「しっかり寝ているはずなのに、疲れがとれず身体が重たく感じる」
「めまいやふらつきがあり、頭痛がする」
このように、原因不明の身体の不調に悩まれている方も多いのではないでしょうか?その原因は、もしかしたら「貧血」によるものかもしれません。貧血といっても、症状や原因はさまざまです。
この記事では、貧血に関する基礎知識や原因の解説、おすすめの対処法についてご紹介していきます。思い当たる症状がある方は、ぜひ参考にしてください。
貧血について
貧血の具体的な症状や原因は、どういったものがあるのでしょうか。詳しくご紹介していきます。
貧血とは?
貧血とは、血液の赤血球に含まれる「ヘモグロビン」という物質が少なくなった状態のことを言います。ヘモグロビンとは、ヘム鉄(鉄分の一種)とグロビン(タンパク質)から構成されており、ヘム鉄が不足することによって引き起こされるのが貧血です。
鉄は化学構造上、酸素と結びつきやすい性質があります。そのため、ヘモグロビンの主な役割は血液を介して全身に酸素を運ぶことです。全身に酸素を運ぶことで呼吸の安定化や細胞の活性化を図ることができ、全身状態を良好にしているのです。
貧血の症状
先ほどご紹介したように、鉄分が不足する=全身の酸素が少なくなっているという状況です。酸素が欠乏した状況になると以下のような症状が出てきます。
・息苦しさ、息切れが起こる
・めまいや立ちくらみが起こる
・身体が常に重たい(倦怠感が強い)
・集中力が続かない、落ち着きがない
・意欲の低下
・動悸がする
・顔色が悪く蒼白気味になっている
貧血症状は低血圧や低血糖症状とも似ていることがあるため、場合によっては判別が難しいときがあります。貧血には、主に2つの外観的所見の変化も見受けられます。
①血色不良
顔面蒼白だけではなく、下瞼を引っ張った際に血色が薄い場合は貧血の疑いがあります。
②爪が割れやすくもろい
別名「スプーンネイル」とも言われる貧血特有の症状です。鉄不足による新陳代謝の低下から爪や髪等にも影響を及ぼします。急に爪が割れやすくなったり、色が薄く柔らかいといった症状が現れることがあるので見た目の変化にも注意が必要です。
先程の貧血の主な症状に当てはまる項目が多かった方は、ご自身の状態をチェックしてみましょう。
貧血の原因
貧血の主な原因は2つあります。
①赤血球(ヘモグロビン)を作ることができない状態
・栄養バランスの低下により血液を作る成分が不足して起こるもの
・骨髄や腎臓などの慢性疾患によるもの
②赤血球(ヘモグロビン)が減少する状態
・大量の出血や持続する出血を伴う場合
女性特有の月経による出血で、貧血になる人が多くいます。その他にも、大腸がんや出血性の基礎疾患を持っていることにより、その病気に伴う出血による血液不足なども関係してきます。
血液をつくるのに必要な「鉄分」
鉄分の摂取量は年代や性別によっても異なりますが、男性は10mg、女性は18mgを目安に1日3回食で取り入れることが望ましいと言われています。
鉄欠乏性貧血の場合は、鉄分そのものが足りないことで起こる症状となるため、鉄分を中心とした摂取が重要となってきますが、その他にも血液を作るのに必要な成分はたくさんあります。主に亜鉛やミネラル、ビタミンなども必要になってきます。これらをバランスよく取り入れた状態を維持することが貧血の予防にも繫がり健康の維持を図ることができるのです。
貧血になりやすい人の特徴は?
貧血は、女性特有の月経周期によって一時的な鉄欠乏状態になったり、ホルモンバランスの変化、胎児を成長させるための血液量の増加による母体の血液不足といったことが要因となり妊娠中や授乳中の人にも多く出現します。つまり、割合としては男性よりも女性に多い症状であると言えます。
その他にも、極端なダイエットや偏食気味で、十分な栄養素が取れていない人などは特に症状の出現には注意が必要です。
家族の中で貧血がある人が何人かいる場合、貧血は遺伝性によって起こると思われている方もいるかもしれません。しかし現在のところ医学では、鉄欠乏性貧血の場合は遺伝によるものではなく、家族内の発生は同じ生活や食習慣をしていることによって起こるものではないかと考えられています。
貧血の対処法
貧血を予防するためには、食事が基本となります。鉄分は、意識して摂取することで容易に補うことができる物質です。貧血は鉄分不足のイメージが強いですが、実際にはさまざまな栄養素をバランス良く取り入れることが非常に重要なポイントとなります。これから、各栄養素の特徴とおすすめの食材についてご紹介していきます。
鉄分が豊富な食品を摂る
鉄分には、ヘム鉄と非ヘム鉄があります。この2つの違いは、鉄分の吸収率です。ヘム鉄は主に魚や肉に含まれており単体の摂取でも十分に鉄分を吸収することができます。
一方で、非ヘム鉄は主に大豆や卵、野菜などに含まれています。単体のみの摂取だと吸収阻害されやすいため、できるだけ「ビタミンC」と一緒に摂取することをおすすめします。そうすることにより吸収率がアップされ、より効率的に体内に取り入れることができます。単純に鉄分が含まれている食事を摂取するのではなく、食事の組み合わせも重要となってきます。
亜鉛が豊富な食品を摂る
亜鉛は、貧血に大きく関与する栄養素の一つです。鉄欠乏性貧血と同様に亜鉛欠乏性貧血という症状が起こることがあります。理由としては亜鉛が不足することにより赤血球が壊れやすくなったり、赤血球の産生・機能維持ができにくくなることが挙げられます。
亜鉛は主に魚介類や肉類に多く含まれています。ビタミンCやクエン酸を同時に摂取することで吸収率もあがるため、料理の味付けを工夫してみることもおすすめです。
ミネラルが豊富な食品を摂る
5大栄養素の一つでもあるミネラルは、筋肉や血液の生成に重要な役割を果たします。新陳代謝を促進しエネルギー源を作り出す働きがあると言われており、体内での生成はできないため食事から取り入れる必要があります。
ミネラルの中でも、特に身体に重要な栄養素は「必須ミネラル」と言われる16種類です。主に鉄、亜鉛、カルシウムが含まれています。これらは、食事で不足しがちになりやすい栄養素でもあるので意識して取り入れましょう。
ビタミンが豊富な食品を摂る
ビタミン不足も、「ビタミン欠乏性貧血」という症状を引き起こします。赤血球を作る際に必要なビタミンB12が不足していることが原因です。主に胃の手術をした人や高齢者は、体内での吸収率が低いことから多いと言われています。
植物性食品にはほとんど含まれていない物質のため、動物性食品である肉や魚を積極的に摂りましょう。
鉄の調理器具で料理する
鉄分は食材だけではなく、調理器具からも取り入れることができます。その中でもおすすめの調理器具は鉄のフライパンや鉄器急須です。日常で使用することの多い調理器具を鉄製に変えるだけで、手軽に継続して鉄分を摂取することができます。食事管理が難しいという方は鉄の調理器具を利用してみてはいかがでしょうか。
加工食品を控える
インスタント食品やスナック菓子、ジュースなどにはリン酸という物質が多く含まれています。リン酸は鉄の吸収を妨げる働きがあるため、頻繁に加工食品を摂取している人は健康的な食生活を送っている人に比べて貧血になりやすい傾向にあると言われています。できるだけ摂取を控える、または適度な量にすることが望ましいでしょう。
まとめ
貧血は誰もが起こり得る症状であり、食生活を意識して変えるだけでも、比較的容易に症状の改善を図ることができます。鉄分によっても吸収率に違いがあり、食事摂取方法も変わってきます。ただ食事に栄養素を取り入れるだけではなく、より効率的に体内に吸収されるようにバランスを考えながら摂取しましょう。
年齢と共に減少しやすくなる鉄分を日々の生活の中にさまざまな形で取り入れ、健康的なコンディションの良い状態を目指しましょう。