2023.05.30

デトックス

サウナは美容・健康効果が絶大!|正しい入浴方法やマナーも解説

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竹内 久美

産婦人科医/ヘルスコーチ

皆さんは「サウナ」を体験したことはありますか?

サウナは、「蒸し風呂」という入浴方法のひとつであり「蒸気浴」「熱気浴」の一種です。熱い室内で汗をかくことで代謝をアップさせ、健康的な体づくりを行えるとして親しまれています。

この記事では、そんなサウナの効果・入浴方法・マナーなどについて解説していきたいと思います。

サウナとは?

まず、「サウナ」にはどのような歴史・種類・入浴方法があるのかを解説いたします。

サウナの歴史

「サウナ」はもともとフィンランドから発祥した入浴方法とされており、サウナストーンを積み上げたストーブを高温に熱し、石に水をかけて蒸気を発生させ室内の温度と湿度を調節します。

室内の温度は、約50℃~120℃に保てるよう設定されています。入浴後は水・外気などを利用し、身体を冷まし休憩したのちにまた再びサウナに入るというサイクルを繰り返す方法で利用します。

サウナは、フィンランド・バルト三国・ロシアを中心とした伝統文化で、昨今では世界各国でサウナが取り入れられています。日本でサウナが最初にできたのは1957年(昭和32年)で、銀座にあった「東京温泉」という温浴施設の中に日本式サウナ風呂が設置されました。

初めての試みのため、壁・床ともに温度を80℃前後に保つ配管が通っていたため、熱すぎて裸足で歩くのは困難だったそうです。その後、「第一次サウナブーム」が1964年(昭和39年)に到来します。

東京オリンピックで、フィンランド選手団がサウナを持ち込み一躍注目を集め、オリンピック後にスポーツ施設・カプセルホテルに併設され、サウナ施設がどんどん増えていきました。

とはいえ、この頃スポーツ施設やカプセルホテルを利用するのは男性が中心だったため、サウナは男性(おじさん)が行くところというイメージがついたと言われています。

次に訪れた「第二次サウナブーム」は1990年代で、健康センター・スーパー銭湯ブームによるものです。当時注目を浴びた「相模健康センター」は、ファミリー向け・リラックス目的の温浴施設に力を入れ、全国に新しい施設をオープンしていきました。これが今の総合温浴施設の原点で、「お風呂+α」の部分をいかに充実させられるかが温浴施設が流行るカギとなっていた時代です。

さらに、2022年には「第三次サウナブーム」が到来したと言われています。特に、本場の「フィンランドサウナ」を扱う施設が増え、「サウナは心地よく、誰もが楽しめ、デトックスできるところ」という、新たな価値観が生まれました。

「ととのう」って何?

皆さんも一度は「ととのう」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、「ととのう」メカニズムには、自律神経とホルモンバランスが密接に関係しています。

サウナに入っているとき・水風呂の冷たさで交感神経が優位になり、間に休憩を挟みながら「サウナ・水風呂・外気浴(休憩)」という温冷交代浴を行うことで副交感神経が優位になり、鎮痛作用・不安軽減作用・多幸感が高まります。

その結果、脳内麻薬とも呼ばれる「β-エンドルフィン」、幸せホルモン「オキシトシン」、精神安定効果およびストレス緩和効果のある「セロトニン」が分泌され、これこそが「ととのう」感覚に繋がるのではないかと言われ高く評価されています。

サウナの種類

それでは、サウナの種類について詳しくご紹介していきます。

種類 形式 効果

乾式サウナ
(ドライサウナ)

高温低温のカラカラタイプのサウナで、温度は80℃~100℃・湿度は10%程度に設定されていることが多い。
湿度が低いため発汗するまで少し時間はかかるが、思い切り熱せられて汗がかける爽快感がある。
疲労回復・肩こり・腰痛・血行促進・リフレッシュ
湿式サウナ
(スチームサウナ・ミストサウナ)
温度は約80℃・湿度は15~20%で、熱したサウナストーンに水やアロマ水をかけて蒸気を浴びる「ロウリュ」という入浴法が行われる。
ロウリュによりサウナ室内に蒸気が充満し、熱伝導率がアップするため身体の芯から温まるのが特徴。
疲労効果・心血管疾患予防・心臓突然死低下・脳梗塞リスク低下・喘息改善・記憶障害抑制
塩サウナ サウナ室内に置いてある塩を肌に塗って、マッサージして汗をかく方法。 発汗促進効果・美肌効果・ダイエット効果
アイスサウナ
(コールドサウナ)
サウナで熱くなった身体を冷やすためのサウナで、施設によれば-20℃に設定されている場合もある。
アイスサウナはゆっくり体を冷やせるため、水風呂より身体に優しい。
筋肉や関節を柔らかくする・血行促進・交感神経の刺激・自律神経の活発化・健康効果

スモークサウナ
(キングオフサウナ)

薪を燃やしロウリュを行いサウナ室内を温め、煙と蒸気を室内に閉じ込めることで熱い空気が充満したサウナ室内を作り、室内が充分に温まった後に通気口から煙を排出し、人が入れる状態にしたサウナ。
準備に約7時間かかると言われており、体験できるのはほぼレアとされている。
血行促進・保温効果
ケロサウナ フィンランドの一部地域でしか採取されない非常に高価な「ケロ」と言われる幻の木材を使い、ケロから出る甘い香りにゆったり癒されるサウナ。 リラックス効果

サウナの入浴方法

それでは、サウナを存分に楽しむための入浴方法についてご紹介していきましょう。

サウナに入る前に準備するもの

  • 大小三枚のタオル
  • 約2時間ほどの時間の確保
  • 明るい笑顔(サウナ効果をアップさせるためのリラックス方法)

サウナに入るときの手順

  1. シャワーを頭から浴び、全身を良く洗い、水分を拭き取ってからサウナ室に入る。
  2. サウナ室に入ったら、身も心もリラックスできる体勢になる。(座るか横になるか)
  3. サウナ初心者の人は、まず低い場所から始め次第に高い位置に場所を変える。(サウナは低い所で70~80℃、高い所で90℃くらいのため)
  4. 入浴時間は、一般的に8~12分が適切。ただし、初心者や健康に自信がない人は、自分に合った時間で入る。
  5. サウナを出たら足に水をかけ、次にシャワーを浴び水風呂に入る。(健康的な刺激を心掛ける)
  6. 外気に当たりながら30分ほど休憩し、ゆったりと身体の水分が乾くまでくつろぐ。乾いたら、再び2.からスタートし3~4回この手順を繰り返したくさん汗を出す。
  7. 繰り返し終わったら、シャワーか水風呂でしっかり身体の熱をとり、全身をしっかり拭く。
  8. 水分補給し、湯冷めしないように注意して服を着る。

水風呂に入った方がいいの?

サウナの熱気により交感神経が刺激され、水風呂により副交感神経が刺激されることで、自律神経の正常化が期待できます。さらに、ストレス耐性に関わるホルモンなどを分泌する副腎を刺激し、ホルモンバランスを整えてくれる作用もあるため、「深いリラックス効果」「多幸感アップ」「睡眠の質の向上」などの作用が挙げられます。

うつ病改善の効果も期待できると言われており、近年では非リンパ系ガンの生存率を低下させる可能性があるという研究も発表されており、科学的にも水風呂の効果が証明されてきているのです。

健康な人は、水風呂に入ることで上記のような効果がありますが、高血圧の方などは体調を悪化させてしまう恐れがあるため控えた方が良いでしょう。

 

サウナの美容・健康効果

ここからは、サウナの主な効果について解説していきたいと思います。

冷え性・コリ改善

サウナで身体の芯から温めることで、「冷え性改善」はもちろん「全身のコリ解消」「疲労回復」などの効果が期待できます。その理由は、血管が拡張され筋肉内を循環している血液量がアップし、汗と共に疲労物質(乳酸)が排出されるからです。

また、身体の代謝がアップし、血液中の酸素・栄養素が全身に行き渡りやすくなるため、肩こり・腰痛などの症状の緩和につながるのです。

ダイエット・美肌

サウナにより発汗が促進されることで、新陳代謝がアップしたり皮膚の毛穴から汚れや角質が除去されることで、身体に溜まった老廃物や毒素などの不要なものが排出されます。

また、胃腸が温められて活発になるため、排泄も促されるようになるのです。その結果、ダイエットや美肌につながるため、美容目的で通う方がとても多くなっており、サウナは女性からの人気も高まっています。

免疫力が上がる

サウナで身体を温め、一時的に体温が38℃以上になると熱のストレスにより「HSP(ヒートショックプロテイン)」というタンパク質が生み出され体内に増加します。

HSPとは一体どのようなタンパク質かというと、細胞の損傷を防ぐタンパク質で、ストレスにさらされて損傷を受けた細胞をストレスがかかる前の状態に修復・整備する働きを持っています。

そのため、免疫力が上がり「抗ストレス・疲労回復作用」「生活習慣病予防」などの効果が期待できるのです。

脳が活性化する

人間の脳は、何も考えていない状態で70~80%ものエネルギーを消費しています。つまり、何もしていなくても、常に脳は疲れている状態に置かれている状況と言えます。

ところが、サウナに入ると血液循環が高められアドレナリンが出ている状態になるため、交感神経が活発化し脳の活性化に繋がるのです。その結果、脳がリラックスし「認知症予防」「記憶力・集中力アップ」「安眠効果」「うつ改善」などの良い効果が得られるのです。

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サウナの注意点

サウナは、さまざまな効果をもたらしてくれますが注意すべき点もあります。ここからは、サウナに入る際に注意する必要があるポイントについて解説していきます。

無理をしない

サウナに入る場合、自分の体調や持病などを良く考慮し、無理をしないことが大切です。温度や湿度にもよりますが、一般的にサウナに入る時間は6~12分を目安にすると良いと言われています。

初心者の方は、5分からなど短時間から始めるように心がけてください。また、サウナは座る位置が高いほど体感温度もアップするように作られているため、自分で感じる熱さにより位置を移動するようにしてください。

マナーを守る

サウナに入る前には、必ず身体と頭を洗って清潔な状態にしてから入ることが大切です。身体を洗わずにサウナに入ると、皮膚の汗腺が目詰まりを起こした状態のまま入ることになるため、汗をかきにくくなり効果が減少します。

また、シャワーを浴びたあと水滴を垂らしたままサウナに入るのもマナー違反のため、ある程度水分を拭き取ってから入るように心掛けてください。

サウナでの会話は必要最低限にし、咳やくしゃみが出そうな時は必ずタオルで口を覆うなどのエチケットを守るようにしましょう。さらに、サウナ室で座るときは、タオルを敷いて座るようにすることで皆んなが衛生的に利用することができます。

タオルで場所取りをしたり、タオルをサウナ室内で絞ったりする行為はマナー違反のため控えるようにしてください。

控えるべき人は?

サウナに入ると健康効果がアップしますが、人によってはリスクがあるのも事実です。

具体的に控えるべき人は、「飲酒後の人」「空腹の人」「食後すぐの人」「持病のある人」「妊活中の男性」「妊娠中・妊活中の女性」「風邪・感染症・伝染病を患っている人」「起立性低血圧症の人」です。

また、子どもや高齢者の方でもサウナは楽しめますが、脱水症状になりやすいため、必ず水分補給をしてから入るようにしましょう。

 

まとめ

サウナの種類・美容効果・健康効果について解説してきましたがいかがでしたか?身体の芯から温まることで、さまざまな良い効果が得られますが、一方で危険な状況に陥る場合もあります。

そのため、自分の体調や身体の状態を最優先に考え、サウナを利用するようにしてくださいね。

この記事の監修者

竹内 久美 産婦人科医/ヘルスコーチ

 
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