クロロフィルは、緑色の天然色素です。植物や藻類に含まれており、光合成の中心的な役割を担います。緑黄色野菜、大麦若葉、スピルリナやクロレラなどの藻類に含まれます。クロロフィルという成分の効果については、まだ明らかになっていないことが多々ありますが、様々な健康効果が期待されている成分のひとつです。
今回は、この「クロロフィル」についてご紹介します。
クロロフィルの基本
クロロフィルとは何か、語源はどこから来ているのか、などの基本について解説いたします。
緑の色素
クロロフィルは「葉緑素」とも呼ばれ、植物や藻類に含まれる緑色の天然色素です。光合成の最初のステップである「光の吸収」を担い、吸収した光エネルギーを化学エネルギーに変換します。光合成において中心的な役割を担っていますので、クロロフィルが不足すると光合成が効率良く行われなくなり、植物の働きに影響を与えます。
クロロフィルにはいくつかの種類がありますが、クロロフィルaとクロロフィルbが最も一般的で、クロロフィルaは光エネルギーの変換、クロロフィルbは吸収した光の伝送という役割を担っています。
スーパーフードとして知られているクロレラは、緑黄色野菜よりも多くのクロロフィルを含みます。名前が似ていますが、ギリシャ語の“クロロス(chloros・緑の)”から名付けられたそうです。
クロロフィルの効果
クロロフィルは植物においては光合成に大きく関わっていますが、人においては様々な効果があると考えられています。
抗酸化作用
クロロフィルは、天然の機能性成分であるフィトケミカルのうちのひとつです。フィトケミカルは本来植物が自らを守るための色素や香りなどの成分ですが人体に対して役立つ効果を有しています。ポリフェノール、アントシアニン、イソフラボンなどもフィトケミカルです。
クロロフィルを含むフィトケミカルには、様々な疾患や老化の要因となる活性酸素を取り除き酸化を抑える「抗酸化作用」があります。
抗炎症作用・免疫機能改善
炎症とは、損傷部位や異物に対して起こる防御反応のことです。本来炎症は一過性で治るはずですが、低レベルではあるものの長期間継続し慢性化することがあり、この「慢性炎症」は老化や疾患の原因になると考えられています。クロロフィルのようなフィトケミカルは、活性酸素やフリーラジカルから細胞を守り、炎症を抑制する働きを持っています。
解毒作用
天然クロロフィルは、胃腸の中に付着した老廃物を吸着して体外に排出する働きがあり、有害ミネラルのカドミウムや鉛などの物質も除去してくれる効果が期待できます。またダイオキシンの除去効果も報告されており、デトックス効果が期待されています。
貧血予防
クロロフィルは「緑の血液」と呼ばれることがあります。血液に含まれるヘモグロビンの中のヘムという構造にとてもよく似た構造を持っており、造血効果を有します。マウスの実験ではクロロフィル分解産物の投与により赤血球が増えるという結果が得られています。
クロロフィルの摂り方
食事摂取基準では、クロロフィルの摂取量の上限は設けられていません。過剰摂取による皮膚障害、胃の不快感、腹痛や下痢などの症状が報告されていますが、通常の食事からの摂取では問題ありません。ここからは、日常生活の中でのクロロフィルの取り入れ方についてご紹介していきます。
食事で取り入れる
クロロフィルは植物や藻類に含まれる色素ですので、これを含む食品を食べることでクロロフィルを摂取できます。調理する際には、小さく切ること、加熱しすぎないことがポイントです。小さく切ると、細胞壁が壊れやすくなりクロロフィルの栄養素を引き出しやすくなります。
また、油で炒めるとクロロフィルが油に溶解して溶出するため吸収されやすくなります。ただし、加熱しすぎるとクロロフィルが褐色に変色するため、加熱する際は色が変わらない程度にしましょう。
クロロフィルが含まれる食品
クロロフィルが含まれる野菜や海藻は、鮮やかな緑色をしているのが特徴です。
春:にら、春菊
夏:わかめ、ピーマン
秋:大葉、ブロッコリー
冬:ほうれん草、小松菜
その他:焼きのり、スプラウト、植物性プランクトン(スピルリナ、クロレラ)
サプリメントで摂る
クロロフィルのサプリメントが販売されています。粉末、液体、錠剤など様々なタイプがありますので、飲みやすさ、続けやすさに合わせて選びましょう。成分表をチェックして、余分な添加物が含まれていない安心して摂取できるものを選ぶことが大切です。
基礎化粧品を使う
クロロフィルを含む化粧品も販売されています。クロロフィルの働きにより、日焼けを防ぐ効果やターンオーバーを助ける働きがあると考えられています。
まとめ
体に良い作用をたくさん持っているクロロフィル。ぜひ生活に取り入れてみてくださいね。