜糖など | |
飲料 | 紅茶・プーアル茶・ショウガ湯・ショウガ紅茶・カモミールティー・ココア・黒豆茶・赤ワイン・日本酒・紹興酒・白湯など | |
身体を冷やす食材 | 炭水化物 | 小麦・大麦・そば・豆腐など |
肉 | レタス・キャベツ・小松菜・大根・タケノコ・トマト・ナス・きゅうり・白菜など | |
魚介類 | スイカ・メロン・パイナップル・いちごなど | |
野菜 | 牛乳・バター・ヨーグルト・アイスクリームなど | |
調味料 | 酢・ごま油・オイスターソース・化学調味料など | |
甘味 | 白砂糖など |
血行を良くする
冷え性を悪化させないためには、出来れば毎日ぬるめの湯船にじっくりつかる習慣を身につけ、汗ばむくらいまで温まることが大切です。身体の芯から温まることで副交感神経が優位となり血管が拡張し、血流が良くなるだけでなくリラックス効果もあります。
また、寒い時期は普段から身体を冷やさない服装を心がけることで、冷え性を悪化させずに済みます。きつい下着・ピッタリの服装は、血行不良の原因となるため身体に負担がかからない服装選びを行うことが大切です。
暑いからといって薄着をしていると、エアコンの風で気づかないうちに身体が冷えていることがあるので、サッと羽織れる上着・ひざ掛け・ショールをうまく活用するなどの工夫をして、体温の低下を防ぐようにしてください。
禁煙に取り組む
タバコに含まれるニコチンには強い血管収縮作用があるため、毛細血管を収縮させて血圧を上昇させます。その結果、毛細血管が常に収縮した状態になり、血行不良による冷えの原因となる確率が高くなるため、禁煙に取り組むことで冷え性を悪化させず改善させられます。
もし健康リスクを軽減したいと思っているなら、禁煙に取り組むように心がけてください。
良質な睡眠をとる
睡眠不足からも冷え性は発生し、そして悪化します。睡眠不足の状態が続くと自律神経が乱れ、冷え性に悩まされることにつながりかねないため、良質な睡眠をとるようにしてください。
ポイントはできるだけ決まった時間に就寝し起床することで、起床したらすぐに太陽の光を浴びて体内時計を調整することが大切です。また寝る前に好きな音楽を聴いたりしてリラックス効果を高めるのも、質の良い睡眠を取るのに大変有効です。
筋肉量を上げる運動を適度にする
冷え性を悪化させないためには、筋肉量を上げる運動を適度に行うことも大変効果的です。運動している時にも全身の血流はよくなっていますし、運動することで筋力がアップするとさらに血行が改善されます。
血行が良くなると酸素や栄養素が全身に行き渡り、老廃物の排出もスムーズに行われ、その結果新陳代謝が促進し体温も高くなり基礎代謝がアップします。なかなか時間が取れない方は、仕事の合間や就寝前に軽いストレッチを取り入れることで、血行がよくなり体温も上昇するため、良質な睡眠にもつながります。
冷え性になる原因
それでは冷え性になる主な原因について解説いたします。
運動不足・血行不良
女性は男性に比べ、筋肉量が少ないため冷え性になりやすい傾向にあります。また運動不足の人も筋肉量が少ないため冷えやすく、さらに血行不良にもなりやすいためさらに冷え性にかかる可能性がアップします。
食生活の乱れ
食生活が乱れると、熱をつくるためのエネルギー源が不足したり、血流の流れが悪くなったりして冷え性が起こる可能性が高くなります。良質な油脂を食材からバランスよく摂取し、腸内環境を整えることで冷え性知らずの身体を作ることができます。
自律神経の乱れ
ストレス・不規則な生活などで、体温調節の命令を出す自律神経がうまく機能しないと、自律神経の乱れからくる冷え性が起こります。また常に室内の空調が効いた部屋にいると、室内外の激しい気温差で自律神経の機能が乱れるため、寒くない夏でも冷え性になります。
まとめ
冷え性は、気づかないうちに悪化することもあり得る病気です。一方で冷え性にならないように気を付けながら生活を送れば、冷え性を改善させることも可能です。冷え性知らずの生活習慣を身に着け、日々の生活を充実させてくださいね。