2023.04.16

食事・栄養

ココナッツオイルの効果を引き出す使い方|おさえるべき注意点も解説

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竹内 久美

産婦人科医/ヘルスコーチ

ココナッツオイルが美容や健康に効果的なことは知っているけど、その具体的な使用方法はわからない方もいるのではないでしょうか?

料理にも美容ケアにも使える万能なココナッツオイルですが、使い方を間違えると逆に健康を損ねてしまったり肌や髪が痛んでしまいかねません。

今より健康になり美しさも手に入れるための、正しいココナッツオイルの使い方を解説いたします。最後には、ヘルスコーチおすすめのココナッツオイルレシピもご紹介しているので、ぜひご覧ください。

ココナッツオイルの基本

正しく使うためにも、まずはココナッツオイルの基本について理解しましょう。

ココナッツオイルとは?

ココナッツオイルとは、ココヤシの実の胚乳から抽出、精製された油のことです。常温では液体ですが、冷蔵庫で保管すると固形になることから、バターやラードと同じく「飽和脂肪酸」に分類されます。

飽和脂肪酸は、細胞膜のエネルギーになるので、私達が活発に行動するためには欠かせないものです。ただし、摂り過ぎや質の悪い油を選んでしまうと逆効果なので注意が必要です。

その甘い香りから、スイーツ作りに使ったりヘアオイルとして使う女性も多く、世界のセレブが愛用していることからも人気が広まりました。スーパーで見かけることも多くなり、ネットでも気軽に購入できるので、誰でも日常的に使える油として認知されています。

ココナッツオイルの種類

ココナッツオイルには2種類あり、未精製のものと精製されたものに分けられます。

未精製のものは、低温で圧搾するコールドプレス製法で抽出されたオイルで、「バージンオイル」とも呼ばれており、ココナッツ本来の甘い豊かな風味が楽しめます。

一方、精製されたものは高温加熱や化学処理を行い、不純物を取り除いたオイルです。ココナッツ特有の香りがなくなるので、料理によって甘い香りがするのに抵抗がある方は、精製されたココナッツオイルの方が使いやすいでしょう。

未精製のココナッツオイルの方が栄養価が高く安心して使えると言われていますが、精製されたココナッツオイルにも、化学的な方法ではなく活性炭など自然な方法で脱臭しているものがありますので、香りや体への害が気になるという方はそういった製品を選びましょう。

ココナッツオイルが注目される理由

ココナッツオイルが健康意識の高い人達に注目される理由としては、「中鎖脂肪酸」を多く含んでいることが挙げられます。

中鎖脂肪酸(MCT)を多く含む油には、体内でエネルギーに変換されるのが早く、脂肪として体に溜め込まれにくいという特徴があります。MCTオイルという油を聞いたことがある方もいると思いますが、これはココナッツやパームに含まれる「中鎖脂肪酸油」だけを取り出した食用油のことです。

中鎖脂肪酸は、一般的な植物油に含まれている「長鎖脂肪酸」と比較しても、消化・吸収が早く、体脂肪として蓄積されにくいことが特徴。そのため、ダイエットや糖質制限中のエネルギー補給や疲労回復、脳のエネルギー補給効果もあるとして、アスリートから一般の方まで幅広く愛用されてきているのです。

 

ココナッツオイルの効果

ココナッツオイルを摂取することで得られる、主な健康・美容効果をご紹介いたします。

脂肪燃焼・ダイエット

ココナッツオイルの代謝産物である「ケトン体」は、素早く体内でエネルギー源になってくれます。同じく、エネルギー源と言われるブドウ糖と比べるとエネルギー源として脂質が多く利用されるようになり糖質由来のエネルギーが温存されるため、運動時の持久力を向上させる効果が期待できます。

そのため、空腹感を感じにくく食欲減少・脂肪燃焼効果がアップし、ダイエットや減量に役立つのです。エネルギーの持久力が上がるということは、集中力も長続きするので日中の作業効率も上がると言えるでしょう。

現代人は、砂糖や小麦を使った食品を食べエネルギーを摂取している方が多いため、疲れやすかったり、ダラダラ食べ続けてしまったり、集中力が続かないことが多いと言われています。

食生活を改善する中で、ココナッツオイルを取り入れたら健康効果を最大限に引き出すことができるでしょう。

抗菌・抗ウイルス作用

ココナッツオイルに含まれている中鎖脂肪酸には、母乳にも含まれる「ラウリン酸」が約50%含まれています。 免疫力が低い赤ちゃんは、ラウリン酸を母乳から摂取することで細菌やウイルス感染から守られています。

自然界では、ココナッツオイルがラウリン酸を最も多く含む食品です。

ラウリン酸が唾液に含まれる酵素と混じると「モノラウリン」という物質に変化し、体内で抗菌・抗ウイルス作用を発揮してくれ、あらゆる病原体から守ってくれる働きをします。また、腸内の悪玉菌を退治して腸内環境を整えてくれるので、免疫力もアップできます。

口臭予防効果も高いため、ココナッツオイルうがいを日常的に行っている方もいるくらいです。

アンチエイジング・ニキビ予防

先ほどご説明したケトン体は、体内に溜まった活性酸素(細胞をサビつかせ老化の原因となる物質)を除去してくれる働きをします。

活性酸素は、シミ・シワを作ってしまうものなので、女性としては抑えたい物質です。また、活性酸素は、ガン、糖尿病、認知症を引き起こす原因になるものでもあるので、ココナッツオイルを日常に取り入れることは病気予防にもなるのです。

また、ココナッツオイルは美容に欠かせない「ビタミンE」も豊富に含み、美白効果・肌を保護する役割を果たしてくれます。肌に直接塗ると、保湿、日焼けによるシミ・シワ・くすみの防止、ニキビ予防になる他、傷の損傷を癒して細胞の成長も促進してくれます。

アルツハイマー型認知症予・改善

現代人はとくに、脳のエネルギー源として「ブドウ糖」を利用している方が大半です。しかし、脳のエネルギー源としてケトン体が使われることで、ブドウ糖をエネルギーとして使っていたときには見られない数々の効果が報告されています。

  • 損傷を受けた脳細胞の再生や修復をする
  • 新しい脳細胞の合成を助ける
  • アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS等の神経変性疾患を防ぐ
  • 脳に運ばれる血流を増加させる

アルツハイマー型認知症になると、脳のインスリンが不足するためにブドウ糖をエネルギーとして上手く使えません。すると結果的に脳細胞がエネルギー不足になり、さらなる認知機能の低下につながります。

これに対して「ケトン体」はインスリンを必要としないため、アルツハイマー型認知症の方でも、エネルギーとして脳で利用できます。そのため、すでにアルツハイマー型認知症を発症してしまった方でも脳が活性化し、失われた機能を回復させることが期待できるのです。

 

ココナッツオイルの使い方

ココナッツオイルは、料理やお菓子作り、美容ケアなど幅広く活用することができる優れたオイルです。

料理・お菓子作りに

ココナッツオイルは、加熱に向いてる飽和脂肪酸の一種です。ですので、料理はもちろんお菓子作りの際に、バターの代わりとしても使うことができます。

独特の甘い香りがお好きな方は、クッキーやカレーに使うことで風味を楽しめるでしょう。常温にしておいたココナッツオイルをサラダにかけたり、ドレッシングを作ってかけるのも手軽に栄養補給できておすすめです。

ヨーグルトにテーブルスプーン1杯分ほど入れて食べると、腹持ちの良い朝ご飯・おやつになります。

普段の飲み物に

ココナッツオイルは、コーヒーや紅茶、ミルクとも相性が良いフレーバーになります。朝のコーヒーにテーブルスプーン1杯ほど入れると甘い香りがプラスされて気分も良くなりますし、エネルギーの持続がキープされてに日中の集中力が上がります。

また、お腹も減りにくくなるので、朝食を抜くプチ断食やファスティング中の方は、朝のドリンクやお茶タイムに活用するとストレス緩和・エネルギー切れ防止・栄養補給に役立ってくれるでしょう。

スキンケア・ヘアケアに

ココナッツオイルに含まれるラウリン酸には、黄色ブドウ球菌やニキビの原因となるアクネ菌を殺菌してくれる効果があるため、肌荒れの鎮静にも役立ちます。

伝統的に保湿剤として使われてきた歴史もあり、研究によっても肌の水分量を改善し、湿疹の症状を軽減できることが証明されています。

ビタミンEも豊富なこともあり、太陽の紫外線をブロックしてくれる効果もあるようです。また、ココナッツオイルをクレンジングオイルとして利用されるという方もおり、長期間保存しても酸化しづらく甘い香りに癒されるとして美意識の高い女性達に好まれています。

また、インドでは昔から髪のお手入れに使われてきたそうで、傷んだ髪を修復したり、しなやかでコシのある髪にするために愛用されてきた歴史もあるのです。

 

ココナッツオイルを使う際の注意点

ココナッツオイルの使い方には、いくつか注意点があるので気をつけるようにしましょう。

コールドプレス製法を選ぼう

ココナッツオイルを求める際は、なるべくオーガニック認証を受けたものや有機オイルと表記されたものを選ぶようにしましょう。

とくに、コールドプレス製法で抽出された「バージンココナッツオイル」は、栄養をそのまま摂取できて中鎖脂肪酸の含有量も豊富だとされています。

高温で圧搾されたものは栄養価が損なわれている可能性が高く、化学処理の過程である脱臭や漂白は自然の形ではないので、本来持つ効果を最大限味わいたい方はコールドプレス製法のココナッツオイルがおすすめです。

摂取し過ぎは禁物

ココナッツオイルのカロリーは、大さじ1杯(12g)あたり約110kcalと高めです。MCTオイルやオリーブオイルも同じくらいのカロリーになることから、油は高カロリーですので健康や美容に効果的であっても摂り過ぎは禁物です。

また、ココナッツオイルを代謝する際に肝臓に負担がかかりやすいため、摂取過多によりお腹が緩くなるといった副作用もあります。そのため肝臓の機能が低下している人、肝臓に疾患がある人には適さない場合もありますので、かかりつけの医師に相談するようにしましょう。

冷蔵庫で保管すると固まる

ココナッツオイルは、温度によって固形から液体に性状が変化するオイルです。

  • 固形ー20℃以下
  • 半固形ー20~25℃
  • 液体ー25℃以上

冷蔵庫に入れると固形になるため、飲み物やサラダにサッと使う機会が多い方は、常温保管しておくようにしましょう。冷蔵庫に保管して、常温に戻すのを数回繰り返しても品質に問題はないと言われています。

ただし、賞味期限はチェックしきちんと守るようにしましょう。

 

ヘルスコーチ直伝!ココナッツオイルを使ったレシピ

予防医学のプロフェッショナルである「ヘルスコーチ」が普段作っている、ココナッツオイルを使ったおすすめレシピをご紹介いたします。

体力回復!スパイスカレー

夏の体力を消耗しがちな時期や忙しいときに、しっかりスタミナをつけたり栄養補給したいときにピッタリなのがスパイスカレーです。作り置きしてアレンジしたり、冷凍保存ができるのでお休みの日などにたくさん作っておくと便利です。

【材料】

  • ココナッツオイル
  • にんにく
  • しょうが
  • トマト缶
  • 好きな具
  • カレースパイス
  • 有機醤油か有機万能つゆ(隠し味)
  • 岩塩

カレーを何人分作るかによって分量は変わってきます。好きな具は、お肉や魚介、旬の野菜をそのときの気分や体調に合わせて選ぶと良いでしょう。

混ぜて焼くだけ!オートミールスコーン

現代人は、仕事、家事、育児と忙しく、なかなかお菓子作りをしている時間はない方が多いでしょう。でも、スーパーで売ってる焼き菓子は抵抗があるという方に、ぜひ作っていただきたいのがオートミールスコーンです。

材料を混ぜて焼くだけで、簡単に体に優しいスコーンが作れます。

【材料】

  • 卵 1個
  • きび糖 20g
  • オーツ麦 100g
  • ココナッツオイル 50g
  • ベーキングパウダー 5g
  • アーモンドフラワー 80g
  • レーズン、ナッツ(お好みで)

余熱した180度のオーブンで、19分焼いたら完成。食べ応えがあって、栄養補給もできるのでおすすめです。

まろやか!ミルクスムージー

まろやかな味わいがお好きな方におすすめの、ミルクを使ったスムージーのレシピをご紹介します。

【材料】

  • ケール
  • りんご(有機、農薬を洗えば皮ごと)
  • オーガニックレモン(皮ごと)
  • チアシード
  • アーモンドミルク
  • ココナッツオイル(お好みで)

クセのない野菜や果物に、お好みのミルクを入れるまろやかで飲みやすいスムージーです。チアシードを加えることによって、豊富な栄養素を摂取することができ、水を含むと約10倍に膨らみ「グルコマンナン」という食物繊維に包まれゼリー状になるため腹持ちも大変良いのが特徴です。

グルコマンナンは、こんにゃくの主成分でもある水溶性の食物繊維の一種になります。水溶性食物繊維は、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌のエサとなるため、腸内環境の改善に役立ち、糖質の吸収を抑え血糖値の上昇を抑制してくれる効果があります。

さらに、素早くエネルギーになってくれるココナッツオイルをプラスすれば、これから働くという方にもピッタリのエナジードリンクになるでしょう。

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まとめ

ココナッツオイルの基本的な知識や、使い方を正しく理解することができたと思います。今回ご紹介した料理やスキンケアなどに使う方法の中から、自分のライフスタイルに合わせて取り入れてみてほしいです。

健康・美容の側面から素晴らしい効果をもたらしてくれるココナッツオイル、ぜひ活用してください。

 

この記事の監修者

竹内 久美 産婦人科医/ヘルスコーチ

 
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