「グルコース」というキーワード、あまり馴染みがないかも知れません。もしかしたら、グルーコースについて気になっていたり、興味がある方は、ご自身の血糖値や糖尿病について気になっている方かも知れません。
今回は、血糖と大きく関係のある「グルコース」にフォーカスした内容をお届けします。この記事を読めば、グルコースが何か、そしてグルコースを摂るときの注意点などについてもご理解いただけると思います。
グルコースについて
まずは、「グルコース」という成分について解説していきます。
グルコースとは
グルコースは、別名「ブドウ糖」のこと。自然界に最も多く存在する単糖類です。単糖類とは、それ以上分解できない糖類で、ブドウ糖以外に、果糖(フルクトース)、ガラクトースがあります。
食べ物から摂取された糖類は、消化吸収を通して最終的にはブドウ糖に分解されます。そして、エネルギー源として利用されます。
グルコースとグリコーゲンの関係
グリコーゲンとは、たくさんのブドウ糖が複雑に繋がった多糖類のこと。食べ物から摂取された糖質は、肝臓と筋肉にグリコーゲンとして蓄えられます。そして、肝臓のグリコーゲンと筋肉のグリコーゲンは、それぞれ別の働きを担っています。
肝臓のグリコーゲンは、空腹時に分解され血液中のグルコース濃度を上昇させます。そのため、血糖の維持や脳のエネルギー源となります。
一方、筋肉のグリコーゲンは、グルコースに変換することはできません。そのため、血糖として放出されることはなく筋肉収縮のためのエネルギー源としてのみ利用されます。
グルコースと血糖の関係
血液中のグルコースの濃度のことを「血糖値」と言います。グルコースは、果物や穀物を始めとする色々な食べ物に含まれており、飲食を通して体内に摂り込まれることで、血糖値は上昇します。
食品にはGI(Glycemic Index)値という食後の血糖値の上昇を示す指数があり、GI値が高ければ食後の血糖値が急激に上昇し、GI値が低ければ食後の血糖値が緩やかに上昇します。
グルコースの基準値
血糖値は、飲食の前後で大きく変動します。空腹な状態が続くと、少しずつ血糖値は下がっていきます。そして、血糖値が上がり過ぎた時には、「グルカゴン」というホルモンの働きにより肝臓に貯蔵されたグリコーゲンを分解したり肝臓でグルコースの生成を促すことで血糖の上昇を促します。
また、飲食などで血糖値が上昇した時には、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンの働きで血糖値を下げる助けをします。
このように血糖値は、グルカゴンとインスリンという2つのホルモンにより正常に保たれています。血糖値は、低すぎても高すぎても不調が現れてしまいます。
【基準正常値】
・空腹時血糖値:70〜100mg/dL
・随時血糖値:< 140 mg/dL
グルコースの性質
グルコースがエネルギー源になったり、血糖の維持に関係しているということが分かりましたが、具体的にどのような性質を持っているのか解説していきます。
グルコースの作用
脳をはじめとして赤血球や腎臓の髄質、一部の筋肉を正常に動かすためにグルコースは必要な栄養素です。中でも、脳はどの臓器よりエネルギーの消費が大きいだけでなく、エネルギーとして使うことができるのはグルコースのみです。そのため、脳を正常に働かせるためにグルコースは欠かせないのです。
脳の前頭葉が関係する、集中力、判断力、注意力なども、グルコースが不足すると低下することが考えられます。
グルコースが不足すると
グルコースが不足すると、脳はエネルギーを作ることができず、思考脳力が低下してしまいます。さらに、集中力の低下、やる気がでない、イライラなどの状態になることも。
より深刻な状態に、低血糖というものがあります。低血糖は、普通健康な人には起こりにくい症状ですが、急激に血糖値が低下すると起こることもあります。発汗、神経過敏、ふるえ、めまい、失神、動悸、空腹感などの不安発作に似た症状が起こります。
間違ったダイエットなどは行わないようにしましょう。
グルコースを摂り過ぎると
脳にとってグルコースが必要だということが分かりましたが、グルコースを沢山摂れば良いという訳でもありません。過剰にグルコースを摂ると、返って体には良くありません。
グルコースは、血液中では血糖と言われます。そして血糖のコントロールに関係しているのがインスリンです。飲食物から摂取したグルコースにより血糖が上昇すると、インスリンは、血液中に増えたグルコースをエネルギー源に変えたり、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えます。しかし、貯蔵しきれなくなると、中性脂肪に変換され、脂肪細胞にため込むようになってしまいます。
つまり、グルコースを摂り過ぎると、肥満やメタボリックシンドロームを引き起こしかねないということです。
グルコースを多く含む食材
現代社会では糖質が足りなくなることは滅多にありませんが、仕事や勉強などで脳が疲れている際にエネルギー補給できる、健康にも良い食品をご紹介いたします。
グルコースを多く含み健康にも良い食品
食品名 | 成分量 (100gあたりmg) |
なつめやし/乾 | 29.1 |
いちじく/乾 | 29.0 |
干しぶどう | 28.6 |
プルーン/乾 | 24.6 |
はちみつ | 33.2 |
まとめ
あまりなじみのない「グルコース」ですが、私達が何かに集中して作業したり、学んだりするためにとても重要な役割を持っているということが分かりましたね。そして、健康の保持増進のためには過不足せずに適切な量の摂取が大切です。栄養素の役割が分かると、手や口に運ぶときの意識も少しずつ変わっていくでしょう。