「クルクミン」という成分を見たり聞いたりしたことはありますか?クルクミンは、ポリフェノールの一種です。ポリフェノール と聞くと、健康や美容に効果的なイメージがあるでしょう。
今回は、クルクミンのはたらきや効果効能について、エビデンスに基づいて解説していきます。
クルクミンの基本
まずは、クルクミンの基本情報について解説していきます。成分や働きについて一緒に学んでいきましょう。
クルクミンとは
クルクミンとは、主にウコンの根の部分に多く含まれる色素で、脂溶性のポリフェノールです。そして、英語名ではターメリックと呼ばれ、香辛料としても知られています。ターメリックはショウガ科の植物であるウコンの根茎を乾燥させて粉末状にしたものです。
ウコンは、香辛料、食品着色料として使われている他、アーユルウェーダなどのインドの伝統医学で用いられてきました。また、中国伝統医学などの東アジアの医療システムでも使用されていました。
クルクミンの働き
クルクミンは、抗がん作用、抗炎症作用、抗酸化作用、細胞保護作用などの多面的な働きを持っており、生体内では色々な働きを持つことが分かってきています。また、さまざまな疾患に対して治療効果が期待されています。
一方、試験管内や動物実験で見られるさまざまな効果が、臨床試験(人への投与による試験)になるとクルクミンの有用性を確定づけるほどには見られておらず、未だ十分なエビデンスがないのも現状です。
クルクミンの効果効能
ここからは、クルクミンがどのような働きを持っており、どのような効果が期待できるかについて解説していきます。
抗がん作用
クルクミンのさまざまな働きが注目されており、クルクミンを使用したがん予防・治療に関する研究が多く発表されています。クルクミンの持つ抗がん作用は、試験管内の基礎研究で証明されています。
しかし、クルクミンはそのまま経口摂取しても腸管での吸収が悪く、抗がん作用を引き出すのに十分な血中濃度を得られないとされています。
最近の研究では、京都大学らのグループが体内でクルクミンに変換されるプロドラッグを開発するなど、将来的に抗腫瘍薬としての応用が期待されています。
生活習慣病予防
抗がん作用と同様、動物実験やヒト実験において、明らかなエビデンスは確立されていないものの、試験管中の実験において、クルクミンは脂質代謝改善や小炎症作用、抗酸化作用を示すことが明らかになっています。
これらの働きにより、メタボリックシンドローム、高脂血症、高血圧、糖尿病など、さまざまな生活習慣病を改善させる可能性が議論されています。
肝臓機能の回復・強化
こちらも十分なエビデンスがないものの、ウコンは肝臓機能の回復、強化に作用すると考えられています。逆に摂り過ぎは肝機能障害の原因となるため、適量の摂取を心がけましょう。
またクルクミンが多く含まれているとされているアキウコンは、胃潰瘍、胃酸過多、胆道閉鎖症の人には禁忌とされており、胆石の人は医師に相談が必要です。
歯周病予防
クルクミンは歯周病菌(Pg菌)の増殖抑制効果があることから、歯周病を予防する可能性が示唆されています。
美容・アンチエイジング
クルクミンには、抗酸化作用や抗炎症作用があります。肌のしみやシワは、体内に発生する活性酸素や、紫外線による炎症が関係しているため、これらはクルクミンの摂取によって予防もしくは改善される可能性があります。
さらに、ウコンには食物繊維が多く含まれています。そのため、便秘を予防し、体の中の老廃物を排出することにより、便秘が原因の肌荒れなどを防ぐことが期待できます。
クルクミンが豊富な食品
最後は、クルクミンが多く含まれている食品についてご紹介していきます。
ウコン
クルクミンが最も多く含まれている食品は、なんと言ってもウコンです。実はウコンにも、春ウコン、秋ウコン、紫ウコンの3種類があります。
春ウコン
春から初夏に赤い花を咲かせるのが特徴。沖縄県に自生し、クルクミンの含有量は比較的少なめですが、食物繊維を多く含んでいます。
秋ウコン
初夏から秋に白い花を咲かせるのが特徴。沖縄県内で広く栽培されています。クルクミンが多く、強い抗酸化作用を持ちターメリックとして流通しています。
紫ウコン
初夏にピンクの花を咲かせるのが特徴。沖縄県や鹿児島県で栽培されています。クルクミンが含まれておらず、ミネラル・アントシアンが含まれています。
カレー
ターメリックを使用したスパイスカレーにはクルクミンが多く含まれています。鮮やかな黄色い色素がカレーの独特な色合いの元となっています。
たくあん
実はたくあんの黄色はクルクミンの黄色です。
その他、栗のシロップ煮やピクルスなどにも使用されているものもあります。クルクミンを積極的に摂りたい方は、ターメリックのパウダーでゴールデンラテを作ったり、サプリメントなどで摂ることも可能です。
しかし、多く摂り過ぎると胃を刺激してしまうこともあるため、摂り過ぎには注意しましょう。
まとめ
体にとって多くの良い効果があるかもしれないクルクミンですが、他の栄養素と同様、摂り過ぎは害になる可能性もあるため、適度な量を自分にあった方法で取り入れることが必要です。
現在のところ証明されている効果は限定的ではありますが、健康や美容、アンチエイジングなどの分野でさらなる効果が明らかになることを期待したいところですね。
参照:
1.砂川陽一.食品由来天然化合物を用いた心血管疾患薬物療法に関する研究.YAKUGAKU ZASSHI Vol. 140, No. 4,2019,p 471-477
2.宮澤大樹.張替敬裕.仲川清隆.クルクミンの吸収代謝と生理作用発現の関係性.化学と生物 Vol. 54, No. 7, 2016,p 500-507